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大人の恋の物語は大好物です。
久富に惹かれて行く文彦の気持ちが良く分かりました。
最初に他の方のレビューを読んでしまったので、地雷だったらどうしようと思いましたが、そんな事はありませんでした。
文彦を好きになれない方もいるようですが、人を好きになるきっかけなんてそんなものだと思います。
久富も最初から何か文彦に惹かれるところがあったと思います。思わせぶりな台詞が多かったです。
久富の家を初めて訪れて文彦から誘うシーンはドキドキしました。
また文彦の元彼を理路整然と言い負かす久富は素敵です。
人前で仮にも好きな相手を貶める人なんかを好きになるわけないです。
心配されてる方もいるようですが、何年経っても変わらずに2人は付き合っていると思います。
出たばかりの新刊を冒険するより、
姐さんがたが推す作品を読んだほうが、安心と満足を得られると思った一冊。
イラストも素敵、物語は、初期の水原とほるさんの作品と違って、痛くない。
猫気質の文彦視点で物語は進捗。
登場人物それぞれが必死で、悪人が居ない。あるのはすれ違いだけ。孝也が少し気の毒。
◎峯浦文彦(アヤヒコ): 母似の中性的な容貌。美大卒、商業デザイナー。
ランチを大学の学生食堂で取るついでに講義を聴講。次第に久富に惹かれていく。
久富曰く、ディカプリオに似たベビーフェイス。※小山田あみ先生のイラストも多分意識している。
◎久富周一郎 :東欧文学研究家。大学講師。「ヤーン・タタールク」を講義する。
黒いハイネックセーターにツイードの上着。黒縁眼鏡。祖父の形見の懐中時計。雨男。
◎江田島孝也 :文彦の元彼。真面目な性格のITエンジニア。孝也は、文彦を好きすぎて変わってしまう。嫉妬と独占欲が過ぎて、文彦が離れる。
孝也は未練があり復縁を希望。久富に諭され、文彦を許容できない自分の器量に気付いて身を引く。
▶東欧作家「ヤーン・タタールク」は、・・居そうで居ない、架空の人物。
「明日を待つ鴉たち」←実在するような描写に笑ってしまう。
似た地名はある。「タタールスタン共和国」 首都がカザン 「モンゴル・タタール(Татар)人」は「トルコ系の顔」と「アジア系の顔」美男美女が多い。政治と戦乱に挟まれてきた民族。宗教はイスラム教
▶作流の映画は『太陽と月に背いて』
フランスの詩人「アルチュール・ランボー」とその愛人・詩人の「ポール・ヴェルレーヌ」との、数年間の愛憎を描いた作品。文彦と孝也の関係と似ている。
ランボーを演じたのは、レオナルド・デカプリオ
社会人になって失いたくない恋に出会う事はそう簡単にあることではないと思う
歳を重ねた分恋に失敗したこともあるし、人生に絶望する様な若さも無くなっているけど満たされているわけでもないし、何より恋に生きる情熱で生きていける時代は遠くなっている
仕事は自分を表現する術なんて大袈裟なことではないけど
自分の全てとも言える
生きていく上で拘りすぎてるわけではないけど
拘りもある
若い頃の恋の様に全てをひっくり返すような熱量があるわけじゃないけど
失いたくないと思うしっかりとした想いに出会ったなら…
何か特別なことが起きるわけではありません
でもゆっくりと育つ愛が
二人の間に降る雨がしっとり二人を満たしていく様な
まるで降り注ぐ雨が硬い土の深く眠っていた種に染み渡り
双葉が開く瞬間は劇的な様に発熱することがあっても
樹木の様にゆっくり育っていく様な恋
時に突風が吹き揺れる時はあるけれど根はしっかりと這っている
そんな大人の恋のお話です
時にこんなお話を読むと満たされます
絶妙な距離の縮め方が本当に好み。身体から始まる関係、とか今は珍しくないけれど…こうして接点のなかった2人があるきっかけで徐々に距離を縮めていくのを丁寧に描写してくれて恋をしていくところを読むのが好きなので買って良かったと心から思った瞬間。
雨男というのを情緒的に盛り込んであったのと大好きな大学の先生が、攻めなのも私の中で萌えポイントだった。
気紛れによるひょんな出会いから会うようになり、個人的にもっと話してみたい欲からお昼を一緒に食べる仲に。それから休日で会って一緒に過ごしてご飯をするようになり自宅にも行く関係に…
このもどかしいくらいの2人の逢瀬が、恋じゃなかった心がソレに気付くまでゆっくり過程が進められていて読んでいる私の心が弾むのが分かった。
『いつだって人の注目が集まっていないところで自分の琴線に触れるものを見つけるのが好きなのだ。〜恋をするときも同じだ。〜自分から好きになる時はいつだって他の人が気がついていないその人の魅力を見つけて溺れていく。』という文に心をわしづかまれた!!
そう!そうなのだ!誰も気付いていない良いところを見つけて自分しかそれを知らないってたまらない気持ちになるし、自分だけの宝物を見つけた気になるの!!
それをこの物語では受けが攻めに感じる魅力として細かに書いてくれていて擽ったい気持ちになると共に共感してしまった。
そして某アメリカの俳優に似ているという受けの手練手管というか、魔性なまでの誘い方に脱帽してしまう…
私もそのテクニック使いたい(笑)
攻めもベッドでは情熱的に愛してくれるし、男性体に触れる躊躇いもないのが嬉しい。
一見受けに押されて付き合っているのか?と思う攻めが受けの元彼に会った時に理路整然と言い返す姿がかっこいい。受けを守るという強い気持ちと愛情も伝わり受けとともに惚れ直してしまった。
彼らが夏休みを利用して東欧に旅行に行く幸せな姿をどこかで見れたらいいのに…これからの幸せを想像することができる恋人たちに大満足。
不遇を全てさらっていくようなラストの一文も良かった。
大好きな小山田あみ先生の絵も作品に華を添えていて素敵。私が本作を手に取った理由の大部分を占めいる表紙はタイトルに相応しくしっとりしていて綺麗。
作家様とイラストレーター様の両ファンにしてこの美しい表紙。発売当初すぐに予約いたしました。
大学講師と商業デザイナーの、アダルトなラブストーリー。
職場近くにある大学の学食でランチをとっていたデザイナーの文彦。雨宿りがわりに潜り込んだ教室で、講師の久富が語る東欧の作家に興味を持った文彦は、何度か潜りで聴講していくうちに久富と顔見知りになります。
バイセクシュアルの文彦は、思春期の頃から誰も気に留めないような地味で野暮ったいタイプに惹かれやすい。久富も例外ではなかったようで、彼の研究対象をダシに?それとなくグイグイと距離を詰めていきます。
久富の方も文彦に対し、君は映画でランボーを演じた役者に似ているね、ランボーも好きなんだよ…と思わせぶりな素振りで惑わせる始末。(ちなみに俳優がすぐにわかった方、お仲間です〜♡)
やがて文彦の思いは恋に転じ、久富が専門とするヤーン・タタールクについて二人が語り合っていくうちに、互いの仕事に深く影響を与えるまでの関係になっていきます。
終盤は文彦の元恋人に恋路を邪魔されながらも、久富から文彦に揺るぎのない愛の言葉を贈られて、二人は幸せに結ばれていくというお話。
じっくりと読み終えた後は、お話のその後が妙に気になりました。久富はこのまま文彦を大事にし続けるだろうけど、文彦は怪しいよなぁ…とか。
思いがけず萌えたのは、久富が文彦に求められて自らも欲情した時、同性同士ということを全く意識していないように見えたことです。文彦が可愛くて、そそられて、抱き合うことになんのためらいも抵抗もない。あまりにも自然な衝動なのに、好奇心を煽られている。その反応は久富が大人だから?それとも作者の意図的な演出?いずれにしても、久富は文彦とのセックスが本能的な行為であることを暗に認めている証拠に変わりはありません。男の欲望は意外にも直情的でした。
雨男設定がもたらす効果の他はドラマティックさに欠けるかもしれませんが、偶然の出会いが織りなす「大人の好奇心に潜むエロス」をしっかりと堪能させてもらいました。今度はどんなお話を読ませてもらえるのかな?と楽しみにしています。もちろん、突然変なスイッチが入っちゃっても、話があらぬ方向に転がっても、美味しくいただく予定です!