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表題作雪の妖精

成美輝一、27歳、カメラマン
穂村春樹、21歳、農家

その他の収録作品

  • ただいまのその後(描き下ろし)

あらすじ

冬季限定 同居生活

あと何度君に「ただいま」を言えるかな


「お願い 解けないで雪」
北海道育ちの春樹は、地元に撮影へ訪れた動物カメラマン・成美を、冬の間家に泊めることに。
成美は垢抜けていてコミュ力が高く、自分とは真逆のまさに都会人。
そんな成美とは相容れない!!!と威嚇しまくる春樹だったが、
教わったカメラには、気付けば成美ばかり収めていて……。

春になれば、彼はこの家を出て行くのに――。

作品情報

作品名
雪の妖精
著者
芹澤知 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784829686607
4.5

(316)

(221)

萌々

(65)

(21)

中立

(6)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
36
得点
1434
評価数
316
平均
4.5 / 5
神率
69.9%

レビュー投稿数36

感情描写が素晴らしく、全てが尊く美しすぎます。

※ネタバレ回避したい方はご注意ください

Cannaコミックスさんなので基本カラミはありません。
でもそんなの必要ないくらい本当に繊細で素敵な作品でした。

キャラの感情の動きや惹かれ合う様子、距離の縮まり方、ストーリー展開、伏線回収、結末まで本当に素晴らしいと思いました。

知先生はご存じの通り本当に画力が高く絵が素晴らしすぎる作家さんなのですが絵だけじゃない!とこれでもかと実感させてくれる作家さんだと思います。
本作もキャラ絵、風景や背景、動物まで本当に美麗でまるで画集やアートの様です。

そして本編も冬が憂鬱な春樹の心が変わって行く様子、
成美によって外の世界に連れ出されて行くのですがそこに至るまでの出会いや変遷が凄く良かったです。
春樹の背景はいつも冬が大切な人を連れて行くと言う、冬が憂鬱になるものなのですがそんな彼が成美との出会いでこの冬は長く続いて欲しいと思う所が良かったです。

成美もまた春樹との出会いで彼に惹かれて行くのが良かったです。
元々距離感ゼロな陽キャ属性なんですがそれでも最初は春樹に対して小動物が懐くいてくれる可愛さみたいな感じでそこに段々とそれ以上の好きという感情が募って行く感じが良いなと思いました。

そして「雪の妖精」というタイトルの伏線回収も素晴らしかったです。
描き下ろし、特典リーフレットや小冊子も本当に素敵だったので可能なら確保される事をお勧めしたいです。

絵良し!キャラ良し!ストーリーよし!の3拍子。
全体的に本当に素敵だなぁと思える作品で凄く良かったです!

28

素敵!心が浄化される

最初から最後まで素敵でした〜!
もっとこの2人の様子を見守っていたいほど素敵な世界で、読み終えてからうっとり余韻に浸っておりました。

キスまででエロなしです。
ストーリーが優しいのでむしろなくてよかったなと思う作品でした!

春樹のおばあちゃんや友人も登場しますが、2人の様子が堪能できる一冊でしたし、かわいい鳥や猫やキツネもみることができておもしろかったです。

芹澤知先生は絵がすごく綺麗で、絵だけで話の内容がわかるのでは?と思うくらい表情で感情が伝わるし、成美が春樹の写真を撮りまくっていましたが、春樹が自然体でいろんな表情をふいにみせてくれるので写真に収めたくなる気持ちもわかりました!
2人とも綺麗な顔で私からすればこの一冊が2人の写真集みたいなものでした!

お土産のタンチョウくんの使い方がとても好きでした!

20

きっと冬がくる度読み返したくなる…

真っ白で寒々しい雪景色の中、手を繋いで寄り添う二人に
読み手の心だけはじんわりと温められる優しい読後感でした。

北海道の田舎町に住む孤独な青年・春樹はある日、
都会からやってきた動物カメラマンの成美と出会います。
ひょんなことから成美は冬の間、春樹の家に居候することになり…。

人見知りな春樹と誰とでもすぐに打ち解けられるコミュ力おばけの成美。
自分とは真逆の成美にはじめこそ野生動物の如く警戒する春樹でしたが、
いっしょに暮らす中で成美の見せてくれる新しい世界や優しさに触れ、
少しずつ惹かれてゆきます。

特別な事は起こらず、描かれるのは冬限定の二人の穏やかな同居生活のみ。
文章にしてしまえばとてもシンプルなストーリーにも感じられますが、
その分二人の気持ちの揺れや変わりゆくさまが丁寧に描かれており、
読み手の心にも沁みるのです。

冬が終われば離れるとわかっているからこそ、深入りしちゃだめなのに。
だけど、気付けば既にどうしようもないくらいに惹かれてしまっていて…。
もはや引き返せないくらいに育ってしまった恋心と臆病が拮抗する二人に
切なさがこみあげてきました。

成美がカメラマンということもあり、キーアイテムとして
カメラを使う場面が頻繁に出てくるのですが、レンズを通して
相手を見ることで気持ちを自覚したり、シャッターを押す度に
気持ちが募っていったり、と作中でのカメラの使われ方が
とてもロマンチックで素敵でした。

ストーリーやキャラクターの他、絵も素晴らしかったです。
雪一つとっても荒れた吹雪、空から舞い落ちる柔らか雪、と
どれも一粒一粒が違っていて、その精緻さに驚かされました。
物語の舞台自体も架空の街でしたが、景色や積雪量、そこに出没する
動物の顔ぶれから、道民であれば、あの辺りかな…と具体的な土地が
思い浮かんでしまう程のリアルさでした。

最後に明かされた“雪の妖精”の意外なオチにはくすりと笑ってしまいました。
一体どんな幻の動物かと思っていたら…なんだ、あの子だったの( *´艸`)
そして、タイトルが示すもう一つの“雪の妖精”の正体にもぐっとくるものが。
ここでタイトル回収されるんだ…とその秀逸さったらもう!

描き下ろしでは本編のその後の甘々な二人が少しだけ垣間見れますが、
出来るならさらにその先が見てみたかったです…!

ただ、本編では恋人になった後も冬しか会えず、離れている時間の方が長い
二人に寂しさを感じていたので、この描き下ろしが見られて本当によかったです。
想いが通じても尚、片田舎で成美の訪れを心待ちにする日々を送る春樹に
胸が締め付けられていましたがこれでもう寂しいことなんかないねっ( ノД`)

最後までキス止まりの二人でしたが、離れていてもいつも互いを想い合う
二人のラブが溢れていたので、エロなしでも十分すぎるくらい満ち足りた
愛を感じられました。
完全にプラトニックというわけでもなく、その後の進展をやんわりと
匂わせる発言もありましたしね…!
そこは妄想で補うことと致します♪

14

君が僕の、青い鳥。

タイトルがもう。盛大な出オチ感満載なんであるからして。ここはもう、丁寧に紡がれた萌えをひたすらに楽しむ。
成美さんは、雪国の「妖精」を探している動物写真家だ。だからこの地に、旅をしている。この地で出逢った、無垢な青年・春樹こそがいつか。成美さんの「妖精」だと言いたいのだろう。
芹澤知先生の作品は読んだ気がするな、と思ったら最近読んだ「秘め婿」の作者だった。こんな言い方をして合っているかどうか分からないが、丁寧な筆致だが、ややクラシックさを感じられる画だ。なので、あの時代物感にはとてもフィットしていたかと思う。現代ものとしては、ややクドいのだ。けれども、この独特のクドさは、逆にトレンドを感じさせなくて。いつか後世に振り返って見た際には、いわゆる旧さを感じさせないのでは無いだろうか。最近ちるちるのトピで、「旧い、もしくは古さを感じさせる画は読めない。」と語る姐さんも居て、物議を醸しているが、芹澤知先生の作品は、そういう意味では、時代を感じさせないで残って行く作品なのだと思う。

成美さんの被写体に愛を込める写真が好きだ。その姿勢が好き。私も常々そう感じているからだ。自分を撮られた写真を見てもそう思っている。良く撮れている、あるいは自分が気に入っている写真には、撮ってくれた人の愛情を感じるのだ。逆にあまり気に入らない出来の写真を見ると、「この人は私を(或いは被写体を)好きでは無いんだわ。」と、ガッカリしさえする。おかしな話だが、私は大真面目にそれを信じている。だから。成美さんの写真が、どれもこれも。春樹を撮った写真がどれもこれも。萌えの塊で。愛情ダダ漏れで。最初は、本人に見せられていたものの、恥ずかしさに見せられなくなって行く、というのがよく分かる。そこには、盗撮めいた瞬間も有ったかも知れないが、日常の何気ない仕草を切り取ったそれには、告白より明白に、愛情が溢れていたのだから。
春樹が幼馴染として育った翔太と佳奈美は、たった3人きりの同学年だという。
成美さんはもっと深い限界集落に旅した事もあると言っていたから、若い人も少ないけれど、老人も助け合って生きているこの鹿歩町は、まだ。雪深いとはいえ、人々の息づく町なのだ。
両親を雪の日の事故で亡くしてからというもの、引きこもりがちな春樹を心配する幼馴染は、成美さんに「春樹を連れ出して欲しい。」と頼む。
そういう未来も実は少し予想していた。外の世界から現れた闖入者は、雪に閉ざされた心ごと、外へ未来へと連れ出してくれるのだと。
けれど。春樹は、自分はこの町の役に立っている、お年寄りの為に、雪かきをして。生活の補助をする若者がこの町には必要なのだと成美さんに説くのだ。
そこで私は、あっ!と驚かされてしまう。若者が、都心やそれに準じた都市に集中するのは、何だか当たり前の様に思っていたから。
春樹はただ閉じこもっていたわけでは無いのだ。
成美さんは、後ろ髪を引かれながらもこの地を後にする。
やがて。この町は、春樹の生きる家は。世界中を旅しながら写真を撮る成美さんの、帰る場所となる。拠り所となって行く。このあたりも、テレワークや働き方が多様化しつつある、今っぽい選択だなぁ、と感じ入る。とてもいい。確かに成美さんは世界中へ出掛けてしまうけれど。必ず。
春樹の元へと帰って来るのだ。

成美さんが切実に探していた「雪の妖精」。それが「青い鳥」と同じく、隣のおばあちゃんの家の庭に訪れていたというオチもいい。幸せはほんの身近にあるものなのだ。
しんしんと積もる雪が。ゆっくりと解けて、やがて春になる様に。
心が近付いて行く様子もとても味わい深いものでした。
心が惹かれ合うまでを描いているから。エチは無いのでした。

一つだけ。疑問が。成美さんの撮った素敵な写真で、雄同士のつがいの2羽の背中に雛が乗っている、というのがある。あの雛は、誰の子供なのだろうか。
どこかではぐれた雛を我が子の様に育てているのだとしたら。ちょっと素敵だな、と思っている。

13

雪を溶かす恋

とっても素敵な作品でした。
背景までしっかり美しい作画で、動物の絵もお上手で見応えがあります。

東京から北国の片田舎に撮影に来たカメラマンと、地元の若者のお話です。
偶然出会った彼らが居候をさせてもらって、距離が縮まっていくストーリーなのですが、安易にくっつかずに、生活を通してお互いを少しずつ知って、好きになっていく過程があったかくてじんわりしました。

成美は人付き合いが上手いほうだけど、案外他の人の気持ちに敏感で少し臆病な部分もあるキャラクター。
一方春樹は人見知りであまり感情をあらわにしないけれど、芯のしっかりとした子なんですよね。
登場人物のコントラストが良いなと思いました。

写真は心を写す鏡で、撮る人の心が写り込むんだそう。
お互いばかりを撮り合ってる2人の写真が見たいなぁ。
凄くいい顔してるんだろうな。

作者さんの作品でまだ未読のものも読んでみたいです。

12

この作品が収納されている本棚

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