ボタンを押すと即立ち読みできます!
こんなタイトルだけど、ごくごく普通の現代もの。強面でゴツい見た目の攻めと、天使のような見た目を持つ受け。二人ともが内面と見た目にギャップを持ち、悩みや生き辛さを抱えている。読後感は爽やかだった。
タイトルで気になった“魔王様”は、峰守のあだ名。といってもバーの店員が裏で勝手に客に付けただけのもの。峰守に関する描写は、どれもこれも同情を禁じ得ない。目が合うだけで子供に泣かれ、その子供の親は走って逃げる。
峰守の顔を見せない工夫や気遣いは涙ぐましく、かわいそかわいい。好きな相手に、今まで誰とも付き合ったことがないと嘘を吐かれながら(バレバレだが)、言動の一つ一つを元彼たちと比較されている。この点、悠真視点で見ると峰守の可哀想度がちょっと上がる。
悠真は心理描写の裏に毒親の影がチラ付く。社会に出て、下に見られたり後ろで笑っているだけで良いと言われたりと、悩みはいかにも女性が共感しやすい内容。これを受けに言わせるところが、BLの性質が見えるなあと萎え萎え。
お互いにコンプレックスからくる自信のなさで隠し事をしたり、励ます言葉が実は芯を突いていたりといろいろありながら、友達から恋人へと清らかなお付き合いを続けていく。悠真に対する峰守の不器用さがとても好き。
拗れそうな気配を漂わせながらも、不安要素は直接ぶつかって解決するし、二人ともが素直に向き合う様子が良い。
恋人に重い峰守と、それを求める悠真。言葉が足りない峰守と、今後はガンガン問い詰めていきそうな悠真。長く続きそうなカップルだと思った。
悠真の親の件も、自己完結な印象はありつつも、呪縛が解かれたのは感じられた。できれば遠恋の先まで見たかったな。
攻めから告白された受けが「友達からなら」と言ったせいで、攻めが一切そういう雰囲気を出してこなくて焦れる。
デート先も動物園だったり映画館だったり、そして夜になる前に解散。夕飯に誘って酒を一緒に飲んでも、ホテルに連れられることはない。受けが遠回しに「攻めの家に行きたい」と言っても「散らかってるから無理」と断られて撃沈。
告白してきたのは攻めなのに、受けの方が追いかけてる。なんなら受けが距離を詰めようとすると攻めに躱される……みたいな、ミイラ取りがミイラに状態のカプです。
今までの恋人はみんな「思ってたのと違う」って受けを振っていく。でも攻めだけはそんなこと思わなくて、って話です。
身長が高くて強面の攻めが、お酒弱くてカシスオレンジを飲んでいたり動物好きというギャップに、心の中で「可愛い可愛い」悶えてる受けが可愛い!
なんだかんだあって、ついに友達から恋人へ昇格瞬間の雰囲気のエロさ! セックスしてないのにエロい!
付き合って直ぐに難題が降りかかって、すれ違い状態になる。
相談に乗ってくれるヨシミママと圭介が良い人。
余談ですが、途中で出てきた唐揚げ専門居酒屋にすっごく行ってみたい。チーズとトマトソースのかかったイタリアン唐揚げ、マスタードとケチャップがかかったアメリカン唐揚げ、麻婆豆腐がかかった中華唐揚げ……この唐揚げ屋が現実にも欲しい。
海野先生は、ひとつのテーマにとらわれず本当に幅広い作風で数多くの作品を書かれている稀有な作家さんだと思うのです。
その中でも、日常の中にあるありふれた物事をBLの中に落とし込みながら丁寧に掘り下げている、こういったテイストのお話が1番好きかもしれないなと感じた1作でした。
「女性は甘いお酒が好き」だとか、「男性はシトラス系の香りが好きだろう」だとか、世間一般に蔓延る謎の決めつけやイメージってありませんか?
金髪から黒髪にした途端に道行く人からぶつかられることが多くなったり、身長の高さや低さだったり…外見の印象で人から態度を変えられた経験はないですか?私はあります。
魔王のような強面で誤解をされやすい峰守と、性格とは異なる柔らかすぎる印象を持たれやすい悠真。
タイトル通り、外見的なイメージから誤解をされやすい2人が清らかなお付き合いをしていく。
きっと怖い人に違いない。きっと優しいに違いない。
こちらの作品は、まさにその無意識の決めつけや分類、己の認識とは異なる他者からの評価という居心地の悪い息苦しさなど、非常にリアルなテーマを扱った作品でした。
口数は少なく目付きは鋭い。威圧感を与えてしまう大きな体躯に、纏う服は黒ばかり。
確かに峰守という人は、世間一般的には怖い人なのかもと思われてしまいそうな人なんですよ。
今作の受けである悠真もそう思っていたところからスタートするわけで。
ただ、このお友達付き合いをする内に印象がどんどん変化していく様がとても初々しいやらかわいらしいやらで仕方がないんです。
峰守という人のギャップにやられること間違いなし。
こんな攻め、愛おしいったらないですよ。
と、2人の焦ったいほどに初々しいお友達お付き合いの中の、なんてことはない食べ物ひとつだったり、作中のあちこちにテーマに沿った小さな仕掛けがさり気なく施されているものですから、悠真視点で楽しく読んでいる内に自然と自分の中にもハッとする気付きがあるんです。
気が付けばいつの間にか海野マジックにかかってしまっているなんて体験が出来たのも面白かったですね。
恋の行方が性急さとは真逆だったのも好みで、すっかり2人のことが好きになってしまいました。
作品全体の雰囲気はコミカルかつかわいらしいもので、笑いありギャップあり萌えありの軽めの読み口で読みやすいです。
けれど、それだけではない深みと優しさがある素敵な作品でした。
ギャップ萌。まさにその言葉がふさわしい!
受けの悠真が峰山に対してギャップ萌してしまい、好きになっちゃうとこは王道なんですが、このお話は逆もそうなんですよね〜。
峰山の方も最初は明かされませんが、天使のような接客でプロを感じたり、見た目の可愛さではないところに一目惚れしちゃう。
読んでる方は、じれったい二人なんですが、悠真の「こんな自分を知ったら幻滅されそう」という思いから、なかなか関係を進められなかったりするのはいじらしい。
そして、必死で抑えてた峰山のぞっこん度合いが凄い。実はとても重い愛情で素敵♪
軽く読めて、エロ少なめ、BL的王道なので初心者でも入りやすいストーリです。
方や天使、方や魔王と言われてしまう外見と内面のギャップに悩み
自分をさらけ出したいと思いつつも相手の理想に沿うべきか手探りで気持ちを育てる二人のお話
特に強面な攻め様が持つギャップが普通でリアルでやりすぎないところが良かったです
この2人外見と中身を交換したら外見の印象と中身が一致すると言うことだったのかもしれません
でもギャップは人間は恋に落とするファクターなのでこれでいい気がします
自分が求められている姿から逸脱してしまうことが怖いと思いながらもそんな自分を抜け出したいと思っている受ちゃんが
攻め様と出会い変わっていく
攻め様も密かに抱える自分のコンプレックスを受けちゃんが受け止めてくれて前向きになる
出会うことでお互いの関係だけでなくお互いの人生も豊かにできる関係なら最高かな
外見や性格など自分のコンプレックスを相手の存在が受け止めてくれる心地よさもあって読んでてにこにことなるお話でした