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表題作恋人は、一人のはずですが。

マサト、稀有な才能を持つ謎の作家
森藤東護、文芸誌の編集者、28

同時収録作品恋人は、一人のはずですが。

柳瀬優、大ベストセラー作家
森藤東護、文芸誌の編集者、28

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

小説投稿サイトで、稀有な才能を持つ作家を発見!! 見つけたのは、文芸誌の編集者・森藤東護。この作者にもっと書かせたい――惚れ込む東護だが、著者のマサトは、心温まる作風とは違い横柄な態度で書く予定はないと告げる。どうにか口説き執筆を約束させるが、その直後、なぜか大ベストセラー作家・柳瀬優から担当編集の指名が!! 戸惑いつつ柳瀬を訪ねるが、その顔はマサトと瓜二つで!?

作品情報

作品名
恋人は、一人のはずですが。
著者
楠田雅紀 
イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009242
3.7

(63)

(13)

萌々

(33)

(10)

中立

(0)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
16
得点
227
評価数
63
平均
3.7 / 5
神率
20.6%

レビュー投稿数16

正反対の才能

表紙からして左右の二人が同一人物だってのは察しがつくだろうが、できることならネタバレなしで読むのをお薦めしたい。
ただ、序盤からして一人二役?あるいは…って想像が、中盤までには核心に変わっていくとは思うが。

勿論、そんな想像がつかない東護にとっては小説投稿サイトで見つけたマサトの小説に心打たれ、たちまちに彼の才能に惹かれていく訳だが、彼の真相を知っていく過程の中で人気作家・柳瀬との正反対の才能の対比が上手く描写されていた。
最初、編集者・東護については、過去に手痛い失恋を経験した真面目な美人受けって程度の認識だったが、マサトの才能を埋もれさせたくないと主張したり、意を決して彼を守ろうと行動する場面を通して、男らしい性格に好感が持てた。

読み進めていくうちに、もしかしたら東護がマサトの存在を強く願う事で、本来の解決策とはまた別の新たな可能性を得るきっかけになるのでは?…と期待が湧いてくるが果たして!?

表紙の件に戻るが、個人的には読む前の第一印象でいいなと思ったほうの彼と結ばれて良かったなと安堵できたし、最後まで読み終わった後に振り替えるとタイトルの意味合いにも気付く辺り、お見事だなと感じ入った。

8

そうくるのか

 最後まで、どう着地するんだろう?とドキドキしながら一気読みでした。
表紙の2人の攻様。
読み進めるにつれ、2人の関係性はなんとなく予想ついてきて、もしかしてコレ、ハンカチが必要になるやつ!?と涙腺気にしてたのですが…。
そうかー、そうくるのかー。
今まで私が読んだことのない、予想してなかったラストに着地でした。

 以下、私にしてはなるべくネタバレを明記しないようにはレビューさせて頂きます。
でも、それって難しいなぁ。
  

 受様の東護は、とても一生懸命で時に情熱的であり男前の人でありました。
恋人になったマサトを大事に思いつつも、優の事もきちんと考えることができる大人の社会人。

 攻様のマサトは、初めこそチャラい言動を見せていたけど、東護に接していくにつれどんどんかわいくて甘えん坊できらきらしている所が見れて、魅力的になっていきました。
自分の存在意義を理解してるから、と納得して受け入れようとしている姿には切なくてぎゅーってしたくなりました。

 
 ラスト、大団円とまではいないまでも、ハッピーエンドに落ち着いてよかった。
しかし、何度も読んでこの先を想像しちゃうと、うーん、このままじゃいられないのでは?と思ってしまいました。
このままじゃいずれ優が不憫だし、だからといって優に別の恋人が出来ても、こちらの2人が既にらぶらぶになっている以上、なんだかもろ手を挙げて祝う気持ちにはなれないしなぁ。

 と、自分で勝手に妄想してはちょっともやもやが心にひっかかりつつも、それでもやはりおもしろくて何度も読み返しています。
それに、じれじれする攻様って大好物ですから。

マサト、見つけてもらってよかったね。

6

弱さも強さも

タイトルこそラブコメを予感させるけれども、
冒頭の誘拐事件のワンシーンが臭わせるように、取り上げている題材はシリアス。
楠田先生なので、安心して読みました。

売れっ子新人作家と、編集者のお話。

桃源社で編集者として勤務する森藤東護。他部門の同期から新人発掘企画を聞かされて興味を持ち、紹介してもらった投稿サイトで有望な作品を見つける。早速投稿者とコンタクトを取って何度かやりとりを続けるうちに、編集者としての熱意が伝わったのか、職場近くのカフェで実際に会うことになった。

同じ頃、桃源社からサイコ・サスペンスもので立て続けにヒット作を世に送り出している大型新人作家の柳瀬優から、東護について問い合わせの連絡が入った。柳瀬の弟とされる人物から情報を得たようで、柳瀬の担当を東護に変えて欲しいという。柳瀬と弟はどうやら不仲なようで…

ネタバレなしで読んだらドキドキな謎解きが楽しめると思います♡
でも、わかっちゃう人にはわかっちゃうと思います笑

柳瀬もゲイで弟もゲイ。東護もゲイで、特殊な三角関係です。とても切ないです。

混乱しそうだけど、攻めと受けはガッチリ相思相愛なので、ハッピーエンドだと信じています。

兄の思いがいつか報われるといいな…と願っちゃ、ダメなのかな?

4

何だか凄く胸に来ます(´;ω;`)

こちら、タイトルやあらすじからラブコメっぽいのを想像してたんですが、シリアス寄りです。
推理サスペンスものであり、心理もの。
あと、私は誤解してましたが、表紙の二人は攻めですよー。受けはメガネ美人。

最後までどうなるか分からないと言う、ハラハラドキドキのストーリー運びがとても巧みでした。
これは前情報無しで読んだ方が面白いと思うので、核心部分のネタバレ無しでレビューいきたいと思います。


内容です。
新米編集者である東護。
小説投稿サイトで見つけた作家・マサトの才能に惚れ込み、1作しか書いていない彼に小説を書くことを提案します。
しかし、心温まる作風とは違い、やんちゃで失礼な態度のマサト。
彼を必死で口説き落としますが、その直後、大ベストセラー作家・柳瀬優から担当編集者の指名を受けます。
初めて会った柳瀬は、なぜかマサトそっくりでー・・・と言うものです。


これは私の勝手な見解ですが、この作家さんは作品の導入部がとても上手い!!
最初に読者が「どうゆう事?」と疑問を感じるエピソードや展開を持ってきて、そこからガラッと違うシーンに入る。
で、興味をそそられる「出来事」に続きと、そう集中力が無い私でもグイグイ引き入れてくれます。そう、「引き入れる」と言う言葉がピッタリ来る感じでしょうか。
今回は特にそれが顕著で、子供の誘拐事件とニュースの記事風な書き出しから始まり、次に強気な新米編集者・東護が小説投稿サイトで面白い作品を見つけとストーリーは運びます。

で、稀有な小説の才能を持ち、本人にも作品を書きたいと言う思いがあるのに、何故か2作目を書くことが出来ないマサト。
また、そんなマサトにそっくりな、紳士的で物静かな大ベストセラー作家・柳瀬優(マサル)。
夜中にしか会えないマサトに、そんな彼に対して異常な程に行動を制限しようとする双子の兄・マサルと、こう徐々に真実のピースが与えられ、読者が確信を持っていくようなストーリー運びがとっても巧みです。

で、マサトとマサルの真実を知る東護-。
ここまではサスペンス要素でグイグイ読ませてくれ、ここから心理ものでハラハラ切なくさせてくれてと言った所でしょうか。
この先はネタバレになっちゃうので詳しく書けませんが、ただ切り口が凄く斬新。
鋭い姐さんはあらすじを読んだ時点でピンと来てるでしょうし、このネタて昔からたくさん書かれてるのです。
が、こっち側から書かれてるのはあまりお目にかかった事が無い。

そして、めちゃくちゃ切なくもあるのです。
自分自身を始めて認めてくれて、受け入れてくれた東護。
マサトの不意に漏らす本音が切なくて切なくて・・・。
マサトはやんちゃと言った感じなのですが、その実凄く寂しがり屋な印象なのですよね・・・。そして健気。
そんな彼が、自身の存在した「証」を残したいと願うのが、何だか凄く胸に来る。
また、東護が男前なんですよ。線が細い美人ですが、超男前。
いざと言うときは殴り掛かりと、ホント男らしいよ!!

あと、マサト側だけでは無く、マサルの心情にもしんみりと。
彼は彼で、気の毒なんですよね・・・。

どうなるか分からないと、最後の最後まで引っ張った結末にもハラハラさせてもらえました。
大団円ではございますが、ちょい結末が軽い気はするのですが。
なんか凄い飛び道具みたいのが来るのを想像してたので。
しかし、これはこれで素敵な結末。
何のかんの言いつつ、幸せになって良かったです。

心理サスペンスものがお好きな方におすすめしたいです。

7

心情描写が良い

初読み作家さん。
試し読みをしたときに、冒頭(事件シーン)から作品世界に引き込まれたことと
麻々原絵里依さんファンということで購入。

頁数から予想していたよりもしっかりとした内容が良かった。
解離性人格障害をテーマにしたBL小説はいくつか読んだけれど
これはサスペンス的要素が薄めで話の先が直ぐに分かってしまう。
なのに、頁を繰る手は止まらないという読ませてくれる作品。

二次的人格であるマサトに焦点が当てられた内容展開は
途中からサスペンス色よりも心情描写に重きが置かれており
マサトの心情描写は切なくて何度もホロリとさせられる。
また、マサトと東護を応援する気持ちの果てに明らかとなる
基本人格である優の本音は意外なもので不意打ち食らって落涙。

優とマサトの人物像の対比には
彼らそれぞれの言動だけでなく、彼らが書いた作品をもってくるところが興味深い。
それらの作品タイトルがまた心惹かれるもので
特に優の作品のタイトルは秀逸で読書欲が刺激される。

物語の着地点は私的に好ましいものだったが
3人の関係性を考えるとスッキリした気持ちにはなれないため
先の方が書かれているように本編の続きとなっている同人誌の内容も収録して欲しかった。

今作を読んでいる途中で、何度も秀香穂里さん作品を思い出した。
こちらも二次的人格であるリョウは残る話なので、良ければ是非。
ちなみに、奈良千春さんの表紙イラストが全てを物語っていて
リョウが生きていることは秀さんご自身に確認済み。

ラヴァーズ文庫『ダークフェイス ~閉じ込められた素顔(上)~ 』
       『ディープフェイス ~閉じ込められた素顔(下)~』

5

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