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僕は大和が好き、大和とキスしたい、大和に触りたい、ちゃんとわかってよ。
幼馴染もの。
大好きな幼馴染・大和が彼女を連れて地元へ帰省してきたところからお話はスタートします。
楓はそれを見てへそを曲げて拗ねるし、彼女を敵対視するし、大和に遠慮なく甘えるし、ねぇ、好きなんだよ、とも言う。恋愛感情をものすごく判りやすくベタに伝えているんです。
今まで読んできた幼馴染ものは「好き」を伝えるタイミングやら、そもそも「好き」でいていいのか?といった葛藤を描く作品が多くて、こんなにのっけから好きを表明する作品は初めてだったのでそこがまず新鮮でした。楓はゲイだけど、大和を好きだと認識するまでの過程や戸惑いなどは一切触れていない。
楓の大和に対する甘えっぷりが酷くて、しかも幼い。よくこんなにまとわりつかれて嫌にならないな…と思ったけど、これは大和のせいなんだと。大和がそうやって拒絶せず甘やし続けてきた結果、こんな甘ったれた楓が出来上がったわけで、そしてそれをお世話するのが好きな訳でして、二人の距離感がめちゃくちゃ近いです。
楓から好きと言われている大和は「うん、俺もだよ」「彼女ができても楓のことが好きなのは今までと同じだよ。」と返す。好きの意味が違うと楓に言われても、違わないよと言う。そういう受け答えに傷ついた楓が、もう僕のこと放っておいてよ!と言っても楓を放っておかず楓の我儘につきあってやる。楓は可能な限りひっついて大和もそれを拒まないけど、心は受け入れてくれない。これはもう生殺しそのもの。
受け入れる事もしない代わりに拒む事もしない。その優しい残酷さは、楓だけでなく彼女も同時に傷つけていくのでその過程を読んでいると心がじくじくしてきます。
中途半端に楓に手を出した挙句萎えてしまい、その後、お口直し的に彼女を抱くんですが、結局それが両者を決定的に傷つけてしまい、楓は大和の元を去った後、バイトを始め自立し始めます。
楓が女だったら何の問題もなかったんでしょうね。でも男だったので、楓の恋愛感情には応えることができないと思っているけど楓そのものは可愛くて手放したくないという自分勝手さ。
離れている間に大和が出した結論が、「楓の事が好きだからずっと傍にいて欲しい。傍にいたい。」という要求ではなく、「楓が本当に幸せになれるなら他の人のところへ行ってもいい、我慢する。」という楓の幸せを何よりも優先するものであった事に、大和の成長を感じました。そこがとても良かったです。多分楓の事だから「楓の事が好きだからずっと傍にいて欲しい。傍にいたい。」と言われても喜んだと思うんです。でもそれじゃダメなんだ、というところがこのお話の一番いいところだなと思いました。
この作家さんは初読みなのですが、当て馬である楓のバイト先の先輩はDV野郎だし、同時収録作の「式日」はより暗くて執着愛というか歪んだ共依存みたいな香りを漂わせる作品でして、少し痛みを感じさせるようなそういう路線がお好きなのかなと思いました。
ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのが、こちらの作品です。
大和の出した結論が自分の中で一番納得のいくものでして、大和のそれまでの行いを許せる気になりました。楓も少し自立した事により、ただの両思いになって終わるというだけでなく二人が少し成長したところがいいなぁと思いました。
教えてくださり本当にありがとうございました。
綺麗だけれどそんなに重くないタッチなのに、ストーリーはまるで小説のようというか、展開や台詞回しが非常に練られているなぁと感じました。めちゃくちゃシリアスで切ないというわけでもなく、どちらかというと淡々と進んでいく感じ。でも、その軽い雰囲気の中に、登場人物達の繊細な心情が丁寧に織り込んであって思わず引き込まれ、すいすい読んでしまいました。
楓にベタ惚れされている幼馴染の大和は、年上らしくかなり落ち着いていて、まさにお兄さんという感じなんです。楓が気を引きたくてわざと困らせるのも全部分かった上で、甘やかしていて。その時点で十分大和にも好意がありそうだけど、彼は現実的で、当然ゲイでもないし、彼女もいる。楓のことは可愛いし、大切で好きだけど、恋人にはなれないという彼。楓にいざ迫ってみたけど結局昂ぶれなくて、彼を帰した後、彼女とヤって柔らかい肌に安心する、そんな残酷な行動にも出てしまう。
楓と一旦距離を完全に置くことで、自分は本当は誰を愛しているのか気付く大和。こうしてレビューを書いていると、なんだかありがちなBLにも思えるのですが、本当に1つひとつのシーンに意味があって、感情を揺さぶられました。鴨川先生の何がそうさせるのか言語化するのは難しいですが、是非一度手に取って頂きたい作品ですね。大和の彼女のカナが、よくある嫌なモブ女性としてではなく、物語の中で丁寧に扱われ、彼女自身も最終的に2人に良い影響を与えていたところも良かったです。同時収録作はまた雰囲気ががらりと変わり、こちらもなかなかヘビーな余韻が残って楽しめました。
もう、何度も読んでます。とても丁寧に描かれていて、何度よんでも飽きず、すごくいいお話です
大和(大学生)×楓(高校生)2歳差の幼馴染
大和が夏休み彼女を連れて田舎に帰ってきた所から始まります。
大和が大好きな楓。大和は楓に気持ちを打ち明けられても拒否らず、受け入れず、はぐらかす。残酷な優しさってやつです。面倒見はいいんですが。
後日大和の所に遊びに行った楓。異常な仲よさに敬遠し、釘をさす彼女。ですがなんとなくな感じで大和は楓にエロいことをしようとします。が、全くあそこは反応しません。その日に帰る楓を駅まで送った後、彼女が部屋の前で待っていてそのままエッチします。電車に乗り遅れた楓が大和の部屋へ。(鍵が空いてた為あけたら…覗いてしまった感じです)さっき自分とはできなかった後に彼女と致しているのを見てしまい、自分とは無理なんだな、と大和離れをする決心をする楓。逆に楓に距離を置かれてダメになっていく大和。彼女とも別れます。
とにかくもう、、切ない。。
読み初めは大和は心広くて優しい。楓は我儘で面倒、依存しすぎ?大丈夫かな?この子。と思ってたけど、読み進めると大和よりよっぽど楓はちゃんと考えてた。まさか大和の方がヘタレ気味だとは。。
後から読み返しても、終始楓の言葉はちゃんとわかっていて、考えてたいってたんだ。わがままに見えたけどちがった。それが分かるともう、すごく健気で可愛いい。そして切なくてギュンギュンです。
後、地雷があるかも、です。
大和は彼女と、楓は大和を忘れる為にバイトの先輩と致します。
ただ、本来地雷も地雷なんですが、私はこの本に関しては大丈夫だった。必要な場面でもあったからかな。個人的にバイトの先輩もなんかこの人も抱えてそうで嫌いになれないし、カナの気持ちも、楓の気持ちもすごく分かるし。カナもなかなか男前ないい女の子だったし。ただ、大和にはイラついたかな。大和さえしっかりしてれば!!とは思った。けど大和は大和で葛藤あって当たり前だとも思うしな。色々あったから幸せもあるわけだしな。
色々乗り越えてハピエンです。最後はちゃんと2人は結ばれます。ただ中々楓が力んで入らなかったんですが、ふとお互いの会話で笑いあって力が抜けた時、スルッと。あの時の楓がかわいくて好きです。同時にほんとよかったって思った。
健気で一途なかわいい楓をずっっと離さないでいてあげてほしい!!大和たのんだよ。
OPERAで連載されていた本作をメインにして、鴨川てるちさんの初単行本がとうとう発売になりました!
少し暗い雰囲気のする絵ではあるのですが、お話のほうも結構痛めの少しブラックが効いた短編が多かった中、この初連載作品は痛さも含みながら幼馴染のすれ違いや執着や、そして大人へと成長していく過程がラストのハッピーエンドに向かってどんどんと痛さだけでなく希望や甘さを含んでいく展開に、ぐいぐいと引き込まれたものです。
このお話だけでも1冊には充分な厚みなのですが、冒頭で述べた痛い短編が1本入っていることで、この作家さんがどんな作品を描かれるのか見ることもできます。
満を持して、という言葉を贈りたい自分的にプッシュする作家さんです。
家が隣同士の楓と大和は幼馴染。
2歳年上の大和は大学生で、街を離れて東京で一人暮らしをしている。
休みの日に大和が彼女を家に連れてくると、明らかに不満顔の楓。
子供のような拗ねる楓に大和は彼女を放置して彼を追いかけてなだめるのだが、
性的にも大和が好きだという楓に、オレも好きだよと言いつつも上手くはぐらかし甘やかす大和。
楓は明らかに自分でも発言しているように、大和を同性愛の相手として愛してる。
大和も楓にキスできるほどに好きであり、彼女より優先してしまうくらいなのに、いざ事に及ぼうとした時、自分が萎えているのにきがついてしまう。
二人の微妙な温度差と、好きの次元の違いが絶妙だ。
そして、そこから楓が大和から自立しようとする成長と、
大和の楓に対する気持ちの見極めの展開になるのです。
一見楓が甘えん坊で子供子供しているのだが、現実を目の当たりにした危機感から、ひょっとして精神的には大人だったのではないだろうか?
彼は、バイト先の先輩に誘われて痛い初体験を経験するのだが、それによって現実を知り大和への確固たる思いを築くのです。
大和は甘えてくる楓が可愛くて、それが当たり前で、身近すぎて気がつかないというより、彼の方が大和に依存していたような気がする。
彼女と楓との愛は違うものだと思っていたが、彼女にとっては楓はライバルにしかなりえない。
大和は優しさという残酷な愛情で楓を苦しめていたのをわかっているのだが、そこに、男同志と言う部分へのためらいとずるさもあったことも、年上である分あったのかもしれない。
楓のほうが年下なのだが、幾分大和より背が高い。
最初のエッチは大和の拒絶によって楓が受けになるのだが、ともするとリバもw
よくある幼馴染もの展開なのかもしれないが、その彼等の真摯なセリフがとても心に響くのです。
『式日』主人公が自慰を見られ逆上した時に投げた皿が割れ片目を失った従弟。
主人公は、彼が自分の姿を見たことを誰かに言うのではないかと日々恐怖を抱き生活している。
それが歪んだ執着愛になっているとは知らずに。
そしてまた従弟もその姿が忘れられずに主人公に。
初めてこの作品を見た時に、うわー!!と思ったものでした。
絵柄が少し暗いために、その雰囲気が迫ってくるようだったのでした。
何か心に残るお話を描かれる作家さんです。
ファーストコミック。『おとなの事情』が良かったので遡りました。商業で出ているのはこの二作。寡作な作家さまです。どこかで活動されてるのかな?創作活動ってとっても大変だと思うけれど、描きたいと思うものが消えない限り、ゆっくりでも待っている読者に是非届けて欲しいです。ささやかですれど応援しています。
地元を離れて東京の大学に通う大和と、ご近所さんで家族ぐるみの付き合いがある高校生の楓は幼なじみ。子供の頃から大和にベッタリな楓は、久しぶりに彼女を連れて帰省したきた彼を困らせるばかり。オマエはいくちゅなの?ってくらいお子さまな楓を可愛い弟のようにお世話してきた大和は、彼女ができたことで恋人と幼なじみのどちらかを選ばざるをえない局面に追い込まれるハメに。
同時収録作は「式日」。時代物。優秀な正治と少しボンヤリとした喜久一郎は従兄弟同士。子供の頃、二人の間にある出来事があってから、正治は一方的に喜久一郎を疎ましく思いつつも性処理の相手として自分に隷属させていく…。先のレビュアーさまが表題作についてJUNE的とのご指摘されていますが、個人的には主人公が性的なことを後ろめたいものとして捉えているこちらの作品の方がJUNEっぽいなと感じました。こういった暗くドロドロとした作品を描かれるところに、ポテンシャルを感じさせてくれます。
表題作はBLがある程度認知されて以降に生まれた作品だなぁと思いました。大和と楓が選んだ関係の先はカレシカノジョのソレとそう変わらないように見えて…。大和の腹の括り具合が潔くも深刻すぎない。楓はマイノリティの悲壮感があんまりなくて、二人の乗り越え方がなんだか新鮮だったんですよね。同性愛者たちの苦悩や葛藤が描かれていたものを非BLで読んできた世代ですが、そんな背景をわざわざ作品に落とし込む必要性がなくなってきた時代になったのだなぁとつくづく痛感しました。それでもすんなり表題作を受け入れられたのは、ノンケの大和に一線を越える抵抗がきちんと描かれていたからかもしれません。恋愛と友情、性別の間のボーダーレスな感じが改めて今を感じさせるBLっぽかったです。といっても四年も前の作品なんですけどね…。
表題作の二人を見ていると、楓の純粋な思いと、覚悟をもって相手を選んだ大和の誠実さが真っ先に胸に飛び込んできて、相手の性別なんて些細なことに思えてしまう。これからのBLがどういうふうに描かれていくのかますます楽しみだよな〜、なんて思わせてくれた作品でした。