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『夏の離宮』『色子語り』『春の青さはうたかたの』『布商人チャールズの冒険』の4編からなる短編集。
デイメンとローレントが主役の短編は『夏の離宮』のみ。
他3編については登場はしますが脇に回っています。
『色子語り』は1巻において衆目の前でデイメンと「営み」をしたアンケルが主役。
『春の青さはうたかたの』はローレントの近衛兵であるジョードとグイオン元老の四男アイメリックの話。
『布商人チャールズの冒険』は布商人チャールズが主役ですが、デイメンとローレントが戴冠の儀直前の1ヶ月あまりをチャールズと一緒に旅する話。
シリーズ3巻を読了後、非常に満足度の高い読書時間を過ごせて幸せだったのですが、唯一物足りなかった(読み足りなかった)のは二人の糖度の高い親密なシーン。
もっと読みたい!という願望が膨れ上がっていましたが、今回その望みが叶えられて嬉しい限りです。
『夏の離宮』『布商人~』について感想を綴っていますが、他2作品も周囲の人々の想いや行動を知ることで物語の世界がより豊かで深みのあるものとなり、視点が変わることで印象的なストーリーとなっています。
私は再び1巻から読み直したくなりました。
この場面において周囲の人々はこんな想いでいたのか、と。
『夏の離宮』は二人がデイメンの母上が造られた宮殿に行く話。
そこでの逢瀬が甘い。
甘いだけではなく、これまでの二人の関係を見つめ直して再構築するようなやり取りもあり、読んでいて胸が一杯になります。
そして、本文から映像が脳裏に浮かぶのですが、二人が裸で陽光のもと手を繋いで庭園を歩く姿の描写は穏やかさと幸せ感マックス。
こんな優しい時間を過ごすことができるなんて!と読者として感無量。
『布商人チャールズの冒険』はチャールズの人柄の良さや、チャールズから見た二人の様子がとても素敵な関係であることがわかり読み応えがありました。
途中、事件もあってハラハラする展開もあるのですが、最後の一頁でなんともチャーミングというか楽しい気持ちで読み終えることが出来ます。
魅力的な世界観はそのままに、今作も楽しい読書時間を過ごすことが出来ました。
ただ、この番外編だけを読むと多数の登場人物の関係性が分からないと思うので、本編全3巻を読んでからこちらの外伝を読むことを強くお勧めします。
……すばらしい。
もうため息しか出ませんよ、こんなの読んじゃったら。
『叛獄の王子』外伝の短編4本が収録されていますが、まず本の構成が素晴らしいです。
本編終了後のローレントとデイメンの逢瀬が書かれる『夏の離宮』→『叛獄の王子』にちょっぴり登場する(記憶のみに頼っているんで間違いだったらすみません)赤毛の色子が主人公の『色子語り』→『高貴なる賭け』で書かれたローレントの近衛隊長ジョードと元老グイオンの末子アイメリックのいきさつを書く『春の青さはうたかたの』→もう一度本編終了後に戻って『王たちの蹶起』に出てきて2人を助けた布商人チャールズが主人公の『布商人チャールズの冒険』という、本編終了後の甘々→1巻の頃→2巻の頃→3巻関係者と大団円の構成で、最初と最後には主役の2人が登場し、間にサスペンス風味と年上男の悲恋が書かれるんですよ!
本編もドラマティックでしたけれども、その周りでも様々な人たちが、恋を、闘いを、商いを、喜びや悲しみと共に繰り広げていたことがわかります。
そしてそれを堪能できます!
以下、簡単にご紹介を。
『夏の離宮』
全てが終わり傷も癒え、2つの国に安定が訪れた後の2人の逢瀬。
場所はアキエロスの離宮ですが、たしかここ、デイメンの母が愛した館だったんじゃなかったかしら。だからですかね。互いを強く想い合う2人が互いの家族のことを考えてしまうんですね。
いや、そうしたらわだかまりがあるでしょう。
でも彼らはそれを触れ合うことによって少しずつ消していこうとするんです。
これが良いんだなぁ~。
デイメンに跪くローレントが見れますよ!
もう、この短編、美しい描写とローレントの可愛らしさで満ち溢れています。
禿萌え。
『色子語り』
売春宿から色子に這い上がり、更にもっと権力者の色子になろうとする野心家のアンケルが主人公。
彼は自分を高く売る為には何でもします。
そしてなかなかの策略家。
でも、彼を色子として買ったベレンジェ卿は、真面目で誠実、色事や蓄財には興味がない人だったんですね。宮廷で夜宴や参会に出席する際に色子を同伴しなければならないのでアンケルと契約したんです。
ならば、その機会を利用して更なる権力者の色子になろうとアンケルは考えるんですけれど……というお話。
鎖で繋がれていた時代のデイメンとローレントが登場。後半にはあの『ラスボス』執政も登場します。
「ああ、執政はショタなのよ。近づいては殺されるよっ」とか、結構サスペンス風味になるんですよ。
でもこのお話のキモは、野心だけで男たちを振り回してきたアンケルの純愛!
『春の青さはうたかたの』
ジョード……人が良く人望に厚い隊長さんというイメージだったのが、アルメリックにコロッと騙されちゃうのは、本編でもかなり苦いエピソードでした。
ジョードがローレントに忠誠を尽くそうと決意したエピソードが書かれるのと同時に、アルメリックを好ましいと思ったいきさつも「ああ、なるほどねぇ」と思えるお話になっています。
これ、多分同じ所から来ているんですわ。
だからこそ、その後を知っている私としては、かなり悲しい余韻を残しました。
『布商人チャールズの冒険』
前の1篇とは異なり、こちらはコメディ風味。
行商に出かけようとするチャールズの処に「行商を護衛する」と戴冠式を目前にしたローレントがまたしてもレイメン(デイメン)を伴って現れます。
ところが、訪れる町には全てマコンという行商人が先回りしてチャールズの醜聞を巻き散らし、商売を邪魔して来ます。
さて、マコンの意図は?
そしてローレントとデイメンがチャールズに同行する理由は?……というお話。
本編でもいい人丸出しのチャールズでしたが、このお話でも相変わらずです。
もうラスト直前の『道ならぬ恋をしているらしいレイメン』に助言をしようとして、その後、当初考えていたのとは別のことを言ってしまうチャールズの善良さには泣きそうになりました。
だからこそのラスト!
もう、この物語の今後を表すような明るさを表す彼のセリフ。
「すべての人々に幸あれ!」と思いましたよ。
うわー、長くなっちゃいました。
長けりゃ感動が伝わる訳じゃないのにね。
でも、喋りたいんですよ。萌えがデカすぎて止まらない(ゴメンなさい)。
駄文が止まらない位、良い外伝です。
また本編が読みたくなってしまいました。
表題作は、本編には入りきらなかったデイメンとローレントのその後です。
私個人としては、本編三部作の終り方で満足感があったので、表題作のその後の二人については予想通りとういか、あるなら読むけど無くてもいい、と思いました。もちろん楽しみましたけどね。表題作だけなら萌評価を付けていたと思います。
それがひっくり返ったのが同時収録の『色子語り』でした。
このお話の主役・アンケル、誰だっけ?と正直思いながら読み始めました。
ところがこのお話がすごく良かったんです!
売春宿の少年が色子へと成り上がっていき、ある日ベレンジェ卿なる人物に飼われる。彼は今までの主人とは違ってアンケルに性的なことを望まない。野心家のアンケルは、生真面目なベレンジェ卿を利用して更に成り上がろうと考えていたが……という筋です。
もうアンケルが誰かなんてどうでもよくなりました!(読み進めていくとあの時の色子か、という場面が出てきます)
最後、最後の一文まで全てが素晴らしい!
アンケルが自分自身気付かぬままベレンジェ卿に惹かれ、ベレンジェ卿の「(お互いに気持ちは)通じていた」というセリフによって明かされる彼の想い。短編とは思えないほど深く素敵な物語でした。
『布商人チャールズの冒険』も良かったです!
本編でも登場した行商人のチャールズが、身分を隠したチャールズ(ローレント)とレイメン(デイメン)と再び旅をすることになるのですが、この人は未だにレイメンがアキエロス王だとは知らないんです。
敢えて身分を明かさずにいるので、その齟齬に楽しんだり困ったりするデイメンがまた可愛かったです。偶には肩書に縛られずにのびのびとしたいよね。
最後まで布商人のチャールズが人情味のある素敵な人でほっこりしました。
以上、総合評価で神を付けさせていただきます。
本編三部作を楽しまれた方なら、手に取って損はないはずです。
本編がお好きだった方は読まない手はないご褒美続編&番外編詰めです。
◾︎夏の離宮
表紙通りの甘々…甘い…たまらなく甘い…奉仕するローレントがえろあまい。お互いがお互いを信頼しきって、過去も今も受け入れて愛していることが克明に伝わります。もう尊いとしか言えない。
◾︎色子語り/春の青さはうたかたの
「色子語り」の英題がPETで、あーなるほどと思いました。
この作品、壮大さに比例して登場人物がかなり多くて、その一人一人に人生があると思わされるスピンオフ短編です。人生があり、愛がある。
アイメリックの最期の言葉や、オーラントの思い出をジョードは受け止めて生きていかねばならないんだなぁ。生き生きと描写されるオーラントに胸が苦しい。
◾︎布商人チャールズの冒険
コミカルさを強めに出しながら、国のことを思う王たる2人もしっかり書かれ、無自覚にイチャイチャする2人も書かれ、満足度が高い一方でこの作品の続編がまだまだ読みたいと思わされるお話でした。うーん心地よい飢餓感
詳しい内容はすでに他の方達ので書かれているので、個人の感想を。
本編の最後がカストールを倒したとこでプッツリと終わっているので、もう少し後日談が読みたいと思ってました。
痒いところに手が届く感じで、特にローレントの戴冠式まで読めるとは嬉しい内容でした!
主役の2人のお話は、2人がラブラブで、非常に幸せな内容でした。
特に布商人チャールズのお話が良かったです!
まさか、レイメンの正体にずっと気付いてないとはw
デイミアノスがカストールの裏切りを暴くために奴隷に扮してヴェーレの王子と出会って恋に落ちたという他愛もない噂話を耳にして、尚且つレイメンがローレントの奴隷だったことを知ってて2人のキスシーンまで目撃してるのに、レイメン=(デイメン)デイミアノスという考えに至らなかったのは鈍すぎるというかw
でもまさかアキエロスの王が目の前にいるとは思わなかったのかな。
ローレントの戴冠式でアキエロス王だと紹介されたのに、「レイメン!一体どうして王のような格好をしているのだ!?」と全く信じてないのが面白かったですww
チャールズ、良いキャラですね!
それで前述のチャールズのセリフでお話がいきなり終わるのですが、終わり方が何だか落語のオチのようでしたw
本編もですが、いきなり終わる終わり方が日本のBLと違うなあと感じました。
もちろん、きれいに終わってはいるのですが、もう少し余韻が欲しくなってしまいます。
チャールズが、レイメンの正体がデイミアノスだと理解した後に起こるドタバタとか、想像すると楽しくもあり、読みたかったなという気持ちもあり…
まあ結局のところ、デイメンとローレントのお話を少しでも読んでいたい気持があるだけなんですけどね。
ところで、カストールの子供や両国の後継に関しては一切触れられてなかったですね。
私がよく読む日本のBL小説だと、後継ぎに関してさらりと触れている場合が多いのですけど、海外BLはあまりそういう部分には触れないのかもしれないですね。(勝手な想像)
1巻で挫折しないで良かったです。本当にこの物語は格別です!!