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会川先生の作風にあまりシリアスなイメージがなかったのですが、こちらは結構重めの話でとても刺さりました。兄に恋する主人公・シューヘイ。最初はどこかで義兄弟であることが明かされるんだろうと勝手に決めつけていましたが、正真正銘実の兄弟で驚きました。たくさんBLを読んできた私でも、性別のことは置いておいて兄妹に恋する感情というのは理解が難しい。長らく離れて暮らしていたならまだしも、幼い頃から同じ親元、同じ空間で生活してきた相手に恋する感覚というのはどうにも掴みきれません。
それでも、自分でコントロールできるわけじゃないんだから、本人はそういう運命だったのだと受け入れるしかない。シューヘイの立場に立つと、どんな道を選択しても苦しく、何度辛い想いをしてきたのかなと心が痛みます。そんなシューヘイを受け入れる選択をしたサトル。彼の本音は誰にも見えない。大事にしてきた可愛い弟と一生会えなくなるくらいなら、という気持ちなんでしょうか。彼は間違った選択をしたと部外者が決めつけることもできないし、ただただ本人と神のみぞ知る気持ち。シューヘイはサトルに打ち明けたけれど、サトルが本音を誰かに打ち明けることは生涯ないかもしれません。でも、サトルが自分でシューヘイに手を差し伸べる選択をしたのなら、周りがとやかく言う権利はないと思いました。
ここで終わり?というかラストであっという展開になって、キョトン顔のママ本を閉じた私です。
ラストのネタバレはなしでレビューしたいと思います。
中野家の兄弟。兄のサトルと弟のシューヘイ。
すっごく優しくて面倒見のいいサトルに、恋しているシューヘイ。
あるとき、ついに本心を口に出してしまう。かわいい弟であるシューヘイの恋心に悩む兄と、受け入れられないどうにもならない想いを持て余す弟。
シューヘイは家を出てフラフラしていますが、行き場なく街で座り込んでいたところを補導されてしまいます。
やがて家に戻り、しかし心を殺して生きるシューヘイ。
きっと現実にこういう2人がいたら苦しいだろうなと思わされるお話。
顔がしっかり描き分けられてて、シューヘイの友達や、避難場所になってくれる右京さん等周囲の人との絡みも面白い。
ただラストは正直なところびっくりしてしまいました。
なんとなくスッキリしない終わり方で、もったいなかったなあという印象です。
実はもう少し続いてくれれば別の展開があったかも。。
とある先生のツイを読んで、気になって購入ました。
レビューには「メリバ」と描かれているので覚悟を持って読んでみましたが、思いのほか辛い終わり方ではありませんでした。
ただ、主人公のシューヘイにとっては我が儘な兄弟同士の恋愛が叶った結果になりましたが、自分自身それが誰にも祝福されない・誰にも言えない、未来がない関係だと分かっています。シューヘイにとっては望んだ兄サトルとの恋人のような関係ですが、弟を大切に思っているサトルにとっての幸せかどうかは誰にもわかりません。
サトルもシューヘイも互いを、そして家族を大切に思っているから拒絶できない・離れられないのかもしれません。恋愛なのか家族愛なのか、タイトルの「中野家のはなし」が響いてきます。
サトルが最後にシューヘイに手を伸ばすことを決めてから、ふたりの無邪気な笑顔はありません。淡々と日々過ごしていくように描かれています。
名前がカタカナであることもなんだか記号のようで、なにか感情を抑えているふたりを象徴しているようにも感じました。
最後にスパっと切られたような決断だったので後に引きます。
ある意味、読者に委ねる終わり方でした。
続きを読みたい気もしますが、ここで終わった方がいいんだろうと思いました。この終わり方ならまだある意味「ハピエン」のままでいられるからです。だから「メリバ」なのかもしれませんね。わたしにはふたりの続きには破局しか感じられませんでした。
きっと読者次第でふたりの物語は続いていくんだと思います。
余韻が残る、考えさせられる終わり方でした。
本当の兄弟もの。一貫して落ち着いたトーンのまま弟視点で話は進みます。
ごく一般的な4人家族で友達もいる高校生シューヘイは兄が好き。
過去に何か性的にされたトラウマがあるとかじゃなくて、気づけば兄が好きだったっていうのがリアルな感じがしてお話の世界にすんなり入っていけました。
シューヘイって可愛がられて育った子特有の
「言葉にしてお願いすればある程度自分の希望は叶う」って無意識に知っているような性格が、兄からしてみたら突き放せなくてつい構ってしまうんだろうなぁ。
サトルは弟想いの優しい兄だけど本気でシューヘイを好きなのか、兄として許しているのか?
ラスト2人は本当に幸せなのか
はっきりしない描き方が読み手によって捉え方が
変わり印象深い作品になっています。
初読み作家さんでしたが重すぎず暗すぎず
程よいバランスで面白かったです。
作者様買いです。
全体的に静かで淡々とした調子の物語だったのがメリバの雰囲気を引き立たせていてとても好きな作品でした。
兄のサトルがずっと好きだったシューヘイ。それをひた隠しにしたまま周囲に公認されるほど仲の良い兄弟を演じていた一方で、誰にも、もちろんサトルにもバレないようにこっそりキスをしたりする日々。
そんな中サトルに好きな子ができ、彼女ができそうになったことを皮切りに平凡な日常が崩れ出します。
全体を通してシューヘイの自分勝手さが印象的でした。間違いなく切なく辛い恋をしているのだろうけど、親へもわがままを通し心配をかけ、最終的には兄のこともレイプしてしまう、自分の思いが通じないことへの苛立ちや悲しみの行き場を人にぶつけてしまう幼さがかなり目につき、悲しい恋をしていることに対して同情的になりきれません。
でもだからこそ、そんな弟を見捨てることができず最終的に弟を選んだサトルとのこの結末がまさにメリバという感じですごく好みでした。ガーっとした盛り上がりも、最終的に本当に今後もこの2人が幸せになれるのかも、なんならシューヘイですら幸せになれるかもわからないこの不確かさな結末、好みが分かれるかもしれませんが、メリバが好きな方には一度は読んでほしい作品だと思います。
