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誰も見たことのない、瞳の奥の孤独を知りたい。
こちら、何気なく手に取った作品だったんですが思いがけず深く深く心に刺さって、じーんとしてしまった…
歳の差10歳。広告代理店勤務の明るく優しい20代ワンコ・土屋 ×どこか秘密めいた陰のある図書館司書・清水というカプ、攻めの土屋視点で進むお話です。
カフェで偶然知り合い、ほぼ一目惚れ。交流を重ねていくうち、土屋(攻)は清水(受)にどんどん惹かれていくのですが、「君と僕は楽しく『遊ぶ』ところまで」と拒絶され線を引かれてしまいます。
そんな清水は、実は6年前に突然消えてしまった恋人のことで心に大きな傷を負っていてー
と続きます。
この清水の、”残された側の苦しみ・後悔”がずしんと重く伝わってきて、読みながら清水と一緒に涙してしまいました。。
はっきり”亡くなった”のならまだしも、「山に行ってくるね」と言ったまま帰ってこず、絶望しながら待ち続けること6年…
それって一体、どれほどの苦しみだろう?…と、フィクションだと分かっていても胸が詰まって切なくて、辛かったです。
どんなに拒絶されても、「それでも俺は清水さんに立ち入りたい」と覚悟を伝える土屋が眩しくてカッコよくて痺れました。
清水の言動に一喜一憂して尻尾や耳を垂れたりするシーンも多かっただけに、”可愛い年下イケメン枠”からのギャップ萌えというか。
真面目で一生懸命で、真摯にまっすぐ想いを伝えてくれて……忘れられない過去ごと包み込んでくれる優しさと安心感に、自分も飛び込みたくなってしまった!
描き下ろし、悪夢を見て飛び起きた清水の腕を掴み、寝ぼけながら「行かないで…」「う〜ん…俺も行く…」と言う土屋が可愛くて、リアルワンコでした(*´艸`)
「どこに行くんだよ」ってさりげなくツッコミ入れながらも嬉しそうな清水の表情がまた、たまらないです。
苦しみや悲しみは0にはならなくても、背負ったものごと受け止め包み込んでくれる人に出会えた喜び。
切ないパートが続いたけれど、きっとこれから清水は笑顔の多い日々を過ごしていけるんだろうなと、明るい未来を十分に感じさせてくれるラストに、またうるうる。
素敵な夜明けのお話でした・:*+.
今作も深く考えさせられる名作でした。
前作『おしえて僕の神様』に感動し、瀧本先生の作品は全て読みたいと思い、今作も購入。
今作は、長く付き合って深い信頼関係を築いていた恋人との別れの理由がはっきりとしないまま生きている受けの清水さんの描き方が素晴らしいと思いました。
私自身、十数年前に信頼していた恋人と辛い別れ方をして、次の恋へ踏み出すのに時間がかかったという体験があるから清水さんに共感できたような気がします。
清水さんが自分の元を去ってしまった恋人との過去に囚われ続けながら生きている。決着をつけて前に進もうとしない。
突然に帰って来なくなった恋人が事故に遭ったのかどうか、必死になって調べるということも可能な状況ですが、事実を突き止めてしまうことも怖いのかな。
事故ではなくてどこかで生きているということが事実となったら、それも辛いのかな。
ふらっと帰ってくるかも、、、という可能性を残しておきたいから真実を突き止める行動をとらないのかなと思い、清水さんの想いの深さを感じました。
一方、清水さんに一目惚れした土屋くんの行動力や反省や、突き放されても諦めたくない想いにも共感。
清水さんと土屋くんの想いがとても丁寧に描かれている素晴らしい作品だと思います。
瀧本先生が描くキャラクター全員の表情が好きです。
清水さんの泣き顔はとくに素晴らしいと思いました。
ふたりの出会いを表す言葉たちがすごく美しくて、詩的な表現に冒頭から心を奪われてしまいました。
その語りを見ているだけで土屋にとってどれだけ印象的な出会いだったのかがすごくよく伝わってきて。
でも清水にとってはどうだったのか?という部分を、彼のことを少しずつ知りながら探っていくような展開でした。
初対面の時点で清水には"少し陰がある"と見抜いていた土屋だけど、陰がある理由はなかなか見えないし核心には踏み込ませてくれないので、その距離はなかなか縮まらずヤキモキ。
土屋が真面目でいい人なのがわかるだけに、なぜ清水が頑なに恋愛への道を拒むのか疑問に思うほどでした。
でも。かつての恋人とのことが明かされると、清水がそうなってしまうのも仕方のないことだと気付かされます。
急に独りになって、どうすることもできずに時間だけが過ぎていく虚しさの中に居たら。
また誰かに心が動いていくことが恐くなってしまうのも無理はないな、と。
なので、清水と真正面から向き合うことを諦めなかった土屋には本当に救われたのだと思います。
前へ進むキッカケと、過去から逃げない勇気と。
土屋との出会いで得たモノがきっと清水を強くさせたのだろうなと感じました。
「関係の終わり」のその時が曖昧だと、人はずっと引きずってしまうものなのかもしれませんね。
最後の会話や用意してくれた食事、言えなかった感謝の言葉…。
独りきりの世界で動けなくなっていたのを引っ張り上げてくれた土屋と、これから幸せになってほしいと願わずにはいられません。
切ないところもたくさんありましたが、そういうところも含めて美しさを感じる素敵な作品でした。
一切のネタバレなしでレビューも見ずに読んで下さい。本当に感動しました。そういうことか…とそれまでのセリフを思いだし涙が滲みます。お互いを思いやるカップルになるんだろうな。清水さんの苦悩を思うと涙。絵と世界観が凄くマッチしていると思う。本当に大好きな作品です。読み終わって胸に来てすっと考えてしまう。瀧本先生、本当に素敵な作品をありがとうございます。
瀧本先生初読みです。
清水の多くて長いまつ毛の描き込み、大きな黒目が何かを見ているようで見ていない…そんな姿を一目見て土屋が清水の本質を掴み、読者が「深窓」ってこのことなのねとわかる表現がおもしろかったです。
そして次第に「深窓」の真相がわかってくる。
恋人を失ってもう誰とも深く関わらない、独りで終わりを待つと決めてしまっている精神的引きこもりが「深窓」のようである。それが瞳に表れている。というのがしっくりきます。
涙を流した時、清水の瞳がやっと何か(土屋)を見たように感じました。そのように描かれているんですよねきっと。
心を閉ざして死んだように生きている清水に土屋が食べ物を持っていくのが、生きてほしいという願いだと後から気づくというのもいいですね。
清水が図書館司書というのも深窓ぽくてステキです。図書館司書になった理由もいろいろ想像できて楽しい。
桜、カフェ、縁側…の背景もステキでした。