電子特典付き
クローゼットゲイ・リーマンが幸せをつかむまでの物語
帰国した根津を迎え、再スタートを切った2人。どんな風に関係を修復していくのかなぁと楽しみでしたが、中盤まではぎこちなくて。根津の気持ちは分からないでもないけれど、それは言葉で伝えてもよかったんじゃないかなと思いました。西片の言葉は別に心より体の繋がりを優先したい、という趣旨ではなかったし、長く離れていて再スタートしようというこのタイミングで根津が彼を試した理由にはあまり共感できませんでした。
一方で、西片が今まで根津の優しさや忍耐強さに甘えていたことも事実なので、結果的に彼がそこに気付いて、もっと根津の気持ちに寄り添おうとするきっかけになったのは良かったと思います。カミングアウトするか否かは、どちらの選択も尊重されるべきもの、というのは本当にその通り。根津の考えが進んでいて、西片が遅れているということではない。その時その時の環境で、本当に周りに伝えたいのか、自分の気持ちを一番大事にこれから判断していってほしいですね。
唐突な文学的モノローグが作品に馴染んでいないように感じたり、下巻は描かれ方が綺麗すぎる印象ではありました。既に苦い人生経験もしている2人なので、もう少し互いに踏み込むようなシーンも読みたかったかな。声を荒げて言い合ったりとか、わがままを口に出したりとか。ただ、自分の気持ちの見極めや、相手の気持ちの尊重について考えさせられる良い作品でした。
待ちわびた再会。ここからようやく一緒に過ごす時間が始まるのかな?と思いきや…
喜びにあふれる再会、という感じではなく
なんとなく温度差があるのが伝わってきて胸がざわざわ…。
そんかところから始まる下巻でした。
再会したからといってすぐに恋の炎が燃え上がるわけではないことを伝えるような、根津のスッと冷めた眼差し。
ふわふわ浮かれた心を現実に戻していく感じがして、ふたりの気持ちはやっぱり簡単には交わらないんだな…と思い知らされます。
ただ、時間が解決することもあればどこまでいっても平行線なまま、というモノもあることに
すれ違うふたりがそれぞれに気付いていくので、「苦しい・ツラい」だけの展開にならなかったのが救いでした。
恋愛も人間付き合いも上手くいくことばかりではないし、いくら努力しても苦労しても結果に結びつかないこともあって。
そんなままならないことばかりの日々でも、心に支えがあればまた歩き出せるんだな、というのを
ふたりから教えてもらった気がします。
衝動に流されず、一つひとつにしっかり向き合う姿は本当に素敵でした。
これからの日々も幸せなことばかりではないと思いますが、ふたりにとってはそれもまた。
人生の大切な1ページになっていくのではないかなと思います。
読み終えてしばし放心してしまうくらい、とても濃密でした…!
大満足。出会えて良かったなと思えた作品でした。
先ず、上下巻通して各Ep.に付けられた副題はこれ、全部色んな楽曲からインスパイアされたんではないですかね?
POPな洋楽からクラシックの名曲、オペラの戯曲、映画音楽など、、、
特に下巻では歌詞のような映画のセリフのようなモノローグが多くなっていて、すごくその章の副題の楽曲に合った雰囲気を感じられるものでした
あとがきを読みすごく納得したのは、先生がこの作品を「ご自身のために描いた」ものであったという点
きっと日常の中で好きな音楽や映画を通して感じる根津と遼馬をこの作品に投影されたんだろうな、というのが感じられます
だからこそすごく「生身の温度感」がこの2人にはあるんだなって思います
先生自身の感性が色濃く反映され、そして先生が感じる時代の流れやLGBTQへのマインドなどに向き合って出された先生の私信のようなとってもパーソナルな作品なんだろうな、と感じます
(それにしてもこの作品が世の中に出て来てくれて良かった…!!読ませて下さってありがたい…!!あと、先生、字、めちゃキレイ♡)
ゲイ×ゲイのBL作品です
そしてクローゼットゲイとしての2人
そんな2人が出会う事で自分自身にも向き合う流れがとても切り込んでいたと思います
カミングアウトへの考え方や作中での扱い方もとても丁寧
丁寧だけど都合だけが良い丁寧さではないんです
この作品の中で生きる2人ならどう考えるか?何を求めるか?どう行動するか?そしてこの2人にとっての幸せとは、、、?
これらをとても真摯に考え、ちゃんと「根津恭介」と「西片遼馬」としての答えを作品の中で模索して導いてくれています
だからこそ何が正解か?は分からなくてもいいと思うんですよね
彼らが2人で居るからこそ、2人で居たいと思えたからこそ向き合って出した答えならそれが今のベストアンサーなんだって納得出来る
そしてしっかり伝え合う事でこれからは間違ったりしてもきっと「答え合わせ」が出来るハズ
「2人でいるから出来る事」ですもんね♡
凄く良かった…!!!
本当に読んで良かった…!!!
楽しいとかという感情とは違う(勿論楽しくない、という事ではナイ‼)
本当に「読んで良かった」って心底思える作品でした(*˘︶˘*).。.:*♡
あと、上巻レビューでも書きましたがやっぱり作画の描き込みが本当に丁寧!!
TV裏の配線とかの細かさ…!!
あ~、、、この先生は漫画に誠実なんだなって感動しちゃいました(ღ˘͈︶˘͈ღ)
ただ1点だけちょっと気になるのは空橋さんのお話し
これもまたリアルな感じだからこその対応なのかも知れないけれど、、、
私的には空橋さんは雑な人ではないように感じていたからこそ返信を根津に直接しないで遼馬に頼った事はちょっと引っかかってしまったかな…
そんで結局結婚式はどうなったんかな?というのもちょっと気になったな
ここ、描き下ろしとかであったら嬉しかったな~なんて思いました
魂と体に触れるような2人の愛し合う姿はとても素敵でした
2人が絡まる体位はどれもすっごくお互いの肌の熱を逃したくない!っていう想いが感じられるものばかりで久々に濡れ場で純粋にキュンとしました♡
あ~めっちゃ素敵な作品を読みました (ღˇ◡ˇ*)♡
商業要素を強く感じさせない、作家さまの強い想いを感じる、そんな作品を読みたい方にはおススメしたい作品でした!!!
修正|白抜き
上巻から引き続き、さらに重みが増してゆく下巻。
長い空白期間を経て、ようやく再会を遂げた西片と根津。
互いに想いは通じ合っていて、
遠距離でもないのに4か月以上も時間も会わずにいられるなんて…
そりゃ、不安が生まれてしまっても仕方ない。
これでやっと恋人同士に…と思ったのも束の間、
今度は周囲のいざこざに巻き込まれてカミングアウト問題が浮上し、
さらに“恋人”としての付き合い方に対するすれ違いが生じ、
またも連絡を絶ってしまう二人。
恋人だからといって価値観が必ず一致することなんてないけれど、
だからといって勇気を振り絞って打ち明けてくれた根津に対して
背を向けてしまう西片にもどかしさを覚えました。
カミングアウトの意志を告げた後輩からも、恋人からも、
返ってくることのないメッセージを一人待ち続ける根津の姿に
「生きていくことは孤独」という二人の独白が重なり、
胸が締め付けられるようでした。
長い時間と、周囲からの言葉で根津と向き合う心を決めた西片でしたが、
場合によってはこのまま根津から逃げ続け自然消滅エンドもあり得るのでは…と
どぎまぎしてしまいました。
そんな可能性をよぎらせる程に重く苦しい100数ページでした…。
そんな長いトンネルを抜けた後は今度こそ待ちに待ったイチャ甘ターン!
これまでの時間を取り戻すかのように一緒に過ごし、
まだ少し照れ合いながらも目の前の相手だけを見つめ合う二人に
幸せを噛みしめました。
たくさん悩んで遠回りはしたけれど、だからこそ、
この二人ならきっとこの先何があってもきっと乗り越えられる、と
思わせてくれるエンディングでした。
これぞまさしく夜明けのBL!
恋愛面だけではなく、それぞれの登場人物たちの人生、
生き方そのものを描いた作品でした。
下巻は、受けが久しぶりに攻めと会うところから始まります。
個人的には、いよいよタイトルの「夜明け」が始まったのだと思いました。
けれど、実際の夜明けもすぐさま太陽がスコンと昇るわけではなく、朝日と闇夜のグラデーションが入り交じって空と地の境界線に拡がっていくわけで、、、
実際に2人の関係も再開したからと言って、すぐさま進展するわけではありません。
寄せては返す波のように、近づいたと思ったら、今度は攻めが受けの出方を見たいと距離を置きます。
そしてそこから、大幅にすれ違っていく2人の距離。
2人の同僚であった女性が挙式を上げることに。
しかしその女性と仕事上で関わり合いの合った攻めは、配偶者となる男性の拒否があり、招待できないことに。
結果、攻めはその女性と配偶者に対して、自分がゲイであることをカミングアウトしようとしますが、そこで受けと色々あり、今度は受けから距離を置かれてしまいます。
日頃読みなれているBのLって、最終的にハピエン目指して描かれているのがデフォで、こちらの作品もそうなんですが、それでも孤独だったり、例のその女性と配偶者との向き合い方によって、メインCPが自分の気持ちを優先ではなく、自分が相手に対してなにをしてあげられるか。
相手を想う大切にハッとさせられる気付きの描写が、上巻に続いて丁寧に描かれてとてもよかったです。
Loveはもちろんあるのですが、受けという人間。
そして、攻めという人間が、それぞれ人と摩擦を受けたことで生じる挫折や孤独、そして人への寄り添い方などを学んでいくサクセスストーリーが読んでいて、心にキました。
明けない夜なら、君と過ごしたい
という、帯のキャッチフレーズ。
上巻ではミッドナイトブルーだったお表紙の背景が、下巻ではすっかり夜が明けたようなスカイブルーとなったお表紙の背景の色。
遠回りした2人ではありますが、確実ななにかがそれぞれに確信として芽生えたわけで。
そして、それをラストで「好き」という言葉で伝え合った2人には、ようやく長かった夜が明けたわけで。
2人で愛を育むということをスタートさせた結末には、なんとも言えないエモさしかありませんでした。
商業でこちらのお話が読めて、とてもよかったです。