Sakura0904さんのマイページ

萌×2作品

エキスパートレビューアー2023

女性Sakura0904さん

レビュー数21

ポイント数167

今年度22位

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10DANCE 6 コミック

井上佐藤 

より鍛えられていく鈴木が楽しみ

 小冊子も込みで萌2評価です。本編だけだったら今回は少し甘さは物足りなかったですね。杉木、鈴木双方にとって5、6巻は大きな転換期だったんでしょう。鈴木にパトロンがついたり、新しいパートナー・ノーマンが現れたり、鈴木の周りは杉木の陰のお膳立てによりどんどん世界が広がっていきます。もちろん、それらはすべて鈴木の確かな才能があってこそ得られたもの。杉木はあくまで鈴木がより多くの人の目に留まるよう尽力しているだけのつもりなんでしょうね。

 本編だけだと甘さが足りないと言いましたが、本来2人がダンスをお互いに教え合うきっかけとなった10danceへの挑戦という意味では、現実的な展開だったとも思います。冷静とはいえ鈴木に惚れ込んでいる杉木の意見、教え方だけでなく、今後も長く世界に通用するためには他のプロの目も必要でしょうし。それでも新しいキャラ達はまったく杉木と無関係なわけではなく、皆杉木の息がかかっていますから、鈴木は杉木自身とは離れながらもある意味杉木に見守られていると言えるのではないでしょうか。まずは鈴木が真に世界に通用するようになってから、ゆっくり2人のことを考える展開でもいいのかもしれないですね。小冊子は糖度が高かったので甘さを補えました。

それぞれ満足度の高い短編集

◆よなよなもしもし(表題作)
 突然の痴漢電話から始まる恋。結局最後まで会わない展開や、会ってみたら醜男だったという展開も覚悟していたのだけれど、ザ・イケメンではないにしろ見た目も爽やかで性格も気持ちのいい相手で安心しました。そんな太田にも地味顔と評される受け・田中ですが、丸っこくて大きな目が可愛らしく、私も太田と同じく可愛いと思いました。田中が慣れてないのでぐいぐい迫りはしないながらも、押すところは押す太田の攻め方も好きですね。

◆ウルトラミラクルハッピーエンド
 最後に反転する展開がお見事でした。歪んだ性癖を持つ男・よしあき。そんな彼を攻めるAV男優の寝取られ旦那。設定だけでもかなり面白いですし、けっして見目も良くなくオタクらしい風貌のよしあきが責められるのも新鮮で楽しめました。

◆ツイてる男
 タイトルが秀逸ですね。笑えるシーンも多く全体的には明るい空気感の作品ですが、最後の展開は少しシリアス。松崎の人懐っこさが可愛く、シリアスからハピエンになってくれて良かったです。

修羅場がありつつもいちゃいちゃ多め

 お互いの好意を理解し、結ばれてからの一悶着。そこまでひやひやはしませんでしたが、業界が業界なので蔦丸達に別れなさいと言われた時は、やはりそうきたかと思う反面、残念でしたね。でも、蔦丸達自身が源介と惣五郎の関係に嫌悪感や抵抗を覚えたわけではなかったので、そこには安心しました。

 こういう時は意外にも惣五郎の方は物分りが良く、やはり別れようかという方向に考えて始めるところは結構大人だなぁと。逆に、源介は長年の想い人と幸運にも結ばれたわけですから、幸せ絶頂の時にそんなことを言われてもまったくネガティヴには考えられないという感じですね。冷静に周りも見えている惣五郎と、ちゃんと2人で乗り越えようという情熱を失わない源介で、ちょうどバランスがとれているのかも。伝統芸能とはいえ新しい風も大切ですし、2人には何とか踏ん張ってもらいたいです。

鹿谷の笑顔にやられた

 恋愛面が楽しめるのはもちろん、活動内容はめちゃくちゃだけど部員同士での団結とかわいわいした雰囲気などの青春を味わえるのも、このシリーズの醍醐味だなぁと改めて感じました。前半は鹿谷メイン。教師松村の言いなりになっている鹿谷を、普段は反発してばかりの遠野が最後まで助けようとするところがいいなぁと。鹿谷自身は何ともないように振る舞っているけれど、皆彼の本当の気持ちはちゃんと分かってるんですよね。普段はぶっ飛んでいても、そういう気持ちは敏感に感じ取っているギャップが素敵だなと思いました。

 後半は遠野、加島、矢口の複雑な三角関係と、夏休み合宿の話。加島も矢口も遠野に惹かれている一方で、お互いには一言で言い表せない感情を抱えている。憧れ、羨望、尊敬。誰しもないものねだりなところってありますよね。この人みたいになれたらいいのにと思っている相手も、実は自分や他の誰かを羨んでいるかもしれない。完璧な人間なんていない。人には人の悩みがある。当たり前なんだけど、忘れがちなこと。それをこの2人の関係性から思い出しました。遠野にこれから2人がそれぞれどんなアプローチをしていくのかも、楽しみですね。

恋愛談義 コミック

カシオ 

真行寺にもいい人が見つかりますように

 カシオ先生の作品はシリアス寄りのものしか読んだことがなかったので、こんなに面白いラブコメも描ける先生なんだ!と新たな発見に嬉しくなりました。少女漫画でもBLでも王道と言えるような展開が多いのですが、絶妙なタイミングで挟まれる気の抜けるシーンによって、ハイスペック×実は庶民な美人というこちらも王道な攻め受けの組み合わせでも鼻につくようなキラキラ感はなく、どこか落ち着きすら感じられるような雰囲気の作品でした。カシオ先生のタッチ自体もそう感じた理由の1つかもしれません。

 受けである葉山の他人とズレている感覚や、周りからするとかなりあざとくも見える無意識の誘うような表情には、好き嫌いが分かれるかも。でも、個人的には笑いや愛らしさに上手く昇華させているなぁと感じました。どこか憎めない人、そういうタイプなんですよね。後輩の真行寺もそんな風に感じたんじゃないかな。そして、ハイスペックな攻め・三枝は最後まで葉山に振り回される常識人。これほどのスペックを持っていながら、最初から葉山の美貌にやられている彼もまた、可愛らしいんです。何か複雑な過去を抱えているでもなく、今の2人のやりとりを存分に楽しめるところも、新鮮でいいなぁと思いました。

皆の中にいるとばりちゃん

 いろんな人間の夢の中に現れる謎の男の子、とばりちゃん。なんとも不思議な世界観に、最初は物語に馴染めるか少し不安を覚えましたが、読み進めていくうちに実は彼はあらゆる人の身近な存在であることが分かり、すぐに親しみを感じるようになりました。夢は幻や物語ではなく、現実の延長線上。この言葉がとても印象に残っています。時にはまったく知らない土地や知らない人間が登場する夢も見るけれど、現実を少し歪めたような夢の方がずっと多いですよね。夢を見ている登場人物達に、本当は本人も気付いているであろう深層心理をそれとなく仄めかすとばりちゃんの台詞は、鋭い所を突いてばかりでした。

 とばりちゃんと登場人物達の会話も興味深いのと同時に、各カップルへの萌えも十分に感じられ、唯一無二のテーマとストーリー性の高さ、良質なBL、どこをとっても素晴らしかったです。キャラクターも非常に魅力的。勉強も練習も人一倍頑張っているのに本番で力を発揮できない上野、小悪魔的な軽薄さの裏に深い孤独を抱えている友野、親友との距離感をずっと測りかねてとばりちゃんに救いを求めてきた睦月、見る角度によって感じ方がぐっと変わる彼らのキャラ設定が秀逸でした。三崎先生の世界の見え方を知りたくなるような作品でした。

片山が早坂と出会えて良かった

 最終巻は満を持しての片山×早坂メインとなっていました。1巻から2人が新たな恋にハマるところを見たかった私としては、まさにご褒美のようなフィナーレ。片山が小野田や三上のことを清算し、まったく柵のない状態で、早坂に本気になる姿が見れて感無量でした。早坂の方も、セクハラ親父というマイナスなイメージを抱いたところから始まった片山との関係が、こんなことになるとは予想もしていなかったでしょうね。そんな水と油の2人だからこそ、いろいろ乗り越えてくっついたことに喜びもひとしおです。

 最終巻だからといって甘いだけではなく、早坂の仕事面もしっかり描かれていました。学生時代の先輩・黒木の離婚案件を扱うことになり、その子供も絡んで一時ドタバタが繰り広げられます。一度は黒木に迫られながらも、たった一度の過ちで彼を見捨てる事なく、片山にも毅然とした態度を貫き最後まで案件から降りなかった早坂の仕事への情熱が素敵だなと思いました。離婚問題で一番可哀想なのはいつだって子供。黒木の子供への愛情は本物だと、その本質を見失わなかった早坂は強い人ですね。片山の方が歳も上な分、大人に見えますが、意外と彼のほうが挫けやすかったりするのかもしれません。恋愛には疎くても、早坂のそういった強さが今後、片山の支えにもなるかもしれないなと感じました。

温かさで包み込んでくれる短編集

◆オールモスト・パラダイス(表題作)
 美術教師の桐秋の纏う雰囲気が、優しく穏やかで素敵だなぁと思いました。そんな彼に恋をする少年、穂村。学生時代の思い出は儚く、唐突な別れは切ないものでしたが、再会後はぎくしゃくする間もなく、あっさり熱を高まらせる2人が愛おしかったです。桐秋はもっと慎重に事を進めそうなタイプに見えましたが、自分の欲求に素直に動くタイプで益々好感が持てました。

◆Cafe Winterreise
 やはり異国の物語は松尾先生のタッチに合いますね。失恋して、元々恋人と行くはずだった南国とは正反対のベルリンに観光しにきた主人公。そこで日本人がやっているカフェを見つける。こういう偶然が、まさに運命なんでしょう。BLとしてはここから、というところで終わりますが、その余韻も含めて心に残る作品でした。

◆Gold,Ash,Darkgreen
 狼から人間になったウィンと、彼の怪我を治した魔法使い・マギのお話。ウィンが元狼とは思えないくらい素直で可愛らしく、ところどころシリアスなシーンもあるのですが、マギとのやりとりを微笑ましく見守りながら読める作品でした。静かだけれど温かい心が伝わってくる、マギの雰囲気も大好きです。

AIと張り合う万木が可愛い

 穏やかできゅんきゅんする、とっても素敵な空気感の作品でした。なんと言っても、万木と真中のやりとりが可愛い! 未散先生の作風が改めて好きだなぁと感じました。AIの研究を個人でしている学生・万木。でも、理系っぽさも優等生な感じもほとんどなくて、とにかく気の良い男の子という雰囲気なんです。他のゼミ生から見た目のコンプレックスで疎まれていることにも気付かないほどの性格の良さ。これは、彼よりずっと年上の真中も彼のことが可愛くて仕方ないよなぁと。

 そして、そんな万木に惚れられる真中も、落ち着いた紳士という普段の姿と照れる時の表情にギャップがあり、また可愛いんです。本当は彼も優秀な研究者だったのだけれど、研究成果を何度か盗られた経験があり、すっかり隠居となってしまった今の姿にはどことなく哀愁も漂っています。卑屈になったり無口になったりしていたわけではないけれど、どこか寂しい感じのあった真中が万木と出会い、AIを介して付き合いを深めていく内に、人と触れ合う喜びを久々に感じているように見え、嬉しく思いました。万木の誠実で真っ直ぐな性格は、きっとこれからも真中を癒してくれるでしょうね。

テンポが良く、萌えと笑いと切なさをバランスよく楽しめる

◆同級生だったきみ(表題作)
 冒頭の表題作がやはり一番印象に残ったかな。同級生「だった」というのが、そういう意味だったとは。祐司と義昭のやりとりがとても爽やかで健全で、2人とも何の罪もない普通の男子だったからこそ、人生の無情さが突然突き付けられたことがどれほど衝撃だっただろうかと切なくなりました。義昭の未練が昇華されることを祈るべきなのでしょうけれど、今はまだ祐司を想い続けている方が、彼にとって心が安定するのかもしれないなと思いました。

◆たたかえ!GG!
 表題作のやりきれない空気感をがらっと変えてくれた、ギャグ作品。ギャグといっても押し付けがましくはなく、未成年相手に年齢をサバ読みしてしまったアラサーのヤスの葛藤を面白おかしく読めました。見た目だけならさほど隔たりはないと思うのだけど、やはり生きてきた時代が違えば、見てきたものも違いますからね。ふとした時に大きなジェネレーションギャップを感じ、愕然とするヤスに笑いました。高橋はヤスの実年齢を知っても態度を変えることはないでしょうね。

◆第二の神生
 神から人間に生まれ変わった瀬貝と、かつて神だった彼に仕えていて下界に降りてきた天使・上野。瀬貝を忘れられず追ってきた上野の、純真無垢だけど積極的過ぎる迫り方に笑わせてもらいました。瀬貝は前世の記憶がないので、上野にドン引いてばかりでしたが、段々絆されてしまうんだろうなぁという隙があって可愛らしかったです。