小説

  • 無垢なるエルフは執着王に手折られる

無垢なるエルフは執着王に手折られる

mukunaru elf ha syuchakuou ni teorareru

  • 電子単行本
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あらすじ

「愛とは、高尚な存在に捧げられる、美しい感情のことばかりをいうのではないよ」

―孤独な王とひとりぼっちになったエルフの、憎しみと激しい愛の物語―

賊によって村を焼かれ、ひとりぼっちになった美しいエルフのリーアム。
偶然近くを通りかかった若き国王・アルヴァーに助けられ、リーアムはアルヴァーの城で暮らし始める。
しかし、なぜ自分一人が生き残ったのかと嘆き悲しむ日々を過ごす。
「わたしを喜ばせるために……あなたは生き残ったのだと、考えてはくれませんか」
そう言ってアルヴァーはリーアムをやさしく包み込む。

“なぜ自分ひとりが生き残ってしまったのか…”
葛藤するリーアムの心の中に芽生えたのは仇を討ちたいという復讐心だった。
だが、聖なるエルフのままでは人を傷つけるための剣さえ持つことができない。
そこでリーアムはエルフであることをやめる決意をしてアルヴァーに自分を抱いて穢すように頼み込むが…

作品情報

作品名
無垢なるエルフは執着王に手折られる
著者
楠田雅紀 
イラスト
緒田涼歌 
媒体
小説
出版社
アスタリスク・ポミエ文庫
電子発売日
4.3

(6)

(3)

萌々

(2)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
26
評価数
6
平均
4.3 / 5
神率
50%

レビュー投稿数1

意外に昏い執着愛

今作をもって、一年の休筆期間に入られるとのこと。レーベル創刊2周年記念の寄稿作品は、王とエルフのプチファンタジーです。

子供の頃、王妃となった実母の側近によって崖から投げ落とされ、亡き者とされそうになった少年。エルフたちが住む集落に保護されて一命を取り留めます。そこで彼のお世話をしてくれたのが、リーアムでした。

エルフの村は人間との棲み分けのため、村を訪れた人間の記憶を消すのが掟。リーアムにヒトミと名付けられ懐いていた少年も、エルフたちと過ごした記憶を消され、人間の住む場所へ帰されたのですが…

いやぁ、、攻めがなかなかの執着っぷりをみせてくれるあたりからゾッとするような怖さも味わえちゃったりするので、優しくてほっこり系のお話を予想していたら裏切られるかもしれません。

神や精霊に愛され、平和で清らかな種族であるはずの受けも、閨事の味を覚えてから淫乱に貪る落差が素直でよろしい…笑

これ、意外と羊の皮を被ったアダルト路線ではないでしょうか。最後までサクサクと読み進められるものの、終盤はなんとか健全さの仮面を保っている感じです。もちろん楠田先生なのでダークにはなりすぎませんが、演出によっては仄暗い淫靡な執着ファンタジーになりそうな気がして、読後妄想が広がりました。

狂気スレスレの片思い、無垢と無知の遠い隔たり、愛の定義のグラデーション。そして、この世にたった二人きり、激しい体の交わりだけで繋がっているかのようなエロス。すっきりとまとめ上げられた中に様々なメッセージが凝縮された、切ない仇討ちラブでした。

またお元気で復帰されることを願っています。

4

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