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すごかった……
5×3mの古びたバスルームで繰り広げられる監禁愛で、ARUKU先生お得意の執着攻め×不憫な健気受けです。
無理矢理などの性描写も多いのですが、最終的には純愛ルートに辿り着くのでご安心を。
受けの見晴は、ブラック企業に勤める孤独な青年。
ある日、アパートの外にカメラが仕込まれていることに気付きますが、そうこうしているうちに会社が倒産。
孤独、疲労、社会からの疎外感を感じた見晴が目覚めると、そこは見知らぬバスルームでーー…。
突然始まる監禁生活の幕開けです──
生活に疲れた見晴と、謎のストーカー男・マナト。
物語は、ほぼ二人を中心に進んでいきます。
ずっと見晴を見張っていたマナトの正体は?
見晴を溺愛し、見晴を脅かす全てのものから守ろうとするマナト。マナトがそこまでする理由とは?
無理やり見晴を抱くマナトは、見晴からの好意を探し、愛を確かめているかのように見えます。
心では愛されたいのに、理性がそれを拒絶する。
強引な鬼畜攻めではあるのですが、マナトの歪んだ愛と異常な程の執着に心揺さぶられました。
そして、両親を事故で亡くした孤独で不遇な青年・見晴ですが、生きる事を決して諦めません。
監禁生活のマイルールを決め、脱出する機会を狙っています。
それでもねー、心が折れちゃう時があるんですよ。
そこは、とっても切なかった……
一度は逃げた見晴ですが、マナトによって連れ戻され、さらにキツい監禁生活を送る羽目に。
それでも尚、強くあろうとする見晴の生き方に心掴まれました。
会社で罵声を浴びせられ、罵られ、逃亡先では理不尽ないじめにあい……
そんな見晴を助けるのもまたマナトで。
時々、マナトがスーパーマンに見えました。やり方は汚いし、褒められたものじゃない。それでも、見晴を守ろうとする一途な気持ちに心動かされた。
最悪な形で出会った二人ですが、次第に気持ちを通わせていきます。
同じ形の傷口を背負った二人……
二人が過去の傷と向き合った時、初めてマナトの本心、正体が見えてくるのです。
マナトの健気で献身的な愛に涙が止まりません。
見晴がマナトの生きる意味、希望、全てになっているのだと分かり胸が締め付けられました。
これはストックホルム症候群ではないと思う。
二人が心を通わせていく過程の丁寧な描写が、そう思わせてくれます。
こんな出会い方をしなければ……と、思わずにはいられませんが、決して出会わなければ良かったとは思いません。
始まりが過激で強制的だった分、自分の意思でマナトを選んだ見晴に胸熱です。
愛を自覚していく過程は、むしろマナトの方が明確に描かれていたかなと思います。
元から恋心を抱いていたマナトですが、実際に見晴と暮らす中で、その気持ちが確かなものになった様に感じました。
とにかく、心理描写がお見事なんですよね。
クスっと笑える表現や、マナトの服装がどんどん可愛くなっていくところも見どころです。
ただの愛憎劇ではなく、深く訴えかけてくるものがあり、いたく感動しました。
あと、髪を下ろしたマナトがかっこ良かったです♡
15平米のバスルームという名の金魚鉢に、小さな赤い金魚と真っ黒な金魚が泳いでいる。
外界は危険がたくさん潜んでいるから、自由はなくとも金魚鉢の中でなら命がおびやかされることもない。だけど金魚鉢はあまりにも小さすぎて、二匹がずっと一緒に生きていくのはほぼ不可能。
やがて真っ黒な金魚は、赤い金魚を生かすために決断する。唯一のものと引き換えに自由を手に入れた赤い金魚は、真っ黒な金魚に語りかける。金魚鉢の外の世界はこんなにも美しいよーー。
BLにおいて、監禁という題材と常に表裏一体にあるテーマは執着愛。今作ももちろん踏襲しているものの、多義的寓話のARUKU節によって唯一無二の後味を堪能させてもらいました。
ARUKUさんは絶望を知っているんじゃないかと思う。どん底を味わった人が夢見る希望というのは、知らない人に比べて遥かに純度が高いのかもしれない。
ARUKU先生はよくこんなギリギリと緊張状態の続くストーリーを何作も描けますね。先生の精神状態を心配してしまいます。
極限状態における二人だけの世界、奪うもの奪われるものの間に芽生える愛、そういったものがARUKU先生の追い続けるテーマなのかなと勝手に思っています。
マナトと見晴、二人とも浮世離れしたキャラクターです。ARUKU先生の世界の登場人物は、みんなどこか変で現実感が無いです。
マナトはエキセントリックで乱暴、見晴は健気を通り越して人間ぽさ(エゴや欲望)が無い聖人。
二人ともすごく奇妙な言葉遣いをするのでちょっと笑ってしまう箇所もあったり。
出てくる脇キャラは過剰に邪悪だったり。
何故かずーーーっとバスルームで話が展開してる。というかセックスしてる。(というか、攻めがずっと犯している。)
変なとこだらけなのに、どうなの!?何なの!?どうなるの!?と
ハラハラドキドキが止まりません。
中盤から見晴の心と身体が引き裂かれ、終盤マナトを愛するようになる展開は本当にBLの醍醐味というか‥現実では困りますがフィクションでは大好きです。
今作は久しぶりにぶっ飛んでて、ARUKU先生らしさがすごく良かったです。
狂気の表現に手抜かりがないんですよ。
普通の人なら○○を○す描写入れないですよ。
苛烈な表現を入れていくところがARUKU先生が天才である所以だと思います。
何だかんだ脅かしましたが、ラストは信じられないくらいにハッピーエンドですよ!!
副題も凝っているのでぜひ見てください。
私にとっての神作家・ARUKU先生の新作「発熱バスルーム」。
表紙一枚めくっての肌色に驚いた…
そして読んでみると、近年にないセックスシーンの多さ。それも無理やり系な。
この主人公・見晴は不幸不幸不幸、不幸の只中に暮らし働き、ある日目覚めると見知らぬ男に監禁され、そしてレイプされた…
怖すぎる。
読んでるこちら側も、この犯人が誰なのか、なぜ見晴なのかが全くわからない状態で、ただ見晴がいじられたり裸にされたり犯されたりを読む事になる。
ARUKU先生の描くセックスシーンはどこかカクカクとして、エロチックさや滑らかさや官能性というものはなく、まるで操り人形が無理やりな方向に手足を動かされているよう。
見晴は自殺未遂をしたり、なんとか一度は逃亡もするけれどその先でも不幸。7ヶ月後見つかってまた監禁…
そして読者はようやく犯人・マナト側の事情を知る事となる。
そこには不条理はなく、マナト側にも非常に現実的な不幸があった事がわかる。
わかったところでマナトの極端な行為が腑に落ちるわけでもなく。
マナトの愛、それはマナトの母から受け継いだ贖罪。
そしてその全身全霊の贖罪を受け取ってくれなかった見晴への復讐でもあったのかも。
許してくれ。
愛してくれ。
見晴がかつて旅岡母子に手紙を書いたのは、拒絶ではなく家族は恨んでないお金なんて送らなくていい、という気持ちだったのかもしれない。事故を忘れたかったのかも。
だけど、その事で旅岡母子は逆に何も終わらせられなくなってしまったのだと思う。
これが悲惨な事故の悲惨な側面なのだろう…
マナトの真実を知って、見晴は彼の言動のわけを知ったのでしょうね…
加害者への同情、または愛?やっぱりストックホルム症候群?でももうどっちでもいい。
片や贖罪と、復讐にも似た愛。
片や恐怖や憎しみと、それを超えた後に出てくる何か。
恩讐の彼方。その言葉がしっくりくる。
絵が上手い作者さんではないので、敬遠していました。
恥ずかしながら、先生の作品は今作以外の他に高評価の二冊しか読んでいません。
それを読んだ後での今作、先生は執着攻めが作風なのかしらと思いつつ、今作もそれが全面に出ている印象です(とても好きです)
前半までは無理矢理系のエロが多いです。
後半から受けが子供返りをしている描写もあります(エロい)が、ほぼ監禁または軟禁の精神状況を考えるとそうなってしまうのかなとも思います。
ページ数も多く、読み応えがあります。
纏め方には疑問もありますが、買って良かったと思える神評価の作品です。
そこで持った疑問も、先生の作品でこそのものだと思います。