『あのとき君とシておけば。』が大変良かった上田にく先生の過去作。個人的な話ですが、好きな作家さんは既刊8割がた好き、デビュー作から推せるってのが多かったところ、正直に上田先生の初期作品は全然ハマらない。マイナス点っぽいですけど、むしろ自分にとって僥倖で、過去作が合わなかった作家さんも最新作がツボをついてくる場合があるんだな〜と気づいたわけです。
今作の表題は、こういう話ですよ〜って見えてくるのが遅いのが勿体ない。特に最近の漫画はBLに限らず、1話で作品全体の方向性がしっかり見えるものが多い気がする。『あのとき君とシておけば。』なんかはまさに1話目で作品の自己紹介がしっかり済んでますね。この点に限らず、本人が意図的になのか編集者の助言なのか、ブラッシュアップして最新作に至っているならなんと素晴らしいことだろうと感慨深く思います。
完結にかなり時間がかかったんですね。2015年と2020年じゃ、BLの流行もだいぶ変わってます。特に1巻目はやっぱどことなく古さを感じる。メビウスはマイセンでこそないけれど。
岳が早々に「なんで簡単に諦められたんすか…」って言ったところでちょっと心配になってしまった。え〜憧れてる相手に、絶対に簡単に諦めてるわけないのにそんなこと言うかねぇ。
一方で一弥も「昨夜みたいなのはこれっきりな」とか言い出す。男は出したらこれですか。完全に自分から誘っといてというか襲っといてさぁ。
とまぁマイナスからのスタートではありましたが、欠け月のタイトル回収は、話の泥臭さに似合わずお洒落で好きです。あと「両目が見えなくなっても一緒にいる」って宣言も。お前の両目が、なら分かるんですよ。俺の両目が見えなくなってもってのはずしんとくるプロポーズだわ。相手から自分への愛に対する信頼感がすごい。
最終巻を読んだ上でのレビューです。最終巻のネタバレは無いように気をつけていますが、万一があるので気になる方はご注意ください。
さて、4巻まですんなりと神評価をつけていたこの作品。あれ…?っとなってしまってレビューをすぐに書けませんでした。これで5巻が助走で最終巻が文句なしの神評価だったら、こちらも必要な流れだな〜ってことで納得できたのだけれど…
とにかく主役2人がずっと同じところにいる。話が全然前に進んでいかない。現実ではこんなことザラにあるでしょうが、これは漫画なので、登場人物が数年悩んでるとしてもその数年を全部描くわけにはいかないはずなんです。これは編集部の責任な気がするなぁ。
◾️表題 戸倉(お客様相談室オペレーター)×彗太(清掃員)
商業作品で滅多に見られないプレイが読める作品です。本人方はそこまでプレイと思ってない…かも。割と真剣…?
彗太(受け)が片思いしている(していた?)ノンケの家に、手を縛ってローターを突っ込んだ彗太を放り込み、片思い相手にローターを抜かせるというえげつないプレイ。完全に巻き込まれ事故です。恋をするだけなら悪いことしてない、みたいな文脈が一昔前のBL作品にはよく出てきてましたが、これは完全に恋するだけから外れてるんで、片思い相手のノンケに多少傷つけられたとて免罪にならない程に大迷惑。トラウマになるぞ。まぁ読者からしてみればなかなか見ない力入った展開で嬉しいんですけどね。
◾️ぴったりはまる
こちらも攻めがお尻にローターをいれたまま受けに突っ込むというレアプレイが見られます。お好きな方は是非。
萌〜萌2