一穂ミチさんのレビュー一覧

窓の灯とおく 小説

一穂ミチ  穂波ゆきね 

『街の灯とおく』よりも、さらに良かった

『街の灯~』では、葛井のことを、眼鏡で何故かぽよんとした小太りな人を想像してたもんで、こんな可愛いツンツン猫だったとは意外でした。
こちらの作品のほうが『街の灯』よりも、さらに良かった。
一穂さんの比喩には毎回感心するけど、引力の話には感銘を受けました。
似たくないと思ってる父親と、違う道を歩いて行こうとするのに、足に強力なゴムが巻き付いてて、遠くへ長く伸びるほど引っ張る力を強くなって、ちょ…

7

街の灯ひとつ 小説

一穂ミチ  穂波ゆきね 

なんで泣きたくなるんだろう

高校時代の母親の行いの影響で、真剣な恋愛ができなくなってしまった初鹿野。
(幼い娘のことを考えると母親の愚行は許せない!)
高校時代の初鹿野の煌めきに恋して、10年も一途に思い続けていた片喰。
その10年の間に片喰の身に起こっていた幸と不幸。
一穂さんにしては情景描写がさらっとしてるような気がしたけど、それでもいちいち景色が目に浮かぶのはさすがです。
同窓会で再会した同級生と恋愛が始まる…

7

so deep is the night 『ナイトガーデン』初回限定特典書き下ろしショートストーリー 特典

影にまつわる物語 整との思い出と柊との現在

※閲覧注意※
ネタバレが苦手な方はご注意ください。


『ナイトガーデン』本編後の話。
和章視点。

和章は影が嫌いだった。
薄い闇は己の怠惰や嫉妬や憎悪がしみこんでいる気がするからだ。
決して自分から離れない影は、自分の『悪いこと』をすべて知っている気がして怖かった。

整は昔、ある漫画(影を影武者にして使役するうちに主従が入れ替わるという物語)を怖がっていて、その対処法(…

3

アンフォーゲタブル 小説

一穂ミチ  青石ももこ 

思い続ければいつか夢はかなうと信じたくなる作品

明光新聞社シリーズ4冊をまとめて読みました。
話題だったし高評価なのでずっと読みたいと思っていました。
シリーズ4冊目は、新聞記者と製薬会社社員の恋物語です。

このシリーズは3冊目以外は出会いから成就までが長いです。
今回は別れから再会まで17年目かかります。
生まれた子が高校生になるくらいの時間です。
インターネットも携帯も誰もが当たり前に使えるわけではない時代の恋ですね。

3

ステノグラフィカ 小説

一穂ミチ  青石ももこ 

お弁当男子

明光新聞社シリーズ4冊をまとめて読みました。
話題だったし高評価なのでずっと読みたいと思っていました。
シリーズ3冊目は、新聞記者と国会速記者の恋物語です。

あまりなじみのない職業の人を題材にする作家さんというイメージがあるので、来た来たという感じです。

国会速記者の名波(ななみ)くんはとっても家庭的な男の子です。
男の子、といっても26歳の立派な成人男子なのですが、読んでいると…

4

朝から朝まで 小説

一穂ミチ  山本小鉄子 

恋人から学ぶこと

テレビ局の真面目局員とバイトの大学生。

BL作品ではありますが、テレビ局の普段表には出ない
いろいろな部分を垣間見れた作品でした。
また、社会人として働く恋人から知らず知らずの間に大学生の結が
仕事だけではない多くのことを学んで成長していく様子や
そんな大学生から教えられることがあると気づく京平の気持ちが
わかりやすく表現されている作品でした。
また、山本小鉄子先生の挿絵が素敵で…

2

off you go 小説

一穂ミチ  青石ももこ 

不思議な三角関係だからこそ繋がっていた二人が結ばれるまでの物語

明光新聞社シリーズ4冊をまとめて読みました。
話題だったし高評価なのでずっと読みたいと思っていました。
シリーズ2冊目は、前作で当て馬的存在だった元香港支局長の佐伯が主役です。
不倫相手の一束に対してうっかり「静」と呼びかけてしまい、知りたくなかった妻の名と間違われたんだと思ったシーンがありましたが、その意味がやっと分かりました。

佐伯は前作ではあまり物事を深く考えない快楽主義者、のよ…

1

is in you 小説

一穂ミチ  青石ももこ 

別れて再会してまた好きになる

明光新聞社シリーズ4冊をまとめて読みました。
話題だったし高評価なのでずっと読みたいと思っていました。
4冊の中でこの作品というかカップルが一番好きです。

高1で香港からの帰国子女の一束(いつか)は、日本にも学校にも馴染めず孤立していました。
3年の先輩圭輔は、使われなくなった旧校舎で授業をさぼっていた時に知りあいたびたびやってきては、何てことない会話をして帰っていくだけの存在でした。…

2

ナイトガーデン 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

人に傷つき、人に救われる

『ふったらどしゃぶり』で大変気になる退場の仕方をした
和章のスピンオフ。

読後まず思ったのは、非常に精神的な作品だということ。
ややもすると地味ですが、
脳裏に一面の緑が浮かぶような自然の描写は素晴らしく、
哲学的で繊細な心情描写にも大変引き込まれました。


プロダクトデザインの仕事を休職中の和章は、
大学の恩師で、今は静かな山の中に暮らす石蕗の下で
書庫整理を手伝うこと…

12

ナイトガーデン 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

取り残された方のお話

「ふったらどしゃぶり」で、取り残されてしまった方の和章のお話。

「ふったら~」の和章の印象と、この作品の和章が違うように、
「ふったら~」の整と、この作品で和章が思っている整の印象も随分違う。
本当に弱くて、依存していたのは和章の方だったんだなぁ。
そんな和章が、それまでの生活すべてから逃げ出して、偶然たどり着いた大学時代の元恩師・石蕗の家。
石蕗とその孫・柊のそばで、和章は、徐々に…

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