桃山なおこさんのレビュー一覧

この世界でたった二人 コミック

桃山なおこ 

男が命を賭けるとき


2011年作品。
舞台は、終戦後の九州??
俠客と、流れ者。の物語のように読める。
主人公は、流れ者の根津。
根津は、ヤクザの次男だがヤクザとは距離を置く実業家の城戸に拾われて、城戸の運転手兼用心棒になる。
城戸には囲っている大切な人間がいる…
それが足の悪い、大人しくて優しい男性の譲。
城戸は自分の意志とは関わらず組の後継争いに巻き込まれていて、譲に累が及ばないように逃がそうと…

1

恋の中 コミック

桃山なおこ 

あっさり、でも心にスッと入ってくる話ばかり

地味だけれどどこか印象強い作品たちの短編集です。

「恋の中」
好きな相手に好きと言えず時を過ごした男の後悔。今度は。今度は。

「スタート/スタート」
好きな子が、恋人(♂)を紹介してくる。どうにもならない嫉妬とモヤモヤ。(どうやら教師はその心の隙を狙ってる?)

「すきなひと」
リーマンの、諦めの悪い恋情。それでも共に過ごす相手がいつの間にか自分の一番になっていた、という話。…

1

恋を胸に コミック

桃山なおこ 

濃い黒と余白の白でセンシティブを描く

短編集。
初コミックスとのこと、作者様の作風としてなのか、どの話もエロは微。
どこか素朴な線で描かれる繊細な恋の気配。

「恋を胸に」
工場の後輩からいきなり好きだと言われて面食らい、妙に意識してしまうが…

「1時間17分」
社会人の彼が急に中国に行ってしまうと聞き、夜1時間17分走って問いただしに行く高校生。

「サイクルリング」
失恋して、バイクを盗まれたヤソ。話を聞い…

0

その気持ちに名前をつける コミック

桃山なおこ 

その気持ちは恋だ。の6編

短編集です。

「その気持ちに名前をつける」
鈍感なリーマン・梶が、自分の気持ちと、いつも見ていたつもりの友人の気持ちに気付く。周りはとっくに知ってたみたいだけど…という話。
梶は鈍感なのに俺様っぽくて、宇佐美は前途多難だよなぁ。

「恋の呪文」
「その気持ち〜」のバーのママ(オネエ)・古見のお話。
若いコ(♂)に惚れられて、アタックされまくって、付き合う事になる。実は「攻め」です…

0

その気持ちに名前をつける コミック

桃山なおこ 

登場人物たちが生き生きとしている

【坂道をのぼって】が一番好き。古本屋店主と何でも屋の年下ヘタレワンコくんのお話。なんとか告白させようと店主は色々と仕向けるんだけど、ワンコくんはヘタレなもんで「俺、木戸さんの事が、す す す すみません!また来ます!」と逃げてしまって可愛い。

表題作【その気持ちに名前をつける】は天然鈍感男の梶と好きな人にだけツンの皮肉しか言わない宇佐美という絶望的な組み合わせのお話。梶は宇佐美の高校時代から…

4

恋を胸に コミック

桃山なおこ 

キスシーンが素敵!スーツ万歳!ネクタイ万歳!!

なんといっても【午後の記憶】が良かったです。
ストーリーというよりもキスシーンの一コマがめちゃくちゃツボでツボで。
説明させていただきます。
シチュエーション:サラリーマンカップル・ スーツ同士

片方が車の陰に中腰で隠れて「少しかがめ」
相方 「は?」
「いいから」と言って、自分より背の高い相手のネクタイを掴んでキスをする。
しかもされたほうは突然すぎてびっくりして目を開けて…

2

恋の中 コミック

桃山なおこ 

淡々とフラットに、けれども芯がある

初読み作家さんです。
ぐわっと、どっぷりきそうな題材(例えば表題作は死ネタ絡み)を扱っているのに、その中心に浸って描いているのではなく、少し俯瞰したところから描いている感じなので淡々とフラットな印象を受けますが、そこがかえって男同士である事を際立たせている気がしました。
少女漫画とは対極にある男同士の恋愛のための作画だなと。そこがとても魅力的です。

一番好きなのが【愛情イーター】その続…

1

この世界でたった二人 コミック

桃山なおこ 

何度も読んで探してしまう

どこかに答えがあるのではないかと何度も隅々まで読み返してしまいました。でも、回答はありません。二人がどうなったのか、手紙の主は誰なのか--。

私にとっては、たまたま購入した雑誌で最終回だけ読んでしまったという作品で、コミックスに描き下ろしがあると知り喜んだのですが…素晴らしい余韻あるラストでした。

この作品の攻め受けは、城戸義昭と譲です。それは間違いないのですが、三人目として登場する根…

3

この世界でたった二人 コミック

桃山なおこ 

余韻の残るモノクロ映画のよう

とても地味でラストもはっきり描かれていないので、だからこそ余韻が残り何度も読み直したくなる作品だと思います。

ヤクザの妾腹の息子で成功した商売人(義昭)とその愛人(譲)、用心棒兼運転手(根津)。
三者三様に心に鬱屈を抱えながらギリギリのところで精一杯に生きている様が危うく儚い印象で、古いモノクロ映画のようなノスタルジィを感じました。
そして、短い中で彼らの事情や背景がよくわかりストーリー…

4

恋の中 コミック

桃山なおこ 

「日常」の短編集

 『恋の中』

 冬の海辺にトレンチコートの男がただ黙って海を見ている。それだけでなんて絵になるんでしょう(笑)そして、その彼、遼がふるさとの町に帰ってきたのは、片思いの圭を見送るためだった。もしあの時、圭と一緒に町を出ていたら、もしあの時付き合っていれば…なんて、もしに悩まされることもなく、ただぼんやりと海を見ている。サーファーのお兄さんはどこまで分かったのかな?このぼんやりとした時間と遼の…

4
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