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部下と上司のリーマンBLだけではない、
二度目の成人を目前にして人生を悩みだした39歳の独身男が、
29歳の優秀な部下に愛のあるダメ出しを喰らいながらリードされ、
臆病な自分と向き合い”生”を感じる人生を取り戻すお話ですが、なぜかラブリーテイスト。
中年のシビアな現実に乙女心が絶妙に混じり合うバランス感覚の良さ、このセンスにやられました。
そして、じんわりとくる人生の名言が、此処彼処に散りばめられていて、
世代によって刺さる言葉や感じ方が変わるだろうなぁと、思わせる描写の数々にも感心。
どれだけ有難い言葉や差し出された手でも、掴んで価値あるものにできるかは自分次第。
軽めの説教臭さが心地よくて、じんわり心に残る言葉が深い。
恋だけでなく、新たな一歩を踏み出すのに背中を押して貰えるような、そんな温かい作品です。
それにしても作家さんは何歳なんだろう。
心に残る名言、ワード本を読み漁っているとしか思えない名言揃いで、
目の前しか見えてなかった脳ミソの老眼が治った…この言葉の強さに頭をはたかれた感じ。
いいですねぇ~好きです、こういうの。
野末は独身上司ですが、とにかく可愛いくて、会社で人気の癒し的存在。
デキル部下の外川は、尊敬以上の感情を持ってずっと側で野末を見てきたからこそ、
野末の更年期障害のような精神状態を見抜き、ズバズバ褐を入れる。
中年男が”女の子ごっこ”でアンチエイジング…これは斬新だった。
若い女の子には”箸が転んでもおかしい年頃”という表現がある位、周囲から見ると幸せそうに感じる。
若くても男にはできない事と言う野末ですが、
残念なことに女子であってもキャピキャピできなかった私は、野末に共感してしまう。
10歳年下部下にイジラレてる、野末のリアクションが堪らん可愛さなんですが、
恥じらいなんかも混ざってて更に可愛くなっていく。
外川は野末に元気になって欲しいのはもちろんですが、
恐ろしい野末の魔性に一線を超えそうな外川、見ててヤバいのがわかる。
解らないのは当の野末だけなんですが、これも本当は臆病で眼を逸らせていただけ…。
脳ミソの老眼が治った野末が、女の子ごっこに興味を失い、
初スマフォで手こずったり、外川に興味を持って関心が変化して活性化していく姿に、
見ているこちらも気持ちが若返って、人生を取り戻す活力を分けて貰える気がする。
鈍すぎる野末に翻弄されている外川ですが、
自分の恋心に気付いた野末から見る外川がまた新鮮で、
両片想いのピリピリ、ドキドキ感は、女の子ごっこなんて目じゃない脳活性…羨まし~~~!
臆病な人生雁字搦めのアラフォーおじさんが、臆病だから尚の事踏み出せた瞬間が愛おしい。
丁寧に描かれた細やかな心情とステキなセリフ。
そして、三十路と四十路が軽口でじゃれ合う、80歳までこうやって…という言葉に満たされる。
この感覚を楽しむためにBLを読んでるんだと実感する私。
BLこそアンチエイジングですよ。
描き下ろしのエッチ描写では、四十路が焦らす理由に悶絶の三十路。
最後まで可愛いキャラがブレない野末に私も悶絶、クソ可愛いとはこの事です。
そして、最後まで至宝の日常描写が詰め込まれた素晴らしい一冊でした。
※Renta:見えない絡み描写です。
電子先行配信で特典はなく、カバー下漫画もついてなかった…紙本にしたら良かったわ残念。
食べ物大好き、スイーツ大好き人間としては、この表紙を見逃すわけには行かず。
プリンアラモードも、クリームがかかったパンケーキもおいしそう…。
パンケーキに添えられたアイスクリームが若干大きすぎる気がするけれど、たまりません。
pixivで1話を読んで、気になっていました。
買ってよかった!読めてよかった!
40を手前に、変化のない生活を送ることを良しとしていた野末。
そんな彼の更年期を心配した部下の外川との「女子ごっこ」が始まって…。
最初は「言うほど可愛いかなあ?」って思ってたんです、野末のこと。
周囲に「可愛い」「母性本能をくすぐる」と言わせて、そういう風に思い込ませる戦法だな!?と思って身構えたのに…、身構えてたのに…。
しっかり可愛い。
なんだ、この39才は。
外川との会話のテンポも良くて、ほんとに掛け合い漫才みたいなんですよ。
そういうときに野末がムキになったり、へそ曲げたり、開き直ったりするのが可愛くて。
部下に「アンチエイジングに付き合ってくれてありがとね」って言っちゃう39才。
ほんとに何でしょうね、この可愛さは。
2人で出かけて、女子みたいにいっぱい話して、甘いものを食べて、きゃっきゃする。
一歩踏み出してみたら楽しいことは世の中にたくさんあって、毎日がキラキラし始める。
新しいことをするのが面倒じゃなくて、次は何をしようかって考えるのも嬉しくて。
そういう野末のうきうきした気持ちがぜーーーーんぶ伝わってくるんですよ。
可愛い。わたしも一緒にうきうきしたい。
だからこそ、外川が気持ちを抑えきれずに告げた後の落差が切ないんです。
一個ずつ確認するように、「ふつうの上司と部下は〜しない」と並べ立てる野末の気持ちが分かるから。
そうやって一個ずつ否定していくことで、自分の中にあった楽しいという気持ちも、嬉しかった気持ちも、外川が全部くれたものだという感謝も、芽生えていた想いもひとつずつ潰していって、元に戻ろうとするけれど、戻った後に残るものは?
何もないんだって気付く。
何もないよりももっとひどくて、芽生えた想いだけが失う楽しさの分余計に大きくなって残る。
この辺りのモノローグ、読んでください。本当に良いです。
言葉選びも良いし、センスも良くて。
趣味としての料理と自炊好きのところ、「分かるー!」って大きく頷きました。
「後悔は幸福になる糧で、人生の燃料」という言葉は、ノートにメモしました。
結構この1冊でいっぱいメモを取ったので、今回電子版を購入したのですが、俄然紙も欲しくなりました。
野末の住む平屋の一軒家は文化住宅と米軍ハウスを混ぜたような雰囲気が素敵。
外川のリノベ済みの古いアパートも味があって素敵。
野末の家がちょっと我が家に似ているせいもあって、大嫌いだった庭掃除が好きになれそうな予感までしてます。
何だかものすごくワクワクした気持ちが、読み終わってからも続いてます。
わたしも心のアンチエイジングをしよう。
明日、何かいつもと違うことをしてみよう。
家族にいつもの3倍くらい優しくなれそうな気分です。
素晴らしい作品に出会えました。
この気持ち、少しでも多くの方に味わってほしいなあ。
あまりに神作品だったので初レビューです。
言いたいことはたくさんあるのですが、名言なんて山ほどあるんですが、外川のこの言葉だけ置いておきます。
「年の差とか、マイノリティとかそんなのは、生まれた故郷の違いとか応援する球団の違いとか、その程度のことです。」
いいこと言うなあ・・・
一読して。あまりにも胸が詰まってしまったので。
しばらく放置してしまいました。「春と夏となっちゃんと 秋と冬と僕」の様に。物語の冒頭は何となく4コマ風にスタートするので、一瞬不安になったのだが、いつしかそれはきちんと長編となって行く。
大人になって。恋をするのは怖い。
恋だけでは無い。新しい事に挑戦するのさえ、億劫になって。いつの間にか。
仕事と家のルーティンになっている。多かれ少なかれ、そんな大人は多いんじゃなかろうか。
作者は女性だと思うので。これはBLというファンタジーなので。ファンシーさを追求出来得る女性にとって。男性のその億劫さは想像に難い。女性の方が、男性よりももっと。それは怖くないと思うし。何ならいい歳をしたおばさんのが、女の子ごっこに躊躇しないんじゃなかろうか。いい歳をした大人の女が平気で自分たちの事を「女子」と言い、新しい土地に「女子旅」をし、豪奢なホテルでアフタヌーンティーを楽しみ、スイーツの写真をパシャパシャ撮り、年甲斐もなく恋バナをする。
だから、外川が野末さんを連れてパンケーキを食べに行くシーンが痛過ぎて。我が身を顧みて痛すぎて。直視出来なかった。
大人になって。恋をするのは怖い。
けれど。握力の強い女たちは、また恋をすれば、恋を終わらせ、また恋をする。という強者たちも居る。
恋は相手のある事だから、お相手は男達だったりするので、何も女性だけが強いわけでは無いだろうけれども。それでも。
大人になって、恋をするのは怖いのだ。
『本当はもう気付いていた。
最近少しも憂鬱じゃない理由にも。
苛々してメールを待った理由にも。
預けた鍵が気恥ずかしい理由にも。
後ろめたく可愛いなという理由にも。
拒まなかった理由にも。
殴らなかった理由にも。』
外川の気持ちは読み手側にはダダ漏れだったので。野末さんの悪意ない天然さに煽られている様はくすぐったくて。可愛くて。そんな風に真摯な気持ちを諦めずにぶつけられたなら。
気持ちはきっと届くのだと。信じてみたい気もしてくるけれど。
やっぱり胸が痛くなってしまうのだ。
日常に潜むと信じたい、これはリアルなファンタジー。だから泣かされてしまう。
ただ可愛い、と読めない大人になってしまったから。
これを素直に神作だと認めたくない自分がここに居て。また私は涙する。
大人になって。恋をするのは怖いのだ。
発売日に買ってから、何故か積んでしまいました。積んでいるうちに、どんどん評価が上がっていてびっくりしてました!
が、やっと…ゆっくり読めました。
これは、ゆっくり読まなきゃもったいない!
一コマ目から、世界観に引き込まれる…
ほんとにじっくり、描き込まれたひとつひとつのコマから目が離せない、スゴい吸引力がある作品です。
野末さんの、男女問わない人タラシっぷりも然ることながら、外川のじっとり、じっくりと野末さんに近づく感じが堪らないのです!
野末さん、色気が凄いんですよね。
言葉遣い、スーツの着こなし、体型。外川と
あれこれ外出する前の、諦めている感じも良い。
だけど、外川と出かけて距離が縮まって、気持ちの変化に戸惑って。
野末さんの、年の差や性別や、上司と部下そして何年も過ごしてきた「大人の男」としての自分と向き合っていくと外川に踏み込めない心境が、心底伝わってくる。
だからこそ、外川と向き合って、自分の気持ちの変化「外川がすき」と云う気持ちを受け入れていく過程は、ホントに秀逸❗️
コレ…最高って思いました。
告白の路地裏シーンが、スゴい良い。
好みのシーンでした~
付き合ってからの2人が、また良き良き❤️
外川の雄っぷりが、また…大変よろしくて。
描き下ろしの野末さんの、喘ぐ姿はエロく可愛い。
外川、いつまでも堪らない気持ちで過ごすんでしょうね。
発売日に買ってから、何で積んでいたのか不思議。
ですが、繰り返して読みたくなって、好みのシーンを反芻してしまう…
私の、ベストに入る作品になりました!
佐岸左岸先生、ありがとうございます❤️