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表題作猫とパン屋といじっぱり

ベーカリーショップの店主 高城雅人 29歳
動物好きな遠縁の従業員 十和田悟 21歳

その他の収録作品

  • 猫は見ていた
  • あとがき

あらすじ

商店街でパン屋を営む高城雅人は、唯一の従業員で遠縁の十和田悟が捨てられた犬や猫を放っておけず連れ帰ってしまうのを心配していた。古い借家で暮らし、給料の大部分が猫達のために消えてしまう悟に高城は里親を提案する。だが悟は一緒に面倒を見てくれるお嫁さんを作ればいいと合コン参加を決めてしまう。悟に彼女…と想像するだけでなぜか面白くない高城は相手の女性に失礼だといかにもな理由をつけて合コンに参加し……。

作品情報

作品名
猫とパン屋といじっぱり
著者
浅見茉莉 
イラスト
上田規代 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778115654
2.1

(6)

(0)

萌々

(0)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
4
得点
10
評価数
6
平均
2.1 / 5
神率
0%

レビュー投稿数4

ヘタレで鈍感パン屋さん

一般的な家庭とは違うけれどアットホームな動物込みの家族ものでしょう。
負債を抱えて蒸発と変わらない状態で両親にひとり残された悟が親戚を頼りながら
最終的に来た場所が一応親戚筋ではあるが他人とほとんど変わらないパン屋さん。

そこにはたった一人の父親を亡くし、同じく一人で暮らしながら亡き父の跡を
引き継いだ雅人がパン屋をしていて、身よりも頼るあてもない悟を
何故か初対面から保護欲を抱かされ、未成年の悟を引き取り同居。

しかし、高校も卒業したことで独り立ちしたいとパン屋の2階の空き部屋で
一人暮らしをすることになった悟ですが、子猫を拾ったことで、
雅人にパン屋では飼えないと言われ、またしてもペット可の古びた貸家で
暮らすことになり、まるで寂しさを紛らわせるようにワンコにネコ三匹も拾い
まるで動物家族のような生活をしている。

雅人のマンションを3年前に独り立ちを理由に出た悟ですが、実はその時から
片思いしていて、そんな悟の気持ちにも気がつかなかった雅人ですが、
最近は雅人が悟のことが気になって仕方ない流れです。

自分の気持ちに気がつかないから、動物の面倒を見て協力してくれる相手欲しさに
彼女を合コンで作ろうとしている悟の邪魔&監視をしたり、自分の学生時代からの
友人でゲイの獣医が、悟を可愛いと言ったことで焦ったりと、保護者的な意味で
悟が気になると思い込もうとしている。

でも、ある日先住ネコと相性が悪いと思われる新しい猫を行きがかりで預かることになり
それがきっかけで再び悟が雅人のマンションに猫の様子を見に来るようになり、
雅人がうたた寝している時に悟からキスをされたことで、次第に関係が変わり始める。

特別大きなアップダウンもない、ほのぼのした家族愛的な作品で、
そこに動物の愛らしい感じを取り入れての作品です。
のんびり読む時間があるときにでもと言う作品ですね。

3

年上が年下に対して不安になる話

 商店街でパン屋を営む高城雅人は、両親に捨てられ遠縁の自分を頼ってきた十和田悟を従業員として雇った。
 ところが、悟が捨てられている犬や猫を引き取り育て始めたため、衛生的な問題からパン屋の二階でそれは認められない! と伝えたところ、悟は家を出て、自分でアパートを借りてしまう。
 そんな悟が、「ペットの面倒を見てくれる人」として、合コンに参加して彼女を見つけようとしているを知り、平常心を失ってしまう。
 また、そこにかつてクラスメイトで同性愛者である大沢が悟と接点を持っていることで、ますます雅人の不安は募っていき……という話でした。

 お互い好き同士の二人が、ペットのことがきっかけですれ違い、最後は気持ちを確かめ合ってハッピーエンドでした。
 BLものとしてはよくある、年上が年下に対して「恋愛ってものがわかってるのだろうか?」という不安になる話でしたけど、その不安が的中しているのがうまく描けていて、イライラしない作品になっていたので、よかったと思います。

0

優しいひとたち

攻め視点で展開される物語。
すでに愛情の片鱗が存在する状態から始まる為、色々な要素も二人の関係と想いのボタンが掛け違うような展開を中心に据えて、まとまるまでのストーリーでした。
受けの飼っている猫や犬など動物に関する出来事が物語を動かしているような?

正直、このレーベルについて読ませる物語が多いとの期待値が高かった為、文字の行間の幅の広さと、あまりにあっさりと行ってしまうライトさに若干とまどい。
これが受け視点だと、また違ったものになるのかな~と。
そう考えると、この攻め視点のほうがよかったのか?微妙なところを感じます。

以下、おもいきりネタバレ


ベーカリーショップを営む父親を失くし3カ月が経ち、一人で店を継いでいる雅人の元に、親が事業に失敗して夜逃げしたらしく祖母の葬儀で一度会った事も覚えていないほどの遠すぎる遠縁の高校3年生の悟が頼ってくる。
悟に庇護欲をかられた雅人は彼の保護者として彼の面倒をみることにし、以来、悟はベーカリーショップの従業員として働いて店も順調で3年後の事。
捨て猫を拾ったのがきっかけで、食べものを扱う店で動物は飼えないという雅人の反対で、悟は古い一軒屋を借り雅人の元から離れ現在3匹の猫と1匹の犬と共に暮らしている。

きっとタイミングだったのでしょう。
父親を失くして家族がいなくて寂しい雅人と、家族が離散して放り出された形になった寂しい悟。
何かにつけて雅人は悟をとても気にしています。
店に来る女子高生にメモを渡されたとか、合コンに行けばフォローしたり、最初は弱い者を守りたいという庇護欲だったらしいですが、はっきりと家族愛でも弟として見ているでもなく、特別な存在として見ている事を自分でうすうす感ずいています。
店があるから動物が飼えないということで悟が出て行ってしまっても、雅人自身も動物を嫌いでないのもあって、何だかんだと手伝ったりしてます。
ゲイだという獣医の大沢がやってきたことで、ちょっと悟が大沢に懐くのとか、大沢が悟に親切にするのに軽いヤキモチをやいてみたり。

それが動くのが、最初に悟が寝ている雅人にキスしたこと
次に悟が拾った仔猫がケンカしたらしく怪我をしたことで里子に出したほうがいいかもという話が出た事。
里親名乗りの女性と雅人の関係を悟が誤解したことと、ケンカ騒動がハクビシンだったことからまとまります。

初めて悟が寝ている雅人にキスしたとき、雅人が気がついて先に進もうとして悟がにげちゃいます
「また、今度ねー」って。
その後、その件についてはうやむやになっちゃって、最後の心情吐露でわかる設定。
意地っ張りという性格設定なようですが、その意地っ張り具合がちょっぴり弱くて分かりづらかったかも?

雅人が悟を保護したのも捨て猫を拾ったようなもの?
悟が捨て猫や犬の面倒をみるのも、彼なりの自分と同じような立場と思った気持ちでしょうか?
推測すれば、きっと心仲にそういう寂しさがあってしかりとは思うのですが、そう言う点には全くふれていません。
過去は過去、今は今。そういった割り切りがこの物語ははっきりしてるような気がします。
番外が、悟が拾ったミケという猫の視点で悟や二人を観察した回想話などになっているのですが、それも悪くはないですが、悟サイドの気持ちの話しだったらもっと悟のキャラクターに深みがでていたんじゃないかな?とおもうのです。

3

鈍感な保護者が恋に目覚めるまで

読み始めから微妙かなと思ったんですが最後まであまり楽しめませんでした。

可愛そうな身の上の遠縁の少年を自分の店に雇い生活を共にするうちに、いつしか守ってあげなければならない存在からそばに置きたい存在になっていき、やがて恋しく思う存在へと変化していく心優しいパン屋さんのお話。

悟は拾ってきた猫を自分の身に置き換え、食べ物屋で動物は飼えないという雅人に対して自分もいつしかいらなくなったら捨てられちゃうのかな…と悲観して同居していた家を出て一人暮らしを始めるのです。その考え飛躍しすぎてよくわかりませんでした。
雅人視点なので悟の心境がわからないせいかもしれませんが、突飛な言動ばかりが目立つ不思議ちゃんみたいでした。

その後も出会った捨て猫や犬を次々拾ってきて飼い始めるのですが、大した世話もできないのにどんどん増やしていくだけなのは無責任でかわいそうな気がします。だからと言って見捨てておいたほうがいいとはいえなのですが。そのうち猫屋敷化しそうです。

雅人の友人の獣医師が、ゲイなのですが、二人の恋心に気が付いて"何故にわからないかなー"と焦れて手を貸してしまうところが面白かったです。
悟に気があるのか?と嫉妬してしまうところとか。
でも、「どっちかというと雅人のほうが好み」なんて言われてしまって絶句するところなども。
この獣医さんの恋バナなら面白くなりそうです。

蛇足ですが、動物は好きなのですが、なぜか動物が前面に出てくるBLは相性が悪いみたいんで…
好きな作家さんで他の作品は大好きなのに、ぱっと思いつくところで
妃川螢さんの『猫のキモチ』『猫のキモチ』、夏乃穂足さんの『くろねこのなみだ』とか、古いですが真崎ひかるさんの『獣な王様?』は私的には萌えない作品でした。
でも逆に、『バカな犬ほど可愛くて』(英田サキ)『犬ほど素敵な商売はない』などペットシリーズ(榎田尤利)『拾い犬』(火崎勇)『犬と小説家と妄想癖』(高遠琉加)みたいに実際動物は出てこないものは萌え×2とか神作品に評価したい作品が多いのが不思議です。

0

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