おまえは俺のものだろう?

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表題作愛をなぞるマリアージュ

賀谷誠志郎,分家から養子入った現当主
東千郷,叔母夫婦の世話になっている農学部奨学生

その他の収録作品

  • 恋する日々
  • あとがき

あらすじ

大学生の千郷は両親が亡くなった後、世話になっている叔母夫婦を救うため、父の実家・賀谷家へ融資を頼みに行った。出奔した父に代わり後を継いだ現当主・誠志郎は、叔母の窮状を訴える千郷を冷笑する。それでも縋るすかない千郷に、彼は賭けを持ちかけてくる。「金が欲しいなら、この屋敷で1ヶ月『妻』として暮らして、おまえの主張する家族の情とやらで俺をたらしこんでみせろ!」
(出版社より)

作品情報

作品名
愛をなぞるマリアージュ
著者
柊平ハルモ 
イラスト
六芦かえで 
媒体
小説
出版社
フロンティアワークス
レーベル
ダリア文庫
発売日
ISBN
9784861344510
3

(6)

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萌々

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(6)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
18
評価数
6
平均
3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

王道だけど。

 大学生の千郷は、両親を亡くし世話になってきた叔母夫婦の窮状を救うため、亡父の実家で資産家の賀谷家へ金策を頼みに向かった。
 出奔した父の代わりに跡を継いだ若き当主・誠志郎は、叔母を思う千郷を冷笑し、真実を告げる。
 今まで「充分な仕送りも送ってこない」と言っていた言葉は実は嘘で、月20万もの大金が千郷の養育費として支払われていたのだった。
 今まで信じていた叔母の裏切りとも取れる行為を知らされて、千郷は動揺するけれども、それでも、自分に優しくしてくれたことはウソではなかったから、心中を考えるほどに思い詰めている叔母夫婦になんとかしてあげたいと思い、千郷は再度誠志郎に頭を下げる。
 そんな千郷に苛立ちを覚えた誠志郎は、千郷に対し、「屋敷で1ヶ月『妻』として暮らして自分をたらしこむことができたら融資に応じる」と言い出す。
 そして、千郷が夜ごと蹂躙される日々が始まった。
 けれど、抱きこそすれ、決して千郷を傷つけることのない誠志郎に優しさに疑問を感じる千郷は……?

 そんな話でした。
 BLではよくあるお金の代わりに、身体を自由にさせろ! と要求される受けと。
 でも要求された側も、本当は過去の傷を背負ってて……という割と王道なお話。

 でも王道おいしいですよね!

 今回は、騙されながらもお金をせびりに来る千郷に、自身もまた、夢を奪われた上に、本家の跡取りとされてしまった自分の過去を重ねてしまって、苛立ちを覚えて、冷たく当たってしまう。
 けれど、同情する訳でもなく、“誠志郎”としての自分を見ようとする千郷に誠志郎が段々惹かれていって……と。

 なんか、誠志郎が千郷に惹かれていって、千郷が誠志郎に惹かれていくのは当然なのかなー……と思わなくもない話。
 個人的には二人がくっついた後を見たいかなー……と思いました。
 本文中に、千郷が「与えられた状況の中で、好きなことを見つける」って話をしていたと思うんですけど、これってある意味、伏線だよなー……って思わなくもないんですよね。
 結局のところ、その理屈で誠志郎のことも好きになったと考えられないこともないわけだから(そうじゃないという前提の上で、ですが)、その辺りに気が付いた誠志郎が、「ここにいてもいいよ」と言われたことで、ちょっと安心感を貰って明るくなった千郷の交友関係が広がってやきもきする話……。

 とまぁ、勝手なことを言ってますが、それくらい誠志郎が千郷に振り回される予感しかしない終わり方をしてます。
 いい具合に妄想をかき立てられる良い話でした。

1

キラキラしたタイトルですが

「愛をなぞる」というタイトルがピッタリな作品でした。
愛を信じられなくなった攻の心を溶かす
健気だけれど芯の通った受の物語。
この受が、健気なだけだったら、こうも楽しめなかったと思います。

両親を亡くし、叔父夫婦に養ってもらっていた千郷は、
叔父夫婦の工場の窮地を救うため、
資産家である死んだ父親の実家に頼ることに。
しかし、父親の実家を継いだ当主・誠志郎は、
1カ月妻として、同居し、自分に家族の情愛を分からすことができれば
融資するという条件を出します。

誠志郎の条件は、あまりに、傲慢なのですが、
誠志郎自身の両親との確執があり、人を信じることができないのでした。
ただ、信じないと決めていても、どこか信じることを諦めることができず、
ジタバタしている様子が、切ない気持になります。

展開としては、王道なのですが、楽しく読むことができると思います。

1

変わらない存在を求めて

今回は受様の父の出奔で分家から養子入った本家当主と
叔母夫婦の世話になっている農学部奨学生のお話です。

受様視点で出会いから結ばれる迄の本編と、
攻様視点で2人のその後を収録。

受様の父は由緒有る旧家の跡取りでしたが、
臨時の手伝いだった大学生の母と恋に落ち
受様を授かった2人は駆け落ちします。

しかし乳飲み子の受様と母は
慣れない生活に飽いた父に早々に捨られ、
その母も早くに亡くなた受様は
工場を経営する母の妹夫婦に世話になります。

現在受様は奨学金で大学に通っていますが、
叔母夫婦の工場の経営が思わしくなく、
受様は生家に融資依頼をと縋られます。

母を捨てた父は出奔した異国で鬼籍に入り、
今の当主は叔父と聞いていた受様ですが
現れた当主は二十代後半のまだ若い男でした。
彼こそが今回の攻様になります♪

攻様は受様の父が出奔して勘当された為に、
分家筋ながらも当主に収まった人物で
様々な才覚を求められる攻様は
多忙を極めていました。

受様は必死に融資をお願しますが、
攻様は受様の養育費以上を払う気はないと
冷やかな態度を崩しません。

しかも攻様が払っている養育費の額は
叔母から聞かされ額の10倍で
それも叔母が受様を引取った事を
盾に脅して出していると言われます。

愕然とする受様に攻様は
手切れ金・三百万を叩きつけて
話は終わりと追い返そうとします。

しかし叔母が必要な額には全く足りず
受様は必至の思いで攻様に融資を頼みます。

叔母の実態を知っても
家族なのだと譲らない受様に、
攻様は憎悪の滲む眼差しを向けますが、

自分との賭けに勝ったら
攻様の個人資産で融資すると言い出します。

お前の言う家族の情とやらで俺をたらしこんでみろよ。

受様の家族ごっこに一ヶ月付合ってやるから、
家族の情でほだして金を引き出しさせればいい。

しかも家族の最小単位は夫婦だからと
「妻」として扱うとまで言うのです!!

攻様の言動はあまりにも不条理でも
受様はその賭けにのるしかなく、
賭けを了承した受様はその日のうちに
攻様に寝込みを襲われた受様ですが

俺がルールだ、
お前に付合う役得として楽しませろよ。

強引に始められた賭けに受様の勝ち目はあるのか?!

柊平さんが得意とする俺様な攻様と
健気な受様というカップリングな上
お約束の受様勝利は確定なので、
設定そのものがツボな私は安心して
最後まで楽しませて頂きました。

先代の養子になる前の攻様は
野球選手を夢見ていたのですが、
攻様の親は養子にさせる為に
攻様の右腕をハンマーで粉砕したのです。

その上、当主に収まれば
実の親だからと勝手に縁談を持ってくる為
攻様は情というものを嫌悪していたのです。

そこに元々の元凶の息子が
家族の為と叔母へ融資を懇願し続けたら、
嫌がらせをしたくなるのも仕方がない?!

しかし今回の攻様は生来ではなく
養子縁組で打たれて歪んだ結果の俺様なので、
健気ですが自分の心情は曲げない
頑固な受様が相手では分が悪いですね。

賭けの結果に絡まる受様の叔母の存在の他に、
攻様に複雑な心情を抱く彼の専任秘書や、
受様の異母妹でもある攻様の婚約者も絡まっていくので、
攻様が受様を受入れるまで2人の仲はなかなか進まず
予定調和ながらも途中は結構ハラハラ&ドキドキで~す。

続編は攻様視点で
受様と出逢った幸せを語られています。
短いですがラブラブな後日談です♪

今回は本作同様、
援助の代価として攻様に身売りする健気な受様で、
柊平さんの初期作『束縛は恋の条件』をおススメです。

0

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