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表題作好きになるのが、怖い。

神田哲哉、養護施設の職員 27歳
北条楓、音楽プロダクションの常務 26歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

無気力、無責任、無感動に育った北条楓は、会社をクビになるのを免れるため、
明和愛児園でチャリティー活動をすることになった。
そこで、見た目はいいが無愛想な神田哲哉と出会う。
やる気のなさを隠さない態度を神田に批判され、楓はますますなげやりになっていく。
そんなある夜、夜の街で男と言い争っている神田をみかけ、ふとしたことから身体を重ねるようになった。
特別な想いを抱いているのは自分だけという事実に楓が気づいたとき、ふたりの関係は変わり始めて!?

(出版社より)

作品情報

作品名
好きになるのが、怖い。
著者
羽生有輝 
イラスト
穂波ゆきね 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHY文庫
発売日
ISBN
9784813041016
3.5

(25)

(4)

萌々

(10)

(9)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
6
得点
87
評価数
25
平均
3.5 / 5
神率
16%

レビュー投稿数6

初回から意外とねちっこいHが…♪

挿絵が穂波さんと来たら買わずにいられない!
しかも羽生さんは前2作が結構楽しめたので、期待も込めて。

これがまた、好きなシチュエーションだったんですよ!
お互い第一印象が悪い二人が、
少しずつ距離を縮めていく様子がたまらないんです!

神田なんて、真面目そうでいてあんなHするなんてー!!
穂波さんのイラストの相乗効果で、ドキドキしました!!
相変わらず優しい雰囲気で、更に素晴らしいガタイ♪

楓は遊び慣れていながらも、
本当に他人を好きになれなかったのが
神田によって価値観等まで変えられてしまい、
(勿論カラダも♪)
『少しずつ、確かになる独占欲』とある帯のとおり、
徐々に愛し始める様子が素敵でした!

好きになった人が自分の母のように突然死んだらどうしようと
思いつめてしまうのはトラウマゆえ。
人間はいつか必ず死を迎えますが、
その間は愛する人の側にいて、きっと最期を見届けられたら…。
神田に答えを求められて逡巡しながら、
後悔はしたくないという結論に達します。

幼い頃に親を亡くすというのは想像つかないんですけども、
きっとわかってあげられない程ツライんでしょうね…。
あとがきで、羽生さんご自身が片親家庭で育った為、
前2作もそういうお話になってしまったとおっしゃっていました。
やはり作品には作家さんの人生や性格が表れるのでしょう。

無骨男が実はテクニシャンで、
誠実、面倒見の良さ、男前、楓が弱っている時に見せてくれる優しさがある。
二人の曖昧な関係をきっちり固めてくれようとするあたり、惚れ!!
これは堕ちますよ!!w
すごく好みのタイプでした♪

そして、前2作よりHシーンが濃厚で、とても嬉しかったです!!
恋を自覚した楓が、神田の傍にいるだけで
体が熱くなって触れたくなるのが良かったです…!
だからと言ってお話の内容が薄く感じる事もなく、
文にも読みやすさが出たような気がしました♪(偉そうにすみません;)

舞台は横浜!!
…中華街、死ぬまでに一度は訪れたいですw

8

思ってたよりずっと良かった

穂波先生のイラスト目当てで購入した初読み作家様だったので正直
あまり期待はしていませんでしたが良かったです。
下半身にだらしない受様なのでどうかな~とは思いましたが
攻様と出合ってからは攻様1本だったので許せました。
内容が少し思いテーマでしたが、ストーリー展開も自然で受様の気持ちの変化
なども上手く書かれていました。
この作品は本当に大事な人を亡くした経験がある方には思い当たる節がある
お話ではないでしょうか。
大事なものを亡くしてしまった時の喪失感が埋められないまま大人になり
その痛みをまた味わいたくないから大事な人をつくらない。
愛が深ければ深いほど失った時の痛みは底が知れず、臆病になる・・・
それが自分の考え方一つでこんなにも世界が変わるのだと気づく。
その過程が詰めこんだ感じではなくてとても良かったです。
攻様も懐が深く、面倒見が良い。段々懐いて笑顔をみせる受様が可愛くて
しょうがないって感じがたまらなくイイですね~
攻様の方が境遇的にはトラウマになりそうですがこれはあとがきに説明があるので
あとがきは読んだ方がいいと思います。
今までふらふらしてた子が本当に人を好きになった時ってめっちゃ可愛いですよね!
そこを堪能して頂きたい作品であります。
書き下ろしペーパーは甘いお話でもっとこの2人のべたべたっぷりを読んでみたいな~
と思わせる内容でした。

5

この話は好きです!

受に感情移入できるかどうかで、私は羽生作品の好き嫌いが別れるみたいです。

楓が会社をクビになりたくないけどチャリティーは何をすればいいか分からないところとか、慰問先をあみだくじとダーツで決める軽いノリとか、実際に慰問に行っても積極的に行動したがらないところとか、そういうの分かるなぁと思いました。
逆に神田は、いちいち言うことは正論だし、丁寧に見えるけど上から目線っぽいし、そりゃぁ楓はいい印象持たないわなーと読んでいました。
話が進むにつれて、神田の優しさが少しずつ分かり、楓のトラウマが明らかにされ、二人の距離が近づいて、楓が神田のことを好きだと自覚する過程がとても自然です。
トラウマもあって神田との別れを考えた楓ですが、神田もいつか死ぬかもしれないという恐怖に、楓なりの答えを見つけます。
その答えを楓が出すまでの間、楓だけじゃなく神田も不安だったんだと気づく場面が好きです。神田も不安だったことに気づけるようになった楓にも、成長したんだなと胸が熱くなりました。

登場人物の心の動きが丁寧に書かれているので、羽生さんの話は読んでいて共感を覚えることが多いんだと思います。
小説の最初と最後が、韻を踏むようにリンクしているのも素敵だと思います。

4

感情の成長物語

無気力、無責任、無感動。
人になにも期待しないで生きていくことが楽だと思っている受。
母親との死別が深層心理に見えない傷を作り、その傷を自身が
知らないまま人とかかわることを無意識に避けて成長。
攻との出会いで感情が生まれ、四季を知り、初めて他人を認識
したのではないでしょうか。
楽しい、気になる、欲を知るなどの感情の成長を黙ってよりそって
くれた攻にも傷はあります。
その傷は受のトラウマに大きく関係するもので、乗り越えるのは
ちょっとの勇気が必要だといい、手伝うことはできないから自分で
踏み出せと手を離す攻。
ふたりが同時に勇気を試されます。
待つ勇気、前に進む勇気。
怖いけど失えない存在を掴みとりたいという欲が勇気の源になったの
かなと思いながら読みました。
感情の成長はゆっくりだけど、それを教えてくれる攻はある意味
母親のようでほほえましくもありました。
一見重いテーマのようですがこのお話は主人公を四歳児だと思えば
とてもかわいく愛しく感じられます。

3

心の再生

本人無自覚のトラウマものでしたね、良いところのボンボンで、
音楽プロダクションの常務なんて肩書がある受け様ですが、実は名前だけで
何にも仕事をしていない、自堕落で無気力で心を動かすことも無く26年もただ生きてきた
感じで、しっかりした身内がいなかったら、いったいどうなっていたんだろうって風な
節操無しのダメ人間でしたね。
攻め様は、養護施設の職員で常識人なのですが、こちらも両親を共に事故で亡くし
自分も大怪我をして立ち直った過去がありますが、トラウマなんてものはありません。
そんな二人は、受け様が働く親族会社で、あまりに自堕落で抱えているタレントにまで
手を出している事で、クビになる寸前だったのですが、会社に貢献して首を逃れる為に
慈善事業を急きょ受け様がする事になり、慰問先で攻め様と知り合う。

慰問先での受け様は、やる気もなくて、渋々感が溢れている感じで、攻め様に色々指摘され
二度と慰問にはいかないなんて思いながら、予定も病欠理由でサボり、夜の街で
刹那的な出会いを求めて歩いている時に、男同士の別れ話で揉めてる現場に遭遇。
それは、忌々しいと思っていた攻め様で、からかい半分で、攻め様の次の相手みたいな
言動と行動をして、攻め様をからかい前回の慰問での嫌味な攻め様に対する溜飲を下げる。
そのまま、別れたはずなのに、見知らぬ相手とホテルに行こうとした時に、攻め様に
邪魔され、流れで攻め様と抱き合ってしまう。
そこから、慰問を続ける事と、セフレみたいな関係を続ける事になるのです。

そんな関係の中で、攻め様は受け様が何かに傷ついている事を感じ取る。
受け様の心の奥底に閉じ込めているトラウマを外に出す誘導をするのです。
受け様は、余計なことだと思いながらも攻め様といる事で安らぎを覚えている事もあり、
身体だけでない付き合いをするようになっていきます。
攻め様は始めは同情からだけど、次第に受け様を目の離せない存在として
愛しく感じ始めるのですが、受け様は、幼い時の母親の死が色濃く影響していて、
愛情や友情を感じ取る事も、相手にそそぐことも忘れてしまったような感じです。
その受け様が、次第に感情が豊かになり、攻め様への気持ちがなんなのか気が付く。
初めての恋を自覚した時に、再び受け様は殻に閉じこもる事になります。
施設の子供たちとの交流も絡めながら受け様がトラウマを乗り越えて愛する人を
手に入れるストーリーになっていました。

5

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