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萌×2作品

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女性ちゅんちゅんさん

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異世界でも狐はお稲荷さんが好き


交通事故で何故か異世界に飛ばされ、遊郭に売り飛ばされてしまった受けが、嘆いていても仕方ないと頑張る姿を気に入った攻めに甘やかされ、幸せになる話

受け様である悠人は両親を事故で亡くし、伯母に引き取られていますが、かなりひどい扱いを受けています。それでも、自分の境遇を仕方ないと諦めその中でできることをやっていこうとする健気な男の子です。
両親の命日、親友の大和とともに稲荷ずしをもって墓参りに行った帰り、車に引かれそうになっている女の子をとっさに助けた悠人は気が付くと知らない場所にいました。
そこは、獣の耳尻尾の生えた獣人の住む世界で、捕まってしまった悠人は遊郭に連れていかれてしまうのです。
色子となった悠人でしたが、耳尻尾のない悠人は「耳ナシ」と蔑まれ客もつかず楼主からいわれのない虐待を受けるのでした。
ある日、悠人の親切から知り合いになった花街で有名な遊び人で狐の獣人・東雲(攻め)に気に入られ、独占契約をしてもらうことになります。
忙しい東雲は時間を作っては通ってくれ、悠人の作る稲荷ずしを喜ぶのです。



モチーフは暴れん坊将軍か遠山の金さん(若い人にはわからないかもしれない)でしょうか。
偉い人が一般人に紛れて悪事を暴く痛快なお話ですよね。

悠人はこの世界では耳ナシということで全く人気がなく、楼主や外の人には蔑まれますが、色子仲間はみないい人ばかりで右も左もわからない悠人を何くれとなく面倒見てくれます。
特に店一番の売れっ子・鈴蘭は、東雲が客としてきたときも、初めての客だからと面接し(良くない客だったら適当に追い返そうと思ってたというからとっても過保護)着物を与え、準備を整えてくれるし、ちょっと先輩のリンは言われない虐待を受けているときに庇ってくれるし、そっけない態度ながら傷薬をくれたりと気遣ってくれる紫苑、この3人は悠人にとって救いだったのではないでしょうか。

事件に巻き込まれ危ない目にあったり、元の世界には帰れないとわかり落ち込んだりしますが、もう帰るところもない悠人の帰るところになってくれた東雲と今まで不遇だった
分幸せになってほしいものです。

甘やかしたい社長と対等でいたい駆け出しの画家


がんばりやな画家と構いたがりの御曹司社長の年の差カップル

駆け出しの画家・森宮錬(受け)はバイトに行く途中で知り合ったイケオジ・城之内隆仁(攻め)が新しくできたレンタルギャラリーのオーナーだと知り驚きます。
隆仁は錬の絵を殊の外気に入ってくれて、隆仁のギャラリーでのグループ展でも錬の絵をいち早く買ってくれたお得意様でもあります。
グループ展の際、近所の野良猫を買うことになり猫好きな錬は餌やりの手伝いにギャラリーに頻繁に出入りするようになり、ある夜お互い酔った勢いで隆仁に告白されおつきあいをはじめることになるのです。

両視点で読めるので隆仁が無自覚に錬を気に入っていて忙しい時間を何とかやりくりして錬と会えるように頑張っているのがわかります。

錬は母親を早くに亡くし、それに耐えられなかった父親がアル中となり育児放棄したので姉と二人で苦労しています。
そして、美大の短期部に入学しますが、不運な事故により4年制への編入が叶わず悔しい想いもしています。
今も、絵だけでは食っていけないのでバイト三昧の生活です。
そんな錬を何かと手助けしたいと思っている隆仁ですが、錬は隆仁に世話されっぱなしになることを快く思っておらず、対等でいたいと隆仁を頼ることをためらってしまうのです。

隆仁は御曹司で幼い頃から不自由ない生活をしていましたが、好きだったピアノではコンクールで審査員からえこひいきされていると言われやめてしまうことになったり、仕事に夢中で婚約者を自分の秘書に寝取られたり、と仕事以外のやりがいのない寂しい生活を送っています。
錬と出会い、錬の明るさや錬の絵に救われるのです。

デキ婚した姉のDV夫の件では隆仁が大活躍で、このことがきっかけで錬は隆仁を頼ることができるようになったのは良かったです。
小さいときから苦労している人は人に甘えるのが下手なんですよね。
どうにもならないことばかりでも「なんとかなるさ」といつでも前向きな錬が悔しいおもいのすることのないよう隆仁には頑張ってもらいたいものです。

隆仁は一度婚約者に裏切られているし錬は15歳も年下だしで、すぐネガティブになったり恥ずかしがったりするのに対し、そんな隆仁を可愛いと連呼し手を取って一緒に歩こうとする錬が男前です。
錬は隆仁が何者かなんて全く気にせず、社長でお金持ちだと知ってもそれに頼ろうとすることなく対等でいようとする男前なところもすごく好印象。
歳の差があり経済格差の大きいカップルの場合、年上の攻めに甘やかされる年下の受けというのが多い中、ちゃんと場面場面で男前なところが交代することができるこの二人は本当に似合いのカップルだと思いました。

錬が描いた絵が認められる日が早く来るといいですね。(隆仁がすぐに買い取ってしまうからなかなか出回らないから時間かかりそうですが)


この作者様の話は二人が恋人になってから、当て馬的存在が出てきて二人の雰囲気が悪くなるということがなく、何かしらの事件が起こって二人の仲が深まるという展開なのでいつもハラハラドキドキ楽しく読むことができる上、攻めが受けを溺愛するので性癖ドンピシャで大好きです。

ラプンチェルから捕われているのは

ラプンチェルに赤ずきんにシンデレラに眠り姫といろんなおとぎ話のプリンセスに例えられる受け

御曹司と呼ばれる出自ながら実母が早逝し、父親が再婚したため継母により疎まれ、早々に実家を出された桐原眞幸(受け)。
今は実家の子会社で一般社員をしています。
そんな眞幸を気にかけてくれるのは9歳年上の高校の先輩で実業家の
牧野成彰(攻め)。
眞幸が通っていたのは全寮制の高校で学閥意識が高く、OBが進路相談などで頻繁に後輩の世話を焼く校風で眞幸も在学中から、不遇な生い立ちもあってかずっと気にかけてもらっています。
そろそろ成彰に出会ったのと同じ年になろうというのに、あの時の成彰のようになれていないことに少し焦りを感じる今日この頃です。
そんな時、知り合いのOBの開店記念パーティーで成彰に告白されてしまいます。
全く意識していなかった眞幸はとても驚き、今まで以上に意識してしまうのです。



眞幸は儚げな見た目と違い芯が強く頑固で、自身の生い立ちを嘆くのではなく、今できることを責任をもってするという姿勢はとても好感が持てます。自分で決めたことは決して曲げない強さも持っています。
容姿もさることなから、きっとこういうところが成彰はじめ他のOBたちや同級生後輩たちみんなにかわいがられる結果になったのではないかと思います。
ただ、両親に愛情を受けなかったことから人を頼るということができないのが成彰にはとても歯がゆかったのではないかと思いました。
眞幸的には甘えているという自覚のあるものでも、成彰からすればぜんぜんで、もっともっと甘えてほしい頼ってほしいと思っている(下心満載で)のになかなか頼ってもらえないから8年もかかってしまったのかと思うと、成彰の予想をはるかに超える強さを持っていたのでしょう。
会社のリストラを任されることになったことにより、周りから距離を置かれるわ、攻撃対象になるわ、全く御曹司としての扱いをしていないのにこういうときだけ使おうとする両親には本当に腹が立ちました。
ただ、このことが成彰が眞幸に頼られるきっかけとなり成彰の望む関係が築けたことは結果オーライだった気もします。


異母弟の一史が本当にいい子でした。
あんなクソな両親に育てられたのに、まっすぐ素直に、また俯瞰で物事を見ることができるとても優秀な弟。
両親と同じように眞幸を貶めてもおかしくないのに、ブラコンで両親のことをクズといって憚らない強い姿は言いたくても言えない周りの気持ちを代弁をしてくれて気持ちよかったです。(眞幸は汚い言葉を喜んではいなかったけど)
両親に関してはもっとザマアな展開になってもよかったのに思ってしまいました。
きっと、将来的には一史が両親に引導を渡してくれると信じています。


タイトルにあるラプンチェルとは時計塔の窓から本を読んでいる姿のたとえと共に実家という檻の中から出られない眞幸の姿を表したものでした。
結局悪い魔法使いは両親から成彰に移っただけという話もあるけど、二人が相思相愛なのでめでたしめでたしですね。

犬耳尻尾は能弁

ひょんなことから神様の眷属に願いをかなえてもらったサラリーマンの初めて恋が叶う話。


デジタル制御装置の開発会社に勤める真柴直紀(受け)は入社5年目の中堅になりつつあるサラリーマン。
新人のころから同期で営業の重倉宗則(攻め)のことが好きでした。
が、好きだという気持ちが全面に出てしまうのを怖れ重倉の顔を直視できず、いつも目を逸らし怯えた態度を取ってしまいます。
そんな時、近所の崩れかけた神社に定期的にお参りにいっていた直紀は何故か一体しかない狛犬に「重倉と仲良くなれますように。重倉の感情がわかりますように」とお願いしてみるのです。
「かなえてしんぜよう」それに呼応する声が・・・
間違って神の世界から落っこちてきてしまった神様の眷属・ちまきでした。
ちまきは神の世界への帰る門を探す手伝いを直紀にさせるかわりに、重倉の感情を読みやすくする術をかけたのでした。
その術とは、次の日会社にいってびっくり、重倉に犬耳尻尾が生えていたのでした。
直紀にしか見えない重倉の耳尻尾によりいつも無表情の重倉の喜怒哀楽がわかるようになり、勇気をだして重倉に声をかけることができるようになり大喜び。
会社が休みの日には近所の神社を順番に巡り、神の世界への門を探す傍ら、順調に親しくなっていったのでしたが・・・
犬耳尻尾が生えている弊害か、時々本当の犬のような反応をするようになるのです。その間の記憶はないようで、直紀は犬化していくのではないかという心配し、
重倉の感情を盗み見する罪悪感でいっぱいになってしまうのです。



自分でご飯を食べることはせず、お供えられたら味を楽しめるというちまきの不思議な力にはびっくりしました。お供えした後直紀が食べるので実質食費は無料なのですが、留守番している間にテレビで見るカフェに行っては食事をしたがるので、結局食費が嵩んでしまう。神に人間の常識は通じないので、一日に何度もカフェに入り散財させられる直紀がちょっと気の毒でした。
そして、周りは気にしないので、カフェに入るため銀髪に琥珀色の目の美貌な男に変化し直紀にお供えしてもらうという状況はシュールで笑えます。

ちまきは終始唯我独尊といった感じでしたが、盛大な両片想いな状態に犬耳尻尾で背中を押してくれたといういう意味では、結果的にと二人のキューピッド役をみごと果たしてくれました。

直紀は肉体的にも精神的にもお財布的にも随分振り回されましたが、初めて恋が実った直紀にとって些末な問題でしょう。きっとこれからは一段と信心深くなるのではないでしょうか。
何年か経ったらふらっと様子をみにやってくるかもしれませんね。

二人が急に仲良くなったのをみた周りの同僚の反応とかもうちょっと先まで読みたいなと思いましたが、皆いい人ばかりの職場なので暖かく見守ってくれるのではないでしょうか。

天涯孤独なオメガのつがいは御曹司アルファ


ツンデレなオメガがアルファに溺愛されて家族を得る話

コーヒーショップでバイトをしている真名海里(受け)はある日店に来たアルファと思しき極上の男に食事に誘われ、「運命のつがいだ、結婚してほしい」と言われます。男は鹿野吉城(攻め)と言い、有名な会社の次期社長でした。
オメガはアルファと違い一度つがいになると一生そのアルファに縛られるため、捨てられることを警戒して一生恋愛などしなくていいと思っていた海里は戸惑うのですが、鹿野の押しに負けて結局3か月のお試し期間を設けることにするのです。


週3回海里の自宅アパートにきて、質素な生活を送る海里とやっていけるのか確認してみろという海里の提案(挑発)に乗った鹿野は、普段ならお手伝いさんにしてもらうような部屋の掃除や風呂掃除に料理に洗い物などをスマホでちまちま調べてこなしていきます。それを間近にみて、海里は少しづつ絆されていくのでした。

親に捨てられ施設で育った海里は愛情に飢えていて愛し方がわかりません。オメガであることもあって安易な愛情に振り回されないよう自分を律しているようです。ただ、鹿野に対しては自分で慎重だと言っているのが本当なのか疑いたくなるくらい無防備です。
どこが慎重やねんと何度突っ込みを入れたことか。

一度目のセックスは発作のようなヒートだったため仕方ないかと思うのですが、二回目以降は明らかに海里から誘っていますし。
特に一度目は不本意だったはずで、それなのに避妊よりも行為を優先していたし、妊娠したらどうすんの!と思いながら読んでました。
案の定だし・・・

作中他のアルファに声を掛けられるシーンでもあれば鹿野に対してだけ態度が違うと表現できただろうと思うのですが、そういったシーンもなく自己申告による慎重とはなんぞやという感じでその辺りはちょっと表現不足だと感じました。


育った環境が違い過ぎてうまくいかないんじゃないかと警戒するツンデレな海里が鹿野をちゃんと受け入れるまでという感じなので、ほとんど障害といったものはありません。
唯一年の離れた超ブラコン弟・真琴が攻撃的ですが、甘やかされたぼんぼんで性格自体は悪くないので嫌味やわがままをいうくらいでそこまででもないです。
どちらかというとエロ重視なさらっと読める話だったように思います。


気になることといえば、運命のつがいとは何をもって判断するのかよくわからなかったことや、鹿野が海里が妊娠してるのではと思った根拠は何だったのかが気になりました。結局どちらも説明なかったし。
細かいことを気にしてしまう読み方をしているので、考え考え読んでしまいましたが、さらっと読むにはドキドキハラハラすることもほとんどなく良いのではないかと思いました。

安定のネガティブ受け

声フェチの料理研究家が大好きな声優と一緒に仕事をすることになり恋人になる話。


パワハラで仕事を辞めてニートと化していた森澤渚(受け)は料理研究家の母親の伝手で二世料理研究家としてテレビや雑誌で仕事をしています。
自宅のキッチンを仕事場にしていますが、口下手で表情が出にくい渚はいつも放送事故すれすれで、スタッフともコミュニケーションがあまりとれず居心地の悪い状態が続いています。
そんな時、幼馴染の二世料理研究家・飯島の代打で新番組を担当することになります。
5分の深夜の帯番組。
料理をしているときは一段と無口になってしまう渚は蒼白になるのですが、天の助けならぬ天の声として人気声優の横田悠陽(攻め)との掛け合いで構成されると知り安心します。
実は横田は渚が大好きな声優でした。
声が好きすぎて固まる渚に呆れることなく優しくリードしてくれる横田のことが恋愛の意味でも好きになってしまい、絶対に知られないようにと心に誓うのでした。


表題作と「もっと、耳から恋に落ちていく」「ますます恋に落ちていく」の3編からなり、表題作は二人が恋人になるまで、「もっと・・・」は恋人になってから渚が少しポジティブになるまでを渚視点で、「ますます・・・」は横田視点で描かれています。


有名な脳外科医の父と料理研究家の母を持つ渚は忙しくしていても精一杯愛してくれる両親により、すごく素直でセンスがよく家事も得意でお嫁さんにするのにぴったりな青年です(笑)
もともと普通のサラリーマンだったためか、料理や部屋を整えたりといったことが好きな渚は好きなことを仕事にするのはいけないことだと認識しており、今の仕事は腰掛のように思っています。
育ちの良さやファッション等のセンスのよさを自覚しておらず、それを指摘する人もいないため、自分の持っている武器を認識できないでいました。
でも、横田や声優仲間たちとの会話で好きなことを仕事にできることは悪いことではなく幸せなことであると同時に自分の持っているものが武器になると気が付き、流されるのではなく積極的にスタッフにも関わっていこうとする姿勢は好感が持てます。
ただ、横田も言ってるように悪いように考える天才なのでこれからもネガティブ思考になるたびに横田に引っ張り上げてもらうんでしょうね。


「もっと・・・」は渚視点でありながら、横田の焦りっぷりとかが垣間見えて楽しかったです。
渚の番組に件の飯島がゲスト出演したときは嫉妬して変にならない程度にどげとげとした天の声になったり、飯島との食事会に忙しい中渚が心配で少しでも早く到着するように走ってきたりしているのに、渚は飯島と食事するのがそんなに楽しいのかと勘違いしていて横田が報われてないのが楽しかったです。
声が好きすぎて過呼吸になって全然コトが進まないのも笑えるし、先に進めるために過大評価してくる渚に自分のかっこ悪いところを連呼する横田の必死さにも笑いました。絡みの最中だってのに・・・(笑)


同じく声フェチの私にはとても共感できる話でした。
大好きな声優さんの声を耳元でずっと聞けるなんて、なんて贅沢なんでしょう。
渚の好きなことって家政夫とか天職なんじゃないかと思うので、大丈夫だとは思うけどもし仕事がなくなったら横田の専属家政夫になればいいんじゃないかなと思うのですがどうでしょうか。

一目惚れ同士


百戦錬磨のアメリカ人御曹司と友人の彼氏代行をしていたゲイの日系大学生とのお互い一目惚れの初恋。


読み始めて気付いたのですが、ロックハート家御曹司のお話第3弾でした。
あとがきには書いてありました。
それぞれ従兄弟という関係ですが、内容自体は絡んでいないので、前作を読んでいなくても大丈夫です。

親友のクレアにパーティーに彼氏として参加してほしいと頼まれた森谷巡(受け)。
お互い同性愛者として意気投合し仲良くしていたクレアがアメリカ有数の財閥の令嬢だと知らなかった巡は、当日会場となるクレアの実家の別荘に連れていかれて驚きます。
パーティーではクレアの伴侶になりたいボンボンたちに絡まれたり、自分の価値観を押し付けるクレアの叔母にあれこれ詮索されたり難癖付けられたりとさんざんでしたが、なんとか役目を終えた巡でしたが、クレアの方はいざこざが続いたことで癇癪を起してしまいます。
気分転換に散歩に出かけた先で元恋人にあったクレアはそのまま行方不明になってしまうのです。
事情説明のため、とうとう巡はクレアが同性愛者であること、自分が代役彼氏であることを告白し、クレアの下の兄であるキャメロン(攻め)と一緒にクレアを探し回ることになります。

両視点で読めるので二人の気持ちが逐一よくわかります。
お互い一目惚れであること、クレアを探し回っている間に少しでも近づこうともくろんでいるキャメロンと少しでも思い出にしたいと思っている巡。
危うい雰囲気のままクレジットカードの利用履歴からクレアを探してラスベガスを探し回る二人。

なかなか追いつかない追いかけっこはじれったかったですが、その中で少しづつ二人の距離が近づき、ピンチの巡を助けたり、薬を飲まされたりと二人にも事件が起き、旅が終わると寂しくなる巡となんとか次の約束を取り付けたいキャメロンの想いにもニヤニヤしたりと面白かったです。

それにしてもロックハート家の御曹司たちは日系人男性が好みなのは家系ですかね。キャメロンのところはあとは長男が最後の砦ですね。跡取りのプレッシャーが大変でしょうね。
自分の価値観を押し付ける叔母さんからまたいろいろ言われるのかと思うとうんざりだけど、今度はクレアもキャメロンももっときつく言ってくれるのではないでしょうか。
老害になるようなら出禁にすればいいのにと思うのはちょっと過激でしょうか。

今作は内容がパーティーや追いかけっこと内容が多かったのか、両想いになってからが少なかったのがちょっと残念でした。
もうちょっと、その後が読んでみたかったな。
ていうか、ロックハート家の3組が一堂に会する話が読んでみたいです

囚われたのは・・・


友人でありたかった男と人生をかけて守りたかった男

表題作と書き下ろし「鳥籠の扉は開いた」の2編。

表題作は、子供時代に横暴な兄たちから庇ってもらって以来、一生守ろうと決めたの樋代組組長の妾腹の3男・帷(攻め)が家族の輪からはじき出されている同級生・雪加(受け)を守るため力をつけ、雪加を守るために大きな鳥籠の中に閉じ込めてしまうまで。
書き下ろしは、その後雪加が帷の真意を知った上で再び共にいることを選ぶまで。



物語初め、すごく不安を感じる雪加の生活が印象的でした。
普通のサラリーマンとして仕事をしているのに何故かとても不安になるのです。
独り暮らしのはずなのに、少し目を離したすきにメイキングされているベッド、用意されている食事に弁当、風呂、出勤時のスーツ一式の用意、欲しいと思ったものがプレゼントされている、等々。
ここは小人さんがいるファンタジーの世界なのだろうかとでも思わなければ怖くて仕方がない。
そして、その状況に耐えられなくり逃げ出そうとして結局捕まるのです。


明かされる真実が驚きでした。
鳥籠に囚われたのは帷が雪加を自分だけの世界に閉じ込めたかったからだと思ったら、実は雪加を父親の殺意から守るためもあったとは。
いくら離婚した相手との子供とはいえ、血のつながった我が子を殺そうとまで思えるほど情が湧かないものなのだろうか。このクズ親には相応の最期だったと思います。
真実を知ったら雪加が傷つくだろうとすべてを黙って憎まれてもいいからと真実は口にしない帷。
二人がちゃんと話合わないためすれ違っていることを心配する部下の坂本が一番苦労していました。何度も半殺しにあって気の毒。


帷は雪加を神聖視しすぎなのです。
雪加が生まれたての赤ちゃん並みに弱いとでも思っている帷には呆れます。
確かに父親と義母に家族の輪から放り出されたことに傷ついていたとは思います、
でも帷がいて慰めてくれたとはいえ、ある程度図太い神経の持ち主だったからこそ、あんな屑親のもとでも生きていけたんじゃないかと思います。
鳥籠に入れられていた時も、理性があるときは(大体抱き潰されているためとても少ない)相手の意図を理解し、行動に移せる行動力もあって決して弱い存在ではないということがわかります。
それをいち早くわかったのが世話係の坂本で、見る目が曇ってしまって暴走してしまったのが帷でした。
横暴でなんでも言うことを聞かせていたように見えて、実は雪加に支配されていたのは帷だったという構図。


この作者様の話は二人の世界で閉じたままで終わることが多く、読了後不安になることが多いのですが、今作ではちゃんと文字通り命を懸けて進言してくれる部下もいるし、雪加も黙っているほうではないので扉は完全に閉じておらず、これから少し明るい未来を想像できる終わりだったのがよかったです。
とはいえ、極道の組長というだけで若干不安はありますが...。
雪加に何かあったら確実に帷が狂うので、二人には誰にも邪魔されず(被害者が増える)死ぬまで仲良く一緒にいて欲しいものです。

スパダリすぎる


裏表紙が最大のネタバレでした。


市場でオレンジを売っている孤児のリノ(受け)は貴族の男と思われる豹頭男・マウリシオ(攻め)の町案内をすることになります。
お互いなんとなく別れがたく数日一緒に町を案内したリノでしたが、初物として付加価値をつけて金持ちに高く売ろうと思っていた養父が売春をしたと勘違いし激怒、そのまま売られそうになったところをマウリシオに助けられます。
実は宗主国からきた新しい国王だったマウリシオはリノを養父からリノを買い後宮に入れるのです。

父を恋しがっていつも泣いていた母親を見ていたリノは両親が何故別れることになったのかがわからないこともあり、マウリシオの求婚を受け入れることができません。もし、別れることになったらと思うと怖くてたまらないのです。

後宮にはほかにも副官が集めてきた女性がいて、嫌味を言われたりしますが、マウリシオの愛情はリノにしか向いていないため、それほど居心地悪いということもなく、生まれて初めての平和な毎日を送れるようになります。



マウリシオはスパダリでした。
自分の気持ちを伝えつつもリノの気持ちも考えてくれるし、リノの心配事である両親のことも国王の力も使い解消してくれるし、ピンチの時は助けてくれるし、失うことを怖がるリノを宥める余裕もあるしと、もう満点でした。


この世界は豹頭の人間は男でも妊娠させることができます。
細かい説明がないので想像ですが、豹頭の人間と何度も交わり心と身体の準備が整うとオメガバースのオメガのようになるようです。
幸せな家族というものを知らなかったリノのことを気遣うマウリシオなのできっと子だくさんな幸せ家族になることでしょう。

異世界の話ですが、国の力関係とか地図的なものの説明その他が少ないのでその辺りがちょっと気になりましたが(マウリシオは宗主国の第3王子のようだくらいしかわからない)細かいことを気にせず、不幸な生い立ちの受けがスパダリの王様に溺愛される話という意味では十分楽しかったと思います。

鈍感ヘタレ攻めのうろたえっぷりがかわいい


縁談除けに両親を亡くした中学生を引き取ったはいいけど、知ららないうちに本気になっていたセレブ社長と初めは保護者として慕っていただけなのにいつの間にか家族以上に好きになってしまった大学生の両片想い。


両親が事故で亡くなってから親戚中をたらいまわしにされていた優輝(受け)。
そんな優輝を遠縁の大手ホテルチェーン社長・泰成(攻め)が引き取ってくれることになります。
私立中学へ編入し、それまでの冷遇具合とは正反対のぬくぬくとした生活を送るようになって5年、優輝は大学に進学します。
泰成は優輝をかわいがり、過保護具合にますます拍車がかかりそれは束縛のようになってきていますが、優輝は高校の時に泰成への想いを自覚していたため嬉しく思うばかりです。
そんな二人を家政夫の照雄や泰成の秘書の内田は少し呆れながらも見守っていました。
そんな時、泰成を結婚させて会社の発展に使いたい泰成の母が動き出したことで二人の関係に変化が・・・


なんといっても泰成の鈍感っぷりには驚きです。
優輝が引き取られて5年たち、安定してきた彼らの生活は新婚生活そのものです。
家事全般は照雄がいるので手伝う程度ですが、出社時の見送り時はカバンをもって玄関までお見送り、帰宅時は出迎えはもちろん上着を受け取りブラシ掛けまで、今時こんな健気な新妻いるかってくらいです。
これをずっとやって貰っていて泰成は普通の家族だって思ってるんですから重傷です。
(優輝は自覚ありなので)
母親が優輝にゆさぶりをかけたことで二人の関係がギクシャク。


優輝が一人暮らしをすると宣言した後の泰成のうろたえっぷりは闇落ちしたかってくらいで衝撃でした。理性があってよかった。
それでも、暇さえあればGPSで居場所を確認したり、親友の彼女の相談に乗っているときや親友の宿泊するホテルのチェックインに付き合ってあげているときの行動はまさに嫉妬にかられた中年男(内田 談)でした。事情がわかってなかった二人はさぞかし意味が分からず驚いたことでしょう。
ちゃんと後で説明したのかしら。


今作では悪役は自分勝手な母親一人であとはいい人ばかり(たらいまわしにしていた親戚除く)でした。
照雄は泰成には父親のように優輝には祖父のように大きな愛で包んでる感じだし、内田は敏腕秘書なのに泰成を雑な感じで扱っているのが楽しい。
優輝も泰成には頼れなくても内田には相談してるところもすごく良い感じで、家族4人(実際は3人)で仲良く暮らしているって感じでした。
親友とその彼女は早くに優輝の想いに気付いていてもそっと見守っていた感じがすごくいいし、いい友人がいてよかったです。


私はヘタレ攻めはあまり好きではないんですが、今作の泰成はヘタレてても照雄や内田に宥められているところが楽しかったのでイラっときませんでした。

優輝から大切な話があるとメッセージを貰った後、「大変だ!」
「悪い予感しかしない」と大慌てのところを内田にはいはいと雑に宥められたり
、「昨日は立派だった」「ニュースを優輝が見てきっと見直すだろう」と優輝をだしに仕事をさせられたりと、普段ホテル王とか言われてるしっかりした社長なのに、良い感じに雑に扱われているのがかわいいかったです。
そして、照雄と内田の元上司と部下という関係も良い感じに想像できて面白い。
泰成たちを二人きりにするためにさらっと「今日は内田の家に泊まります」とい
えてしまうところとかニヤニヤしてしまいました。


今作は溺愛ぶりもさることながらヘタレ攻めの可愛い一面も楽しめるとても面白い作品になっていたと思いました。
あの自分勝手な母親がもっとぎゃふんと言わせられたらもっとよかったと思いましたが、彼ら4人がこれからも幸せに暮らしていけるならなんでもいいかな