恋愛不安症の孤独~きみがくれたぬくもり 辰哉編~ 完全版

rennai huanshou no kodoku

恋愛不安症の孤独~きみがくれたぬくもり 辰哉編~ 完全版
  • 電子単行本
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神1
  • 萌×21
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

125

レビュー数
1
得点
12
評価数
3
平均
4 / 5
神率
33.3%
著者
伊勢原ささら 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
電子発売日
ISBN

あらすじ

「そうか……、これは罰、なんだな―――」左門寺建設の後継ぎとして育てられた辰哉は、6年ぶりに留学先のイギリスから帰国した。その足で駆け付けたのは、自分の気位の高さから、幼い頃深く傷付けてしまった従弟のメイのもとだった。この数年で幸せそうに笑えるようになっていたメイの様子になぜか打ちのめされてしまった辰哉。そんな辰哉にさらなる追い打ちをかける出来事が。留学中に会社が乗っ取られ、業績悪化で経営の危機だというのだ。突然現れた出資企業の凄腕担当者・与謝野に、傘下に入ることを迫られ、辰哉は激しく反発するが!? やり手のエリートリーマン×素直になれないトラウマもち御曹司の雪解け愛! 「きみがくれたぬくもり」スピンオフ登場。書き下ろし短編「家族不全症の恋人」収録!

表題作恋愛不安症の孤独~きみがくれたぬくもり 辰哉編~ 完全版

与謝野滉一,33歳,大手ゼネコン村雨コーポレーションの経営企画部部長
左門寺辰哉,24歳,左門寺建設の元社長の息子

レビュー投稿数1

『きみがくれたぬくもり』のスピンオフ。

伊勢原さん作品の『きみがくれたぬくもり』のスピンオフ作品。
『きみが~』で受けのメイちゃんを苛め抜いた、従兄・辰哉のお話です。前作未読でも読めないことはない気がしますが、できれば前作を読まれてから今巻を読まれた方がより感情移入できる気がします。

ということでレビューを。






主人公は辰哉。
大手建設会社の左門寺建設社長の嫡男で、将来は左門寺建設を背負う人間として幼いころから帝王学を学んできた青年。

彼の父親は経営者としては有能だったけれど強引なやり口をいとわない人物だった。時に違法な手段を用いることも。それ故に部下から恨まれ、裏切られ、会社を追われることに。その時辰哉はイギリスに留学中だった。父親が逮捕されたときも帰国することはなかった辰哉だが、父親の腹心の部下だった本橋に請われ帰国することに。そこで辰也が本橋から告げられたのは大手ゼネコン・村雨コーポレーションの傘下に入らならないか、というもので―。

というお話。

序盤からメイちゃんが登場し、(前作でも書かれてた彼らの関係がうっすらと書かれていますので、前作既読だとより話が分かりやすいかと思われます)前作よりも落ちぶれた状態になった辰哉に、ちょいザマアな感情を抱きつつ読み始めました。でも、辰哉がメイちゃんにしたことを心から悔いてる様子も読み取れて、ちょびっと切ない気持ちにも。彼のベースには、メイという存在が大きく立ちはだかってる。

で。

今巻で辰哉と大きく関わるのは、村雨コーポレーションの経営企画部長の与謝野という男性です。かつて、父親から仕事相手として紹介された人物。有能だと名を馳せている男性でもある。辰哉は与謝野から倒産しかかっている左門寺建設が
村雨コーポレーションの傘下に入らないか、と言われるが、与謝野の真意を測りかねる辰哉は騙されているのではと疑心暗鬼になって彼の申し出をきっぱり断るが―。

与謝野を信じることができない辰哉と、好条件で辰哉に買収の話を持ち掛ける与謝野。与謝野が左門寺建設に救済の手を差し伸べたのは、いったいどんな思惑があるのか。

そこを軸に進むストーリーです。

んー、これ、序盤から与謝野から種明かしがあるんですね。
単純に左門寺建設が素晴らしい企業であること。彼は有能なリーマンなのできちんと損得勘定ができる。そのうえで、左門寺建設を買収することが自社のメリットにつながるというデータを持ってる。

が、まあそれだけではBL展開にならないので。ぶっちゃけて言ってしまうと、与謝野は辰哉に好意を寄せているから、なのです。

この与謝野の好意があって初めて成り立つストーリーで、だからこそ好みが分かれそうな展開だなと思いました。与謝野が辰哉にあったのは辰哉が17歳の時の一回だけ。その時に辰哉に激しく惹かれた、という。

うーん、なんかご都合主義な感じ…?
単なるご都合主義にならないのは、与謝野がなぜ辰哉に惹かれたのか、というのが詳細に書かれているから。でも、与謝野が辰哉に恋愛感情を抱いていく、その過程がリアルタイムで書かれていないので何となくあっさりし過ぎというか何というか。

が、そのモヤモヤを吹っ切る部分が、今作品にはきちんとあります。与謝野×辰哉、の恋の行方だけではなく、辰哉とメイの関係もきちんと描かれているところかと思われる。

メイにした仕打ちの過去、それを悔いている現在、メイへの贖罪の気持ち。
なぜ辰哉があれだけの非道な仕打ちをしたのか、その彼の内面がきちんと描かれいるんですね。

私は心が狭いので、正直、ケッ!と思ったことは否めない。けれど、過去の自分にきちんと向き合い、メイに会いに行くその男気は非常にカッコよかった。彼もメイと同じで、周りの大人に振り回された子どもだったんだな、と。

辰哉も頑張った。
けれど、辰哉が前を向けるようになったのは、周囲の人たちのおかげでもある。ベースとしてはシリアス寄りですが、人情味に溢れた作品でした。

面白かったのですが、前作がドツボに入りすぎてこちらはちょっとトーンダウンしてしまった感は否めなかったのが残念と言えば残念。完全に好みの問題です、はい。もしかしたら、『きみがくれたぬくもり』を読まずに今作品だけ読んだなら、あるいはもう少し辰哉に感情移入できたかもしれないなとか思ったりしました。

ムクさんの挿絵は、今巻も神だった。
めっちゃ優しいの。
ムクさんの可愛らしい挿絵効果もあってか、読後、心がホカホカする、そんな作品でした。

1

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