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表題作千秋 3

晏無師
浣月宗宗主、50前後
沈嶠
玄都山元掌教、30前後

あらすじ

玉髄(ぎょくずい)を求め、陳恭(チェンゴン)一行と砂漠を進む沈嶠(シェンチアオ)。
しかし、吹き荒れる砂嵐の中、道案内の男が姿を消した。舞い上がる黄砂に視界を奪われ、足を踏み外した沈嶠は晏無師(イエンウースー)とともに、地底に沈んだ古城に辿り着いた。
陳恭一行と再び合流した二人は、何者かに襲われながらも、玉髄を目指して地下宮を進む。
だがその途中、陳恭が毒に侵され、解毒するには玉蓯蓉(ぎょくじゅよう)の実が必要だと判明する。
光の届かぬ闇の中、負傷して人格が変わった晏無師と、沈嶠は……

その頃、長安の都では異変が起きていた。

作品情報

作品名
千秋 3
著者
梦溪石 
イラスト
高階佑 
翻訳
呉聖華 
媒体
小説
出版社
日販アイ・ピー・エス
レーベル
VOILIER Books(ヴォワリエブックス)
発売日
電子発売日
ISBN
9784865055450
4.7

(26)

(20)

萌々

(5)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
123
評価数
26
平均
4.7 / 5
神率
76.9%

レビュー投稿数3

繋がり続ける二人の縁は少しずつその形を変えていきます

梦溪石先生の大作『千秋』、待望の第三巻の発売です。
日本語訳版小説は全四巻になるとのこと。この第三巻で、物語は起承転結の “転” へと入ります。

王権を巡って陰謀と策略が渦巻き、世の中は不穏な状況へと突入していきます。
今巻も鮮やかな描写の武闘シーンが満載、また各宗派と王朝内での腹の探り合いは血みどろの展開となって非常に読み応えがあります。

そして、これは沈嶠の物語であると共に、晏無師の物語でもあったのだ、というそんな印象を強く受けたのがこの三巻でした。
第二巻までは、予想もしなかった晏無師との出会い(出会いというよりむしろ遭遇というか災難だったかもしれない)によって変化しつつも、それ以上に変わらぬ強くしなやかな信念を持ち続ける沈嶠に焦点が当てられていたように感じます。

しかし、この第三巻に至って、この晏無師というおのれしか信じず、心というものをまるで持ち合わせていない人間が、沈嶠との出会いによって何を得たかという部分が浮き彫りになってきます。

それは、単に心を入れ替えたとか思い直したとか反省したとか、もはやそういう話ではなく。
なんと言えば良いのでしょう。
騙し騙され、利用し利用され、命を助け助けられ、そんなあまりにも複雑な思いを共有し経験してきた、二人のそんな時間が揺るぎない何かとなっている、そんな印象です。
簡単に言葉にできるような、そんな関係ではないのが物語中からも良く伝わります。

晏無師はこう言います、「若者のようにそれを後悔することなど、本座にはできん」。
いつものようにサラッと冗談混じりで口にされた台詞のようにも思えますが、これには結構な割合で彼の本音が含まれているのではとも感じています。

覆水盆に返らず。口から出た言葉を取り消すことはできないし、晏無師はそんなことはしない。
でも、だからといって後悔したりもしない。
後悔したり悩んだりするその代わりに、謝るのです。
これまでに謝る晏無師を見たことがあったでしょうか?

この時点で既に胸が熱いのに、その上この晏無師の姿勢には第二巻番外編での沈嶠の以下の話を思い出してしまいます。
“間違っていたのなら正せばいい” 。
あの頃のあの行動は、そうすべきでは無かったのかもしれない。
ならばまずは謝って、そしてこれからどうするか考えればいい。
そんな風に考えたのでしょうか。あの晏無師が。
これにはちょっと感無量です。

石ころの話があまりにも良かったです。
「その男は初めから、ほかの金銀財宝よりその石が好きだったのではないですか」
無自覚に真理を突いてしまう、なんだかんだ言ってやっぱり純粋で素直な沈嶠です。

そんな沈嶠、今巻に至って晏無師の屁理屈にたびたび言い返すようになります。
それだけでも拍手喝采なのに、1000回に一回くらいは手玉に取ることさえできるようになるなんて、誰が想像したでしょうか。そんな日が来るなんて。
1000回に一回くらいですが。

番外編は、本編終了後、少し未来のお話です。
物語のその先を垣間見たことで、より一層第四巻の発売が楽しみになってしまいました。

6

まさに物語の「転」となる1冊

千秋の物語で「転」となる3巻
まさしくその通りでした

2巻の終わりに誕生した晏無師の別人格である
謝陵の一途で健気な恋心が2人の関係を着実に変えていきます

1巻の初登場から怒涛の出世を遂げる陳恭も悪役として2巻に引き続きいい味出してます

陳恭の活躍?により無事に晏無師の魔心の綻びが修復する切っ掛けを手に入れますが、同時に消滅してしまう別人格たち
謝陵との別れはとても寂しかったです
でも、しっかりと恋心を晏無師に残していくところがよかったです

そして、晏無師も沈嶠の心に深く刻むように
追手から沈嶠を救うべく動きます
これに純真無垢な沈嶠は清い涙を流します
いやいや、正気に戻って散々ひどいことしてきた人だよとツッコミを入れたくなりました

紆余曲折を経て晏無師と思いがけない再会を果たすのですが、もう最悪な再会です
晏無師らしいのはらしいのですが。

その身を案じて探していた晏無師が
宿敵だったはずの男と仲睦まじく目の前でイチャついてたら呆然とするでしょう
しかも沈嶠には塩対応だし
傷口抉るようなセリフも言うし
貞淑な妻が夫に裏切られたような構図が辛かったです
でもあっさり晏無師自らネタバレしに行きます
好きな子は苛めたいというところは変わらない流石の晏無師です

自分の気持ちを認めた晏無師は今まで以上に沈嶠に纏わり付きます
そして沈嶠が大切にする人たちに彼なりの優しさも見せるようになります
戸惑いを隠せない沈嶠が本当にかわいい

そしてこの3巻にも番外編が収録されていて、しかも本編から数年後のお話です
お酒の飲めなかった沈嶠がお酒を口にしますし、晏無師とのただならぬ関係を匂わせるお話になっています

4巻がとっても待ち遠しいです

0

待ちに待った晏無師視点

まさに物語が大きく動き出す巻でした。政局では大きな謀反が起こり情勢も激しく揺れ動きます。そんな激動のなかで二人の感情も色づき始め、大変に面白くなってきました。無我夢中で一気読みです!


分裂した晏無師の人格のひとつ「謝陵」が沈嶠を救う展開も印象的です。もともとの晏無師には見られないこの優しさが、とても重要な鍵に思えました。晏無師にも子供の頃には確かに良心があったのだ、という事実が垣間見える。どうしてこんなオトナになってしまったのだろう……?

また、沈嶠がだんだんと晏無師と口論でやりあうようになってくるのも大変に面白い。晏無師に影響を受けつつも、決して魔に染まってきたわけではない。数々の苦境を乗り越えてなお清らかな沈嶠に対して、晏無師が畏怖の念を抱くのも熱い展開でした。
沈嶠は染められない。彼の清らかさには敵わないと認める晏無師の変化に胸が高鳴ります!

お話の主軸である「戦い」というテーマのなかに、強さとは何かという問いや、人の成長、哲学が込められていてとても魅了されます。苦境を越えるたびに沈嶠が強くなっていく描写が本当に美しい。
この武侠の世界がただ生臭いものにならないのは、沈嶠という存在があるからだと思う。

宇文誦が兄の話を引き合いに「好きだからこそ意地悪された」と言い、思い当たることで心乱れる沈嶠が大変に可愛い……。
そうなのか?そうなのかい晏無師!?(アラフィフ)
「ただの石ころ」の例えを出すほどに執着し始める晏無師。ウザがられても尚くっついていく晏無師。可笑しい!

そしてラスト、待ちに待った晏無師視点が書かれていて興奮がおさまりません。
これを待っていた⋯待ってましたよ!
沈嶠を魔に染めたかった晏無師だけど、自分がいつの間にか染められにいってるという。読んでいてニヤニヤが止まりませんでした。

しかも3巻の番外編は1・2巻と違い未来編……!?
なんだか二人が甘い雰囲気になっているんですけど?心が追いつかない!
4巻が楽しみで仕方ない、心の準備して待ちます。

0

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