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電子で読了。挿絵無し。表紙イラストも解像度低い。奈良先生ファンとしては電子は残念です。
兄弟ものは好きですし、特に地雷というほど絶対に避けたい設定とかも無いです。(でも好き嫌いはあります)
BLに女性が絡むのは確かにあまり好きではないし、暴力とか陵辱ものも好んでは読みません。
ですが、この作品はそこまで嫌悪感はありませんでした。というのも、主役の2人がどちらもキャラ萌えするような思い入れというか感情移入が起きなかったからです。
非常に淡々と、客観的に物語が進んでいくせいか、どこか壁一枚隔てた向こう側の景色を見ているようで、それなのに目が離せないというか…不思議な魅力があります。
龍昇が抵抗する日向を殴ってまで犯すシーンも、とんでもねぇヤツだと思うのに、読んでて受け入れられないほどの嫌悪感が無いのは、2人の関係が紛れもなくヤンチャな兄弟である延長線上だからかなと感じました。
作中にも書いてありましたが、昔から龍昇は気に入らない事があると殴るそうですし。
よくある陵辱もののように、プレイという名の苦痛を延々と続けられる展開よりは、余程健全であっさりしてます。(でも龍昇は酷いと思いますけど)
最後の方まで龍昇に全く良いところが見出せず、日向も大概下半身が緩いとこもあり、2人に絡んでくる女性もなんだかなぁ…という感じもあって、日向の友人達含め、好感度の高い登場人物が全然出てこない!w
だけどそういう人間の汚い部分やちょっとした醜い部分がやけにリアルなので、変に期待しないで静観して見ていられるというか…
極悪人も敵も出てこないけど、健気で真面目な良い子も出てこない…リアルにその辺にいそうな人達。だから淡々とストーリーを追っていける。
いや、一応長兄の龍慶は真面目ですが、個人的には龍慶も日向に多少なりとも心を奪われてたのではと思いました。性的な対象というよりも、弟以上、恋愛未満というか、アイドルに心奪われるような気持ちはあったかも?でないと龍昇への殺しそうなほどのあの怒りは説明がつかないと思うんですよ。大事に愛でていたお気に入りのかわい子ちゃんによくも手を出したな感が凄かったw
最後の方まで読んで、やっと龍昇の苦悩というか、気持ちがはっきりするんですけど、それが作中にもう少し書かれてたら神評価でした。
BLなので、やっぱり龍昇が日向に心奪われていく過程とか兄弟なので苦悩する描写があればもっと高評価の人も多くなるのではとも思うのですが、でも、そういう丁寧な恋愛物とはまた違う、リアルな人間の愛憎劇が魅力の作品だとも思いました。
今時のBLではあまり無いような展開(兄と自分がヤってるところを兄の彼女にわざと見せる、長兄に龍昇との関係を打ち明ける等)に目が離せなく、最後まで一気読みでした。
そして、ハッピーエンドといえるのか分からないラスト。龍昇と日向の立場逆転!
日向に執着してた龍昇が、彼女の存在が露呈してから日向を避けるようになり、今度は日向が龍昇に執着して、最後の最後で欲望に勝てず日向に捉われる…この後どうなるのか激しく気になりますが、そういう終わり方がかえって余韻がすごい。
龍昇はついに日向の手に落ちてしまうのですが、もうその後は色々と修羅場が待っていそうで、妄想をかき立てます。
続きが読みたい…けど、この終わり方が一番だと思うし、これ以上は作品としては蛇足になりそうだし…
過去のレビューで大洋図書の公式HPにSSがあったそうですが、古い作品なのでもう見れなくなってる…(泣)
甘い内容らしいですが、どんなSSだったのかすごく気になります。
この作者様はもう新しい作品を書いてないようですが、かなり残念です。作品数も少なく、もっと活躍してほしかったです。
面白いッ!
読み応えありすぎる。
イマドキのBL小説ジャンルはファンタジーが多くて、ファンタジー苦手な私は昔の作品ばっかり彷徨ってるんだけど。
コレは最高だ…
日常にあらわれる亀裂、その怖ろしさ。
そういうモノをBLで描くのが最高にスリリングなのに、なんで最近こういう作風がないのだろう?残念でならない。
…というジャンル偏重批判は傍に置いといて。
本作は、近親相姦もの。
父親違いの、兄x弟。
筋肉隆々ガテン系の兄が、華奢で細身の弟を無理矢理に犯す。
犯される弟は、いつまでも受け入れられない。カラダの快楽は感じてしまうけれど、禁忌は越えられない。
なのに兄は一つ屋根の下、弱者の弟を絶対に逃さない。
そんな爛れた日々の果て、兄はカノジョを作り弟を突き放す。
そうなってみて初めて弟は兄の熱を欲する…
この精神的な攻防というか逆転劇というか、そこがすごい緊張感で、この話どうなんの?もしかして破滅?みたいな恐怖感さえ。
視点は一貫して弟の日向なので、兄の龍昇の勝手さや残酷さ、日向の虚しさ悔しさ、憎しみのような愛のような、そしてカノジョが登場してからの一転しての兄への執着がある意味淡々と描かれている。
客観的な状況と、日向の心理が絡み合う。
そしてラスト…
やはり兄・龍昇の心は日向に向けられていた…これから2人はどうなるのか、家族はどうなるのか、それらは疑問と推測のまま放り出される。
そしてそういう結末がこの作品の緊張感をより深めている。
理想的な兄✕弟。兄弟スキーは、必読の本と言っていいのではないかと思う。
兄は力で弟を我が物にして、さんざんいいように弄ぶ。その挙げ句、弟が本気になったら、つき合っていた彼女と同棲しようと家を出ていこうとする。まるで弟から逃げるかのように。
もう、本当にひどい兄貴。クズと言ってもいい。しょっちゅう殴るし。
日向もいい子とは言い難い。やんちゃだし、そのへんの女の子とやったりするし。
このお話、がっつり女の子が絡むので、好みは分かれそうだけど、個人的には兄の彼女のさくらがいい味出してると思うし、むしろ中盤以降の、兄を巡るキャットファイトから俄然面白くなる。
さくらは、ふたりの絡みを見ても平然として「知ってた」とか言っちゃって、でも兄弟だからどうしようもないでしょ、と兄を奪っていこうとするのだ。もう、メンタル強すぎ。BLの女性キャラって、こういうところで都合よく退場させるために普通は引くと思うんだけど、食い下がるってところがね。いい。
でもって、この作品、なんと言ってもラストがすごい。
兄を彼女に持っていかれそうになった弟の、最後の最後のひと言。そのたったひと言で、今まで虐げられていた弟と、一方的に弟を蹂躙していたかに見えた兄の立場が、鮮やかに逆転する。で、本を閉じてこのタイトルが目に入り、その意味するところに鳥肌が立つ。まさに血の呪縛。
読み返すたびにゾクゾクする、素晴らしい着地だと思う。この後起こるであろうゴタゴタを敢えて描かず、ここで終わっているのがいい。
兄と弟、ふたりだけで世界を完結させてしまったような閉塞感、お互いに対する強い執着と独占欲。これが兄弟ものの醍醐味だと思ってるんだけど、この作品、それが全部あるまさに理想形。
暴力を振るう攻めが苦手なのと、趣味で言えば甘い話が好みなのでこの評価ですが、限りなく神に近い作品です。
松田先生はもう作品を書かれていないようだけど、「どこにでもいそうなその辺の兄ちゃん」を書かせたら天下一品、素晴らしい作家さんだと思っている。
私が初めて読んだ兄弟もの 兄弟ものは執着感が半端ないので大好きです。人間関係や血縁関係などすべてのドロドロ要素がギュッと詰まっている感じがするんですよねぇ~逃げられない感じがしてドキドキしちゃいます。イラストも奈良さんの絵でとても素敵!兄の攻め様がどうして弟の受けにこれほど執着するのかがもっと深堀して描かれていたら神レベルですね。兄弟愛からいつ愛に変わったのかよく分からないし、弟も流された感がありすぎて、なんだかそれ愛ですかと言いたくなってしまいました。
紙の本の挿絵が気になるなー……の、電子書籍。Kindleアンリミテッドはどうも気のせいか兄弟モノを読むことが多くて、食傷気味な中での異色作。萌というのは違う気がするので神。長兄に言いつける場面が好き。もはや告白。ああ、あっさり信じるんだ。末っ子の性格からして長兄にばらされるのは予測してただろうに普通に会わせちゃうし、殴られてる最中も薄ら笑ってる真ん中。それを他人事みたいにみてる末っ子。なんだこの横からかっ攫われた感。必死なさくらちゃんの部外者っぷりが際立ってる所以は、こんなど修羅場の中でも阿吽な空気があるからで、なんかこう、兄弟だな。言葉やモノローグで説明するシーンが少ないので行動で心情をみるのが面白かった。