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過去に付き合っていたふたりが大人になって再会し、そこからまた新たに気持ちが動いていくというような再会モノ、ではあるのだけど。
静かに進んでいくストーリーの中、そこに至るまでに絡む感情が切なくて何度も胸がぎゅっとなりました。
仁科が記憶喪失になっているとわかった時点で
切ない展開になるのはもちろん覚悟していましたが…
かつて一葉に抱いた気持ちと同じ道をなぞるように進む仁科の純粋な恋心に、苦しくならずにはいられませんでした。
熱い眼差しも、甘い空気も。
終わりを体験している一葉はそれをそのままに受け取ることもできず、
どうせまた同じような結末になるのだと諦めている部分には何とも言えない気持ちになりましたが
仁科とも自分自身とも、そして過去ともしっかり向き合った一葉の変化はとても素敵だったな、と。
記憶が戻った仁科に真っ直ぐに想いを伝え、そしてまた同じ場所に立てたふたりをみることができて本当に嬉しかったです。
過去に付き合っていた頃も現在も、特別大きなエピソードがない分それぞれの心情がダイレクトに伝わってきてものすごく引き込まれました。
はちみつもめちゃくちゃ可愛くて癒された〜!
タイトルが過去形なのも、前向きなふたりの気持ちとして受け取れて良かったです。
些細なことで喧嘩したり、当たり前なことを当たり前に伝えあったり。
そんな日々の中でふたりは愛を育んでいくのでしょうね。
最初は切なさたっぷりでしたが、読み終わってみると心が温かくなっているような…
そんなお話に満たされました。
安西先生作品の好きなところはたくさんあるのですが…
中でも特に好きなのが、作品によって職業や設定も様々なのだけれど、細やかな心理描写を交えながらごく普通の恋愛をする人々をとても丁寧に切り取っているところ。
登場人物たちの名前も、漢字と読みも含め普通に読むことができる親しみやすさがあって好きです。
記憶喪失の元彼と数年ぶりに再会したことをきっかけに始まる、2度目の恋のお話。
特定の相手のことだけ思い出せなくなってしまう設定自体はそこまで珍しくはないだけに、どんな味付けで読ませてくれるのかが楽しみでした。
読み終えてみれば、なんだかじわじわと温度が上がっていく作品だったなあと思います。
前半途中まではギアが上がらず、徐々に上がっていって後半でほっとするような読後感に包まれています。
言葉を選ばずに言うのなら、受けの一葉の自分本位な思考があまり好みではなかったんですね。
なので、受け視点で進む雑誌掲載部分を読んでいてフラストレーションがたまる面が多々ありでした。
一葉視点で語られる学生時代の彼らの恋愛は幸せの絶頂とも言えそうなはずなのに、どこか温度差を感じるというか…
お互いに好きだという感情はあっても、一葉の仁科への気持ちは恋ではなかったのかもしれないなあと思いながら2人の過去を追いかけました。
うーん、一葉の気持ちと若さが仁科の熱量に追いついていなかったのでしょうね。
記憶を失った仁科との再会後の方が良い恋をしていたんじゃないかな。
受けのこの未熟な部分に共感出来るかどうか。
好意的に受け取れるかどうかで評価が分かれる作品かなと。
後半では、与えてばかりだった仁科に同じくらいの愛を与えられるようになった一葉にひと安心。
ただ、残念ながら私は受けの複雑な劣等感は理解ができても魅力はそこまで分からず萌えきれなかったため、今回は3.5寄りのこちらの評価になりました。
一葉の成長よりも、ずっと一途だった仁科に肩入れをして読んでしまったのが大きかったです。
読めば読むほど奥行きが出てくる攻めで、どちらが好きかと考えるとやはり仁科の方が好きでしたね。
艶々の木の実のエピソードの活かし方が上手く、仁科にとっては木の実が宝物のようなものの象徴なのかもと考えると胸が詰まります。
今後は一葉と同じ家で一緒に暮らしながら幸せを積み重ねていってほしいな。
終始攻めの幸せを願ってやまない1冊でした。
犬が大好きなので、表紙のわんこに惹かれて購入。雑種わんこで、その名は”はちみつ”。可愛い…(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)
作品中にも何回も登場し、挿絵のはちみつもべらぼうに可愛いです◎
散歩しながら、はちみつのお尻を微笑ましく眺めるところとか…細かな描写の数々に「安西先生、犬飼いの気持ちを分かっていらっしゃる…」と感激してました。
…という犬目当ての購入動機で大変申し訳ない感じなのですが、安西リカ先生の現代もの、お話もやっぱり本当に素晴らしかった。。
攻めの記憶喪失が絡んだ、7年間の空白期間を経ての、再会ものです。
同じ”建築”の道を行きながらも、自分よりもずっとずっと実力があり、世界に認められている恋人に対する劣等感。
彼が自分の力で手に入れた賞金で買ったリングを贈られて、自分が心底惨めになる気持ち。
自分よりもなにもかも上だと認めざるを得ない男から愛され、甘やかされることの辛さ、悔しさ…
大学時代の一葉の苦しみに、自分がまるで一葉になってしまったかのように共感して読んでしまい、苦しさを覚えるほどでした。
なんの実績もなく、積み上げてきたものへの自負や自信が無かった頃だからこその、負の感情。
7年の間に、規模は違えど顧客から信頼され、実績を積み重ね、精神的に一回り大きくなった一葉。
規模の大きな仕事を手がけ、世界的に認められる仕事をしているけれど、実は精神的にとても脆いものを抱えている仁科(攻)。
読み進めるにしたがい、一葉がどんどんどっしり、大きく見え、二人が優劣ではなく真の意味で対等に愛し合える関係になったのだなあと感じました。
あとがき後の掌編もはちみつを巡る二人の微笑ましい攻防?で愛が溢れていて、犬好きとしてもBL小説好きとしても大大大満足の、浸れるSSでした✨
何回だって恋に落ちる…という展開は大好き!
再会記憶喪失復縁もの~と要素がモリモリなようで堅実的で穏やかな日常が軸になってるのが良かったです。
若気の至らなさを克服し、愛されるだけやなく伝えてこうって気持ちの変化や
実は寂しがりな相手を男前にどんと支えるようになったのもグッときました。
いつもはひたすらに優先甘やかしてくるのに(といってもクールに)ベッドの上では意地悪ってのも~好きです!!
そして、その要求を無下にはできない!!!
真意を知って見えてくるもの、そこからの身の振り方もグッときて、最後に帰る場所を作るのも2人ならではで…じんわりきました。
安西先生〜…最高ですぅぅ。
この何でもないような日常の空気感に浸るBLが何より大好きなもんで……たくさん楽しませてもらいました。
BL小説界にはファンタジー作品が溢れきっていて、もちろん私もファンタジーは好きでよく読みますけど、現代ものにしか感じられないすぐそこにある親近感がすんごい好き。読者と同じ世界線に存在していると思わせるストーリーの進み方や時間軸をベースに、作品の中から溢れ出るキュン感やドキドキ感に浸る時間がこの上なく幸せ。かゆいところに手が届く萌えポイントの数々に、私はすっかり酔いしれました。
安西先生のあとがきにて、ご自身の作品は地味だ地味だと言われる…と言及していましたが、何をおっしゃいますやらって感じです。
全然地味ではない!!!
…と語気を強めて私は言いたい。
読んでいく側からドキドキワクワクしたり、胸がキュッと熱くなったり、切なくなったり幸せに包まれたり。一冊にこんなにたくさんの感情の色を詰め込んだ作品のどこが地味だと言うのか!(強調)
派手さのないストーリーだからこそ、ごまかしが効かないと思うんですよね。設定に頼らない胸アツな恋愛展開が本当に読み応えがあって素晴らしかった…。
かつての恋人が記憶障害を患い、自分のことだけを忘れているっていう状況なのに、潜在的に好きの気持ちが残っていて愛する人を追い求めている姿が、健気で切なくて心臓がもげそうでした。
別れた2人だけど、どこかでお互いの姿かたちや記憶を残していて、まだ昔の恋人を好きなままでいることの苦しさがこれでもかって描写されています。
別れたのは不本意なことだった…。ボタンの掛け違いが起こり、良くない形で恋人関係が終わってしまった2人が、またやり直しの時間を取り戻していく過程がすごく沁みました。
若さゆえ、見えていなかったところもありました。好きすぎるが故に手放した恋心もありました。
この作品は、やり直しのお話です。
仁科が記憶をなくさなければ、一葉は自分の気持ちに正直にもなれず、仁科の隠された想いにも気付かず、一生誤解したまま過去の恋に蓋をして過ごしていたことでしょう。仁科もまた然り。記憶を取り戻す作業が、結果昔の恋を再確認することに繋がりました。
仁科も一葉も同じ人に2度恋をしたんですね。
2人の気持ちがまだ失われていなくて、時間の経過をもってしても好きなままでいることの、一途で真っ直ぐな強い気持ちに萌え転がりました。
想いが通じあったときのシーンは最高!もうめちゃくちゃ良かった…。
一葉の気持ちの変化の描きがすごく良かったです。別れたとき、仁科のせいにしていたのが何だかなぁ…って感じでモヤモヤしましたが、自分の気持ちを修正し仁科に寄り添うようになったところは拍手でした。書き下ろしのストーリーで、仁科のいとこに強く言ったところがすんげーカッコよかった!
将来のことも前向きで、なんかもう全部がいい関係の2人にニンマリ&グフフですわ。
こういう素敵なお話が地味と評価されちゃうのは悲しいな…萌えの宝庫なのに!
日常のBLの中にも感情を掻き立てられる要素はたくさんあります。現代もの作品がもっと増えて欲しいなと思います。