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表題作あの日、あの場所、あの時間へ!

関拓歩,相葉に憧れるバレー部員
相葉湊,幼馴染とともにバス事故にあう大学生

同時収録作品あの日、あの場所、あの時間へ!

大友健太郎,湊の幼馴染で将来有望なバレー部員
相葉湊,幼馴染とともにバス事故にあう大学生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

名門大学のバレー部に所属する湊。親友で将来を期待されるアタッカー・健太郎から強く誘われ入部したが、実力が追い付かず悩んでいた。そんな折、乗っていたバスが事故を起こし、湊を庇った健太郎が再起不能の大ケガを!! 絶望する湊の前に突然見知らぬ青年が現れ、「今度こそ助けてやる!」と告げるが!?

作品情報

作品名
あの日、あの場所、あの時間へ!
著者
楠田雅紀 
イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009457
4.2

(67)

(35)

萌々

(16)

(13)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
12
得点
279
評価数
67
平均
4.2 / 5
神率
52.2%

レビュー投稿数12

秀逸なオチに、思わずホロリとさせられます

楠田先生と言うと、捻りのある一筋縄では行かないストーリーが面白いと思うんですけど。

で、今回はタイムリープものですが、こう来たかって感じの切り口が斬新なお話になります。
もう、先に先にとページめくらせてくれる、息をつかせぬ展開なんですよね。
最後の最後までハラハラドキドキさせてくれて、ラストでは思わずホロリとしてしまう。
そんな、とても素敵なお話でした。


内容ですが、ややシリアス寄りのタイムリープものになります。

名門バレー部に所属する大学生の湊。
試合に向かうバスが事故に遭い、湊を庇った親友でエースアタッカー・健太郎が、選手生命を絶たれる大怪我を負います。
自分に好意を寄せる健太郎を、罪悪感から拒めずに、共に暮らして恋人となる湊。
しかし、次第に激しくなる健太郎の独占欲と執着に、追い詰められて行きー・・・と言うものです。


こちら、序盤の湊ですが、かなり痛々しいです。
親友で共にバレーをやってきた健太郎と湊。
しかし、実力の差は大きくなり、次第に共に居る事が気詰まりに。

実は、同じ大学に入った二人ですが、健太郎は推薦で、湊は彼に強く願われ、一般入試で入ってるんですよね。
更に健太郎から告白され、彼が一緒の大学に行く事にこだわったのは、湊のバレーの実力を大切にしたのでは無く、好きと言う恋情からだったのでは無いかと気付いてしまった・・・。

更に事故のあと、共に暮らし始めると、健太郎の独占欲や執着は日増しに強くなって行く。
行く場所やその日の行動を全て報告し、健太郎の機嫌を悪くすれば手酷い抱かれ方をされてしまう・・・。
あのですね、楠田先生の書く、執着系の攻めって強烈なんですよ。
もうこれでもかと追い詰められ、ボロボロで声を殺して泣く湊が切なくて。

で、とうとう追い詰められた湊は、死を意識しながら高校の母校を訪れます。
そこで出会ったのが湊達の後輩で、キーパーソンとなる高校生・関。
以前から、湊が憧れの先輩だと、真っ直ぐな好意を向けていてくれたんですね。
そんな関と体育館でバレーをするうち、自分の辛い胸のうちを打ち明ける湊。
で、ここで出てくるのが祖父の形見で願いを叶えてくれると言う人形。
過去に戻ってやり直したいと強く願うと、二人の時間は巻き戻りー・・・と続きます。

こちら、面白いのが、過去に巻き戻った際、主人公である湊の記憶は消えちゃう所なんですよね。
事故の起きる直前、自分の前に突然現れて「事故が起きるからバスに乗ってはいけない」と強く引き留める後輩。
どこかデジャヴを感じつつも、信じずにバス乗ってしまう湊達。
そして、再び繰り返される事故ー。
そう、巻き込まれる関にだけ記憶があり、彼が孤軍奮闘すると言う形になるのです。

で、この後も、何回もタイムリープを繰り返す二人。
しかし、その都度、何らかの形で不幸になってしまう。
果たして、この不運のループから抜け出し、二人は幸せになれるのかー?
また、強い独占欲と執着を見せ、湊を縛り付けようとする健太郎。
そして、湊を幸せにしようと、懸命に頑張る関。
湊はどちらと結ばれるのか?みたいな。

当然、核心部分のネタバレは避けますが、とにかく関がいい男なんですよね。
何とかこのループから抜け出そうと、知恵を絞ってあれこれ頑張る。
その上、彼は時間が巻き戻ると中学生にまでなっちゃったりして。
本当は高校生で湊よりも大きいんですよね。
だからこそ、中学生になっちゃって「これじゃ相手にされない」と悔しがってるのが可愛くて。

また、個人的に、執着攻めが好きなんですよ~。
健太郎の湊に対する、ゾッとくる感じの執着ぶりに萌えるんですね。
彼は何度やり直して、状況がどう変わろうが、結局は強い執着で歪んで行く。

一応、本編ではどちらと結ばれるか、途中からうっすら分かり始めますが。
とりあえず、ここではネタバレ無しで。

あと、こちら、最後のオチがとても素敵でした。
えーと、ここまで、関が孤軍奮闘の形だったんですよね。
しかし、ラストでその法則が覆ったりして。
色んな思いを胸に、懸命に頑張る主人公ー。
今、やっと、不幸のループから抜け出せる・・・と。

くっ、もう本当に良かったよ!
どうなる事かとハラハラさせられましたが、皆が幸せになる、とても希望に満ちたラスト。
楠田先生の作品ですが、毎回ラストがお見事なんですよね。
どうなる事かとハラハラさせてくれて、最後は心あたたまる素敵な結末。
思わず、ホロリと来ちゃうじゃんかよ。

と、とても素敵な作品でした。
楠田先生が未読の方も、この機会にぜひ読んでいただきたいです。

15

貴方の笑顔を守るために

今回は母校のバレーに所属する高校生と
バレーの強豪校に進学する大学生お話です。

攻様が受様と幼馴染の関係を変え
受様が攻様と歩む未来を選ぶまで。

受様は小学生3年生の時
祖父が大切にして人形と呼ぶ
不思議な石のオブジェを譲り受けます。

その翌年から受様は
燐家の幼馴染とバレーボールを始め
良きライバルとして切磋琢磨します。

バレー強豪の誠護学園高校に入学した2人は
3年の時にインターハイで優勝し日本一となり
受様はずっと2人でプレーしていけると
思っていたのです。

しかし、幼馴染は
インカレ決勝常連の青海大学の推薦で進学、
受様は攻様を追って一般入試で入りましたが
受様の選択は幼馴染との実力差を
より感じる結果となりました。

その上、親友だと思っていた幼馴染に
好きだと告白されてしまった為に今までのように
気軽な付合いができなくなっていたのです。

そんな中、
インカレに向かう大学専用バスが事故に遭い、
受様をかばった幼馴染が右足を切断、
罪悪感に駆られた受様は幼馴染の望むまま
恋人関係となるのです。

しかしながら
幼馴染の受様への独占欲と執着は
次第にエスカレートしていき
耐え切れなくなった受様は部屋を飛びだし
ふらふらと誠護学園高校を訪れます。

そこで事故の日にサービスエリアで
受様と幼馴染に声を掛けてきた
誠護のバレー部員に再会するのです。

このバレー部員こそが今回の攻様になります♪

攻様も幼幼馴染と同じアタッカーで
受様に強い憧れを抱いていたのです。

真っ直ぐに向けられる好意とともに
受様を優しく気遣う攻様に
受様はつい今の苦しい気持ちを打ち明け
やり直したいと強く願います。

すると2人は爆発するような光に包まれ!?

攻様が受様の祖父の人形の力を駆使して
過去を変えるためタイムリープするという
ファンタジックなお話になります。

大体において時渡りや界渡りするお話って
対象者が自分の世界との違いに戸惑いながら
"今"の世界で奮闘するのが鉄板ですが

本作は受様視点で有りながら
攻様が行動することが鍵になっているので
読者は受様と一緒に攻様の謎の行動を
読み解こうとするという

鉄板に沿わない展開がすごく斬新で
とても面白いお話です (^O^)/

タイムリープを引き起こす核は
受様の祖父の形見の人形なのですが

タイムリープして戻った過去で
ソレを手にしているのが攻様なために
攻様にしか未来の記憶はありません。

攻様は受様の未来を変えたいと強く願い
その転換点となる事故を避けるために
行動しますが

攻様は受様と過ごした記憶がありますが
受様にとってその時は"未来"であるために
受様にとって攻様は知らない人なのです。

そして未来に繰り返されるのですが
読者には受様の苦しみしか見えない事も
先々の展開を秀逸に感じさせる布石と
なっているのですよ (>_<)

2度のタイムリープで
受様の辛い未来を変えられなかった攻様は
交通事故という基軸よりも前の時間へと

3度目のタイムリープが行われ
バス事故は回避されて
3度目の正直で良かったと思っていたら
まさかの不幸が起こるのですよ。

このまさかの不幸を乗り超えて
受様が幼馴染との関係を変え
攻様の恋人となるまで
ハラハラ&ドキドキし通しでした。

3度目で幕引きもできたと思いますが
更にそこで事件が起こる事で
守られてきた受様が主体的に動き
度重なるタイムリープが収束します。

受様の行動があったことで
受様視点で展開していた物語に
納得感と深みを与えていて
納得のいく終幕となったと思います。

受様の幸せのために
タイムリープを繰り返した攻様が
健気で真摯で男前です♡

今回は本作同様タイムリープもので
櫛野ゆいさん『君のいる世界』は
いかがでしょうか。
両片思いのジレジレ感も楽しいです♪

6

ネタバレせずに読んで欲しい物語

帯と裏表紙のあらすじから、タイムリープものという情報だけで読み始めました。
可能なら、それ以上のネタバレは入れずに読んでいただきたいな。

物語の最初は、主人公たちに正直腹立たしかった。本当にそれでいいの?好きなの?って問いただしたかった。
でもそこから起こるタイムリープによる展開が見事で、ぐいぐい物語りに引き込まれて、ラストには泣いてしまいました。
素敵な未来を掴み取ることができて本当に良かった。頑張ったよ二人とも。

すごく素敵な物語でした。物語としてとても楽しむことができました。
最後はこれ以上はないと思えるハッピーエンドです。
だから安心して、ネタバレせずに読み始めてもらえたら、最高の感動を味わうことが出来ると思います。

4

一気読み!詳しいネタバレは見ずに読むことを強くオススメします。

何度でも、何度でも、何度でも!
あらすじにある通りタイムリープものです。
こんなに感動したタイムリープは初めてです。

健太郎がこんなキャラだったの?との驚きと、湊の犠牲と、拓歩の孤独な献身と。
逃げて〜、絶対に一緒に住んじゃダメ!と。

2度目からは言うこと聞いて!信じてー!と叫びそうでした。
諦めない拓歩、誰も聞いてくれない信じてくれない、どうやっても湊は健太郎に…。

何度も戻って、戻るタイミングをずらして。
全てを上手く収まるように、湊を健太郎から守るために、湊を手に入れるために。

もう本当のことを言えなくても、必死で近づいて先回りして湊のバレーボールが好きな気持ちやヤル気を取り戻して。事故を防いでみんながバレーボールを続けられるように。拓歩と湊の約束にもう泣けて泣けて。

湊も中学生の拓歩の言葉にちゃんと耳を傾けてくれて良かった。
拓歩の孤独な頑張りを思うと号泣です。

今度こそ!と思ったらまさか拓歩が!

今度は湊が!

やっと二人の時間。悲願が叶ったね!
タイムリープを繰り返すうちに拓歩はどんどん湊を好きに、愛していったんでしょうね。
良かったです!

タイトルを見て何年も私が思い続けてた言葉でびっくりしました。
数年前に追突事故にあい全てが狂い今も治らないのですが、何度あの日あの時あの場所へ行かなければ!と思ったことか。
戻ってタイヤをパンクさせるなり、1分でもズレていれば、違う道を通っていればと。

素敵なタイムリープものが読めて大満足です。

3

愛する人を救うために

あらすじとサマミヤアカザさんの描かれた表紙につられ購入。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。









主人公は大学生の湊。
幼馴染の健太郎とともにバレーに明け暮れ、そして高校3年生の時に日本一に。湊がセッター、健太郎がアタッカー。息の合ったプレーで、ずっと二人で楽しくバレーを続けられると思っていた。

が、大学生になり、二人の間には埋めることのできない溝ができ始める。強豪校と名高い名門校で、1年生でありながらレギュラー入り間近と言われる健太郎と、健太郎の添え物でしかない湊。劣等感に悩まされる湊をさらに追い詰める出来事が。

それは、健太郎に告白されたこと。

親友としてずっとそばにいた健太郎から思いがけない告白を受け、今までの関係が少しずつゆがみ始める。

そしてそんな二人を事故が襲う。
遠征の移動中、バスに酔った湊と席を変わった健太郎が、事故で足を切断することに。将来有望な選手だった健太郎が足を失い、その絶望感を湊にぶつけ始め―。



と、序盤からかなりシリアスモードでストーリーはスタートします。

自分のせいで健太郎の足を切断することになってしまった、という湊の罪悪感。
湊のことが好きで、バレーも失い、湊により執着し始める健太郎。

歪んだ関係を持ち始める二人に、ハラハラしつつ読み進めました。

序盤は湊が主人公だと思ったんですよね。

が、このストーリーの主人公は湊ではありません。

湊に恋する、後輩の拓歩が主人公なんです。

罪悪感で押しつぶされそうな湊。
恋愛感情があるわけではないのに、罪悪感から健太郎に抱かれている湊。

そんな湊を救うために、拓歩が孤軍奮闘するお話でした。

どうやって湊を救うのか。その方法は、



ネタバレ注意!!



*******************************************************






タイムリープ。

するんです。

誰も拓歩の行動の理由を知らない。
そりゃそうだ。
だって、拓歩しか「未来」を知らないわけですから。

時に胡散臭い目を向けられ、不審者扱いされ、それでも湊を救うためだけに、時に自分を犠牲にしながらも拓歩は奮闘する。湊自身にも信じてもらえず、それでも心を折ることなく頑張る拓歩が、めっちゃ健気で、そして男前でした。

拓歩が誰も知らない闘いに挑みながら、少しずつ湊との距離を縮めていく過程に、激しく萌えました。

タイムリープできる理由もなかなか良し。
序盤にまかれた伏線が、少しずつ回収されていく展開で、ページを捲る手が止められませんでした。

が、これ、タイプリープもの、って知らずに読んだ方が面白いんじゃないかな。
あらすじとか帯にしっかり書かれちゃってるのでレビューでも書いてしまいましたが、その点がちょっと気になりました。

そしてサマミヤアカザさんの描かれた挿絵がこれまた良い。
ちょっと儚げで、繊細で。
イメージにぴったりで、萌え度は確実に上がりました。

二転三転するストーリー、ハラハラする展開。
でも、この作品の根底に流れているのは紛れもない「純愛」。
愛する人を救いたい。そんな拓歩の深い愛情に、激しく萌えました。

7

この作品が収納されている本棚

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