たとえばこんな夫夫の老後――。

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作スイもアマイも

田辺清嗣,書道教室講師,元消防士
田辺修志(旧姓・江坂),料理教室講師,元三ツ星レストランのシェフ

その他の収録作品

  • 第0話について
  • サンドイッチ
  • こんな日もある
  • 指輪の小皿
  • 二人と音楽
  • 美寿代と修志の名前
  • メリクリ
  • 父・治三郎
  • 母・スガ子
  • 年末恒例の
  • さらにおせち
  • あとがき

あらすじ

元消防士の清嗣と元三ツ星レストランのシェフ修志は若い時から付き合い、ついに30周年を迎えたカップルだ。
すでにリタイアをして第2の人生を送りつつお互い労りながら幸せな毎日を過ごしている。
老後を迎えた二人は美味しいものを頬張りながら、時には過去の記憶を振り返り――。

元消防士×料理講師
30周年を迎えた老夫夫の愛と人生。

描きおろしマンガ12P収録!

作品情報

作品名
スイもアマイも
著者
市ヶ谷茅 
媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA(エンターブレイン)
レーベル
ビームコミックス【非BL】
発売日
電子発売日
ISBN
9784047377516
4.1

(17)

(9)

萌々

(3)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
69
評価数
17
平均
4.1 / 5
神率
52.9%

レビュー投稿数5

人生を感じる作品

「好きな人と恋人同士になってめでたし」のその後のその後が好きです。
ここまで来るのにいったいどんなことがあったのか。
どんな出会いで、どんなことを乗り越えて来たのか。
連れ添って30年になる2人の人生を感じる作品です。
こんな作品が読みたかったを叶えてくれる1冊でした。

まず、カバーイラストがすごく好みだったのです。
もう既に現役からは引退したいわゆるおじいちゃんな2人ですから、手元を見る清嗣の見方が老眼がゆえのそれなんですよ。
そんな清嗣の手つきを愛おしそうに見守る脩志の顔が優しくて、ああきっとこの作品は良作に違いないと思いながら読めば勘が大当たり。
老夫夫のこれまでと今を追いかけながら、日々の暮らしと共に彼らの歴史を垣間見られるとっても素敵な内容です。
うーん、しみじみと味わえるものがありました。

仲睦まじい2人が語るどのエピソードもほど良く現実的で良かったのですが、中でも私は脩志が何気なく書いた書き置きを捨てず、お菓子の空き缶の中に宝物のように大事にしまっている清嗣にグッときてしまいました。
このエピソードだけでも関係性の深さと愛情を感じるというか、ものすごく素敵だったんです。

大事な連れ合い。
そんな言葉がぴったりの素敵な作品でした。
綺麗事ばかりではなく、長く生きていれば誰しもが経験する生の終わりについても会話の中で自然と語られていくのがリアルで好きです。
登場人物の人生を感じるBLが読みたい方はぜひ。

3

生涯一緒に生きるということ

とても面白かった。
元消防士の清嗣と元三ツ星レストランのシェフの修志。幼馴染の二人が大人になって再会し、養子縁組をして30年の日常と過去の思い出話。

愛情に溢れる二人の日常の会話が良かった。30年記念にケーキとお酒で乾杯して記念写真も撮る、記念日や季節のイベントを二人で楽しんでいる様子も良かった。思い出が詰まった写真アルバムを耐火金庫で保管している清嗣の、元消防士だからこその視点も印象的だった。

親の介護や死、知人が認知症になったり、お互いを任意後見人にしたり高齢カップルだからこそのエピソードもあり良かった。二人の結婚指輪を世話してくれた宝石商の先輩のエピソードも好き。認知症になった時に子供や家族に秘匿していた自分の性的指向がバレてしまう(先輩はゲイ寄りのバイなのかな?)可能性もあるよねと気付かされた。

あと二人の過去のエピソードに登場する当時の街並みやファッションや話題もノスタルジックで良かった。一作目の方のトップガンの話題が出てたり。あと二人の家着がおじいちゃんがよく着ているやつなの生活感があって良かった。その他家族やまわりの人々のエピソードも好きだった。

1

ほのぼので最高。

市ヶ谷先生の新刊は、先生らしい、といっていいでしょう。オジサマが主人公のお話。アンソロ「センセイ・コレクション」に収録されていた市ヶ谷先生作品と同じタイトルだなあ…、と思って手に取りましたが、そちらの作品が0話で、その後を描き下ろした1冊まるまる同じCPのお話です。

元消防士の清嗣と、元三ツ星レストランのシェフの修志のお話。



幼馴染の二人。
ぞれぞれ別の道を歩いていた二人がとあるゲイバーで再会し、そこからお付き合いがスタート。交際ののち、養子縁組で同じ戸籍に入った彼らは30年共に過ごしてきた。

という、30年経ったふたり。
という状況のところから物語はスタート。

養子縁組してて、一緒に住んでて、でも彼らがゲイで恋人同士ということを知っている人は彼らが本当に信頼している人しか知らない。

というバックボーンを持つ二人ですが、とにかく仲睦まじいです。
30年という、決して短くはない歴史を振り返る形で、彼らの過去や現在の状況を読者に見せる展開。

「今現在」がおじいちゃんだからなのか、二人の濡れ場はなし。
過去の描写にも描かれていないので、あえての濡れ場なし作品なんだろうと思います。が、濡れ場なんぞなくても二人がともに歩んできた時間はひたすら優しく温かなものだったのだろうと。二人が気づいてきた信頼関係や愛情は確かなものなのだろうと。そういう部分がきちんと読み取れて非常にハートフルなお話でした。

二人がまだ子供だった時に、清嗣の家の隣に修志が引っ越してきた、という過去を持つ二人。元気溌剌で友人も多い清嗣と、引っ込み思案で自分に自信が持てない修志。全く異なる性格の2人は、でも仲良くなっていく。修志は人から愛されることになれておらず、それはなぜなのか、という部分も過去の描写で描かれているので、じんわりと二人の関係性とか付き合ってからの様子とか、そういったものがきちんと読み取れるところが素晴らしいです。

主人公がオジサマ(年齢の描写はありませんが、おそらく70前後かと思われる)であることに加え、イケメンさんの濡れ場もないし、BLでは王道のイケメンさんというのも登場しません。

が、じんわりと心にしみわたってくる温かさとか古き良き隣人との関係とか、人の優しさとか。そういったものがそこかしこに詰まった1冊。

ただ、読み手によっても受け止め方は異なりそうだなと思いました。
恋の成就の過程とか、あるいはイケメンさんのあんなこんな濡れ場が読みたいのよ、という方にはやや不向きか。ワタクシは婆だからでしょうか。じんわりきましたねえ。

あと、修志が元シェフということもあって料理を作る描写が多いです。
「生きる」ということはすなわち「食べる」ことでもあって、リタイアした二人のお話だからなのか?家で一緒に料理を作ったりするシーンが多い。これがまた良いスパイスになっていてほのぼのするのですが、それゆえに飯テロを食らいます。腹ペコの時は読んだらモロに食らいます。ご注意あれ。

あと個人的ドストライクキャラは修志のお姉さん。
カッコいいです。見た目も、中身も、その生きざまも。

市ヶ谷先生の描かれるオジサマは妙な色香があるというか。
が、今作品はほのぼの。読後、心がほっこり温かくなりました。心に栄養が欲しい時にぴったりの、そんな優しい1冊です。

4

きーちゃんと修志

2016年の「センセイ・コレクション」内の一編を膨らませた作品です。
しみじみとキましたねぇ…
絵柄からして本当に壮年〜老年男性だし、エロ描写など無いし、知人の病気(認知症)や自分の家族の死とか、非常に身につまされるというか…
主人公2人の間そのものにはまだ病も死も無くて、穏やかで優しい愛情と思いやりだけがあるのでそこは安心して読めます。
元々幼馴染、ゲイバーでの再会、友人付き合いからの恋人へ、そして人生の伴侶へ…
そうして過ごしてきた人生の終盤。
この2人は喧嘩なんて全然なさそうです。
清嗣さんは逞しく頼もしく、修志さんは静かで控えめで、そしてお互いがお互いを思いやって。
2人が伴侶であることは、言える人には言って、言わなくていい人には言ってないのでしょうね。そして知っている人たちは皆穏やかに受け入れている。
そうして周囲も年を重ねて。
は〜…なんだか切なくなっちゃうけど、ここは2人の再びの誓いでのラストに心からの応援をするって事でいいんですよね?
いつか行く道。「萌」で。

1

おぉ 無職かとおもってたが

とうせまたなんか勘違いして買ったんだろ? そう思われても致し方ない がッ!
2016年発売のセンセイ・コレクション あの中にあったんです【スイもアマイも】ってのが

でこっからが相変わらず失礼ブッこいちゃうんですが
作家さまのお名前覚えてなくって 同名タイトルってだけで飛びついてしまんです


センセイコレクションでは 三ツ星レストランの元シェフときーちゃん
結婚30周年を迎えても仲よくはつらつと日々を過ごす夫夫
って事しかわからなかったんだけど 短話ながらすんごい穏やかに日々を過ごしてるんだろうなってのが読めて うふふ って

Σてかッ!きーちゃんの現在の職業が描かれてなかったから今は専業主夫で旦那の講師代と年金で生計たててるんだと思ってたんだが

書道教室の先生とか雰囲気あるわぁ と 新たな感動をいただいたところで


盛大なネタバレですが
ぶっちゃけこのお話にエロはもちろん ガッツリ濃厚なとか 激しいなんかなんてのは  いっさいないよ?

出会って 恋をして 気づけば生涯共にいた系のお話ではないし
なんなら 30年で築き上げた彼らの暮らしと それまで過ごした日々を懐かしんで今を穏やかに暮らす ってところを魅せにくるので波乱や万丈は遠の昔に過ぎ去ってるんだな

いや 人生の縮図のようにふたりで過ごした30年を慈しみ愛しむ
想いが重なって 恋が実って 身体を重ねて 盛って喘いで汁飛ばす までが基本なこの界隈にあってはこれってすんごい珍しいんじゃない?


正直絵面に好みが別れるとしたら ちょっと勿体ないことしてるぞッ そこのキミ!と言ってあげたい

長年寝食を共にしてきたからこそわかるもの
長年連れ添ったからこそ知れたこと 気づいたこと

1話につき1品食べ物がでるので あわや飯テロ になるやもしれんが

時折出されるほろ苦いものを噛みしめながら 流れた月日に重ね育てたものを腹一杯読めるの ちょーーーーおすすめなんですけどぉ ← 信用できない人ですが

一応つけ足しておきますが もちろん「9月の雨」熱唱しましたよ あたしは ←ナニ情報よソレ

1

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP