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海野先生の、ポジティブで根底に優しさがあるような作風が大好きでして。
今回も楽しみにしてましたよー!!
で、こちら、オカルトBLになるんですかね。
家賃の安さに釣られて幽霊アパートに引っ越してきた主人公。
彼が、深刻な霊障に悩まされるイケメン隣人と共に、知恵と勇気と愛で怪異に立ち向かうー。
と言った、痛快なオカルトラブコメになると思うんですけど。
ちなみにですね、オカルトだけどあんまり怖くないです。
だって、海野先生の文章なので、ゾッとくるような湿っぽさと真逆ですもん。
怪異に「夢子」とか名付けちゃってと、思わずプッとくるコミカルオカルトなんですよね。
と、すっかり油断してたら、書き下ろしの後半でゾクリとさせられたけど。
これ、「ありえるかも」と言う、心の奥底にある不安をくすぐるヤツですよね。
ザックリした内容です。
家賃の安さに釣られ、とあるアパートに引っ越してきた友春。
安いのにはワケがあり、引っ越し当日から霊障に悩まされる事になるんですね。
そこで、霊障に平然と対処する隣人でホラー小説家・御影と親しくなりますが、実は彼は、2年も前から深刻な怪異に悩まされていてー・・・と言うものです。
まずこちら、主人公の友春ですが、ゲイで童貞です。
えーと、初めて出来た恋人(詐欺師)に貯金を騙しとられ、その上会社にゲイバレしてストレスから身体を壊し、安アパートに引っ越さざるをえなくなったと言う、ちょい不幸な青年でして。
いや、これだけ読むとアホかと思われるかもしれませんが、お人好しなだけで、勇気も思いやりもある好青年だと思うんですけど。
で、そんな彼のお相手になるのが、肝の座った頼りになる隣人・御影。
彼はですね、引っ越し翌日に青い顔で部屋から出てきた友春に、ここが幽霊アパートだと語る。
そして、怖い時はうちにくればいいと、気さくに声をかける。
と、そんなワケで、友春が御影の部屋に入り浸るようになるんですね。
いやこれ、御影ですが、イケメンで怪異にも全然動じずと、すっごく格好いいんですよ。
また、友春が会社を辞めざるをえない状況に追い込んだ、まさに偽善者と言った同僚。
ヤツを、気持ちよく撃退してくれたりもする。
そう、器の大きい包容力攻めなのです。
で、面白いのがここから。
アパートで起こる怪異ですが、実は御影に取り憑いてる霊「夢子(御影命名)」の仕業だったんですね。
夢子により、眠ると夢の中で殺されそうになる御影。
夢で殺された時が、現実でも死を意味するんですね。
しかし、友春がそばに居る時だけ、何故か夢を見ずに眠る事が出来る。
その為、友春に一緒に寝てくれるように懇願し・・・と続きます。
何故、智春が居ると夢を見ずにすむのか。
また、どんどん狂暴性を増す怪異。
見事、智春はこの怪異に打ち勝つ事が出来るのかー。
このあたりが、作品の見処になるんじゃないでしょうか。
えーと、こちらですね、御影と共に過ごすうち、友春はどんどん彼に惹かれてゆくんですよね。
で、そんな気になる相手と一緒に眠らなきゃいけなくなってと、主人公がドキドキしてるのに萌えちゃうんですけど。
あと、この怪異のオチが痛快。
いや、てっきり友春には不思議な力があってとか、愛のなせるわざとかを想像してたら、そう来るか!と。
トンチかーい!系ですかね。
個人的に、戦力としては弱いキャラが、機転なんか効かせて勇気や知恵で見事事態を収拾するみたいな展開が好きなんですよ。
いや、痛快なオチにニヤリとしちゃう。
と、ここまでが雑誌掲載作で二人が結ばれるまで。
ここから、結ばれた二人のその後と、再び襲う怪異になります。
この後編ですが、前編よりずっと怖かったですよ。
地下鉄の駅を降りた御影。
何故か、人っこ一人おらず・・・と言った感じでしょうか。
たまになんですけど、一人ですごく静かな所に居ると、この世に存在するのは自分一人だけなんじゃないかと不安になる事があるんですけど。
読んでいて、その不安を思い出すお話なんですよね。
あと、海野先生の攻めと言うと、すごく頼りがいがあったりしますよね。
受けをしっかりフォローしてくれて。
それが今回ですね、受けの方が強いパターンなのです。
ギリギリの状況で、ド根性を見せるたくましい受け。
いやもう、攻め、完全降伏ですよ。
こういうパターンも、また楽しくて仕方ないですよね。
と、笑いあり恐怖あり感動ありの、痛快なオカルトラブコメ。
とても楽しく読ませいただきました。
※当初、「萌2」であげましたが、繰り返し読むうちに「神」に価すると思うようになりました。
だって、読めば読むほど、受けが尊くなってくる。
そんなワケで、変更させていただきます。申し訳ありません。
失礼しました。
先生買い。雑誌掲載話130Pほど+書き下ろし100Pの2編+あとがきで、雑誌掲載分がめっちゃ面白かったため、文庫化をものすごーく楽しみに待っていました。そしたら書き下ろしが、これまた前半のサブキャラをちゃーんと生かして個人的にはとっても良い!!!お話として大満足です。
築30年二階建てアパートで家賃3万円の物件に引っ越してきた友春。ようやく出来たと思っていた恋人に有り金を騙し取られ、会社でゲイばれして居にくくなり、重度の消化器系疾患となって・・と踏んだり蹴ったり。とにかく安いところへと引越したものの、初日から部屋を襲う数々の怪異に対抗するべく徹夜で荷物を片付け、翌朝廊下で出くわした隣人に「まあ色々出るよ」と言われて・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
夢子(怪異、攻めが命名)、受けの実父(故人)、受けの母とその再婚相手、沼淵(デリカシーない元同僚)ぐらいかな。新旧お父ちゃんがええ人です(号泣)。
**良かったところ
お話!これに尽きる!
ネタバレしたら絶対面白くないので書かないですが、このお話を最初雑誌で読んだ時に、そうくるとは思ってなかったので「おお!」と唸りましたよ。受けの実父もええ感じ(涙)ですし、新しいお父ちゃんもたまらんのです。カッコよすぎるよ、このおっさん!とめっちゃ思いました。雑誌で読んで、今回2回目なんですが、それでも面白いっていうところでお察しいただければ嬉しいです。
そしてまた後半の書き下ろしが素晴らしい。前半に出てきた夢子、ふたたび!でした。「え、あんたもう一回出てくるんかいな!」とめっちゃびっくりしましたです。前半では「きょわーーーーーーーーー」としか思えなかった夢子なのに、名付けというか定義?というものは、偉大ですね。この辺りも是非ネタバレ無しでお読みいただきたいです!
攻め受けの恋模様も、怖い怖い背景、設定が山のように押し寄せて、吊り橋効果も相まってかめちゃくちゃ切羽詰まった感で盛り上がります。その上でこの攻め、本当に優しい!とストンと納得いく書きっぷりで、とても良かったです。書かれておられる内容を私が飲み込むタイミングと、書き進められる行数がちょうどよいタイミングとでも言えばよいのかな。早過ぎずだらだらし過ぎず。個人差があると思うし、人それぞれとは思いますが、私はとても相性が良かったです。
本格的に怖い部分もありますが、怖いもの大嫌いな私でも大丈夫ですので、気になる方は塩を用意の上、是非手に取っていただきたいです!あー本当、先生有難うございました!
今回は霊に憑かれたホラー小説家と詐欺され失業した青年のお話です。
霊障三昧なアパートに引っ越した受様が攻様の怪異を解決するまでと
攻様が引き込まれた地下迷宮から脱出する続編を収録。
受様は優し気な風貌と柔らかな物腰て人当たりが良く、学生時代には
女子から告白される事も良くありましたが、受様が好きになる相手は
同性なので恋人はいませんでした。
自らゲイと公言する度胸もなく、受様は恋の成就は諦めていましたが、
半年前の飲み会後に立ち寄った公園が偶然にも同性愛者たちの出会い
の場で、同世代の男性に声を掛けられるのです。
受様はこの出会いを奇跡か運命だと思い、相手は恋愛経験がない受様と
はゆっくりと関係を深めていこうと言い、キスもしないままでデートを
重ねます。そして恋人に「田舎の母親が大病で手術が必要」と打ち明け
られた受様はなけなしの貯金を彼に預けてしまうのです。
その後恋人は音信不通になり、まさかの詐欺に引っかかった受様は失意
のどん底に落ちた上に体調を崩して長期入院、そのまま退職する羽目に
なります。
貯金残高減少を止めるべく、受様は格安物件への引っ越しを決意します。
移り住んだ部屋は築30年アパートながら駅やコンビニも近く、6畳一間
で共益費込3万円という破格な理由を受様は怖くて尋ねられでした。
しかし引越した夜にはその理由を知る事となります。その夜、2階の受
様の部屋のベランダの窓ガラスに小さな紅葉に似た輪郭の白いものが
点々と押し付けられ、ボールでもぶつけられたようにガラスが振動した
りしたりします。受様の部屋は怪異現象の起こる部屋だったのです!!
受様は一睡もできずに過ごしますが、もう1度引っ越す資金もこんな格
安物件を探せるあてもありません。朝陽とともに異音がやんでも無職の
身では惰眠を貪る余裕すらないのです。
職安に向かうべく身支度を整えて外に出た受様はちょうど隣の部屋から
ゴミ袋を手に出てきた全身黒尽くめの長身の男と出くわします。この隣
人こそ今回の攻様になります♪
攻様は驚くほど肌の白さが目立つどことなく品の漂う顔立ちで、モデル
や俳優だろうかと受様は思いを巡らせていると、攻様は「昨日は眠れた?」
と受様が眠れていない事を見越したような問いかけをしてきます。
なんと受様の部屋は1年で9人も住人が入れ替わった部屋であり、攻様の
部屋も色々でる、というよりもアパート理度の部屋にもでる物件だった
のです!!
攻様は2年も住んでいて今ではすっかり慣れたと言い、どうしても怖け
れば部屋においでと言ってくれますが、受様は震える声を取り繕う事
もできません。
果たして受様の新生活の行方とは!?
雑誌掲載作であるタイトル作に続編を書き下ろしての文庫化で、受様が
引っ越した先の安アパートで霊に憑かれた攻様と知り会った事から始ま
るオカルトミステリーになります♪
攻様は怪異現象をネタとして利用しているホラー小説家でした。自宅仕
事のために昼夜逆転生活をしています。受様の事情を知った攻様は受様
がいつ部屋を訪ねても嫌な顔をせずに迎え入れてくれ、2人は徐々に親
しくなっていきます。
そして2年も住んでいて怪異への対策も慣れているという攻様が悪夢に
取りつかれて夜に寝られなくなっている事とその理由が明らかになって
いくのですが、その理由というのが怪異現象の核心に迫るため、その
あたりは読まれてハラハラ&ドキドキしてください♪
海野さんのお話なのでコミカル仕立てではありますが、受様があった詐
欺被害や性癖バレによる体調不良、挙句の退職、悪霊憑き物件の入居な
ど、何気ない日常生活を送っていたはずの受様が被った数々の負の連鎖
は誰が被害に遭ってもおかしくないような、日常生活にひっそりと潜む
闇要素が感じられて、雑誌で読んだ時も結構ゾゾゾーとしました (>~<)
そして最後の大逆転的な大団円はすごく見事でした!! 正に予想外という
か、予想もつかないような着地点ですごく面白かったです♪
描き下ろしの続編も本編同様、有り得ないだろうけどあったら怖すぎる
お話でしたが、本編で脅威だった存在を受けとめ、攻様の状況を変えた
受様の強さがすごく出ていて楽しく読めました。
"隣人"と"指南役"の設定も展開もすごーくびっくりでとってもお見事だっ
たのですが、背筋が震えるホラー系はあまり得意じゃないので「萌2」と
させて頂きます。
今回はオカルト繋がりで宮緒葵さん『悪食』はいかがでしょうか。こち
らは霊の視える受様が意図せず素人探偵してしまう事件簿的なお話です。
恋人だと思ってた男に有り金のほとんどを騙し取られた上に、同僚のやり取りで体調を崩して会社も辞めた受け様である友春。
金銭的に余裕のない彼が移り住んだお安いアパートの隣人が、攻め様である御影。
実はこのアパートには、怪異がうようよで、慣れたものの御影に助けを求めて、一緒に過ごす時間が多くなって親しくなっていく2人。
ホラー作家の御影は、昔訪れた廃村の神社で何かに憑かれており、寝ると悪夢によって次こそ死んでしまうかも、というゆっくり寝れない毎日の状況。
その悪夢に夢子と名付けて、飯のたね、くらいに言っていたのに、実はそれが虚勢であり、友春に見せる弱ったと姿にキュンをもってかれてしまいました。
加えて、友春の亡くなっていたお父さんを一緒に見送る気負いのない優しさに、きゅんが増し増しです。
御影に憑いている夢子は、どうなることかと最後までハラハラさせられましたが、そうきたかーーって思わず拍手ものです。
雑誌掲載時では、最後まで致してなかった2人だったので、書き下ろしではイチャイチャだよね、とウキウキしてたのに、またしても怪異だよ!!
しかも、地下迷宮バージョンは、更にパワフルになってると私は思いました。
夢子も再び出てきてて、どうなるのか、やっぱりハラハラです。
そして、なるほど、こう着地したのか、と納得。
もう切れたと思っている電話越しに、弱音を吐いて友春の幸せを願う御影がもうたまらなかった。
自分より強いと思ってる人がぎりぎりに見せる弱さってキュンがあふれまくってしまいます。
そして、助けてもらってると思ってた友春の、いざとなった時の強さ、潔さ、腹のくくり具合、ものすごく好きでした。
相手を受け入れる度量の大きさも優しさも、とってもよかったです。
イラストでは、街子先生の描かれた御影が、めっちゃ男性フェロモン出してました。
友春も御影も好きだったし、きゅんがてんこ盛りで、とっても楽しく読ませてもらいました。
日常に潜む怪異に深夜にドキドキしながら、面白くて一気読みしました。
頼もしい隣人が現れたと思いきや、怪異現象の原因だったとか怖すぎます。御影の恐怖の夢って幼き頃に誰もが経験するような内容だけに、余計に怖かったです。まぁ実際に起きたら怪我とかは無いんですけど。
夢子の解決の仕方になるほどと感心したのですが、友春の父親が現れるシーンに号泣してしまいました。
それから友春の母親と義父は良い人で、この先ゲイバレしても大丈夫な気がしました。
後編も都市伝説を盛り込みながら、日常に隣り合う恐怖は見事でした。
友春と夢子の活躍も読みたいので続編希望します。