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個人的には『猿喰山疑獄事件』よりもこの作品のほうが好きです。
心がほっこりと暖かくなって、ちょっと泣ける、そんな話。
表題作『ビター×スイート』
対人恐怖症の三日月が、彼に一目惚れした二枚目カメラマン・村山によって生まれ変わる…というのがざっくりとしたあらすじになりますが、
もうね、それだけでは収まりきらないんですよね。
もちろん三日月の成長物語や二人の恋愛を中心として話は進むのですが、
その中で二人の葛藤やら二人の未来やら色んな問題がひしめき合っているんです。
うまくいったと思えばまた問題が浮上し、その繰り返し。
でもそれを一つ一つ乗り越えていく三日月。そしてそんな彼を支えながら、
実は三日月に支えられていた村山。
そして「他人が嫌い」と言っていた三日月を支えてくれている温かい人たち。
色んな人達の温かい思いに涙が出ました。
そして、エッチなんて全くなくて、キスも数回しかしてない二人の、あまりにも深い愛情にもまた涙。
巻末の描き下ろしで救われました。よかった。
三日月の世界というか人生そのものを変えてくれた村山も、実はいろんな過去や想いを抱えていて
一見イケメンで何の悩みもなさそうな男なのに、彼も三日月と出会えて本当によかったな、と思いました。
読後感も最高でした。よかった。ほっこりしました。
同時収録でまた涙が…!!
『cleaning』世界で一番小さいクリーニング屋の話。
誰かのために、自分のために、一生懸命働いたクリーニング屋。
お客さんの、好きな人の、「ありがとう」の言葉に涙を流すクリーニング屋。
客に怒られ、経営も困難で、悲嘆にくれるクリーニング屋にかけられた、やさしい言葉…
もうここで涙腺崩壊。
「そうだよね、そうだよね」って本に向けて語りかけてましたw
私も仕事、頑張ろうって思いました。
ほか同時収録は比較的明るめ。かわいい恋の話です。
遥々アルクさんは、心理描写のとても上手な作家さんですね。
そして、モノローグが最高にいい!
ポエミーなところがありますが、それがまた素晴らしいんですよ。
切ない話もうまいけど、この方の作品からは温かさを感じます。
絵柄は相変わらず独特だけど(私は慣れたから全然平気)、話作りは逸品です。
「猿喰山疑獄事件」でそのストーリーのうまさに惹かれた作者さんです。
絵は拙い感じで表情にも乏しい感があるのに、それもまた魅力なのかと思わざるえません。
表題作で、みんなに嫌われて暗いと言われた三日月が、村山に「好きだ」と言われて意識しだしてから、どんどん可愛くなっていく姿。
好きなコーヒー道を一生懸命邁進する姿が感動です。
三日月を振り回しているような村山ですが、自分でキリキリマイしちゃっています。
でも最後の三日月の決断にほっとしたり。。。
村山父の存在や、店の客とかもいい味出してます。
一話毎の4コマ漫画が楽しい☆
他の話も胸を打つものばかりでしたが、「cleaning」は泣けました!
どうか、どうか、どこかで幸せを掴んでいてほしいなと願わずにはいられません。
前出に書いたように絵の好みもわかれそうですし、ネームも多いので読みにくいと思われる方も多いと思いますが、小説が好きな方なら絶対引き込まれることまちがいありません。
只今アルクさんに夢中で短編やら集め中です。心を奪われました。
正直、最初は絵が、、というかデッサンおかしくないか?と思いつつアッという間にフォーリンラブ!ですよ。
好みとしては、『猿喰山疑獄事件』よりこちらのほうが好きかも。
表題作は正にビター×スイートな話。
恋というか生きることの切なさ、甘さ、苦さが詰ってる。
イケメン陽性村山×対人恐怖症三日月の恋の話。
村山に好かれた事がきっかけで、人生を切り開いていく三日月。
でも、そんなに簡単には行かなくて、、。
頑張る三日月が、、堪らなく可愛く、愛おしくなってきちゃうのです。
もうこの時点で絵はまったく気にならん。むしろ好き。
二人の仲はくっつきそうで離れたり、なかなか前に進まず、不安になったり諦めたり、、。
夢に向かって頑張る三日月の、、本心だろうけど絶対言わない言葉。「俺が女の子だっだらお嫁さんにしてくれる?」そんなのダメだと分かってる。だから頑張る。
頑張る三日月に涙、涙。おばさん、こういう子に弱いのよ~。
そして、周りの人の温かさ。でもそれは三日月が頑張ってるからなんだね。
表題作の構成が素晴らしい。
印象的なモノローグ、コマ、ネーム。行間を読ませる。
人物は少々アレなとこもあるけれど、ハッとさせられる美しい画面。
小説の様であったり、映画の様であったり、独特。
「雑巾姫」
大会社社長の息子×清掃員
頑なな清掃員がいじらしい。モノローグシーンにグッとくる。
この二人の話もっと読みたいなあ~。
切なくて優しい話。
「君は間違っている」
傲慢エリート大手町×マイペース派遣社員竹橋
はっ、名前が銀座線だ!
傲慢エリート大手町がヘタれていくのが可愛かった。
エリートなおバカさ~ん。
印象的なラスト。
これも続き読みたい~。
「cleaning」
小さなクリーニング屋さんの話。
構成が素晴らしい。現代の話なのに童話のような。
リアルな世知辛さに胸が潰れる。
うわ~ん!切ない!!
とても短い話なのに、大号泣。瞬間的に涙がガ~っと。もうっダダ泣きしました。
誰もがクリーニング屋さんの幸福を願わずに居られない。
これは、お話なんだから、、なんだかそう思えなかった。
アルクさんは、絵も巧いとは言えないけど天才的なセンスがある。
言葉だったりシーンだったり、ハッとさせらせるんです。
誰にも似てない、アルクワールドなんですよ。
好き嫌いが別れるでしょうが、ハマる人はガッツり嵌る。
こういう作家さんを見つけると本当っBL好きで良かったなと思います。
BL以外にも進出しそう。
つい最近知ったアルクさんですが、もうもうかなり好きです。
信者を増やしたい!!
『猿喰山疑獄事件』を読んで衝撃を受けて
思わず買ってしまいました。。。
短編連作の表題作の他に3つの短編が入っていますが
どれも、ほのぼのとしていながらも
人間の心の本音と建前を鋭く風刺していて
なんとも不思議な読後感を残してくれました。
こういう感覚は、やはり『猿喰山~』と共通の部分かなぁ。
『ビター×スイート』は
人付き合いが苦手な寡黙な青年・三日月と
そんな彼をコーヒー屋で見かけて一目惚れしたという
三日月とは正反対の陽性のハンサム青年・村山のお話。
何ひとつ苦労して内容に見える村山がなぜ自分に惚れたのか
判らないまま、それでも村山に惹かれていく三日月が
だんだん変わっていく様子がいい。
ラストに第零話を持ってくるあたりも、なかなか上手い演出だったのでは?
途中に挟まれている4コマ漫画で
ちょっと息抜きをさせてくれてるのも親切でよかったと思います。
大会社の息子とその会社の清掃会社勤務の男とのお話『雑巾姫』も
超エリートの男と契約社員の男の『君は間違っている』も
ラストに唸らされたのですが
やはり秀逸だったのは『cleaning』
時折店を訪れるサラリーマンの客に憧れる
身長145cmのクリーニング店主のモノローグで語られるお話で
淡々と語られる店主の気持ちはほんわりしているのに
思いもよらないラストに一気に涙が溢れ出してしまう、という
衝撃的な作品でした。
この本が、遙々アルクさんの初単行本みたいですが
かなりクオリティーの高い作品集に仕上がっていて
『猿喰山~』が好きだった方なら満足できるんではないでしょうか。
そういえば、おとぎ話の主人公は
いつだって王子様よりも、健気で我慢強くてたくましい。
遙々アルクさんの作品は
そんなおとぎ話でも読んでいる気分になります。
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『ビター×スイート』
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人付き合いが苦手な三日月くんと
キラキラした王子様のような村山。
村山は、三日月くんに一目ぼれするというお話なのです。
どうして村山が三日月くんを好きになったのかというのは
「第零話」で、やっとわかりました。
“木もれ日”と“写真”と“失った味覚”
この3つが村山の生き方につながっているんですね。
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『雑巾姫』
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これはストレートに「シンデレラ」のお話。
ガラスの靴が雑巾になってるんですねー。
身分違いの恋。
結末はないのがこれが本当のおとぎ話ではない
ということなんでしょうね。
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『君は間違っている』
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本当の恋を知らない俺様な王子様が
庶民に恋をするというお話。
このお話が一番『猿喰山疑獄事件』ぽい気がしました。
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『Cleaning 世界で一番小さいクリーニング屋の話』
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豆腐屋とポストの間にある
小さなクリーニング屋さんの店主の
小さな恋のお話。
人生は、そんなに短いものではなく
終わらせようとしても簡単には終われないものと
私は信じているのでこの先のお話が
きっとどこかで紡がれているのだろうと・・・思いたいです。