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鳴けない小鳥と贖いの王 ~再逢編~

nakenai kotorito aganaino ou saihouhenn

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表題作鳴けない小鳥と贖いの王 ~再逢編~

クラウス・ファルド=アルシェラタン,アルシェラタン国王
ルル・リエル,癒しの民

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

王妃殺害の冤罪をかけ、身ひとつで愛する人を国外追放してしまった――!! 取り返しのつかない過ちを犯し、悔恨に苛まれる若き王クラウス。けれど、決死の思いで行方を追い、ようやく取り戻した少年ルルは、なんと記憶を失っていて…!? 王妃の裏切り、癒しの民を喰らう魔族の正体、そしてどれだけ赦しを請うても、閉ざされたルルの心――運命に翻弄された王と愛し子の、愛憎渦巻く邂逅編!!

作品情報

作品名
鳴けない小鳥と贖いの王 ~再逢編~
著者
六青みつみ 
イラスト
稲荷家房之介 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
鳴けない小鳥と贖いの王
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010613
4.4

(102)

(70)

萌々

(19)

(8)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
11
得点
453
評価数
102
平均
4.4 / 5
神率
68.6%

レビュー投稿数11

クラウスの後悔っぷりにスッキリ

前巻でルルにひどい仕打ちをしたクラウスに、きっとみんな怒ってたはずです。でもこの再逢編を読むとクラウスがルルを追放した後、どのように真相を知ったのか、どれくらい後悔していてどれだけ必死にルルを探したのかがしっかり書かれているので、とってもスッキリしました(笑)。

再会したあと、ルルはまだクラウスと旅をしていた時の記憶がなく、リエルの名で呼ばれることを望み、クラウスと共に過ごすようになる。ルルの時の記憶が無い時は平和な時間が流れているが、記憶に無いはずの心の傷は未だに残っていていかにルルが深く傷ついていたかを物語ることになります。

しかし、ルルの時の記憶が無いままでいる訳ではなく、記憶が戻った時のリエルの苦悩、葛藤がとても重く響きます。ルルとしての記憶を取り戻して、リエルの時のようにクラウスを愛せるのか…というまさにこのお話の核心で…以下続刊でした~。

読者はずっとルル視点でハダルとのやり取りを見てるのでルルの気持ちが痛いほど分かるから簡単に許して欲しくないし、でもルルが好きなのはクラウスだということも分かってるからやっぱり辛いですね。愛したいけど裏切られるのが怖い、また同じ目に遭わされたら?という心情を細やかに書かれる六青みつみ先生の筆致がひたすら素晴らしいと思います。

3

いやはや…参りました

めっっっちゃくちゃ最高でした!

2巻の終わり方も、すっごい良いところでエンド。こりゃ3巻買うっきゃないぞ、と。ルルとクラウスのハッピーエンドを見届けるまで、風邪の1つも引かないように健康維持気をつけます。

1巻はそりゃあもう悲しくって苦しかった…。クラウスにしても、悪者たちにしても、全てがルルの敵で私の胸も押しつぶされそうでした。

2巻はクラウスの「攻めザマァ」展開です。
ルルにとってもクラウスと過ごした日々の記憶を失っていて、どちらにしてもそんなに良い感じじゃないんです。なんですが…これがいい感じに描かれているのが、作者さまの力ですね(^ ^)


まずは悪妃への処罰。1巻のルルの仇討ちと言わんばかりに、悪者妃達はコテンパンに罰せられます。作者さまからのプレゼントと見なしましたよ、私は♪あーースッキリ!

そしてクラウスは片翼であるルルを探し出し、国へ連れて帰ります。ルルの記憶が無いので、クラウスに対する愛情は本能で感じとっているものの、理性的な部分でちょっとした拒絶反応も出てるんですよね…。これが読んでいて悲しい。
クラウスがルルにキスしていいか?のおねだりに、別に良いけど…みたいなツンで返すシーンは、あああ…と悲しくなりました。

それもこれも1巻でのクラウスの非情な仕打ちによるものなので仕方ないんですけど、クラウスが心を込めてルルに献身的に尽くしても、ルルはクラウスの心が理解できないと、クラウスの愛情を手を広げて受け入れることができないのです。
クラウスにとってまさに耐え時…これこそがタイトルにある「贖罪王」たる理由です。


1巻では、ルルが真実を知っていてクラウスにアプローチしていたのに対して、2巻では逆。クラウスが真実を知っていて、ルルにアプローチしています。2人の置かれている立場が逆転していて、それにどう向き合うのかハラハラドキドキしながら読んでいました。

記憶を取り戻したルルがクラウスの愛に疑心暗鬼になっていて、2人のホッコリあまあまシーンもそれなりにあるのに、それより先に踏み込ませないもどかしさは、ジッタンバッタンしてしまいました(^^;

ルルが記憶を取り戻したからこそ、クラウスの愛に疑ってるワケなんですが、でもあっさり赦すのもやっぱり違うと思うし、ルルにはそれをするだけの資格があるんですよね。
クラウスの家臣や使用人たちが、みんなでクラウスの人の良さ・王としての資質、ルルをどれだけ愛してるかをルルに訴える姿はジーンときました。クラウス…愛されてるなぁ。

クラウスの生命の危機を聞いてルルが突き動かされた気持ちが、ルルの本心。ようやく…ようやく心が繋がったシーンでした。でも側にはクラウスがいない。片翼なのに…離れている悲しさ、ツラさがぶわぁぁ〜と溢れる盛り上がりが最高です!(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
これで2巻が終わりなんですよ…3巻は間違いなく素晴らしいものになると確信しています。


注目すべきは2人の寄り添い合いだけじゃないんです。
この世界の成り立ちやあり様、翼神や魔人、聖導院や聖導士たちとの抗争うんぬんの作り込まれた背景と、なぜそうなったのかの仕組みが紐解かれていて、複雑な絡み合いの謎が解き明かされていました。もうスゴイのひと言!

早く3巻を読みたくて仕方ありません。
この壮大な世界に身を置いた2人の愛が、どのように深まっていって結ばれていくのか最後まで見届けたいです(^ ^)

3

続くんかい

「そのとき誰かもうひとり、近くにはいませんでしたか?」


読んでいる時はとても面白かったのに、あとがきで懺悔されている通り前作の「次で完結」を撤回されていたのに正直かなり怒りを感じました。これってタイトルで順番分かりづらいし、上中下表記もないし、発刊の時に編集部も何か表記に心配りがあっても良かったんじゃないですか??読むのが遅い人間にとって、長時間楽しみに読んで、無駄に昔話やサイドストーリーを挟んで結局終わらないってキツいんですが。

内容は面白くて、読ませる言葉と感情の連なりに引き込まれました。何かは分からないが満たされない、何かを失っている気持ちってロマンティックで好き。
クラウスの裏切りを客観的に見たリエルと、ルルの記憶を取り戻してからは真っ直ぐに愛せない気持ち。同じ立場に陥った時に相手の感情を理解する流れも好きでした。
六青さんの書く丈夫の絶望は凄まじくて、受の為に滑稽に映るほど取り乱す様も、それを支えてきた健気受も可愛い。指輪をリエルが受け取り、あの時の青年だと純粋に感動できる場面も凄く良かった。これはもうルルではありえないから…

クラウスがルルへの誤解と失態について、そして愛するが故の待遇(ルルが生きていく上で困らない状態をつくる)についてあれこれと思い行動するのは当然だし読んでいられるのですが、それを第三者がルルに「だから許してやってくれ」と言ったり、「私の昔話を…」「まずはこの国の状況から…」とか話し出すの五月蝿く感じてしまいました。世界観を作る上で、また今後の戦争について大事な部分もあるのでしょうが、脱線して長引かせている感、話が進まない感じがダレるし、ワイは二人がくっつくのが見たかったんや。

1

続編が待ち遠しい

前作あとがきに、次作で完結とあったけど、今作ではなく、次作で完結・・らしい。 面白いので、ずっと続いても買い続けると思う。

クラウスがハダル達の企みにやっと気づいて、ルルを探し出す。
城に連れ帰っても、ルルの記憶は戻らない。

後半、クラウスを拒否して逃げるルルが階段から落下。
クラウスがルルよりハダルを信じた場面の記憶が戻る。

ルルの記憶が戻ったら、ルルはやっぱりクラウスの酷い仕打ちを赦せなっかった。
心が幼いから仕方ないけど、城内別居を希望して、クラウスを拒否。
鉱山を視察に行ったクラウスが、落盤で生き埋めになる。
現場に向かい、ルルが鳥に変化して救いに行く場面で次作に続く。

次作は、魔導士と戦闘。いつ頃発刊なんだろう?
六青先生は、不憫・健気な焦れ焦れファンタジーが上手です。

2

完結は次巻

※この巻で完結すると思っていたのですが続きます。
彷徨編と2冊続けて読みました。
ファンタジー+不憫受け読みたいってなると、私の中では六青先生の作品が必ず浮かぶので未読だったこちらを拝読しました。やはり例に漏れず受けが不憫。

再逢編は別人格まで形成してしまった受けにどうやったら許してもらえるのかという攻めの努力と、その攻めをどうしたら許せるのか葛藤する巻になっています。

必死に誠実であろうとする攻めのクラウスに一定の共感と理解を感じはするのですが、この巻でもまだ若干ポンコツ感が否めない。周りも寄ってたかって「王様を許してやって」というのが透けて見えて本当にルルの心の傷を理解しているのかちょっと疑問に感じてしまいました。
リエル(ルルの別人格)は「自分は良くてもルルだった頃の自分が良いというかわからない」というようなことを言っていて、その通りだなーと。許すって膨大なエネルギーが必要ですからね。

その葛藤の最中、クラウスの窮地を知ってルルが勇気を振り絞るところで本は終わっています。
続きが激しく気になるので、完結まで待てないタイプの方はしばらく待ってから一気読みすることをおすすめします。

5

いつになるんや

先生買い。相変わらず読者を弄ぶ?のがとってもお上手なんです、六青先生。タイトル「再逢編」ってので「あやしい…」と思うぐらいには成長していたので、案の定やん…って感じで済みました。ほんと「いつになるんや」です、先生。お待ち申し上げております。本編340頁弱+あとがき。

前巻でルルを国外追放にしたクラウス。その直後のアルシェタラン国内の様子から始まります。ルルを追い出したことに間違いはないと思うものの、何か取り返しのつかないことをしてしまったのでは・・と不安がぬぐえず・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
ナディン・ナトゥーフ(下位聖導師)、トニオ(攻め護衛隊長)、ハダル(攻め妃)、ラドゥラ(聖導師)、イアル(攻め側近)、フォニカ(受け側仕え)、ホウル(攻め侍従長)、ターラ(受け侍女)ぐらいかな。ナディン、頑張ってます。

++ より内容に触れる感想

先生があとがきでおっしゃっているように、「前巻で地に堕ちたクラウスの株価」を上げるための巻とのこと。

うーん。上がったか?うーん・・だってカッコいいとこ無かったんじゃね?
ひたすらルルを守り、待ち、穏やかな愛情を控えめに差し出していただけという印象なのですが。

なので、株価が上がったか?と言われると、マイナスイメージあるもののプラスマイナスゼロという程度かというのが正直なところです。しつこいですかね?私。一回裏切られたら再び信用するのは難しいですよ、うん。だからこの巻の終盤のルルの戸惑い、拒絶は「ごもっとも!」という気持ちです。

ただそれでは甘くなりませんしね。忍耐の巻だったというところでしょうか。最終巻になるという(ほんまか?)次巻をお待ちしたいと思います。来年かなあ。

7

捩れた運命を正すには

今回はアルシェラタン国王と癒しの民のお話です。

転落事件の真相を知った攻様が
記憶を無くした受様との絆を再構築しようとするまで。

攻様はアルシェラタン王国の王太子として生まれますが
父王ともども王位を狙う叔父の奸計に苦しめられます。

攻様は友の裏切りで瀕死の重傷を負いますが
受様との出会いで何とか命をとりとめ
受様に再会の約束の印として指輪を渡します。

受様は魔物の手に落ちた故郷を逃れる事となり
攻様も王になるための旅でて2人は再会しますが

攻様は受様が"運命の片翼"である事に気づけず
旅で出会った癒しの力をもつ女性を"運命の片翼"と信じ
王となり、女性を正妃としたのです。

嘘を重ねて攻様の"運命の片翼"となった王妃は
彼女の謀を知った受様を罠に嵌めて罪人として
攻様から引き離します。

受様を遠ざけた攻様は叔父一派を一掃し
正妃の出産を待ちますが、
死産した子によって王妃の嘘が暴かれ
攻様は深い悔恨と共に受様を探し始めるのです。

王妃を害した者として国外追放された受様は
受様の癒しの力を搾取する隊商に囚われていましたが
攻様と暮らした日々の記憶を失っていました。

受様は自分に傅く攻様に絆されて王国に戻り
攻様の"運命の片翼"として王伴となりますが
どうしても信じきる事ができずいました。

果たして受様は記憶を取り戻せるのか!?
そして攻様を赦す日はくるのか!?

既刊「鳴けない小鳥と贖いの王~彷徨編~」の続刊で
翼神の血を引く受様と翼守である攻様の
恋物語になります♪

1度信じた者には盲目的な攻様によって
悪とされた受様は悲惨な目に合うので
受様が記憶がなくても攻様を信じきれないのは
もうしかたがないとしか言えず

記憶の無い受様の不安定さも手伝って
終始ハラハラで読み続けました。

本作にて攻様を苦しめていた
受様の母を暗殺に追いやった叔父と
攻様の運命の片翼を偽り正妃となった癒しの民には
鉄槌が下されましたが

読み進めるほどに2人の関係は悪化の一途を辿り
攻様が悲劇に襲われたところで
「To be continued」でした ๐·°(৹˃ᗝ˂৹)°·๐

ハピエンを信じているので
最終的には受様が苦難を乗り越え
攻様に寄り添うだろうことは信じていますが

癒しの民を餌とする聖導士達との戦いが起こる次巻、
攻様の懐に入った聖導士がどう動くかで
2人の未来が大きく変わりそうですね。

次巻が最終巻となる事を信じて待たせて頂きます。

6

次巻が待ち遠しい…泣

待ちに待った続巻に、読了して「はぁ〜」と溜息が漏れてしまいました。
またまた気になる所で終わってて、早くも続きが読みたくてしょうがありません。

彷徨編で血の底まで落ちたクラウスの好感度をどう復活させて来るのか?とても気になっていた部分です。

冒頭からはクラウス視点のルルを見つけるまでの内容が書いてありました。
クラウスの日々揺れ動く思いや、怒りに支配されながらもルルを殺してはならないと思う本能から国外追放にした経緯が分かりました。

ここで読者は彷徨編での怒りを追体験するのですが、真実に辿り着いたクラウスの後悔や慟哭、毒婦ハダルの末路に胸がすく想いがすると思います。

再会してからルルを献身的に支え続けるクラウスがいじらしく思えて来て、心の底では信じきれないルルの気持ちが辛くて辛くて、何度も「もう許したげて!」と叫びそうになりました。

そして対局を前にしたクラウスを巻き込む事故によって、ルルが自分の本当の気持ちにやっと正直になれたのです。
今度こそ大切な物を無くさないようにと、慎重に行動するルルに成長さえ感じました。

次巻ではクラウスの活躍とルルとの仲睦まじい様子が読みたいです。

14

期待を裏切らない

待ちわびていた続刊です。
期待はしていましたが、面白くてあっという間でした。
しかもまだ続きが!楽しみが増えました。


物語はクラウスがルルを追放してからのクラウス視点で始まります。
さて、ルルにあれだけの仕打ちをしたクラウスの言い訳はどんなものなんだ?とワクワクしつつページを捲りました。
読み進めるうちにクラウスの人物像がはっきりしてきます。
王としての資質、行動力は十分のようですが、一人の人間としてみたら、懐に入れた人間は信用しすぎるお人好しなところが欠点なのか長所なのか…
その危なっかしさが今回も発揮され、ナディンという聖導士を信頼します。
今回はこれが吉と出、様々な真実を知り、ルルを救う道標となるので結果オーライなんですが、続きがあるのでナディンに関してはまだわかりません…
元后のハダルを疑う事象はたくさんあったのに、なかなか彼女を諦めきれなかったのには少しガッカリしました。
ルルの事はそこまで熟考せず追放したのに?と…

献身的にルルの世話をするクラウス。
記憶をなくしているルルが、クラウスに好意を抱くものの心の深い部分で信用しきれない、というところに激しく同意している自分がいました。
クラウスを簡単に許しちゃいけない、彼もまた騙されていたとはいえ、浅はか過ぎたんだから!と。
失くしていた記憶を取り戻し、クラウスを信じきれないルルとクラウスに惹かれるリエル、二つの思いで揺れる様子に私も苦しくなりました。
どうしてもクラウスを信じきれないルルは、伴侶として体を繋げる事をナディンに急かされたその理由を知って、ますます疑心暗鬼になります。
侍従により、クラウスがルルを想う気持ちに偽りはないと告げられ、揺れ動くルル。
そんな中、クラウスが事故に遭います。
もしもの時にとクラウスがルルのために用意していた数々のものでクラウスの愛を知り、クラウスへの気持ちを確信して助けに向かい…次巻に続きます。

1巻まるまる、クラウスは過去の自分を責め、ルルのためにできることを尽くします。
そしてルルもまた簡単には絆されないことで、ルルの傷の深さがよくわかります。
こういう展開は大好きなのでとても面白かったです。

次は本当の最終巻とのことなので、楽しみに待ちたいと思います。

14

待ちに待った続編!
前作〜彷徨編〜から読まなければ全く意味が分からないと思いますので、是非前作から。

発売を知った時は、ついに!と歓喜したのですが、それと同時に、あの辛くて堪らなかった彷徨編から読み返すべきかと思わず逡巡しちゃいました。辛かったですもん…ほんとに。


ストーリーについて(クラウス×ルル(リエル))
前作レビュー時、ルルに対して贖え、償え、と散々にクラウスを扱き下ろしました。
本作では、初っ端クラウス視点から始まり、延々とルルが近くにいない悲しみ、追い出したのは自分だという後悔が語られていました。
本当に可哀想になるくらいに、事あるごとにでした。
クラウスの事を許してやろうと思えた方も多いのではないかな。
しかし、私は、まだまだ許せませんでした。
クラウスがいくら後悔しようが、いくら自分を責めようとも、自分がした行動についてきた結果なのであって、それは、贖いではありませんので!!

クラウスのルルを思うあまりにも健気な気持ちに、
ルルが愛しくて仕方ないという描写に、何度も絆されかけました。
しかし、記憶を失ったルルがクラウスは信じられる人なのでは?と思いながらも、心の片隅で明滅するいつか裏切られる、期待してはいけないという傷付いた心を知るたびに私の怒りも再び燃え上がり感情が忙しいのなんの。

ストーリーも面白く、ルルにとって仇敵である聖導士側の人物がクラウスの仲間に加わる事によって新たに知る翼神の事、その末裔の事。
あまりの胸くそ悪さに前作で語る気になれなかった女性キャラ、ハダルの顛末。(顛末で良いのかな?次作でまた出る可能性なきにしも…?一応ひと区切りはついた)

ハダルについては、うーん、どうだろ。
悪いことしたんだからそれなりの報いを、とは思うのだけど、あくまで私はハダルの件でも悪いのはクラウスだと思うので。
とはいえ、ハダルにあたえられる罰に酷たらしい描写があったわけでもなく、さらっと天誅という感じでしたので、胸がすくという意味ではちょうど良い罰だったのかな。

そんなこんなであっという間に読み進め、終盤に近付いた頃からクラウスにも、もういいよ、あなたの気持ちちゃんと伝わったよ、本当の意味で早くルルと仲良く戻りたいよね、と優しい気持ちで見守れていたのですが、なんとなんと、また気になる展開で次巻に続くでありますーーー。
六星先生あとがきにて謝っておられましたが、また楽しみが増えただけですので!
さらに嬉しい事に、次回の発売はもう少し早くなるかもとの事で。

最後に。
私、今回のあとがきで盛大に吹き出す事があったのです。
たぶん、私、多くの方がクラウスに対しもう許したよ、と思うようなシーンでもなかなかクラウスを許せずいたと思うのです。
そんな私でも読み終えた時には、クラウスの「贖い」は色々感じていたつもりだったんです。
しかし、あとがきに「次巻ではクラウスの贖いがどうなるか」と書かれていて。
嘘でしょ!?クラウスの贖いこれからなの!?って。
ほんっとに、さすがの六星先生です!
前作でルルを容赦なく痛めつけたかと思ったら、まさかのクラウスも。
まぁ、そうこなくっちゃ!でもあるんですが。笑

楽しみにしています!!

23

続きが読みたすぎて身悶えてる

「鳴けない小鳥と贖いの王 ~彷徨編~」に続くシリーズ二作目で「再逢編」になります。
ちなみに、今巻で完結予定だったのが延び、以下続刊となります。
作者さんは完結出来なかった事を謝罪されてましたが、先生、大丈夫ですよ!
六青ファンなら想定内です。
むしろ、今刊の内容に涙を流して感謝してる。

そう、こちら、壮大なファンタジーであり、運命の悪戯によりスレ違い続ける二人の切なすぎる物語になるんですけど、あまりに(受けに)辛くフラストレーションを溜めに溜めまくった前巻から一転。
萌え爆発の、素晴らしい巻でして!
もう、あまりの面白さに一気読みですよ。
クラウスの馬鹿さ加減に、一緒に泣きましたよ。
ものすっごく不本意だけど、クラウスが可哀想で心が痛くなりましたよ。
ルルが出した答えに、胸がいっぱいになりましたよ!!

そもそもこちら、前巻に引き続きストーリーとしてめちゃくちゃ面白いのです。
ルルが国外追放になってからのクラウス側のエピソードが語られますが、運命の片翼だと思っていた王妃の裏切りに、あの日、癒しの民が襲われた真相。
そして、この世界の驚くべきカラクリー。

こうね、驚きの真相の数々に、もうページを捲る手を止められないと言いますか。
いや、びっくり。
あの出来事の裏にこんな恐ろしい事実が隠されていたのかと。
まさかここまで壮大な広がりを見せるとは想像してなくて、ただただ感嘆しちゃうと言うか。
いや、すごい事になってきたなぁしか出てこないんですけど。
もう本当、ファンタジーとしても深みのあるストーリーとしても、めちゃくちゃ面白い作品だと思うのです。

思うんですけど、実は個人的に一番心を揺さぶられたのって、主役二人、特にクラウスの心情部分なんですよね。

実は前巻のレビューで、彼に対して死ねだのお前にはガッカリだ!だの、怒りのままに散々わめき散らしてしまいまして。
これ、その時は頭に血が上りすぎて、自分でも何にそこまで腹が立ってるのかよく分からなかったんですよ。
えーと、ルルと生きる道を一旦は選んだのに、ハダルが現れた事で心変わりをした、と言うか楽な道に流された事に腹が立ったのか?
性悪女にいいように騙くらかされて、ルルに酷い仕打ちをした事に腹が立ったのか?

これね、本当に許せなかったのは、ルルを信じてやらなかった事なんだと後から気付きまして。
ルルが疑わしい状況に置かれた時に、クラウスは「何か理由があったんだろう?」と来たんですよね。
それもう、最初からルルがやった前提じゃねーか!と。
こう、例え世界中が受けの敵に回ろうとも、攻めだけは受けの味方でいるべき派なんですよ。私は。
どれほど疑わしい状況でも、彼はルルを真っ直ぐ信じるべきだったのです。
民を守らねばならない王としての責務とか、立場とか、彼には彼の事情がある事も承知してる。
でも、そんなのは全然関係無く、ルルを信じる事だけは出来たはずなのです。

まぁそんなワケで、クラウス!
自己嫌悪や後悔にのたうち回る程度じゃ私は許さんぞー!
多少痛い目に合おうとも、丸め込まれたりせんぞーー!的に鼻息も荒く読み始めたのですが、いや、何だろう・・・。
今回ですね、お話としてはクラウスのターンだと思うのです。

実はルルが居なくなってからのクラウスですが、何もかも上手く行かなくなりと、わりと悲惨な状態になるんですよ。
「癒しの民」であるはずの王妃。
しかし、彼女の正体への疑いの声。
そして、王妃の死産と同時に分かった裏切り。

何よりクラウスですが、王の座に着き、運命の片翼がそばに居て、更に子供の誕生を待つばかりと幸せそのもののはずなのに、何故か心は常に焦燥感に苛まれと、ちっとも安らかではないんですよ。
そう、それは、ルルが傍らに居なくなってしまったからー。

しつこいですが、私はクラウスに対して怒り心頭だったんですよ。
ただ今回、彼があまりに馬鹿だし、そしていじらしいしで、読んでて怒り続けるのが難しくなってきちゃうんですよね。
強い喪失感に苦しみながら、あれは卑劣な裏切り者なんだと自分に言い聞かせたり。
運命の片翼であるはずの王妃ではなく、ただ道端で拾って助けただけのルルに対して強い執着を見せて実際に言動に出してるのに、それに自分で気付いてなかったり。
何より、王妃に全て仕組まれた事で、ルルが冤罪だと分かった瞬間の、後悔では言い表せられない絶望ー。

えーと、実はですね、ここから前巻のラスト。
ルルとの再会に繋がります。

記憶を無くしてしまったからこそ、素直にクラウスを受け入れるルル。
そして、そんなルルを壊れ物のように大切に扱い、もう何一つ辛い思いをしないように、ただただ大事にするクラウス。
そう、ひたすら償い続ける。
でも、例え記憶を無くそうと、大切な人に裏切られた胸の痛みをルルは心の奥底で覚えていた。
そして、無意識に再びの裏切りを恐れていた。

これさぁ、テーマが「スレ違い」じゃないんかいってほど、これでもかと二人がスレ違う物語なんですよね。
今度はですね、クラウスがどれほど真心を尽くそうと、ルルの側が受け入れられないんですよ。
クラウスが自分を利用しようとしてるんだと誤解したルルのですね、あまりに切り口鋭いセリフに、ザマァどころか可哀想になっちゃって。
ちょっ、ルル。そこはクラウスを信じてあげて。的に。

ただ、ここから記憶が戻ったルルの出した答えにですね、めちゃくちゃ感動もしちゃって。
こう、人を赦すのって、すごく難しいですよね。
でも、赦さなきゃいけないなんて、誰が決めた?
そして、素直に自分の気持ちと向き合った時に、自身が本当に望む事とはー?

泣けましたよ。
ラストが怒涛の展開ですが、ボロボロ泣いちゃいましたよ。
ここで「続く」って、先生はドSか!?と身悶えつつ。

とりあえずそんな感じでですね、めちゃくちゃ面白い二作目でした。
くあ~っ!
めちゃくちゃいい所で以下次巻で、今身悶えてる。

30

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