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けんたろう×いくと
菅辺吾郎先生のセンスがたっぷり詰まっている
不思議で奥深い一冊。
高校2年生のいくとにいつもくっついてくる優しい男がいる。
周りの人々も彼がいくとと一緒にいることを当たり前のように受け入れているが、
いくとにとって「だれやねん こいつ」という
彼の正体は謎に包まれている。
彼の名前は3年生の「けんたろう」だと教えられるが、
いくとの記憶には全くない。
いくとの怖いし不安が読んでいるこっらまでソワソワさせられる。
記憶喪失王道設定かと思いきや、
読み進めていくと、全然違う、
予想もしない展開で、
ページをめくるたびに胸がギュンギュン刺さる!
けんたろうの謎めいたセリフに、
執着が徐々に露わになるたびに、少し背筋が凍る。
ーーけんたろうがけんたろうでない・・・そして
ーーいくともまた、いくとでない・・・
ゾクッとする謎感が漂う。
2人も健気で健気で、
何度も泣き顔を見せて心臓にズキューンと響く。
方言が良くて、
切なさとほのぼの感を絶妙に混ぜ合わせて、
甘さがじんわりと浸透するようなラストにホッとした。
乱暴なけんたろうにいくと(ドM )は従う。
優しいけんたろうに合わせて可愛らしいいくとは次第に生まれてくる。
強く惹き合う2人の愛が、本当に奇妙で、深くて、愛おしい。
読めば読むほど物語の真髄が見えてくる素晴らしい作品でした。
「山小屋にて」がとても良かったので、あの感じかな、と思って購入。
ですが。不思議な話でした。
読後、ずっと考えてしまう作品。
後味が凄い(悪い意味でなく)
アンソロで読み切り、なんかでありそうな話だけど、コミックス一冊分なので読み応え充分。
え?え?と思いながら、ページを捲る。
読み進めるほどに、更に困惑する。
あー、そういうことね、と思った矢先。
更にドーン。
読み手によっては、かなり印象が分かれる作品のように思います。
ホラーやSF的な想像が膨らむし(光が死んだ夏、のような)、変身願望や深層心理と読むことも出来るし、不変のものなんて無いよね、と読むことも出来る。
それを希望ととるか、絶望ととるかも自由。
不思議な余韻がある。
サブキャラ田所さんのおかげで萌えポイントを見出せる。彼女がいなかったら、結構ホラーテイストだったかも。田所GJです。
私はホラーもオカルトも大好きだし、ちょっと歪んだ愛情が好きなので、好きな作品でした。
が。
わかりやすく甘々、ほっこりが好きな人には…?と思う。
コミックスではあまり読んだことの無いタイプで面白かった。
けど、母親の立場で考えると…恐怖だわね。
ストレートすぎるタイトルがものすごく気になって…
あらすじや帯を読んでも謎が多く、真ん中からちょっぴりズレている表紙もなんだか不思議。
本編を読む前から引き込まれるところがあった作品でした。
自分の家の中、目が覚めたときに目の前に知らない相手が居た いくとの戸惑いを見て、最初は記憶喪失のお話なのかな?とも思ったのですが。
いくと達の反応を見る限り、記憶の問題では無いのがわかります。
なので記憶喪失じゃないならホラー寄りかな、なんて思って読み進めてみると、そこには斜め上な答えが待っていて驚きました。
「ひとり と ひとり」のお話ではあるけれど、今幸せを噛みしめているふたりは何通りもの組み合わせの中から選ばれた未来なのかな、と。
幸せな日々の傍らにはそれを脅かす存在があるけれども、だからこそ素直に想い合うことができるような。
色々と考えさせられるような印象的な部分がたくさんでした。
展開は単純ではないけれど何もかもが複雑というわけでもないので、それぞれの気持ちもしっかりと理解することができます。
あまり出会ったことのないストーリーで、ものすごく深く刺さってきたお話でした。
この題材を扱った作品はBLでもいくつか読んできましたが、菅辺先生の手にかかるとこんな斬新な物語になるんですね。二重人格、というと一種の精神病の印象が強いけれど、この2人を見ていると誰しもこうなる可能性を秘めているんじゃないかと思わされます。恋人に暴力を振るう裏で、本当は振るいたくないと思う自分がいたり。自信がなくていつも他人の動向を気にする裏で、本当はもっと自由に生きたいと思う自分がいたり。それって人間が普遍的に持っている二面性で。けんたろうといくとは、それが極端に現れ、すり替わってしまうほどだったけれど。別に人格を1つ殺したわけではなく、私は1人の人間が葛藤した結果の変化だと思いました。生まれ変わった2人が幸せなら他人が責める筋合いもないし、過去のもがき苦しんだ自分の思い出も、あんな時もあったよね、苦しかったよねと懐かしい気持ちで抱えながら、新しく切り拓いた人生を大切な人と堂々と生き抜いてほしいですね。
冒頭から、僅か3ページ。
タイトルでもあり、主人公のセリフ「だれやねん」から漂ってくる不穏感。
いったいどうして知らない人間(センパイ)が、DKである主人公の家に?!!
そして家族も周りもそのセンパイと自分がいつも一緒にいることを知っているのに、自分だけがこのセンパイのことを知らないんだろう、、、
という、違和感だらけなクエスチョンマークがひたすら頭に浮かぶ幕開け。
他の人たちの証言や、携帯電話のカメラに残る自分とセンパイとのツーショット証拠。
最終的にどんなオチなんだろう、、
と、先の読めない展開にアレコレ考えを巡らせていたらまさかの、、、
そういうことか!
と、二重伏線でした。
人を好きになったことで抑制された自我や、新たに生まれた自我。
だれやねん、という
一見して軽そうな言葉の裏に隠されていた意味は、センパイに対してだけではなく、あるときから主人公自身にも向けられていた言葉だったのではないでしょうか。
なかなかにディープな世界でした!