てんてん![]()
本品は『色悪作家と校正者の多情』のコミコミオリジナル特典小冊子です。
本編後、雛祭りの日のお話です。
雛祭りの日、西荻窪の鳥八にて。
カウンターの奥に座った塔野は左隣の東堂の粋な着物姿にうっとりと見惚
れていました。東堂が久しぶりに受けたインタビューで用意されたのは
いかにもなこの衣装でしたが、存外気に入り、塔野に見せたくて来て帰っ
て来たというのです。
明治大正の文豪のイメージらしく、最初は断ろうとした東堂でしたが、
羽織ってみたら気に入ったと言います。そのまま2人は明治大正の文豪
談議に花を咲かせます。
調度その頃。
テレビ局のスタジオで行われたドラマの制作発表で冬嶺と塔野麗子が顔を
合わせていました。最近、麗子が落ち着いた色合いの着物を好んで着ている
ことを話題にした冬嶺に、麗子は冬嶺の過去の男が理由だと微笑みます。
麗子は冬嶺の昔話をききたいとホテルのバーへと誘い・・・
A5判カラー表紙(文庫カバー同イラスト)2段組12頁というボリュームで
東堂と塔野、麗子と冬嶺が語り合うお話です。
東堂達は明治の文豪たちの写真から着物の似合う文豪の話から、小林多喜二
の話となります。東堂は彼が一番好きな作品を書いた作家だと言い、塔野は
多喜二に大吾が重なって見えてきます。
一方、麗子と冬嶺は東堂がどんな恋人だったのかという恋バナで盛り上がり
ます。年下の何もわからない少年のような無鉄砲な男の子に、いろいろ教え
て楽しんでいたと言いますが、成功体験が1度もないのに、挑んでくるところ
にイライラさせられたと言いながらも、東堂のプロポーズで心が揺れた事、
彼が結婚すると言わなければいつまでも一緒にいたかもしれないとも語ります。
2組の語らいを交互に見せる事で、東堂の過去の恋と塔野との恋との対比が
みせられる面白いお話でした。
年上故に隠されていた冬嶺の心の内は東堂は勿論、塔野にも知るべくはなく。
本編では読み取れないという意味ではとても楽しかったですが、このシリーズ
の番外はほぼ文学談義なのですよね。
ワザというか意識的に題材を選ばれているのだとは思いますが、もう少し色ぽい
展開もたまには読みたいな (^_-)
※他店舗特典(レビュー済)
フェア店特典は篠田の苦労話でになります。
