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二度目の人生はハードモードから

nidomeno jinsie wa hard mode kara

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表題作二度目の人生はハードモードから

市島,25歳,弁護士
川本芳郎,27歳、清掃会社で働く青年(拓人、高校生16歳)

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

この体の持ち主だった青年が、想いを寄せるのは誰…!?
事故で助けた見知らぬ高校生の体で、第二の人生を謳歌できるのか!?

幼少期を施設で過ごし、孤独に育ってきた芳郎。
そうして27歳となったある日、トラックに轢かれそうになっている高校生を咄嗟に庇い、自分も事故に遭ってしまう。
死を覚悟したのも束の間、病院のベッドの上で目覚めて驚愕! 芳郎の肉体は事故で死に、どういうわけか助けたつもりの高校生・拓人の身体に入っていたのだ!!
その日から、見知らぬ高校生・拓人として生活を始めることになった芳郎。
事故以来、過保護になってしまった母親や、心配してくれる同級生たち――
孤独だった自分とは対照的に、恵まれた環境で将来に期待もされていたであろう拓人としての生活に少しずつ慣れてきたところ、拓人が若手弁護士の市島という男に想いを寄せていることを知って…!?

作品情報

作品名
二度目の人生はハードモードから
著者
水無月さらら 
イラスト
木下けい子 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010200
3.3

(16)

(2)

萌々

(6)

(4)

中立

(4)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
50
評価数
16
平均
3.3 / 5
神率
12.5%

レビュー投稿数4

その手がありましたか

ザックリまとめると、転生ファンタジーですかね。
この頃は異世界転生が盛況ですが、こう、死ぬときに乗り移る系の転生物って、逆に古式ゆかしい、懐かしい感じです。
お話としては、芳郎にも拓人にも、それぞれ救済があって、オールオッケーなハッピーエンドで、ところどころ物足りない感じは無きにしも非ずですが、まあ、この分量のお話なのでこれで良かったと思います。
それよりも、昨今の流れとしては、未成年を登場させるとしたら性的描写は、中学生以下はオールアウト、高校生でも成人相手での受けとなると難しい感じになっているので、この流れでセックスに持ち込む技に、その手があったのかってのが印象に残りました。

2

萌え…きれない…

入れ替わりものですが、事故から守ったはずの男子高校生の体に自分の魂が入ってしまう(高校生はのちに成仏)って結構皮肉な話ですよね…。
片方死んでいると、萌えきっていいものか?となんともいえない気持ち。

おまけにその男子高校生は美少年であることを抜いてもとてもいい子でまるで天使なようで…。
攻めへの気持ちを綴った日記のような短文が出てくるのですが、とても甘酸っぱくて可愛らしくて。
でも恨みなど負の感情一つもなく去っていくんですよ。
余計に惜しく感じてしまい…苦い気持ちが拭えなかったです。


さて元の受けですが、不幸寄りな人生を人助けで終えたはずが、別人の体に宿り現世へと戻ってしまいます。
今回は顔良し家庭環境良し、だが中身はそのまま。
器が変われば人生も変わるのか!?なんて深い話になってくるのかと最初は思いましたが、一人の男が別人の体でBL的に幸せになるお話でした。

高校生相手として話す攻めを内心では同世代の一人の男(しかも元の自分の人生では知り合うことすらなかったようなできる男)として見ている描写は面白かったですね。

攻めはイメージ通りの男というわけでもなく、自然体な素の姿が見えてくる度に惹かれました(私が)
よく見る量産型攻めではなく、ちょっとした会話にも小ネタが散りばめられていて楽しかったです。

ただ登場人物がくっくと笑う描写が多い気がして…引っ掛かったの私だけかな。

我儘を言えば、攻めが受けを好きになる描写がもっと欲しかったですね。
中身の受け自身に惹かれたのは分かるのですが、どこにヒットしたのかいまいち伝わってきませんでした。
本人の写真は見ていましたが、これ美少年じゃなくてもここまで進展した?と思わなくもないところが物足りなかったです。

2

もう一声ほしい。

木下さんの描かれた表紙とあらすじに惹かれて購入。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





主人公は27歳の芳郎。
子どもの時から施設で育ち、学もなく、さらに顔に大きなケガを負っている彼はいい仕事に就くことが難しい。さらに騙されたりすることも多かった彼は「伸也」という偽名を使って生活している青年。

が、最近は楽しい日々を過ごすことが多くなってきた。仕事仲間に恵まれたこと、気の良いおかみさんがいる小料理屋を知ったこと、などが理由だ。その日もおかみさんに買ってきて欲しいと言われたネギを携え小料理屋に向かっていた。

その時に、彼は交通事故に巻き込まれてしまう。とっさに子どもをかばった彼は自分は死んだな、と思う。けれど、そのことに後悔はなかった。

はずだった。

が、彼が目を覚ました時、死んだはずの自分は生きていた。助けたはずの、高校生の男の子・拓人として。

芳郎の身体は死んでしまったが、中身は拓人と入れ替わってしまった。というファンタジー要素モリモリのお話です。

27歳の芳郎が、いきなり知らない高校生の拓人になってしまった。
「中」にいたはずの拓人はどうなってしまったのか、芳郎はこれから拓人として生きていくのだろうか、と、どうなるのか気になってページを捲る手が止められませんでした。

が、今作品はBL。
拓人はゲイで、誰かに片想いをしているようだった。

拓人が好きなのは誰なのか?という部分を軸に、BL展開していきます。

拓人が通っているのは中高一貫校の男子校。
周りには同じくらいの年の男子がたくさん登場してきます。うんうん、誰に片想いしてるのかな?と思うわけですが、ここ、あらすじに書いてあるんですよねー。

拓人が好きなのは、姉の元家庭教師の市島という、弁護士で、イケメンでさわやかな男性。

そういった「拓人の内面」を、芳郎は様々な手段を経て知っていくけれど。

んー。
バックボーンとかストーリーはすんごく面白いんですよ。
面白いのですが、なんて言うのかな、ちょっと薄っぺらい?

まず、27歳の成人男性が、全く知らないDKになり替わるっていうのは正直無理がありすぎると思いました。事故のために記憶が錯綜しているとか、ケガで学校に通えないとか、そういう展開に持っては行けると思うのですが、拓人は普通に高校生活に戻っていくんですよね。進学校に通うDKの学校の授業についていけるのかとか、友人たちとの関わりとか(話し方とか癖とかで友達に違和感を持たれそう)、いやいや、無理でしょ。と思わず突っ込んでしまった。

そして肝心の市島とのかかわりも。
さっくり恋人になってしまうというか。

あまり書いてしまうとネタバレになってしまうので詳細は書きませんが、とあることをきっかけに、二人は一気に近づいていく。が、これ、中身が拓人本人であってもさっくり恋人になってしまった可能性があったわけで、それなら中身が「芳郎」である必要性は全くない。

芳郎が子どもの時から施設にいたこと、芳郎の顔にケガがあったこと、芳郎の偽名が「伸也」であったこと。ストーリーを膨らませようと思えばいくらでも膨らませることもできたと思うのですが、その辺りが非常にあっさり書かれていることもあって今一つ感情移入しづらい。

そして市島の過去も。
非常に重い過去を持つ彼ですが、そのエピソードって必要でしたか?と思うくらいあっさり描かれています。

過酷な過去を持つ芳郎が、温かく幸せいっぱいな家庭で育った拓人の身体に入り込んでしまった。だから、はい、幸せになりました、というストーリーではないし、BL展開もあっさりしているし、過酷な過去は今一つ生きていないし、バックボーンが非常に魅力的だった分残念感も半端ない感じがしました。

反対に言うと、痛い展開になることはほぼなくさっくりと進むストーリーですので、木下さんの可愛らしい挿絵も相俟って、ほのぼのした展開なので甘々なストーリーがお好きな方にはお勧めかと思います。

7

去る人

けい子先生ホイホイで購入。救われたような救われなかったような不思議な読了感なので中立にしました。攻めは好きな方なんだけどな。本編250P弱+あとがき。

16歳の時に東京に出てきて11年。2年前に雇ってもらった清掃会社の人間関係が良く、ようやく笑顔を見せられるようになった矢先に、交差点で歩道に突っ込んできたトラックから高校生をかばおうとしてはねられた芳郎。病院で目が覚めると、「たっくん」と呼びかけられ、見知らぬ人から目覚めた事を喜ばれ…と続きます。

攻め受け以外の登場人物は、
拓人(芳郎の宿った体の元の持ち主)、拓人の家族、拓人の同級生、三輪(拓人の同級生、相談相手)ぐらいかな。拓人がせつない。

++攻め受けについて

受けの芳郎は27才、ひどい家庭環境で施設に入るものの、顔におった手酷い傷の為、施設出たあとも本当に苦しい人生。それが交通事故で偶然高校生の体、しかも美少年。騙しながら生きていくのは難しいと考え、家を出ようと企むのは分かります。とにかく情報収集し何とか周りに適合して頑張る頑張る。こうなった理由もわからず、体の中に拓人もいて、悩んでおかしくないと思うのですが、育った環境からか、あんまりメンタル的に凹んでないように感じるんですよね。淡々としていて。

かたや攻め。両親を不幸な事件でなくしていて、温かい家庭に焦がれている方。性格良い人たらしな感じです。(それがけい子先生の挿絵で描かれているわけですよ♡♡)
芳郎が大人な部分withぴちぴち美少年の姿でおとしにかかるので、戸惑いながらも、惹かれ落ちてました。分かるような分からないような。

拓人が芳郎に感謝と別れを告げていくシーンは悲しくてうるっとしたのですが、全体的にお話がどこに向かうのか全く読めず、不思議テイストのまま読み終えた1冊でした。水無月先生らしいお話なんだろうな。拓人の分まで幸せにならないとね、芳郎。

2

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