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僕は赤の他人にお金を払って“パパ"になってもらっている…。
緒川先生の非BL作品。
緒川先生はドシリアスな作品もコミカルな作品も描かれる引き出しの多い作家さまですが、今作品はそのどちらもがバランスよくミックスされた作品でした。
SEとして働く春樹が主人公。
人づきあいが苦手で、仕事でも煮詰まっていた時に出会った灰田さん。父親ほど年の離れた灰田さんに優しくされ、父親と疎遠になっていた春樹は1時間1000円という報酬を灰田さんに支払い、疑似親子の関係を楽しんでいる。
人に甘えるのが苦手で親のぬくもりに飢えていた春樹は、優しい灰田さんとの「親子の関係」に心癒されていくが―。
春樹、そして灰田さん。
二人とも自分の本当の家族とはうまく関係が築けなかった。
優しいのに不器用で、自分のことよりも他人を思い遣ってしまう。
春樹も灰田さんも、そんな男性。
そんな二人が出会い、そして親子としての愛情と信頼関係を築いていくけれど。
ジャンルとしては非BL作品としてカテゴライズされている作品で、恋愛というベクトルで読むと確かに恋愛要素は薄い作品です。が、今作品が完全な非BL作品だと言い切れないのは、春樹がゲイで、そして灰田さんに少しずつ恋愛感情を育てていくからなんですね。だから、男同士の恋、というバックボーンも今作品には存在しているのです。
けれど、彼の恋心が成就することはない。
春樹が自身のゲイという性癖に葛藤を抱いているため。
そして、父親である灰田さんに恋してはいけないという枷を自身に課しているため。
その春樹の淡い恋心に、腐女子としてはアンテナが働いてしまうのです。
確かにはっきりBLとも非BLとも言えない作品なので、読み手によっては消化不良に感じる方もいるかも。BLには濡れ場が必須と感じる方には正直お勧めしづらい作品ですし、男同士の恋愛に耐性の無い方には春樹の恋心はもしかしたら受け入れられないかもしれません。
けれど、なんていうのかなあ…。すごく愛にあふれた作品でした。恋愛という要素は薄くても、「愛」というベクトルはしっかり描かれていて、読後すごく考えさせられる作品でした。
続編を描いて、春樹を幸せにしてあげてほしいと思う。
そう思う一方、この余韻のある終わり方が、今作品の大きな魅力の一つでもあると思う。
あとがきで緒川先生も書かれていましたが、読み手によって感じ方は様々で、人の数だけ愛情の形もあるのだと再認識した神作品でした。
私はゴリゴリの腐った女子なので、非BLとありますが、表紙とタイトルとお気に入りの作家さんなので最初からBL目線で読みました。
するとどうでしょう。
読み進めていくうちに、やはり、やはり、あのよく知る匂いが漂ってくるのです。
今後是非堂々とBL雑誌の方でよりBLの方向で進めていって欲しいと熱望します。
プラトニックでもいいんです。
是非続きを!!
春樹が灰田さんにパパではなく男を感じてしまった瞬間、すごく良かったです。読んだ方は言わずもがな。
僭越ながら春樹になった様に自分もパパに甘えたつもりで読み進めていたので、あの瞬間、私も男を感じました。必見です。
非BLですが、緒川先生が大好きなので購入しました。
本当の親子じゃないが、灰田さんと春樹の間に生まれたのはたしかに親子愛に感じます
本当に大事な家族の前だと不器用で自分の気持ちを伝えられない二人だが、他人だからこそ素直になれるのか?もしくは最初から弱った一面を見せたから、心が開きやすくなったのか…
灰田さんの前だと素直で童心に戻ったような春樹がかわいくて純粋で、とても愛しいです。
灰田さんに向ける感情が次第に変わりはじめるけど、二人の関係はもう少し今のままでいてほしい自分と、恋になってくれと願う腐女子としての自分がいます。難しいです(笑)
最後のコマは少し意味深な気がして、続きがあってもいいが、このままの終わり方も好きです
余談ですが、作中に、たばこを吸う灰田さんの姿にドキッとしました
pixivから読んでて楽しみにしていた作品
BLを感じ取れないこともないこの作品ですが、私はただ単純に物語としてかなり素敵な作品だと思いました。
あらすじは省いて、好きなシーンについて少し。
仕事では常に気を張って情がないような春樹が、パパの前ではにこにこ、特に動物園のシーンなんて可愛い。そして、雨の中濡れながらも春樹を持ち上げるパパの雨に濡れた笑顔にきゅん。本当の親子ならただ微笑ましいシーンなのですが、擬似というだけでどの幸せなシーンも少し切なさを感じでぎゅっとなってしまいます。
親子だからこそ分かち合えるものもあれば、擬似の親子だからこそ分かち合えるものもある。本当のお父さんに言えないけど、灰田さんには言えることもある。どっちが、ではなく、どちらも素敵な親子関係だなぁと思いました。私も、親に言えないこと、親だからこそ言えないことたくさんあります。本当の自分を否定せずそばに居てくれる人って貴重な存在だなぁと思いました。
灰田さんのおかげで、仕事の春樹も少し柔らかくなって良かったね、と思う反面、春樹はパパに恋をしてしまったんですよね。なんだかんだ言って、本当の家族との問題は解決してはいません。
灰田さんに恋愛感情を持った春樹はまた、本当のお父さんと同じように後ろめたさを持ちながら今度は灰田さんにも隠し事をして生きていくのでしょうか…なんか少し悲しい。
何でもかんでもBL展開を求めるわけではありませんが、春樹に幸せを…と祈らずにはいられない切なさが残るラストです。
続きを読みたい…と思いつつ、この親子愛とも同性愛とも取れるラストが一番ちょうどいいいいのかなとも思います。
緒川千世先生は別名義のも読んでますが、本当にいろいろ書けてすごい…
カバー裏のラフもとても素敵で、私は大好きな作品でした。(ちょっと泣けた)
擬似親子でも愛があって、でも主人公は同性愛者でパパに恋心を抱いてしまう。しかし、親子としての関係の方が大事でそれ以上踏み込めない姿が切ない。
パパのタバコを吸っている時や最後の表情に影あるように思えて気になった。
子供が同性愛者である事を知った時それを病気のように感じて、育て方を間違ったのでは?と思う親が描かれていた。実の親には理解してもらえなかったが、パパには、出会えて良かった これからも親子でいて欲しいと言ってもらえてどれだけ春樹は救われたか。
本当の親子でも分かり合えないよりは、赤の他人であっても相手を尊重できる関係の方が素敵だなと思えた。