無罪世界

無罪世界
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神4
  • 萌×23
  • 萌10
  • 中立4
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
9
得点
66
評価数
23件
平均
3.1 / 5
神率
17.4%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
リブレ
シリーズ
ビーボーイノベルズ(小説・リブレ)
発売日
価格
¥1,150(税抜)  ¥1,242(税込)
ISBN
9784862632456

あらすじ

詐欺まがいの仕事、賭けごとで借金まみれの人生。そんな山村に顔も覚えていない親戚の遺産の話が転がり込んできた。浮かれた山村だったが、その遺産には厳しい条件がついていた。幼い頃さらわれて以来、ジャングルで育った従兄弟・宏国の世話をするというものだ。自分の「むら」しか知らず、日本語も解さない宏国と暮らさざるを得なくなり、いざとなったら放り出す気で引き受けた山村だったが…。
渾身の大長編オール書き下ろし!
(出版社より)

表題作無罪世界

山村仁史,詐欺まがいの訪問販売員,28歳
榊宏国,ジャングル育ちの従弟,22歳

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レビュー投稿数9

BL、といっていいのかどうか

萌えとエロスがないBLでした。
狡い攻とジャングル育ちの野生児受による、一見コメディに見えるけどその枠に当てはめるには微妙な読み口の作品です。

桃色描写はありますが、桃色と表現するのも微妙なラインというか。
とんでも野生児である受の宏国にとっては、性行為は欲望を処理するための一手段でしかないですからねー……。
宏国にとっての性行為に【あいして】という言葉をあてはめさせた攻の山村が、なんとも切ない気がしました。
そのときは何とも思ってなかったのに、宏国という人間に惹かれていった時に【あいして】という言葉を覚えさせた事を、苦々しく思うんですね。
肌を重ねるのに【あいして】という言葉は間違ってはないけど、宏国にとって、彼の生活文化の中でその言葉は意味を持たない。
それがものすごくせつないなぁ、と思いました。

それでもゆっくりと思いを育んでいって、物語のラスト1ページになんだかとても救われました。
たっぷり最後の後書きまで読んでから、もう一度表紙の「無罪世界」という言葉を反芻すると、じんわりと胸が熱くなります。

1

萌えは感じないけれど

なんというか、木原音瀬さんの面目躍如といいますか…。詐欺師まがいのクズ男・山村が、転がり込んできた遺産目当てに厄介な従弟・宏国の面倒を見ることになるところから物語が始まります。

宏国は、言葉も分からなければ文明的な生活や習慣も一切身についていない本当にガチの野生児で、読んでいて山村と一緒にヘトヘトになってしまいました。クソ真面目な文体でとんでもないコメディーを読んでいるような不思議な気持ちになりながらも、最後の数ページできっちりとカタルシスを感じることができたので良かったです。

正直、萌えは全く感じなかったので評価は「中立」です。二人は、肉体関係は確かにありますが、会話する代わりのツール、あるいは宏国にとっては本当にただの性欲処理としての行為のように思いました。長い年月をかけて宏国が言葉を理解し、感情を表現し、山村を愛していてくれますようにと願わずにはいられません。

木原作品は、たとえば人物設定としては普通の、読者がイメージしやすいようなサラリーマンであっても、物語の着地点はどこなんだろう?彼らの辿り着く幸せはどんな形なんだろう?と少し身構えながら読んでしまうので、こ続きの作品は尚更でした。

0

ジャングル育ちで話せない受け!トンデモ設定でした!

木原さんは一番好きな作家さんです。
全く予備知識を入れずに読みましたが、設定が私の想像の斜め上に行っててビックリしました。
私には「萌え」の中に分類されるお話ではなかったのですが、木原さんなので何でもOKって言ったらダメなのかもしれませんが・・・(汗)

日本語も話せないジャングル育ちの受け宏国からの視点は全くなく、攻めの山村視点でお話が進んで行くのですが、当たり前なのですが受けの心情があまりつかめず、読み終わっても、山村に対して「好き」という感情があるのかないのか、どちらかというと無いように感じました。
受け攻めどちらも、存在に依存している感じといいますか。
本文中にあった「ペット」というのように飼い主がいないと生きていけないペットとその飼い主のような親心のようなそれでいて違うような。
私の文章から感じる想像力が乏しいのも悪いのかもしれません。
セックスに持ち込むのに「あいして」と教えたからこそ甘いような雰囲気に感じなくもないですが、受けは排泄行為のように感じました。

冒頭で山村と宏国は親戚関係にある説明があったのですが、寝る前に読んでたからなのか、頭が回ってな続きかったのか、2人の関係性がはっきり分からなくて何度か読みなおしました。

最後落合先生の語りがとてもよかったです。おっさん生きてたんかーーーーってなりました(笑)
2人は南の島で雪は見れたのかなー。

1

木原先生流のユーモアとアイロニーに満ちている

シュールラブコメディ…かな。ハートフルという言葉ももしかしたら入るかもしれません。excitedでなくinterestedの面白さです。

しかしなぜこのテーマを選ばれたのか…未開のジャングル(ブラジル)でインディオにさらわれ育てられた野性児と、詐欺商法で借金を返済する『ひとでなし』男との恋愛って。まずその発想がすごいです。

恋愛、と書きましたが情の交わし合いと言った方がしっくりと来ます。宏国の行動は山村にとってだけでなく読者の私にとっても一部意味不明で、中盤で通訳となる“ヤブ医者”落合さんが登場してほっとしました。解説者がいて良かった。

読み終えて、感想を書くのがとても難しいです。というのも、BLでなぜこの題材?という疑問が、この作品はBLでないとダメなのかな?と読んでいてだんだん思えてきたからです。もちろんBLでないと成立しない交流の形が作中にあることは重々承知しているのにそう思えたのはなぜなのか。※①

よしながふみさんの挿絵ですが、素っ気ないほどさらりとしているのに味と雰囲気があって心憎かったです。(隣人の“ババア”や落合のじいさんの存在感と言ったら。)漫画続きでしか見たことが無かったので新鮮でもありました。ただ口絵に違和感を覚えました。これは上記した疑問から由来しているのかと。このレーベルに限らず、ノベルスのカラー口絵は大抵エロの山場ですが、個人的にこの小説に関しては終始神妙な心持ちで読んでいたかったせいか、口絵が微妙に萎えポイントになりました。※② 夏祭りのイラストが何とも言えず皮肉でありつつ雰囲気も良く好きなので、どちらかというとこちらをカラーで見たかったかななどと思いました。

①②の『違和感』については、設定が(自分にとって)奇抜過ぎて、BL設定とのすり合わせが難しかったのかな、と結論づけました。

しかしながら考えてみれば、BLも異文化コミュニケーションの一種であるわけです。色々深く考えずに、静かなラストに小さな感動を覚えていれば良いのでしょう。
ただ一つ気になったのは、山村が仁志田に騙されてしまう点です。どう考えても詐欺なのになぜ…と思いました。詐欺師は自分が騙されることには鈍感ということなのか…。

萌えはあまり無かったのですが、『中立』ではこの作品の存在感に見合わないかな…というやや消極的な理由で萌え評価です。

2

木原版 逆ウルルン痛いざい記?

木原設定には痛いはつきものですが、これを一体どうやって料理するのですか?
未開インディオにさらわれて現代社会に溶け込めない青年と、詐欺まがいの仕事で遺産目当ての男のお話なんて。
が、ちゃんと最後まで持って行ってしまう力にもうグーの音もありません。

子供の頃親に捨てられホームレス生活を体験した村山、詐欺まがいの訪問販売の仕事をし、ギャンブルなどに金をつぎ込みいつも金が欲しいと思っている。
そこへ伯父の子供(二歳と時南米でインディオにさらわれ行方不明)の面倒を見るという条件付きで遺産が入るという連絡に、金だけ貰って途中で投げ出せばいいやと、安易な気持ちで引き取る。
隣のババァ(村山いわく)、医師のジジィ(村山いわく)落合、一人だったら気がつかなかった周りの好意に助けられて、原始青年国宏との気持ちを通じた交流が深まっていく。
周囲の助けがあるとはいえ、利己主義な村山がだんだん国宏に影響されるのか本来の人間らしい優しい心を見せるようになる部分が胸を打つ。
BL的部分はどうなの?といえば、愛はあるとは言い難い気もするが、博愛・友愛・人間愛、全てのものに対する愛情を愛というなら、続きこれも愛と言わざるを得ないと思う。
なんといっても国宏は村山がいないと生活できないし、村山も国宏は自分がいないとやっていけないと思っているからだ。
後半、怒涛のごとく急展開が押し寄せ、話は息詰まるものになってきます。
そして最後、感動する結末が。
少し涙が出てきてしまいました。
国宏の純粋さに自分も救われました。
彼らの未来が明るいものとわかり安堵し、自分も彼らを見守っていた一人なんだと気付かされました。

よしながさんのあっさりした絵が、雰囲気にあっていてとてもよかったでした。





3

ラストは、何かすごくいいものをもらったような気がしたよ。

ゲイの訪問詐欺師・山村とインディオに育てられた従兄弟の野生児・宏国
これまたとんでもカップリング。

父親に捨てられ母親に捨てられたという境遇の山村。
いろんな職を転々とし、賭け事に借金、自堕落な生活を送り
浄水器を法外な値段で売りつける訪問販売をしています。
人を騙し糧を得ている山村のもとへ舞い込んだ従兄弟と遺産。
当然、遺産だけ毟り取るつもりで従兄弟・宏国を引き取るのだけど・・・

と、いうお話。

地位や、お金、時間にも捕らわれない
原始インディオ育ちの宏国は“無罪世界”とすると
山村は“有罪世界”なのかな・・・。
“無罪世界”っていうと、なんだか透明感のある色を思い浮かべて
“有罪世界”に、どんどん染まってしまうような儚さかと思いきや
無垢でいることは、とても強くたくましい。

根底にあるのは、とてもシリアスなものだと思うけど
木原さんらしくぶっとんだ設定と展開に
ところどころニヤニヤしたり、ぶっ!と噴出したりしながら読んだ。

木原作品にとっては、いつもながらのw人間として最低ラインの攻めw
読み始めは、こんな男は痛い目に遭えばい続きいと思って読むんだけど
最後には、こんな男の幸せを願ってしまう自分がいたw
ラストは、何かすごくいいものをもらったような気がしたよ。

4

面白かった

遺産目当てに、言葉も常識も知らないジャングル育ちのイトコを引き取り、すったもんだの挙げ句、結ばれる話です。
木原音瀬さんにしか書けない話です。
ジャングル育ちてw
裸で謎のダンス踊って病気を治そうとしたところなんて、笑いすぎてお腹がひきつけ起こすかと思いました。

主人公は、木原作品によくあるタイプの男です。刹那的で享楽的な生き方しかできない嫌味な男。人当たりはいいのに責任転嫁だけは上手いタイプ。木原さんは必ずそういう主人公を、作品の中でイジメます。これが私、好きなんだよねー。
大嫌いな隣人の小うるさいオバサンに、本当は母性を感じてたこと。鬱陶しい医者に、本当は父性を感じてしまっていること。こういうことが作品中ではっきり書かれるわけじゃないし、主人公は自分のそういう潜在意識に気づかないんですが、読者には分かるシカケになっている。木原さんが上手いと思うのはそういう部分だ。

純粋に萌えを感じるのは難しい作品です。萌えるには、主人公は嫌味だしジャングル育ちの男は奇妙キテレツすぎるし。
でも本当に面白かった。

5

萌えとは微妙に違う不思議なおもしろさ

詐欺師まがいの職業で稼ぎ、賭け事好きで借金まみれの山村の元に転がり込んできた顔もしらない親戚からの遺産。
借金の返済がせまる山村は喜々として飛びつこうとするが、その遺産には大きなおまけがついていた。
幼いころジャングルで行方不明になり、原始インディオに育てられた従兄弟、宏国だ。
ずっとジャングルの奥地で育ち、日本語も日本の生活習慣もまったく知らない宏国の世話をすることがこの遺産を受け取る条件なのだ。
いざとなったら途中で放り出すつもりで彼を受け入れる山村だったが、その生活は予想以上の困難だらけで……

こんな設定の、BL。
何をどうすればここにラブが生まれるのかわからないところに愛を作ってしまうのが木原マジック。
今回も絶好調です。
好きだ嫌いだ以前に言葉がまったく通じず、意志の疎通が出来ない相手だし、そもそも常識というか生活習慣や生きてきた世界観が違いすぎる宏国は恋愛対象以前になにか別の生き物のよう。

主人公の山村はかろうじて共感できる部分がなくもないけど、典型的なダメ人間。
しかし前半彼がダメであればあるほど終盤、彼が弁護士の前で必死になるときの切なさが半続き端じゃないです。

そんな二人が築いていく心のつながり。
萌えとはちょっと違う気がするけれど、なんか猛烈に愛おしい。

ラスト。他人の伝聞で語られる彼らのその後の話が読みたいような……いややっぱり木原さんだったらこのままで終わってくれた方が幸せでいられるのか、そこが微妙に難しいところです。

3

ミッチー

木原さんの作品では、萌えなくてもイイッと思ってしまいます。

しあわせになってね

思わぬ遺産相続に想像を絶するおまけがついていたので人生が大きく変わっていく男のお話です。

家族に恵まれず17歳でホームレスを味わい、今は詐欺まがいの訪問販売をして暮らしているゲイの山村。
ある日弁護士・有村に呼び出され、父親の兄が死に遺産相続の権利があるが、その代わりにブラジルの原住民に育てられ言葉も何も分からない従弟の世話を引き受けることが条件だと言われます。
無責任な皮算用をし、二つ返事で引き受けますが従弟の宏国は想像を絶するワイルドさで、世話をやいてやらないとご飯も食べられない状態なのにいちいちトラブルを巻き起こします。
手づかみ食べや裸生活、おかしな呪文や歌、力があるので押さえ込むこともできずに暴力を振るわれ、うるさいと隣のオバサンに怒鳴り込まれ、高熱を出して医者に見せれば暴れまくり・・・しかし、そんな生活の中でも少しずつ歩み寄っていく二人なのでした。(山村のお人好しに脱帽。)
ババアババアと言いながらも、隣のオバサンの人の良さに助けられ、ヤブ医者とけなしながらも、ブラジル原住民の言葉が少し分かる落合医師とは飲み友達になり、それまで入れ込んでいたギャンブルも控えめ続きになり、収入は少なくないのに自堕落な生活で借金に追われていた山村の生活態度そのものが少しずついい方向に変わっていくのです。

しかし、それで終わらないのが木原節。最後の最後でどんでん返しされました。仁志田(山村の同僚)よやっぱりお前は・・・です。有村さんよアンタも冷たい・・・。だからなおさら、最後の2ページでボロ泣きですよ。

はぁ、よかった。

そういえば、エッチシーンについて何も感想を書きませんでした。だって、お話のほとんどがすったもんだの生活とそれに関係する道徳的な見解なので、エッチシーンがなくても一向に構わない(それは、あったほうが説得力のある部分もありましたが)精神的な愛を感じられればいいかなと思いましたからね。
生理的欲求のはけ口がどのあたりまでで、恋愛感情を伴うものがどのあたりからなのかははっきりわかりませんが、本編の中のセックスシーンより、この先の二人の幸せばかりが気になるのです。きっと幸せなんだろうなと思います。「あいして」

5

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