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表題作ジェラールとジャック(文庫)

ジェラール・アングラード 官能小説家
ジャック・フィリップ・ド・サンジャック 没落貴族

あらすじ

フランス革命のパリ――。親の借金のかたに男娼専門の売春宿へと売られた、貴族の少年・ジャック。彼はそこで「始めての客」としてであった、銀髪で顔半分に大きな傷を持つ男・ジェラールの屋敷で偶然働くことに。時が経つにつれ、次第に強く美しい青年へと成長していくジャック。そして彼を見守るジェラールの心の中には、閉ざされたある悲しい出来事があった・・・。革命の嵐の中、歴史の波に翻弄される2人の運命は・・・!?

作品情報

作品名
ジェラールとジャック(文庫)
著者
よしながふみ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
白泉社
レーベル
白泉社文庫【非BL】
シリーズ
ジェラールとジャック
発売日
ISBN
9784592884309
4.5

(87)

(61)

萌々

(18)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
13
得点
393
評価数
87
平均
4.5 / 5
神率
70.1%

レビュー投稿数13

この傑作! コミック版と文庫版の違い

フランス革命を背景に描かれる、愛に傷ついた男の魂の救済の物語。
エロあり、コミカルあり、エスプリありのロマン大作?!

話のあらましやら見所やら感想やらは、皆様がお書きになっていらっしゃるので割愛して、
これから購入される方の為に、コミック版と文庫版の違いについて
書きたいと思います。

コミック版にも旧版(ビブロス版)と新版(リブレ版)があり、
残念ながら手元にリブレ版しかないのでこの両者の違いは分かりませんが、
リブレ版と文庫版は、大きさが違う、上下が一冊というだけではない違いがあります。
(おそらくリブレ版は、ビブロス版を引き継いだ形で出ていると思われる。
ということで出版年は文庫版より後だが、原稿は古いものではないかと。)

カラーの扉絵の有無や、小タイトルのバックの絵が異なることがあるという他に、
リブレ版では背景が真っ白なコマが結構あるのですが、
文庫版ではその一部に背景が書き加えられています。
更には、セリフが変わっているところも何カ所かあります。
作者はよりよくしようと加筆修正しているのでしょうけれど、
どちらがいいかはお好み次第な気がします。
(ああ、それと、文庫版には例によって蛇足に思える解説もついています。)

熱烈ファンとしては、両方いいので両方どうぞ!というところかな(笑)
どちらで読んでも、最後は泣けます。

17

素晴らしい!よしながワールド!

私が初めて読んだBL作品が、よしながふみさんの『執事の分際』『ジェラールとジャック』。BLにはまるきっかけとなった作品。 


もう素晴らしいとしか言いようがなく、読み終わったあと1時間くらい放心状態だった。まるで映画を見終わったあとのよう、それも極上の。今でも私の中でナンバーワン。


ジャックはジェラールの初めての客で、出会いは最悪。しかし、再会し共に過ごすうちに…。 


『…これは恋か?』 


夜毎ジェラールを想い自分で慰めるジャックがとても可愛らしい。もともと貴族だったため、自慰なんて汚らわしいと言っていたのに。 

ふたりの想いが通じ合ったときには、すでに怒濤のフランス革命が始まっていて、官能小説家であったジェラールには逮捕状が…。そのときふたりがとった行動が!! 

ジャックの 
『ああ、神よ!!お許しください!!この男と一緒に死ぬことがこんなにも幸福です…!!』

という言葉が忘れられない。


この本を読むときに注目してほしいのが18世紀のフランスを見事に再現していることと主人公2人の変化だ。 
本当に違和感なく表現しているので実際にこんな人いたんじゃないかと思わせる。またふたりとも髪型や顔つきがどんどん変わって大人びていく。そこも見所だと思う。 


この作品は何度読み返しても涙が出るが、全体的にコミカルでギャグも面白い。個人的にジャックをからかうジェラールがかっこいい。 
本当にBLというカテゴリーに収めてしまうには惜しいロマン作品だと思う。
でもまぁHな場面も多いのだが。 

もし機会があればより多くの人に読んで、ラストの展開に驚き、よしながワールドに浸ってもらいたいと思う。

12

ロストマンが生きて得たもの

愛と赦しと希望。
帯にあるとおりこの一文がすべてで、其れが過不足なく描かれています。

最悪の出逢い方をした二人のおよそ十年間の物語。

ジャックは娼館でジェラールに抱かれ、身請けされて自由の身を与えられる。そののち、偶然にもジェラールの家へ下男として訪れ雇われる。
彼はとても素直で向学心があり才気煥発。でもそっち関係は晩生で、自慰すらしたことがなくジェラールに手伝われて射精に至った折りには泣いてしまうほど。

ジェラールは学生の頃に平民でありながら、ナタリーという賢しらな貴族の娘を愛し結婚する。子どもを授かるが、其れは死産と聞かされていた。
ナタリーは、子どもは不義の子で「生まれてきた事自体が罪だわ!」と云い己の不貞を悔いることなく捨てていた事、其の娘が肺病を患ってはいるが生きている事をジェラールが知るのはナタリーが不義の相手・ラウルと、彼の妻の葬儀の夜に情事に及ぼうとしていた自宅で、なのです。

わずかでも逢う事がかなった娘の優しさに触れて、"この子は 俺の子だ"と云う場面、ジェラールは失くした左目側の顔なのですが、これぐっときます。
きっと泣いてる。

斯くも大きいジェラールの愛と、其の喪失。

ラウルに教えられた男色は、(とは云っても娼館へ行き金で買った男としかしてない)女を愛する事の絶望からかもしれないけれど、不幸な子どもをつくりたくないという思いが強いのだと感じます。

ジャックが貴族であることはナタリーと重なり、彼の出自は娘と重なる。
ジャックへの愛は子どもを愛するような気持ちもあり。

「これは恋か?」段々とジェラールへの想いを自覚していくジャック。彼を思って手慰みをし、彼の眠っているベッドに潜り込む。(余談ですが、彼らはこの話の中では2回しかしてないのです、最後までのは!)

この翌朝、寝ているジャックへキスをしようとして、止める。
また別の場面。ベッドに横たわるジェラールがナタリーを愛していたとジャックへ告げ、あんな女を愛した自分自身に一番愛想を尽かしてるよと云う彼に「愛してる ジェラール」と静かに涙を流しながら胸に顔をうずめるジャックを、抱きしめようとして、止める。

この後の肝のシーンで爆発する為のもどかしい描写ですが、心情の見せ方に唸ります。

そして、この物語はこれ以上は無いという結末を迎えます。

失わなければ、この愛は得られなかった。
最後の1ページまで素晴らしい…!

死ぬまで手許に置いておきたい一冊。
これを初めて読んだとき、答えが描いてある!と思いました。
何のかは解らないけれど。

9

これですよ!!

『これです、私が求めていたものは!!!』
そう、心の中で叫んでしまいそうな一冊でした。

私は面白い本ほ読んでいるときは
「あ、あとこれだけしかない……」
と、ページ数が気になってしまうタイプの人間なのですが……これは違いました。

いつの間にか、ページがなくなっていたのです。
しかも、読み終わっても、あの特有の切なさというか、さみしさというか……あの感じがない!!

はて、と思いました。
なぜだろう?

そして気が付いたのです。

「この二人は、終わってなんかいないんだ」
ということに。

まだ読んでない方はお分かりにならないでしょう。
ですが、読んだ方にはわかると思います。

2人の間には、『ゴール』も『終わり』も無いのだと。
どこまでも愛を育み続けるのだろう、と。
そう思ったからこその感覚なのだろうと思いました。

そんな安心感をくれる二人なのです。

この本は、決して愛を細かく書き示し、説いたものではありません。
しかし、心の中にスッと確かな『愛』を届けてくれます。

中世というロマンとドラマの詰まった舞台に負けない……
いえ、そのがあったからこそ……
いいや、そんな舞台さえかすんでしまうような、ドラマチックな物語です。

穏やかで、でもどこか激しい二人の『愛』を、感じることができると思います。

お暇がなくても、ぜひ、読むべき一冊です。

3

傷フェチ

よしながふみ作品・・・  涙・・・  拍手喝采!!!

この本のテーマ曲は ちあきなおみの『喝采』。 名曲です。
涙が止まりません・・・   ブラボー!    総立ち

私 1番のお勧め所は ジェラールの「眼の傷」。
傷フェチにはたまりません。
独眼流政宗や 有名少年漫画のゾロがお好きな人には 解ってもらえると思いたい。
色気があるのです。寂しそうな顔ったら・・・ゾクゾクします。
ジャックを見守る蕩けそうな顔も す・て・き。
とにかく この本を全ての民に 読んでもらいたい。後悔はしない。

傷フェチの皆様へ この本お勧めです。

3

ピピン

>mihiさま
やられましたっ!
今度、「ジェラールとジャック」を読む時に、背後に「いつものよぉに 幕があ~き~♪」とBGMを流してしまいそうな自分が、すごく心配です。

この作品が収納されている本棚

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