特典付
カタにはまらない、唯一無二のキャラクターたちが生き生きとしていて、漫画だけど物語の本を読んでいるような感覚になるほど入り込みました。
それでいて文字での説明がくどいわけではなく、心理描写や性格、場面が絵や構成でしっかり表現されているため、知らない間に引き込まれていく感じでした。
ここからネタバレです!
練がふたりきりの窯のなかで溢れてしまうところ、あれは心が痛かったです。
でも涙はガラス玉のように美しくて、練の清らかな内面を表しているよう。
すごいなーと思ったのは、感情を得て戸惑ったり、不安になったりという描写がいままで少なかったこと。
なのに、本人すら知らぬ間にいっぱいいっぱいになっていて、事実かのようにポロッと零した言葉とともに溢れてくる、という構成が違和感なく納得できて、味がしみてくるような、キャラに寄り添えるような感覚でした。
檻から出たい、出なきゃいけないけど、その向こうには未知の生物、化け物みたいな生物がいる。
この比喩表現は鳥肌が立ちました。
そして、絵がだいすき。
とってもおすすめです。
また作者さんの世界にお会いしたいです。
無事に番になった練と楓、それぞれのお悩み編て感じかな。2巻で見えてくるのは、悩んでる内容とその影響までで、解決編は次巻になりそう。練は体の異常も出始めてるので、体質のこともあったし、とても心配になりました。
楓の方のお悩みは、練が実はすごい存在だったことを知り、自身を振り返って焦ります。ハイスペ攻めに追いつこうと頑張る受けはBLあるある。
練の方はただでさえコミュニケーション能力に難があるのに、人の上に立たなきゃいけないことに。いろいろと自覚があるだけに、ストレスがすごそう。ついにはあの練が涙を流すほどに追い詰められて。ここで終わりなんてひどいよ…。
練の悩みは楓の得意分野っぽいし、お互いに補い合えそうなんだけどな、と見ていて思います。ただ問題そのものは正しさや論理でなく、言い方がどうだとかの感情的な話で、個人的には今のままの練が好き。
これどっち方向で解決していく感じなのかな。練を変化させていく方向だとちょっと読むのが辛いかな、と思いました。薬の影響とか先祖返りの防止策とかの過去を考えれば、急激に求めすぎじゃないかな。練の負担大きすぎない?
今回も扉絵にあたるページがどれも素敵です。一番好きなのは六話!朝の二人の雰囲気が可愛すぎでした。
1巻は練が新しい環境、新しい人間関係に馴染もうと頑張っている印象が強かったですが、2巻は同じ頑張るでも少し空回り気味というか、頑張る方向性を間違えたままがむしゃらに走っているような印象でした。練と同じ土俵で闘うのはさすがに無理があるよね。でも、日々大きな仕事をこなす伴侶の隣で、店の手伝いだけの毎日に焦りを感じる気持ちにはとても共感しました。結果的に自分なりの才能を見つけられたのは嬉しいです。職人たちの仕事や経験値へのリスペクトは持ちつつ、これからも何でもトライしてみてほしい。一方の練もまた、治療をやめて大きな壁にぶつかりましたが、楓の前でだけは気張らずにありのままの気持ちを吐露しても受け入れてもらえることに気付きましたね。楓の隣が彼の精神的居場所。不安定だった2人が安定感抜群のパートナーになるまで見届けたいです。
続編では二人のイチャラブはそれほどないけど、
より関係性を深めていくエピソードがじっくり描かれていて読み応えがあり、読後の満足感はしっかりありました。
前作は主に楓に焦点をあてたお話しでしたが、今回は練ですね。
前作では楓が練の全てにおいて興味のない冷たく掴めない態度に振り回されていたけど、
2巻では練が楓に振り回されている様子が見れて大変よかった!
家出された翌日トボトボと道を歩く情けない姿
本当に街から出てってしまったと知った時の落ち込み具合
すんでのところで楓の危機を救った時の動揺と安堵
どれも1巻では見られなかった練の姿で、
どれだけ練が楓を想っているのかが窺い知ることができました。
また、だんだんと感情を取り戻してきた練の苦しみ、
そのシーンがとっても切なく、
どれだけつらいのかが絵柄でわかるような表現で、
けれども練の涙が美しく…
すごく大好きなシーンでした。
これからどんどん練の変化が見られるのかと思うと次作がとても待ち遠しいです。
そして相変わらず、獣人たちの世界の描写が素晴らしい。
しっかり考えて描かれているんだなというのが
背景の細部を見るとよくわかるし、
読んでいるとその世界にどっぷり浸れてほんと大好き。
一コマ一コマじっくり眺めて楽しんでいます。