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表題作甘い誘拐犯

桐生慎、稔吏を連れまわすよう依頼された男
茅野稔吏、祖父の創業した製菓会社の跡取者24

その他の収録作品

  • 初デート

あらすじ

大手製菓会社の跡取りである稔吏は、端整な顔立ちをした謎の男に誘拐される。男の名は桐生慎。誘拐を依頼した人物に引き渡されるまでの数日間、稔吏は彼と行動を共にすることになった。はじめは桐生の乱暴な物言いに腹を立てていた稔吏だが、一緒にいると不思議と心が休まり、興味を抱くようになる。そんな時、からかいまじりに始まった桐生の愛撫に、稔吏の身体は淫らに反応してしまい…。
書き下ろしSS収録。

作品情報

作品名
甘い誘拐犯
著者
真崎ひかる 
イラスト
ざいん 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778127206
3.6

(15)

(2)

萌々

(7)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
54
評価数
15
平均
3.6 / 5
神率
13.3%

レビュー投稿数6

BL版「ローマの休日」

ショコラノベルスハイパーの文庫化、2004/10/10、これは未読。
新装版は、ざいんさんの絵。

今作が初読みの作家、真崎ひかるさんは、同人誌出身/賞歴無し
恋と癒し、がテーマ?の作家らしいので、他も読む予定。


--「恋の効能」で、感情を覚える御曹司。「マイフェアレディ」の逆バージョン

●茅野 稔吏:24才 母似 人形のような美貌の箱入り御曹司。
大手製菓 会社『 KAYANO』後継者。
政略結婚した元華族の母は、別居中。

●桐生慎:上司命令を受けた誘拐犯(?) 稔吏に恋をしてしまう

★書き下ろし「初デート」
依頼を受けた業務の筈が、二人とも本当の恋に落ちてしまう。


★あとがきで興味を引いた所
「ノベルス時のレーベルが【濡れ場の回数& ページ数】にお約束のあるものだった」・・絡みが少ないと注意された

冒頭は誘拐依頼。そして桐生の登場。そのまんまで、伏線の仕込みは複雑ではない
逆に複雑に想像して、混乱してしまった。 

0

しっかり者の無知受け

 一般常識や世間のことを知らなすぎる受け。
 最初は缶コーヒーの開け方や自販機について聞いてたけど、攻めにぽかんとされてから、無知を恥じるようになって知らない言葉や物が出てきても聞かなくなるのがいじらしくて可愛い。
 最初は反抗的だった稔吏も、日が経つに連れて桐生に依存していく。拒否ばかりだった性的な接触も、桐生に心を開いてからは自分から誘うようにもなる。
 受けのキャラクターが年齢と性格がマッチしてなくて新鮮だった。(若いのに一人称が「私」とか、年寄りみたいなかたい喋り方が)
 余談ですが、子供が稔吏のことを呼ぶまでネンリって読んでました。

0

敷かれたレールを外れてみたら

今回はある人物の依頼で受様を誘拐して連れまわす謎の男と
祖父の創業した製菓会社の跡取者である御曹司のお話です。

誘拐犯と被害者であるはずの2人が恋人になるまでとその後日談を収録。

受様は大手製菓会社の創業者を祖父に、現社長を父に持つ御曹司です。
旧華族という血統を求めて政略結婚した母は、受様が小学生の時に実家
に戻り、以来1度も顔を合わせた事がありません。

受様は凄絶な美貌を誇った母からその美貌を受け継ぎますが、無気力な
目や表情のなさが心のこもらない人形の様だと評されています。

受様は一人息子として厳しく躾けられて育ち、大学卒業後は父の補佐的な
立場で働き始めます。しかし2年たった今でも、取引先に同行しても求め
られる事は相手に関する知識や跡取りとして顔を売り込む事であり、まだ
まだ雑用すらも任せられない半人前として扱われていました。

そんなある日、取引先を訪問した父が忘れ物を取りに戻ったわずかな時間
に受様はサングラスで目元を隠した見知らぬ男に拉致られてしまいます。
この誘拐犯こそが今回の攻様になります♪

子供の頃から誘拐に備えて教えを受けていた受様は、自分を探すだろう
祖父や父の助けを待つために犯人に逆らわず、刺激しない事が1番だと考え、
抵抗する事なく攻様に従います。

攻様によれば、攻様は依頼主から受様を誘拐して引き渡すまでの数日間を
連れ回すよう依頼されているらしく、傷つけたり、危害を加える気はない
と言います。

スマホを捨てられ、単独犯らしい攻様の大型四輪駆動シャ車に載せられた
受様はシートベルトに手錠で繋がれます。攻様は人間1人を拉致したように
は思えないほど冷静に車を発進させて都内を走り、首都高速から東名高速
へとどんどん南下していきます。

攻様の大胆さにあきれる受様でしたが、攻様も落ち着き払っている受様に
呆れるような態度を取ります。

受様を拉致を依頼した人物の狙いとは!?
受様は無事に助け出されるのか!?

旧レーベル版に加筆修正を加えて書き下ろし続編を加えての文庫化です。
大企業の御曹司である受様が謎の男である攻様に攫われる誘拐騒動の顛末
を描いたお話になります。

あらすじから大企業の箱入り息子である受様が、何か恨みを買って攻様に
誘拐されていろいろされるのかな!?と思ったのですが、攻様自身は依頼さ
れた目的に沿って動いているだけで、受様が命を狙われるとか、危険な目
にあって命の危険にさらされるという事はありません。

とっかかりは全く違いますが、ローマの休日のアン王女のごとく、庶民の
事を何も知らない受様が攻様に連れ回される事でいろいろな経験を積み、
沢山の初めてを知り、心を動かされていくお話でした。

攻様の目的も判らずに振り回される中で受様が徐々に変化していく様が
なかなか楽しく、攻様の依頼主の登場により誘拐劇の狙いと攻様の関りが
暴露されてからさらにハラハラ&ドキドキで2人の恋がハッピーエンドを
迎えるまでどうなるのかとワクワク読ませて頂きました。

受様は社会人2年目の24才なのに、あまりにも箱入りお嬢様な受様は
高速の公衆トイレで気分が悪くなったり、車中泊や缶コーヒーやコンビニ
おにぎりに驚いたりと、初版のでた15年前ならともかく、今の時代こんな
跡取りで会社は大丈夫なのか!?とか思わないでもない設定です。

まぁ、たぶんお仕事面ではでは会社にとっての損得を冷徹に現状分析する
くらい"私的"な感情は無いという事なのでしょうね。

実際この物知らずぶりがこのお話の肝であり、誘拐騒動の動機にも絡まって
いますし、天然過ぎて高慢な受様というのは真崎作品でよく見るタイプの
受様なので、世間ずれはしていても受様の思考も言動もそれほど不自然な
事もなく読めます。

攻様も面倒見の良さを見込まれての依頼でしかたなく請け負った受様の誘拐
でしたが、受様の人となりを知る事でその純粋さと可愛さにツボってしまう
のも、それほど無理な展開ではないかなとは思いますけど、このあたりが
かなりモヤモヤ~としたので今回は「萌」評価にとどめます。

受様が攻様との付き合いで人間味を帯びた事で今後の仕事面は良い影響が
出て良い社長になる、とか、攻様みたいに受様を支える良いブレインが
いけば大丈夫、という終着点なのかな (^-^A

今回は拉致監禁繋がりで吉田ナツさん『Home,sweet home.』はいかが
でしょうか。攻様が受様事情で監禁されるお話になります♪

1

悪気無く高慢

思いのほか好きなテイストのお話で嬉しかったので萌よりですが萌2にしました。受けがすっごく好きだった本編220Pほど(2004年の作品を加筆修正)+書下ろしの後日談22Pほど+あとがき。

祖父が一代で築き上げた大手製菓会社で社長の父の側で働く稔吏(みのり)。ある日父とその秘書が側を離れた隙に見知らぬ男に連れ去られます。幼い頃からの教えに従い、抵抗せずひたすら助けを待つという姿勢でいたのですが、車中泊やら、壮絶な香り漂うトイレでの用足し等、今までに体験したことのないことの連続で、普段はあまり見せない感情をあらわにしはじめ・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
受けの父、その秘書ぐらいかな。少ないです。

**好きだったところ

受けがめっちゃ好き。高慢で感情のないお人形みたいな人で、缶コーヒーを知らなくてプルトップを開けられなかったり、公衆トイレに入って香りでふらふらになったり、コンビニおにぎりを食してシーチキンマヨネーズに感動したり・・といちいち可愛い!!!!庇護欲をそそるくせに、悪気無く高慢!一番笑ったのが、ウィークリーマンションに入って一言「うちのドーベルマンの犬小屋より狭い」!お坊ちゃま最高でございます。

攻めさんは大物わんこ。根性座ってます。そんな二人がローマの休日よろしく、短い間に恋に落ちるというお話です。最後、会社でいたしてしまったり、いやそもそもこんな短期間でノンケと思われる二人で出来上がんなよとか、色々つっこみたくなる箇所もあるのですが、とにかく受けが面白く可愛すぎました!

高慢さんがお好きな方に是非~とおススメしたい一冊でした!良かったー。

2

変わった形の連れ回し

2019年刊。
サスペンス調の話かと期待していたのだが、いざ読んでみて想像と180度違ったトーン・内容でも気持ちを切り替えて楽しめた。
初出は2004年刊のショコラノベルズHYPER(*従来のショコラノベルズよりエロ強化したものらしい)だが、それほどエッチシーンはどキツくないので読み易いと思う。

製菓会社社長の父親の補佐に就いている稔吏(みのり)は、いきなり見ず知らずの男に誘拐されてしまう。
その男・慎は誘拐を指示した依頼人に稔吏を引き渡すまで数日間連れ回し、別段脅したり危害を加えたりする訳ではない。
初日からして、逃避行最中の連れ回しではっきりとする稔吏の箱入り息子ぶり、目にした事のない一般生活を味わっていく様子が伺える。
誘拐されている身である肝心の稔吏が、犯人であるはずの慎を恐がるどころか意気投合しているし、慎が優しい男だとすぐに分かるので、事の真相が安易に想像がついてしまった。

周囲から人形のようだと形容されている稔吏だが、今まで経験した事のない連続で逆に活き活きしていく。
慎とのふれあいから直ぐに素を引き出された彼は、高飛車な物言いでも全然トゲがないし、可愛げがありすぎる。
元から複雑な性格でもないのに周りに馴染めなかったのは、家庭環境から抑え込まれた無気力無関心が原因だってのに、社長(父)よ…
まぁ息子がそうなってしまった責任を親としてひしひしと感じていただろうから、こんな計画を立てたんだろうけどさ。

今回の連れ回しから良い方向に変わって、生活の彩りを実感した稔吏が次期社長となっても、慎にはその優しさで彼をずっと支えていてほしいね。

3

優しくほろ苦い、四日間だけの誘拐劇です

誘拐犯とその被害者の、逃避行とも言えるような濃密な四日間ー。
それを優しくあたたかく、そして切なく描いた作品になります。

これ、誘拐犯である攻めの視点も入っているので、最初から痛い展開なんかは心配しなくていいんですよ。
二人の四日間と言うのは、とてもあたたかくて優しいものなんですよ。
それなのに、何故か切なくて、少しほろ苦い・・・。
この時間が限られた短いものである事が、当の二人にも読者にも分かってるんですよね。
それが、刹那的で悲しい気持ちにさせるんでしょうか。

あとこちら、2004年にノベルズで刊行されたものに加筆修正、更にSSを書き下ろしての文庫化になります。
旧版は未読です。
15年も前の作品なんですけど、全体的な雰囲気としては古さと言うものを感じませんでした。
ただ、主人公の世間知らずっぷりがですね、今の時代だとやや苦しい気がするんですよね。
15年前だとそれほど不自然じゃないとは思うんだけど、今はネットにスマホにと簡単に情報が手に入っちゃうしね。
とは言え、この「世間知らず」部分が、後々萌えの重要なファクターになってくるのも事実なんですよ。
まぁそんなワケで、このへんで引っ掛かっちゃいそうな方はご注意下さい。


内容ですが、謎の誘拐犯・桐生×被害者で御曹司・稔吏による、優しくほろ苦い四日間の誘拐劇になります。
個人的には、ロードムービー的な印象でした。

大手製薬会社の跡取りである稔吏。
ある日、謎の男に拉致され、彼と共に過ごす事になります。
桐生と名乗ったその誘拐犯によると、この誘拐を依頼した人物に引き渡すまでの数日間を、彼と共に移動するとの事なのですね。
最初こそ桐生の乱暴な物言いに腹を立てていた稔吏ですが、彼と共に過ごす時間を楽しく思い始めー・・・と言うものです。

こちら、一番の見処ですが、主人公である稔吏の変化と、二人の濃厚な「四日間」だと思うんですけど。

そもそも稔吏ですが、感情の起伏が乏しく無感動な人間と言うのでしょうか。
う~ん・・・。
無気力な人間と言うか。

で、そんな稔吏を誘拐した桐生。
彼は依頼人に引き渡すまで、稔吏をあちこち連れ回すと言う役割を与えられています。
こちらはちょっと雑な部分はあれど、思いやりがあり面倒見のいいタイプで。

個人的にですね、真崎先生でこの主役二人のキャラだったりストーリーがとても新鮮で。
こんな正反対のタイプである二人が、非日常の状態で共に過ごし、心を通わせてゆくと言うのがメインになるんですね。

これ、稔吏は無感動な人間であると共に、めちゃくちゃ世間知らずで箱入りなんですよ。
缶コーヒーを飲んだ事も無ければ、コンビニのおにぎりを食べた事も無い。
そんな彼が桐生により、これまでにない様々な経験を重ねて行くー。
高速道路のSAで眠り、ウィークリーマンションやコテージに泊まり、何故か牧場に寄ったりして動物と触れあったりする。

う~ん・・・。
無気力だった稔吏が、笑顔だったり顔を赤くする等の人間らしい表情を見せ始めるのが、なんだか和むんですよ。
また、彼は実はとても素直で真っ直ぐなんですよね。
駆け引きなんかは一切無しで、素直な気持ちをストレートに出してしまう。
これがもう、計算なんかが無いだけに、すごく可愛くて凶悪。
普段無表情なだけに、素直な笑顔を見せて「ありがとう」とか言うだけで、すんごいギャップで悶えてしまう。
ついでに、桐生がそんな稔吏にノックダウンされちゃって「可愛すぎるだろ・・・」とかやってるのにもニヤニヤしてしまう。
いや、誘拐犯と被害者なのに、なんて甘い・・・!

と、少しずつ少しずつ心を通わせて行く二人。
しかし、二人が共に過ごせる時間は限られているんですね。
また、この誘拐劇の首謀者の狙いはー?
と、切なくほろ苦い展開が続きます。

これ、申し訳ないんですけど、オチは拍子抜けでした。
いや、悪くはないんですけど、アッと驚かせてくれるのを期待しちゃってたので。
ここだけちょっぴり残念。

ただ、その後の展開がとても素敵なのです。
この四日間で、稔吏の中で変化したものー。
そして、非日常から日常に戻った中でも、再び愛を育む二人。
いや、タイムリミットが迫ってくる中で、何もかも投げ捨ててとまで願う稔吏が切なかったんですよね。
やりきれない心地になったんですよね。
こうしてハッピーエンドで、本当に良かったよ!!と。
まぁ、桐生はちょいヘタレだと思うけど。
ちょっぴり情けないと思うけど。
その分、稔吏が強くなったから大丈夫だろうと!

最後になっちゃいましたが、ざいんさんの挿し絵がイメージぴったりでとても素敵でした。
世界観にピッタリの挿し絵って、作品を更に魅力的にしてくれるんだなぁと、改めて思ったりして。
ホント、ほろ苦く優しい作品のイメージにピッタリの、美しくてスタイリッシュなイラストでした。

9

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