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表題作真夏のクリスマス

マフィアになった2歳年上の恋人 ダイス
マフィアボスの愛人にさせられた恋人 キヨ

同時収録作品真夏のクリスマス

キヨとダイスを兄と慕う テオ
ダイスの恋人でマフィアの愛人 キヨ

同時収録作品真夏のクリスマス

マフィアのボス ジュゼッペ・デステ
愛人にさせられたダイスの恋人 キヨ

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

孤児として育ったキヨとダイス。幼い頃から互いを求め合っていた二人は、成長してからも共に生活していた。貧しくも幸せに暮らしていたが、キヨがマフィアの愛人として捕らわれてしまい……。

(出版社より)

作品情報

作品名
真夏のクリスマス
著者
水原とほる 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫black
発売日
ISBN
9784592851066
3.8

(39)

(19)

萌々

(7)

(4)

中立

(5)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
7
得点
140
評価数
39
平均
3.8 / 5
神率
48.7%

レビュー投稿数7

新しい水原作品~死が二人をわかつまで~

花丸、しかもブラックで初の水原作品。
まず目につくこの表紙の美しさ!見惚れてしまいます!!
中のイラストもとても素敵なんです♪また小山田さんの絵の雰囲気が変わった?と思われるような、しかし登場人物達は外国の人の設定ですので、だから目鼻立ちが綺麗に描かれているのかな?
そして黒髪の人物はまるで女性のようなのですが、これは設定もありますのでそう思うと実にぴったりなのですよ。
最初にイラストに言及してしまいましたが、この本編も実に実に!!!なのです。
水原作品にしては珍しい中華系でない外国設定(北欧に近い土地だが無国籍風)
そして何よりも特筆すべきが、最近の水原作品は自分で自分の運命を切り開く強い受けや、痛さも若干柔らかめの甘い感じの作品傾向だったと思うのですが、
今回はそうですね~展開とか在り方としては「唐梅のつばら」みたいな?その辺りの展開設定に近い、若干痛いモノになっているのです。
しかし、もうあの頃から随分経っていますからその当時のままの耽美を想わせる、文学作品を想わせる筆ではなく、いくらかライトな筆致でそういったストーリーが描かれているのです。
なので、これを作者名を隠して読んだら誰?と思うかもしれません。
作者さんも後書きで、新しいことに挑戦してみようと、別のベクトルで痛い重い話になったと言われています。
バッドエンド?死ネタが苦手な方はご注意ください。
でも、自分はどうしてでしょうか、
こんなにどこかで見たようなテンプレのようなよくある話だったのに、その描写に思わず涙が誘われてしまったのです。
登場人物達の絶望と諦めに気持ちを持って行かれ、久々のこういう展開に胸躍らせ、ワクワクして引きこまれたのは確かです。

夏が短い季節の国のとある街の孤児院で育ったキヨとダイス。
彼等は共に育ち、そしていつの間にか将来を約束し合う仲となり、孤児院を出たあと居酒屋で共に働きながら同居生活をしています。
彼等を兄と慕う、年下のテオが孤児院を出されたと彼等を頼ってやってきます。
3人でうまくやっていたはずですが、折からの不況で賃金がカットされこのままではいけないと隣町へカードゲームで稼ぎに行くようになったダイス。
そんなダイスが心配で、テオの申し出もあり彼を見張りのような形で一緒に隣町に行かせるようになるのですが、ある日テオがしくじってマフィアにつかまってしまいます。
身柄を引き取りにいったキヨとダイスですが、キヨにボスが目を付けて彼を愛人として囲う為に引き離されてしまいます。
愛人として生活して1年後、ボスの娘サラからダイスがマフィアのソルジャーになったと聞かされるのです。
この娘はダイスに執着しているようでした。
そして5年後・・・ダイスとサラの婚約を知らされるキヨでしたが~

キヨ視点で進行します。
マフィアのボス・デステはサデイストで、キヨが綺麗な顔をゆがめて嫌がったり痛がったりするのを楽しむ男です。
キヨは体はデステに奪われても、ダイスとの誓いを胸に愛人の生活を過ごしています。
何の力もない彼等には、時が過ぎるのを待つしかないのです。
そして、水原作品には珍しく女性の存在がかなり重要になります。
彼女がダイスに持つ執着、これがデステがキヨに執着するように仕向け、自分はダイスをモノにするという、実にマフィアの娘らしい狡猾ででしたたかで浅はかな女性として描かれておりました。

ダイスはキヨをとても愛しています。
この二人の想いが一途に貫かれています。
そして、彼等の弟分であるテオの存在も欠かせません。
テオもキヨを慕っていましたので、彼等の3Pがありますが、キヨが触ってやるだけで挿入など肝心はダイスとしかしておりません。
しかし、ダイスはもし自分が亡くなったらキヨの体が寂しいだろうから抱いてやってくれと言っております。
ラストについては、クライマックスについては言及しますまい。
死が二人を分かつまで、死んでも尚一緒に。。。
こういう作品が許されるのは限られた作家さんのみと思います。

19

瞑目する美女の顔に惹かれて選びました

小山田あみ さんの描く表紙のイラストは、物語のダイジェスト版
表紙の黒髪の麗人は、キヨ。隣の美男子はダイス。下は弟分のテオ。
物語の構成が上手できちんと組み立てられてます。
悪い方にしか展開しないからみあう人間模様。バッドエンド、痛くて重いお話でした。

家人の診察付き添い、待ち時間の御供に選んだ一冊ですが、
病院で読む内容じゃなかった、暗すぎる。
明るいハッピーエンドを心がけて作品を選んでいたんだけど、これはハズレ。

ダイスがある日、マフィアのボスの娘・サラを助けたことから不幸が始まる。
一目惚れしたダイスを手に入れたくて、ボスの娘・サラは父親を唆し、キヨを奪わせて執着させる。
恋人を取り戻したくて、策を練り機会を狙うダイス。
最悪な方法でキヨを取り戻した後、逃避先でジワジワ追い詰められていく3人。

キヨとダイスの心の結びつきは、ダイスが思う以上に深かった。
恋人を目の前で暗殺されたキヨは「生きろ」と言い遺されても、キヨはテオとは生きていけない。
墓前で、眠るキヨの心は、ダイスと共に既に死んでいたんでしょう。

墓前のキヨを見つけたテオは、恋人ダイスの代わりを務めた弟分。
キヨは後を追うつもりでいたなら、テオを抱くべきじゃなかったと思う。
テオじゃだめだと言うのと同じなので、テオの予後をダメにしてしまう。
死ぬときは三人一緒だと誓いあった仲だから、テオが後を追わないか心配。

あとがきに、「これしか無い終わり方」ってありましたが、ホントにこれしか無かったの??原稿を期日までに仕上げる作業的には、アレしか無かったってことかな?

虚しい。
結末が不幸な創作物は 趣味じゃない です。

---
ボクシング・デー( Boxing Day)
英連邦でよく見られる、キリスト教に由来した休日(public holiday)。
寄付を募った「箱」の “box” から来ている「バーゲンの日」

1

badでもhappyでもない

小山田あみ先生のイラストがとても綺麗です。
水原とほる先生の作品も嫌いじゃありません。

ダイスが殺される所は、無理矢理だった気がします。
死を二人が分かつまでだから、どちらが死ぬのは良いと思います。
私がそう思うのはダイス達が逃げてる組織ではなく、別の組織に殺された為ですが…テオから北部の連中だとゆう説明はありましたが、ダイスが死にかけてる時にそんな事いきなり言われてもって感じでした。
ダイスの話をもうちょっと読みたかったですね。
マフィアに入るにしても、いろいろ葛藤とか合ったと思うんですけどね…。
デステ暗殺計画とか?

デステがキヨにした酷い仕打ちや、身体にピアスを7箇所も開けられてるらしいので、そのシーンとかも盛り込んで良かったのでは?
あの時、脱走を試みたけど捕まって酷い仕打ちをされプライドも何もかも失ったとゆう部分がありますが回想シーンみたいになっていてかなり省略されてる気がするので普通に組み込んで欲しかったです。

デステの心情も全く分からない。
娘に言われたからキヨを飼ってるだけ?
キヨの身体が良い 顔が良いとかだけだったとは思えない節もあるので…もっと、キヨの心も手に入れたいとゆう苦悶とかあっても良かったのではと思います。

キヨがダイスのお墓の前で死ぬシーンはこの流れだとありだと思いました。
永遠に離れず2人きりになれたのです。
今度こそ、幸せになって欲しいと思います。

ダイス キヨ テオの3人のキャラ好きです。
デステも割と好きです。
どうせなら、上下で出して欲しかったです…。
私にはなんか詰め込み過ぎ感がありすぎます。




7

ラストの解釈が難しい

途中まではとても惹きつけられたのですが
ラストがどうしても腑に落ちず、評価に迷う作品でした。


東洋と西洋の交差点にある寒い国で生まれたキヨとダイス。
僧院に併設された孤児院で兄弟同然に育った二人はやがて自然に愛し合うようになる。
しかし弟分のテオがマフィア相手にスリを働いたことと、
ダイスに執着するマフィアのボスの娘の策略により
キヨは連れ去られ、ボスの愛人として監禁生活を送ることに。
黒髪を金髪に染められ、体中にピアスを入れられ、心身ともに陵辱される日々。
壮絶なのに、感情を失ったかのように淡々とそれらを語るキヨが怖いし痛ましいです。

しかし、マフィアとなったダイスとテオとの再会で、再びその心が動きだします。
5年待ってようやくキヨを救い出し、三人は組織から逃亡。
その後1年、2年と、流浪者のように町を渡り歩く。
そして、「真夏のクリスマス」の国へ行くことや、
小さな居酒屋を営み三人で静かに暮らすことを夢見る。
穏やかな時間のはずなのに、そんな繊細な夢が今にも踏みにじられそうな気配が漂いすぎていて、だからこそ、彼らのささやかな幸せがとても愛おしく感じます。


彼らは強い絆で結ばれていると思っていたのですが、ラストは…?
ダイスの件は仕方ないとして、その後の結末がどうも腑に落ちませんでした。

あれだけキヨが生きることを望んでいたダイスが、
キヨの涙一つ(と、時節柄)だけで今更現れる意味が分からない。
寂しさに負けて生を放棄したキヨの見た幻かもしれませんが、どちらにせよ、今までの三人の誓いや、生前のダイスの言葉は何だったのかと虚しい気持ちになるガッカリエンディングでした…。
あれでは約束を守った挙句取り残されたテオへの同情と、結局二人さえ良ければいいのかという戸惑いしか残らず…美しい悲劇とも思えないし、祝福する気持ちにもなれません。
これしかなかった、とあとがきにありますが、個人的にはそうかなぁ…?と。
「死がふたりを分かつまで」という言葉通り分かたれたまま、キヨがダイスに生かされた命を真っ当するラストの方が愛を感じられたし、物語としても重みを感じられた気がします。

11

幼い時の誓いを胸に愛する者と永久に

孤児として育ち、その中で生涯、死が二人をわかつまで共にいる事を誓い合ったが
大切な方翼であるキヨをマフィアボスの愛人として奪われたダイス。
そこから5年もの間二人は理不尽な力で引き離され、切なく苦しい時を過ごす。
二人が共に約束を心の拠り所にしながら生き続ける。

そもそもがマフィアボスの一人娘に好かれてしまったダイスの不運が、キヨの運命も
ダイス自身も、そして、二人が弟として可愛がるテオをも巻き込む内容です。
下に恐ろしきは女の執着と嫉妬をまざまざと感じさせる内容です。
感動的かと問われればそうだと言える作品で、痛さや重さばかりが先立つ内容では
無いのですが、感じ方の違いでしょうね。
どうしてもこのラストに向かう展開が個人的に好きになれない。

ラストに向かうと言うより、ダイスの死がダメダメだった、エピローグ前のやり取りは
個人的にはある種のキヨの幸福を見た気がして切ないながらも心惹かれる流れ。
一時の幸福が見えただけに切なすぎるが、二人が死を分かつまでが、死をも二人を
引き裂く事が出来なかったと思わせる展開は純愛の様で心に沁みます。

テオにとってはまさに青天霹靂状態だと思うけれど、きっとこうでなければ
キヨはいつの日かどこかで壊れていたかも知れないと感じる。
名作劇場のフラン○ースの犬のように、死んで幸せになるような精神的な幸福論は
どうしても好きになれない、これは単なる個人の趣味の問題で内容的には
素晴らしいストーリーなのだと思うが、ハッピーエンドをこよなく愛する私には
楽しむ事が出来ない作品でした。

9

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