おラウさんのマイページ

萌作品

女性おラウさん

レビュー数0

ポイント数2

今年度449位

通算--位

  • 神0
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0
  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • DVD
  • ゲーム
  • 特典
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

動機はちょっと弱いかも

すごく悪いところもないんだけれど、新しさもなく、絵以外の個性が伝わりにくかったかな。

特に前半がイマイチ乗れない。
「隠し撮り記者を押し問答の末、家に拉致して酒をごちそうする」って相当変わったシチュだと思うけど、特に龍様側にこれという動機や説明が見つからず、ちょっと置いてけぼり。そのままダラダラ進んでセックスして快感を覚えちゃって……とありがちな方向に流す感じがどうも苦手。
せっかく綺麗な肉体美を堪能できる場面なのに、気持ちが盛り上がりませんでした。
その後も龍様は大した説明なく真夏斗に本気になっていった感が否めず。
少なくとも最初から好みで手を出したとか、これがきっかけで本気になったとか、はっきり断定できるエピソードが欲しかったかなぁ。

一方後半、両想いになってからは話にまとまりが出て読みやすくなりました。
真夏斗がやりたいことや大切にしたいことなど行動やセリフの軸がはっきりしてくるので、読者の焦点も格段に合いやすくなります。
龍様も別人のように朗らかになり、ようやく血の通った登場人物という実感が持てました。が、そこから楽しむには、ちょっとページ数が足りなかったかも。

もしかしてスロースターターというか、短距離じゃなく中長距離型の作家さんなのかな。

苛烈に始まり、水炊きに終わる

闇オークションで乳首をいたぶられる緊迫シーンで始まり、
お揃いのパジャマのプレゼントと共に鍋を囲んで終わる。

えっ???
最初と最後を読んで同じ小説だと思う人はいないのでは??
となるくらい、ある意味ハチャメチャなお話。

多分シリアスエロの皮を被ったシュールギャグです。

中盤までは、
週刊誌エース記者の北見(受)が同僚の策略に嵌められ、闇オークションで売られ、脅され、攻たちの好きなようにされ……って感じの不条理ブラックエロス満載で進むのですが

2/3を過ぎたあたりで、あれれれ????ってな感じで話のボールに意味不明な回転がかかり出し、ありえない角度にバウンドし出すんですよ。
で、最終的にいつもの複数BLハッピーエンドに収束するという謎の技巧。
手塚ゾーンもびっくり。

思えば、「乳首譲渡契約」という謎の契約のあたりから話の筋があってないような感じになってきます。

散々脅して受を好きにしていたのに、今更なぜに契約??と思ったら、
一緒に週刊誌のスクープを挙げましょうと団結し出し、
割とあっさり『始まりこそ苛烈だったが、いまではなんとも形容しがたい感情を抱いている』
と受が独白し出す急展開。

ここからの、受が攻全員に惹かれていく過程が……めっちゃ雑!!
え?そんなんでいいの?ってくらい雑!!!

でもこの無理やり感、ギャグみがあって私は好きです。
特にリウ。
攻め3人の中で、受が惹かれていく要素が最も見つけにくい謎キャラ。
甘やかし紳士の井上と、昔からの知り合いの羽川はまだ好きになる理由がわかる気がするのですが、リウと北見くんの関係って、
闇オークションにかけられて、乳首に悪戯されて、嘘か本当かわからないプロフィールで煙に巻かれただけのような……。

でも
『いけない男だとわかっていても近づかずにはいられない……』
『お前が一番よくわからない……』
って独白しながらシームレスに心奪われていっちゃうから、思わずツッコミたくなりました。
しかしね、理由はいらないみたい。
しかもね、案外それで成立しちゃってる。
散々、闇オークションとか乳首譲渡契約とか訳わかんないことをやってきた後だから、そんなもんかなってこっちも麻痺しちゃうんでしょうね。

ルールとか前提とか物理的法則とかガン無視でシュートを決め、両想い4Pに持って行く。
で、最後はお揃いのパジャマに喜びながら水炊きを楽しんで終わるという思い切りの良さ。
はて、闇オークションとは何だったかしらという読後感。

エロスは元より、このツッコミ不在のギャグ展開を是非一度お試し頂きたいところです。

ちなみに「乳首」繋がりではありますが、既出作「発育乳首」とは全く別個の独立した作品ですのでご注意を。

デラックスお道具プレイなのに、拭いきれない爽やかさ

クリームピンクと肌色の甘くセクシーな表紙カラー
イケメンなのにメス猫感あふれる左京亜矢先生の魅力的なイラスト
リア充風大学生の寮生活を背景に、序盤から電動ディルド・手錠・視姦プレイというアグレッシブなストーリー展開

もうこれまでの月村作品では見たこともないくらい色々デラックス感満載なんです。
描写は丁寧だし、話もわかりやすく、面白いとは思うんです。
それは間違いないんです。
しかし物足りない……。

まるで老舗レストランの期間限定メニューみたいな感じ。
話題性抜群、インパクトあるビジュアルで、有名コラボで、限定の高級食材を使用しました、みたいな。
美味しいんだけど、でもやっぱり定番とは違うアレンジレシピだなー。
1回でいいかなー。
次は定番がいいなー。
と思ってしまうあの感じ。

もちろんいつもの月村先生らしさはきちんとあるんです。

例えば、受の思考ぐるぐる暴走パターンで勝手に詰んで行くあの感じは、今回も引き込まれつつキュンキュンしましたし、
攻キャラだって月村先生にしか書けないようなノーブルで性格イケメンなセリフや振舞いのオンパレード。

なんですけど……
このソフトSMお道具プレイというテーマに月村先生の文体がどうしたって爽やかすぎるんです!

どんなに受が変態的でエロいオナニーをしていても、
攻が非常識で突拍子ない発言をしていても、
月村先生の文章が持つ圧倒的清楚かつ謙虚な雰囲気に、テーマの持つ淫靡さが飲まれちゃっているんです!

特殊系やエロ特化小説にありがちな、強引さ、不条理さ、陰湿さ、意外性は目立たず、むしろ十分すぎる説明と合意の元に進んでいく半予定調和な演出。

そこにあるのは、目に入る単語はしっかりエロいのに、流れや雰囲気は爽やかで秩序的というギャップと混乱。
それはそれとして楽しめれば良いのでしょうが……うーん、ちょっと集中できませんでした。

パーソナルカラーとか骨格診断みたいに、やっぱり文体にも持ち味とか得意不得意は出ちゃうと思うんです。
左京亜矢先生の色っぽく艶感のあるイラストはテーマにはぴったりなんですけど、月村先生のこの風通しの良い文章にしっくりハマってるか?と言われるとやっぱりちょっと違うと思う。
これまでの作品のテーマ、文体、イラストのマッチ感が素晴らしかった分だけ、どうしたって差が目立ってしまう。
そういう些細な違和感が積み上がった結果、やっぱりアレンジやデラックスじゃなくて定番がいいな……という贅沢な願望を持ってしまいました。

定番とアレンジの隙間に爽やかさの功罪を感じた一冊。
「いつもの」を一旦忘れちゃうくらいが楽しめるコツなのかもしれません。

視点が女子化していく理系男子たち

間之先生らしさ全開の甘々ポップな世界観。
最初から最後まで近すぎる幼なじみ同士の距離感と両片想い、すれ違いラブ。
ブレの全くない王道ですね。

恋人未満の二人の距離の近さをこれでもか!と見せつけられるあの感じが今回もたっぷり。
これで付き合ってないとか嘘でしょ!とツッコミながら萌えるのが間之作品では定番化しつつあります。

しかし今回もっとも印象的だったのは、ラブ部分よりも東西南北+千堂先生という理系男子たちの描き方。
もうこんな所にも甘々ポップな間之先生らしさが光っていました。

リアルで経験した方ならおわかりかもしれませんが、ガチ理系男子って実際めちゃめちゃインパクトがあるんですよ。
容姿に無頓着、脅威のチェックシャツ率、情緒不足なコミュニケーションと理論武装、独特の着眼点とこだわり、仲間内にしか通じない語彙の数々、陽キャへの妙な卑屈観…

良い悪いとかではなく、単純にちょっと、というかかなりBL界で求められる恋愛小説の雰囲気・キャラとは乖離しているんですよね。
メインキャラであろうと、サブキャラであろうと、醸し出される雰囲気がそもそもマッチしにくい。
過去には苦手なモノもありました。

しかし今作ではその理系キャラのさじ加減がちょうど良い具合に調整されています。
理系男子のエッセンスは残しつつ、表現型がとてつもなくマイルド。
特に会話ですね。
語調がもうフェミニンというかガーリーというか。
間之先生らしさ全開というか。
そんな調子で合コンとデートとオシャレの話に花を咲かせ、お互いを褒め合う姿よ。
野郎感、ガサツさ、粗さ、マウント力、ゼロ。
現実はいらない、可愛くて甘いものだけ残しましたと言わんばかり。

そんな甘さに徹底した世界観だからメインキャラたちも現実に囚われずイキイキしております。
映えしそうなハンバーガーの食レポに、手作り料理の応酬に、おしゃれカフェデートにショッピング。
理系の研究室なんて身近じゃないのに、視点と行動は1冊丸々女子力高くて、むしろ勝手知ったる雰囲気です。

展開はイージーですし
悪い奴も基本出てきませんし、
世界は平和ですし、
自分の美貌に無頓着という少女漫画的演出もありますし
基本的に外しません。

突き詰めれば男子かどうか疑問が残りそうなところはありますが、
正直なところ、リアルかどうかなんて二の次なんですよね。
BLとして作品の雰囲気に合っていればフェミニンだろうが、マイルドだろうがそれでOK。
この甘々バランスで最初から最後まで迷いなく突き抜けて行く間之先生は、もはや甘口BLではエキスパートの域ですね。

コッテコテの現代モノですが、ある意味で超ファンタジーBLでもある本作。
現実に疲れてあま―いものを脳内補給したいときにおススメです。
ただし、現実に戻るときにはそのギャップに気を付けて。

この懐かしさがわかる人は同世代

初めて読むのになぜか懐かしい。
新作なのに、実家の本棚から引っ張り出してきたような、いにしえ感。

それもそのはず。
サイトに上げていた作品と聞いて納得です。

多少の味付けはありながらも、奇をてらった展開や設定はなく、ダーク系スパダリ攻×不憫受、純愛溺愛すれ違いモノど真ん中。ちらちら漂うバブリー感。
シリアスとロマンスの配合は王道比率で、万人受けしそうなマイルドさ。
悪役の兄が最初から最後まで完全ドクズなところにベタ展開の古風さを感じます。
文章はちょっと説明しすぎかな?という所もありますが、基本平易でストレスなく読み進められます。
一言でいえば2000年代のあの感じです。

でもまあ、時代は令和。
流行りも型も少しずつ変わってきていますからね。
実力派作家さんたちが切り開いたBL小説の新境地の数々も知ってしまっていますからね。
物足りない、なんか陳腐、時代遅れと感じてしまう人も中にはいるかもしれません。
もうちょっとこうだったらいいのに…っていう部分はもちろんあります。

それでも、どこか安心感があるんですよね。
学生時代に流行った音楽を聴いて良し悪し関係なくほっこりするようなあの感覚。
同じモノを見て、同じモノを食べて育ってきた感じが伝わるあの感覚。

こういうベタなドキドキ感が楽しくて学生時代BLにハマってったなあと、振り返らせてくれるそんな時間。
新しいものに出会う感動も良いですが、たまには懐かしさに浸るのも悪くないですね。

三度の飯より古風なベタが好き!な方はもちろん、ちょっとBL小説にブランクのある方の肩慣らしとしてもおススメできる一冊です。

ぬるっと手堅い王道義兄弟モノin 北海道

すごく王道。ぬるっと王道。

① ハイスぺ同士
兄27歳:地方局アナウンサー
弟21歳:国立大法学部3年弁護士志望
② 両片想いで意識しまくりの同居生活
③ 誤解から攻がキレて受を押し倒し、均衡が崩れる
④ 俺たちは兄弟なんだ、こんな関係間違っている……
⑤ からの、やっぱり好き。兄弟で恋人でいようエンド。

誤解の元になる同僚くん(ストレート)との鉢合わせシーンがやっぱり楽しいですね。
来るぞ…来るぞ……はい!誤解キタ!!!存分に燃え上がれ!!という王道ジェットコースター展開が味わえます。

一方、本作ならではの特色は舞台の北海道カラーが強い点。
とある地域の二人、ではなく居住区はガッツリ札幌だし、二人が致すのもガッツリ洞爺の高級ホテルです。
お寿司が安くて美味しいとか、ラーメンサラダってこんな感じとか、東京から移住した主人公たちならではの視点でぽつぽつ語られるのは意外と面白い。
舞台設定の影響なのか、全体的にのどかでしっとりとした雰囲気です。

兄は結構純朴で草食な受け受けしい感じですが、弟は若干したたかなキャラですね。
兄の初めての彼女に手を出しちゃうし(手を出した後で兄が好きと自覚)、
自覚後もなんやかんやで彼女は途切れないし、
しかし兄が就職で実家を出ていくと思いっきりやつれるというヤンデレな一面も覗かせます。
押せ押せだけど、若さ溢れ、経歴も行動も発想も落ち着きのない攻。
このタイプの攻を楽しむのに兄弟モノ以上のシチュはありませんね。

王道に盛り上がって王道に着地。
全く悪くありません。一巡目は普通に面白いです。
が、しかし、ぬるめの王道故に読み返すほどの切れ味の良い萌えは残念ながら見つけ出せず。
総合評価は萌です。

だし巻を作りたくなったよ

ルビー文庫さんらしい、爽やかでドリームなお話でした。

あらすじです。
狸姿の神獣、鉄太郎さんのやや強引なお願いにより、スランプ中のイケメンセレブピアニスト泉水の食事係を任されることになった大学生の結希。最初はピリピリしていた泉水の態度も、祖父直伝の料理を振る舞い、ピアノを聞かせてもらううちに次第に親密な雰囲気へ。だけど、相手は超セレブ。パパラッチや元恋人のスーパーモデルも登場し、住む世界が違うからと別れを切り出した結希だが……。

お料理、ピアノ、小動物と心優しい主人公にイケメンセレブ様。
どことなくフワフワのキラキラの世界観に鉄太郎さんの関西弁が程よいアクセントになっています。

ほぼ最初から最後まで

泉水:作って作って!特に玉子料理!あ、チーズケーキも!おにぎりも!
結希:はいはいわかりましたよー。栄養偏らないように食べるんですよー。

という構図なのが可愛らしい。
結希も結構、泉水さんピアノ弾いて弾いてー!という雰囲気なのでお似合いだと思います。

全体を通してカワイチハル先生のイラストがピタッとハマっています。
だし巻を頬張る狸イラストもきゃわわわ。

ラストはザ・ファンタジーでしたが、場所は普通のショッピングモール。
始まりも終わりもファンタジーだけど、キーアイテムがだし巻だったり、時給が1200円だったり、全体的に漂う庶民派感が割と好きです。

お気づきでしょうが、恋愛面や人間性について深い描写をするタイプの作品ではないので、エグみやヒリつき、官能はあまり感じさせません。あっさり甘口+まじめか!系。
中盤さほど前触れなく告白し合うので、ん?と思わないことも無いのですが、
好きになる理由などにこだわりすぎず「BL小説だから」くらいの気持ちで読むのが丁度良いかもしれません。
その分、まじめに料理をして、ピアノを弾いて、神獣の狸についてしみじみ語り合う若者を愛でるのをおススメします。
ルビー文庫さんはとにかくフリガナいっぱいなので、読書が苦手な方でも読みやすいですよ。

読むと和食が作りたくなる?穏やかな1冊でした。

マジでAVじゃん

ラヴァーズ×西野先生らしいエロ一本道な作品です。

広告制作会社の鬼主任・都和の態度が厳しいのには理由がある。
新人時代、社内の何者かにハメられ撮影された淫乱ドM動画が裏サイトにアップされてしまったから。
屈辱の過去も、暴かれたドMの欲望も、全てを葬るように仕事に邁進し他人に隙を見せなくなった都和。
しかしある日、パリピ系年下男子・渋谷と余裕系敬語年上男子・藤本の策略によりその仮面は剥がされることとなる。
動画の過去、淫乱ドM性癖、そして恥ずかしい身体の秘密――何もかもを暴かれ、都和は欲望の波に引きずり込まれていく……。

という感じですが、ぶっちゃけストーリーはあって無いようなものです。
エロのエロによるエロのための設定なんで。

ホテルで、デスクで、資料室で。
尻叩き、M字開脚、緊縛、言葉攻め。
着席下でフェラされながら「もしもし――今何してんの?」という電話プレイ。

AVの如く隙間なく繰り出される各種パターンのエロ、エロ、エロ。
ページの隅から隅まで受の喘ぎ声。
でもこれが単調じゃないから驚き。
「あ」と「ん」と「っ」と「う」だけで一体何通りの喘ぎ声を表現できるんだ……!と思わず感心してしまいます。

ジャンルはSM系ですが、そこは西野先生なのでご安心を。
痛くない、グロくない、鬱じゃない。
押しの強さはあれど攻本位すぎることもなく。
むしろ受をお姫様扱いしているような印象すら受けました。
エンタメ仕様のソフトSMですね。

特徴的だったのは、最初から最後まで攻の渋谷と藤本が2人セットで登場していた点。
いや、どんだけこの攻2人仲良しなんだよ、と思いました。
というわけでエロは全編3Pです。
1対1バージョンも読みたかったかも……
でも作中「この受は3Pの味を知っちゃったら今更普通には戻れないくらいド淫乱」という意見で満場一致していたようなので仕方ないですね。

AVみたいなエロ特化型作品。
オフィス、SM、パイパン、3P、美人受などなどお好みに合わせて楽しんでください。

ストーリー性?深み?感動?
そういうのは思い切って他所に任せましょう!

前半と後半の印象が異なる作品

初読み作家さん。
良い所もたくさんあるけど、全体としては色々と惜しい作品でした。

幼少期の記憶があやふやな日本人攻(時生)と褐色アラブ王受(アザム)の再開モノ。
過去と今、「君のため」を理由に、独りよがりに相手を遠ざけあう切ない系のお話。
幼少期の記憶をすったもんだしながら、最後はきちんと話し合い、一緒に生きていくことを確認するラブ&セレブ&アラブな作品です。

もちろんハピエン。
表紙やタイトルでご想像の通り、エロも十分。絵も綺麗。
純情暴君受感もバッチリ出ています。
雄みのある受。大変結構。
特に中盤の入浴エッチはアツいです。
受が攻を捕食するかのような大迫力を楽しめます。

うん。でも。これ。

めっちゃ闇属性BLだった。

読めば読むほど、登場人物の皆さんの闇を感じる。
しかも一見普通そうな雰囲気だったから、心の準備ができてなかったよ。
封印した過去あり、近親相姦あり、刺傷事件あり、絞首プレイあり……
というわけで、前半と後半で印象が異なる作品でした。

プラスちょっとトリッキーだなーと思った箇所が何点かあって、
① 攻様のスイッチの入り方がわからない

暴君アザムの「俺の嫁になれ」宣言後、ホテルに軟禁されていた時生。
アザムの強引さに驚きや戸惑いを感じてはいても、時生からアザムへのラブの素振りはまだほとんどありませんでした。
しかし発熱しているアザムの看病中に、急に発情してアザムとエッチな展開へ。

なんで??どこでエロスイッチ入ったの??

その後も特にラブラブな感じはなかったのに、
社交パーティーでは当て馬女子に向けて堂々とアザムの伴侶宣言をする時生。

だから、どこで嫉妬スイッチ入ったの??

おそらく幼少期の記憶とか、本能的に惹かれたとかそんな感じかなとは思うのですが、完全に説明不足。
結局、行動のよめないエキセントリックな攻という印象になってしまい、イマイチ時生の感情に乗り切れませんでした。


② プロポーズの直後に真逆の主張

なんやかんやで心を交わすようになり、中盤のセックス後、アザムは時生にプロポーズします。
「この命果てるまで俺はおまえと共にあることを誓う」
感動的ですね。良い言葉です。

しかしその直後にヤンデレ当て馬女子による刺傷事件が起こると、
アザムは「お前とは一緒にいられない」とすぐさま婚約破棄を申し出る。
理由は、「自分の傍にいると時生にも危険が及ぶから」。

えー?!「命果てるまで共にある」って、アザムのあらゆる状況も想定しての言葉ではなかったの?
と驚きです。
本当、アザム様、最初の超強引な勢いはどうしたの??
気持ちはわかるけど、こうも簡単に覆されると、言葉そのものの価値を下げてしまうのでは……??とモヤモヤ。


他にも、
なぜ時生はかつてアラブ王ご子息の寝室に出入りできていたの?とか
コールボーイを呼んで遊んだ意味は?とか
ヤンデレ女子さん、アザムを刺しておいてさらに時生にこの態度なの?とか
「?」ポイントが作中連発。
でも、納得できる説明はなくて、その代わりにあるのは千夜一夜物語や、人工山での人工降雨の話とかで。
そこじゃない。
欲しい解説はそこじゃない。

とまぁ、モヤモヤを抱えながらのゴールとなってしまいました。

ちょっともったいない。
設定てんこもりだったせいもあるのかな。

絵は綺麗、雄っぽい受は好みだし、エッチシーンもエロくて素敵でしたので、次回はもう少しシンプルでわかりやすいお話を読んでみたいです。

アホの子アルファと忖度オメガ

今回の主人公の春人くん。
実は既刊「有休オメガ」で名演技を披露し世間を驚かせたオメガ鈴谷さんの従兄弟にあたる人物なんですって。

あっ、どうりで。
随所に血筋を感じました。
目的のためなら、枕だろうが、茶番だろうが手段を厭わない所とか、まさにそれ。

しかししかし、今回は受Ωの春人くんよりも、攻αミナトさんのキャラが濃すぎました…。

序盤からいきなりルールを破ってΩをαのマネージャーに指定してくるこの人は何なのかな??服装もなんかオラついてる??
と思っていたけど、初セックス後にわかります。
この人ただのアホの子です。
孤独の天才アーティストだけどアホの子です。
常識も文脈も通じない。
悪い奴じゃないけど、ヤバい奴。

しかし、出世欲の強い春人くん。
理解不能だろうが何だろうが、ミナトの希望を忖度しまくった結果次々に起こる喜劇と悲劇の数々……

セックス後のパシりタイム
お掃除フェラからの絶望賢者タイム
全部飲み込んで、最終的に手に入れたのは、ミナトの新曲と、無職の肩書?!

オメガバースは暗くなりがちで苦手という人でも楽しめる、フィクション感満載のドタバタコメディ。
ミナトのヤバさを寛大な心で楽しんでください。