【電子限定おまけ付き】【イラスト付き】
高校受験の日の朝、第一志望校の近くで豊樹は交通事故を目撃する。はねられたのは別の学校の学生で、豊樹は救急車を呼び警察からの事情聴取にも応じ病院にも付き添っていったため、受験することが出来なかった。
その後、幼馴染みの洋平と同じ高校に入学した豊樹は、事故の怪我で入学以来休んでいて5月に復帰したクラスメートが、受験の日に自分が助けた相手だと分かる、というお話。
この表題作のほか、続編やらSSやら全部で6編収録。連作短編集。
というわけで、ピュア中のピュア。真っ白なピュアッピュアな光線を浴び続けました。
めちゃくちゃ可愛いです。可愛いだけでなく真っ白です。
自分は相手を好きなのか、この好きはちゃんと恋愛の好きなのか、付き合うってどういうこと。
悪い人は一切登場しません。穢れた大人も登場しません。ピュア男子を愛で、感情に寄り添います。
初めてのエッチよりもファーストキスの方が尊すぎて、赤面ものでした。ひー。
クリスマス会にお泊まり会。なんなら二人で勉強したりする。喧嘩して、謝るために夜会いに行ったりする。
青い春が眩しいです。
大学生になっても大人になっても一緒に居る。そういう奇跡のような関係性の、はじまりの物語。
ちなみに缶のドロップが登場しますが薄荷の扱いに泣きました。薄荷はハズレじゃないよ当たりだよ(←薄荷好き)
高校生同士のお話で、最初は攻めのトヨ視点で始まり、話の中で視点は変わっていく。
トヨは中3のとき、第一志望の受験の日に雪でスリップした車に人が跳ねられるのを目撃し、その人に付き添って病院に行ったため、第一志望の受験を諦めることになります。滑り止めで入った高校で、その事故で助けた相手である受けの伊吹と再会しますが、受験の日にトヨは幼馴染で親友の洋平の定期券を借りていたので、伊吹は助けてくれたのが洋平だと思い込んでいて、最初は洋平のことを好きになります。
そんな伊吹のことをトヨは好きになりますが、事故で助けたのが自分だと言えば、救急車に同乗して第一志望校の受験を諦めたことを伊吹が知り、負い目を感じるだろうと思って、洋平と口裏を合わせて助けたのは洋平だということにしていました。
あらすじだけ読んで三角関係ものかと思いましたが、洋平はノンケで伊吹が告白する前に彼女ができて、その後、助けたのが本当はトヨだったとわかり、伊吹の気持ちもすぐにトヨに向いたので、三角関係というほどの切なさは感じませんでした。
トヨが息吹を好きになった理由についても、きっかけとなるエピソードやそれまでに伊吹の人物像を知る描写はなく、「伊吹のことは昔から好きだったと思う。言葉選びが柔らかく、しかし自分の意志ははっきりと言う」という感じでトヨのモノローグでさらっと語られているので、好きな気持ちへの共感は薄かったです。
萌えや切なさは少なめですが、出てくる人物がみんないい子ばかりなので、最初から最後まで爽やかな気持ちで読めて、読後感もよかったです。
表題作の短編と、付き合った後の二人の話や過去話などが半分以上。本編といえる表題作はとても面白かったけど、後半半分以上はおまけのような話がいくつも入っているだけで、大きな動きも特になく、途中で飽きてしまった。
男子高校生の三角関係で、片思い相手の恋を応援する主人公という、切ない系のお話。
この主人公の豊樹が高校生とは思えないほど冷静で慎重で思慮深くなんでも受け止める包容力を持っていて、なんかすごい。モノローグの中にコンプラ配慮の一言まで自然に入れ込んでいて、商業対応もばっちり。
自分の恋を叶えることより、相手への気遣いを優先して秘密を打ち明けないところも良かった。
伊吹はもし洋平への告白が成功していたらどうしていたか気になる。告白を決意したってことは、その先まで洋平を相手に考えていただろうから。まあそうならないのが運命だったってことかな。
ドロップの使い方が上手くて、可愛らしく読後感の良い本編だった。
付き合ってからの話は、伊吹のすぐ感情的になる面が目立ってきて、豊樹は自己満足と自己完結を見せたりと、幼い二人の描写が続く。
文章の比喩表現から漂う妙な陶酔感が合わないのもあって、読んでいて楽しいとは思えなかった。
これを一冊の文庫本として見ると満足度が低く、最初の短編だけで良かったな、という感想。
高校の同級生同士のピュアラブを数年にわたって追う物語ですが、タイトルどおり大部分が冬の話です。
学生らしいささやかで素朴なお付き合い。一緒に共通の友達を待つとか、相手の家で一緒に友達を待つとか、クリスマスにちょっと背伸びしてプレゼント交換をするとか、大概の恋愛物語だったら一回こっきりしか描かれないものを、何度も描いてくださることに斬新さを感じました。同じイベントを通して二人の成長や愛の深まりがうかがえ、ふふってなります。
冒頭から出てくるドロップス占いが印象的なのですが、それがトヨから伊吹へのプロポーズにかかっていて、感動的というかなにそれ素敵すぎない!? と。
黄色のドロップは、「好きだった人と再会できるかも 」
“再会”というと一回こっきりの事の様につい思ってしまうのですが、よくよく考えれば人は身近な人と毎日小さな別れと再会を繰り返しているんですね。
行ってきます・行ってらっしゃい
ただいま・お帰りなさい
と言い合うことを、君と末長く続けたい。そんなトヨの素朴な願いにして最高の口説き文句にやられました。
恋の矢印がトヨ→伊吹→洋平になってて最初はつらかった〜!切ない。2人の思いが通じ合って少しずつ関係を進めていく様が高校生らしくて甘酸っぱくて良かった。証拠隠滅しようとする2人の右往左往まで楽しく読んだ。あとがきにかえた最後のストーリーが現実の厳しさを感じさせて切なかったけど2人はこれからもずっと一緒にいるんだろうなと感じられる最後でした。缶に入ったドロップスで占いをするとか、その中身によって告白決めるとか高校生ならありそうな事で物語の素敵なアクセントでした。さがのひを先生のイラストがまた合ってて最高。