令和の大型新人が鮮烈に放つ、江戸の夜陰に切なく熟れる恋の花 【本能に抗えない鬼×自己犠牲な美青年】

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表題作べな (2)

べな,壱と暮らす鬼
壱,見世物小屋から逃げてきた青年

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • 解説

あらすじ

――鬼はヒトになれるのか?

見世物小屋を抜け出し、穏やかな暮らしを手に入れたべなと壱。
しかし日々のちいさな幸福が降り積もるほど、
べなは自分が鬼であること、人間とは違うことを強く意識するように。

そんなある日、お奈緒から駿河府中まで手紙を届ける"お使い"を頼まれる。
初めての旅路に昼も夜も仲睦まじく過ごす二人だったが、
壱は「べなが自分の元から去ろうとしてるのでは」と不安が募り…?

近づくほどに遠くなる。だけど、その痛みすら愛おしい――
既刊続々重版のお江戸人外ボーイズラブ、待望の続編!
描き下ろし&解説も収録!!

作品情報

作品名
べな (2)
著者
こふで 
媒体
漫画(コミック)
出版社
双葉社
レーベル
マージナルコミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784575380705
4.5

(71)

(49)

萌々

(13)

(7)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
14
得点
319
評価数
71
平均
4.5 / 5
神率
69%

レビュー投稿数14

前作を超えて素晴らしかった!

『べな』の続編です。
前作に比べて読みやすくなっていると感じました。
そして何より内容が素晴らしく、言葉が発達したせいか、べなの心理描写が丁寧で読み応えがありました!


見世物小屋から逃げ出し、長屋で暮らし始めた壱とべなのその後です。
平穏な日々をおくる中、べなは自分の中の「鬼」が再び暴走する事を恐れるようになります。
そんな時、お使いで二人旅に出ることになるのですが、べなには他に目的があり……と、いう展開。

べなは、自分の心の弱さを恐れています。
ヒトになりたい べなは、心の弱さが「鬼」を呼ぶ事を知っています。未だに負の感情が燻っている べなは、心が暴れ出し、壱を傷つける事を何よりも恐れているのです。

その一方で、べなが大事だから全てを受け入れたい壱。
しかし、その自己犠牲も厭わない姿勢こそが、べなを追い込んでいた事に気付きます。
壱と一緒に笑っていたい べなにとって、自分を大切にしない壱の態度は辛いものでしかないのです。
そして、それは亡くなった弟・二三にとっても同じ事だったのですよね。
回想を交えて壱が二三に思いを馳せ、べなとの幸せが二三との幸せを実感させていく表現は、感動しかありません。

鬼だろうが人だろうが関係なく、べなと一緒だから幸せなのだと伝える壱。
二人でべなの仲間に会いに行く場面は胸アツで、べなが壱と一緒に過去を乗り越えたのだと感じました。

それから、二人はダンゾウに会いに行きます。
ダンゾウに再会した二人は、ダンゾウが未だに二三を失った悲しみを昇華出来ていない事に気付きます。
ダンゾウと二三の胸打つエピソードの数々、大切にされていたであろう二三の形見の品……と、ダンゾウがどれだけ二三を想っていたのか伝わってきて、涙が止まりませんでした。

鬼と人の境目は小さく、〝悲しみは悔しさになり、やがて人を鬼に変えてしまう〟……という、べなの言葉が心に響きます。

個人的には、ダンゾウのその後が見れた事が一番嬉しかった。
乗り越えなくてもいい。ダンゾウは悲しみを認め、心の中の二三と共に歩き出して欲しい──そう願わずにはいられません。

壱とべな、二人一緒なら何も怖くないと思わせてくれたラストには、胸がジーンとしました。
江戸の町や道中の描写も味があり、キャラたちの表情も豊かです。巻末の「解説」まで楽しく読ませて頂きました。
次回作も楽しみにしています!

8

愛というのものは

ふー……。読後は余韻が残りまくって溜息しか出てきません(勿論良い意味で!)
1巻で既に最高!!となった『べな』ですが
続きが読めて心からありがとうございますと言いたい気持ちです。

べなを全部受け入れてあげたい壱と
壱も他の誰も二度と傷つけたくないべなが
お奈緒さんの使いで旅する間に更に絆を深めていました。
こうしてあげたい、と思うのは愛ゆえのエゴも多少あるのかもしれませんが
やっぱり大事だからこそだと思うのです。
壱は「また間違った」と言っていましたがそんなことないよ…。
べなが何かで苦しんでいるのをどうにかしてやりたい気持ちは伝わっていましたし。
ただ、愛し合っていてもそれぞれに抱えていることはあるわけで
そこにきちんと二人とも向き合えたのはとても勇気が必要でとても立派だと思いました。
“二人で笑って暮らしていける”、これ以上の幸せはないでしょうね。

べなと壱がハッピーエンドなら
ダンゾウと二三はバッドエンド、になりますよねやっぱり…。
あんな風に嫌われ役に徹していたダンゾウが、
優しくないようにしておいて実はそうじゃないところを見せられたら
二三に生きていて欲しかったと思ってしまいますが
二三が生きていたら壱はべなと一緒に暮らしてはいなかっただろうし複雑な心境です。
あのべなの真っすぐな言葉と目が突き刺さりました。
ダンゾウが少しでも前を向いて生きていけるよう願ってしまいます。
其の拾参は悲しいけども
わかりやすい愛だけが愛じゃないんだとかなりグッときます。

花火が上がる柳の下で壱が見た二三のシーン、
あの見開きのページはとにかく泣けました。
どちらもお互いを守りたかった兄弟愛も切なく素晴らしかったです!

3

ただただ願いたくなる

鬼であるべなの自身の存在への不安。
壱のべなと二三への気持ち。
ダンゾウの心の在り方。

1巻でもある程度落ち着いていたかに見えたそれぞれの問題。
ですが、その未だ囚われ縛られているひとつひとつの事柄がさらに掘り下げられ解かれていきます。

壱の自分を二の次にしてしまう性格と壱には自分を大事にしてほしいべなと。
想い合っているふたりなんですけど、根底の部分ですれ違っていて…
そのズレがずるずると尾を引いていて、幸せ、そうなんだけどなんだかもどかしさがあって、探り探りで、はじめのべなと壱はなんともスッキリしていないんです。
が、ふたりで出かけた旅路の道中で様々な事があり、そのもやが明かされていき、べなの鬼である自分との向き合い方にべななりに答えを出して、壱も自分の中のべなの存在がどれだけ大きいのかをべなに伝えられて、そして、本当の意味で二三への弔いが出来て。
壱も二三もお互いが同じことを思っていたんですね…。
二三とは見られなかった約束の花火のあのシーンでは涙が…。

『壱と生きていける』という真っ直ぐで不器用なべならしい言葉が、壱の『二人なら平気だ』という心からの言葉がこのお話しの全てだと感じました。

ダンゾウもまた、二三に対する想いに向き合って行く姿や二三とのエピソードが描かれていて、胸が熱くなりました。

より美麗度の増した絵の上手さに唸らされ、巧みな心情描写に心を揺さぶられ、圧巻の読み応えでした。
ふたりの幸せをただただ願いたくなる…そんな素敵な作品に出会えて嬉しいです。

3

本能に抗えない鬼 × 自己犠牲な美青年

めでたしめでたし、と締めくくられたその先を見れるとは!

前巻のラストで、ふたりで生きていくと決めた壱とべな。
その後も定吉夫婦に支えられつつ穏やかに暮らしているのですが、べなは内心、またいつか自分が角を出して暴れたりしないか不安を抱いていました。
それも、大切なものを守る為なら平気で自分を犠牲にしてしまう壱だからなお一層、自分が壱を傷つけないか心配になってしまい…

大事な人を大事にすること。
守るとは?守られる側は何を思うか?
べなの本音に触れ、二三の言葉を思い起こしながら、自分を粗末にしがちだった壱の考え方が動かされていきます。
頑張ってきた壱のやり方、個人的には否定したくないけれど、もっと良い方法をべなとふたりで見つけ出せて、本当によかったなと思いました。

そして後半部は、ダンゾウ視点に代わります。
壱視点ではざっくりとしか分からなかった、二三の最期のエピソードが明らかになります。
前巻でも存在感抜群だったダンゾウ。
(良い意味でも悪い意味でも)
初めて会った時から、瓜二つの双子を簡単に見分けたダンゾウ。
壱の言葉を借りれば、外道のダンゾウ。
とても好きにはなれないけれど、何故か憎みきれなかった彼目線、めちゃくちゃ泣けました。

ダンゾウの明るい表情や前向きな言葉はついに無いまま終わってしまうのですが、最後のたった2コマで、彼の時間も動き出したのだとちゃんと伝わってきて…
じんわりと胸にしみるものがありました。

まだ半年以上先だけど、来年の夏に花火を見る時にはきっとダンゾウと二三のことを思い出すと思います。

3

最高過ぎてしんどい。

「人外」というジャンルを取り扱うマージナルコミックス。
マージナルコミックスって個人的にハズレがないレーベルでいつも刊行を楽しみにしているのですが、特に今作品は『べな』の続編ということで発売日を心待ちにしていました。

もうね、表紙からすごく素敵です。
紙質も良いし、色遣いも良い。
こふで先生の描かれたイラストももちろん良き。
何より、江戸という時代背景がそこかしこから匂い立つ感じがなんとも味があって良いのです。

1巻はシリアスで切ないシーンも多かった今作品ですが、2巻は、なんていえばいいのかな。

気持ちがほっこりと優しくなる。

そんな感じ。

壱とべな。
お互いに、お互いという存在を得て、だからこそ過去に苦しみ、けれどそこから這い上がっていく。二人の存在、経験。そして思い。彼らを介して、元気やエールをもらった気がします。

1巻含めてのネタバレがあります。ご注意ください。





劣悪な環境を、「弟のため」。ただそれだけのために生きてきた壱。
そんな壱が出会った鬼のべな。
弟亡きあと、今度はべなのために奮闘する壱だがー。

というのが1巻で描かれていた内容。

2巻に入り、二人の仲睦まじいシーンからスタートします。
鬼の子であるべなの素性を、周囲の温かい人たちの手を借りて隠しつつ、つつましやかで、けれどゆったりと過ごせるようになった壱とべな。

幸せを噛みしめる壱だが、最近べなの様子がおかしい。
そう心配する壱は、お奈緒に頼まれ駿河までべなと旅をすることになるが―。

2巻では、壱とべな、それぞれの想いが交錯していく形で進みます。
これがねえ、とっても切ない…。

切ない、といってもシリアス展開ではないんです。
べなにはなべなの、壱には壱の、それぞれの葛藤や苦しみがある。けれど、それは自分自身のためではないんですね。

この展開の仕方が実に秀逸です。

べなの書く文字。
ここから、壱の過去に繋がっていく。
亡き最愛の弟・二三。
壱の二三への贖罪の思いとか、はてはダンゾウの想いとか。

「文字」から、こうもストーリーは展開していくのか、と舌を巻きます。

そしてべなも。
彼は鬼の子なわけですが、人になりたいと願う。
なぜか。
それは、ただひたすら、壱のためだけに。

けれど、そのべなの「人になりたい」と願う行動から人と鬼の違いをもくっきりと読ませます。

人が人であるために必要なもの。
それは何なのか。

それをなくしてしまったら、人は人でなくなるのだと。
例え鬼であっても、それさえあれば人になれるのだと。

もうね、深い深い愛情に、じんわりと心が癒されていく気持ちになりました。

正直、ストーリーとしてはありきたりというかよくあるお話ではあります。
が、登場人物たちの感情の機微、彼らが見せるしぐさ、セリフ一つ一つに味があり、読者の心に訴えかけてくるものがある。

壱とべなの2人はもちろん素晴らしい。
けれど今作品は、彼らだけが魅力的なわけではない。

お奈緒さん夫婦。
お奈緒さんのお兄さん。
そして、彼らの愛すべき隣人たち&お子たち。
義理人情に溢れてるというか、人との関わりの素晴らしさが、今作品には溢れている。

「お江戸BL」というのが今作品の大きなキーポイントの一つかと思われますが、こふでさんがこの時代をとても愛しているのがよく分かります。細かな部分まで綿密に調べて書いているのだな、という感じ。だからこそ、江戸というバックボーンがうわ滑りせず、より一層生きて読ませる作品になっているのだなー、と。

で。

終盤にダンゾウと二三の過去編が収録されています。

ここで、このエピソード入れるとか…!
こふでさんの手腕に完敗です。

ダンゾウは1巻の序盤では外道な人物として登場しますが、彼の葛藤とか、過去とか、二三への愛情とか。そういうものが読み取れてなんとも切なかった。彼もまた、二三と出会い、彼を愛したことで外道から「人」へと戻った人物の一人ではなかったろうか。

生きていくって楽しいことばかりではなくってしんどいこともあるけれど、けれどともに生きてくれる人がそばにいてくれたなら。どんなことでも乗り越えていける。

そんな、応援歌のような作品でした。

ずっと二人が幸せでいてくれることを願ってやみません。
文句なく、神評価です。

2

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