イラスト収録
『蛇淫の血』の続編。
凪斗が組長になるということでヤクザもの全開です。
でも凪斗はもともと美大生だったし、歳も若いので決してオラオラ系というわけでもなく。
むしろその逆でした。
凪斗はまだ若いし、組長にふさわしくないと思った組の仲間が凪斗を狙ってきます。
簡単に言えば仲間割れですね(^_^;)
そのせいで凪斗の周りの人間が傷ついてしまい、ショックを受けた凪斗は鬱状態になってしまいます。ちょっと可哀想だったかも。
凪斗は自分のせいで角能を傷つけさせたくないと思い、でも角能を凪斗に甘えて欲しいとちょっとしたすれ違いも起きたり。
凪斗の周りでいろんな事件が起きますが一番は凪斗がさらわれて、ヤク中の異母兄に犯されちゃうのですかね。
凪斗には悪いのですが、兄弟萌えの自分としては萌えてしまいましたw無理矢理ですけどね。
凪斗が組長のスイッチ入るとすごい殺気立つのもよかったですw
いつもは「角能さん」って呼んでるのに「尭秋」って呼び捨てになるとことか。自分から誘ったりしますしねw
ちょっと二重人格っぽい?
なんか凪斗のことばっかり書いてますが、ちゃんと角能視点もあるので!笑
夢で凪斗が蛇に犯されてるのは沙野先生曰く、触手プレイがかきたかったからだそうですw
凪斗の刺青もそうですが、奈良先生の描く蛇素敵すぎます!
刺青シリーズ3作目。1作目のカプが再び登場の巻です。
私はこちらのお話の方が好きでした。いや、エロが、とかそういうわけじゃなく(確かにそちらのグレードアップもすごいですが)、中々凪斗を赦してあげない作者の忍耐に感嘆しました。
一気にどん底まで落とさないで、かといってじわじわというのでもなく、がくんがくんと何段階にも落していくドSぶりには惚れ惚れしました。この後どうやって救い上げるつもりなんだろう?と思いながら、うわーまだ落されてる!とハラハラさせられっぱなしでした。
私は極道とは縁がないので、実際はどんなものなのか想像でしかありませんが、極道の人たちに持っていてほしいと願う精神性はこうだと考えるものを凪斗たちを通して表現してくれている気がして、その真摯さを高く評価します。浮上の場面がやや性急に思われるものの、凪斗の内面描写も芸術家らしい繊細さがあり、痛々しくも幻想的で好みでした。
刺青や絵などのモチーフの使い方もうまく、さすがです。
めまぐるしく揺れ動きながらやっと到達する凪斗のあり様はBLらしい美しさがありました。そのためとはいえ、叱咤するように次々と試練を課す作者のチャレンジャーぶりに、楽しく翻弄されてしまいました。
大好きな濃密ねっとりシリアスで、大満足です。
「蛇淫の血」がとても面白かったので、続編も購入。
4代目に就任した凪人に、またしても災難が襲いかかります。
祖母の死、折原の負傷。凪人自身の拉致監禁。
自分が狙われることで大事な人たちが傷ついていくことに凪人は耐えられなくなります。
自分の周りにいる人が傷つく→角野が傷つく恐怖→角野を遠ざけたい
信頼し支えあってきた二人の関係すら揺らいでいきます。
凪人の葛藤と追い詰められていく姿が痛かったです。
一方の角野も自分が望んだことだったのに『円城凪斗』が消え『岐柳凪斗』に変わっていく凪人に戸惑います。
自分より「初恋」の絵にすがる凪人へ寂しさと苛立ち。角野の葛藤もまたせつなく痛かったです。
苦境を乗り越えた先にあった、凪人の見事な脱皮には強さと妖艶さがあり見事でした。
一気に読み切ってしまう面白い作品でした。
蛇淫の血の続編ですが、この一冊でも読めます。
深く知りたいというかたは前作をどうぞ。
代目襲名を控え、凪斗に若頭としての初仕事が舞い込んだ。
それは組同士が揉めていたがやっと和解の運びになり、仲裁人をまかせるというもの。
若すぎる凪斗には重い役目だが、避けては通れない。
覚悟を決め、凪斗は仕事に挑む。
途中乱入などがあり騒然となったが、角能の進言もあり無事終わらせることが出来た。
しかしその日から、二人の間に微妙に溝ができてしまう。
角能はもっとしっかりしろと詰め寄り、凪斗は『円城凪斗』はもう必要じゃないと切なくなる。
自分の中にある『円城凪斗』と『岐柳凪斗』。
そのどっちも角能さんは必要としてくれていたのに──。
落ち込む凪斗に、さらに追い討ちをかける事件、そして円城を封印した凪斗。
さらに敵対する組織に襲撃され、凪斗は連れ去られてしまう───。
もう、試練のオンパレードです。
凪斗の、ある意味二重人格な部分が今回は前に出ていました。
確かに、甘いかもしれない。けれど『円城凪斗』を否定しないであげて。
角能さんにそう言ってしまいたくなるほど、凪斗が痛々しかった。
ついには円城を押し込めずっと気を張る凪斗。
角能はそれに気づき、なんとか円城凪斗の部分を掴もうとする。
そう、角能は両方、欲しているんです。
厳しくするは、すべて凪斗のため。
けれどそれは伝わらず、すれ違いばかり。
角能とのすれ違い、祖母の死、そして陵辱強姦…しかも異母兄との。
もうえげつないほどの凪斗への仕打ちは、作者さん天晴れです、と思わずこぼしてしまいました。
ここまで凪斗を落とし込むか…と逆に感心。
凪斗が想いをぶつけ描いた『初恋』を焼き、そして自身の胸へと焼き写す角能。
それによって、凪斗のなにかが目覚めます。
禊…身削ぎ。
蛇は脱皮して瑞々しい生を手に入れる。
凪斗も無事、禊を終えたようです。
凪斗が立派に四代目を張ってるところをぜひ見てみたいです!
「蛇淫の血」の続編。
二分八の盃を交わして、切っても切れない絆を結んだ角能と凪斗。甘い日々を過ごしていたけれど、4代目組長ともなると次々と対立する熾津組や若く実績もない凪斗を疎ましく思う身内から刺客が送り込まれ、祖母は撃ち殺され(!)角能や八十島SSのメンバーが負傷する。
双頭の蛇を背負う妖艶な「岐柳凪斗」ではない、心優しい元々の「円城凪斗」はそんな現状を受け止めきれず、ついに「円城凪斗」を心に押し込め、「岐柳凪斗」だけの人格になろうとする。
優しく可愛い凪斗を欲しながらも、甘やかしてはためにならない、とことさらきつく当たる角能。この辺り、求め合いながらもすれ違う切なさ!
Hシーンも「岐柳」の凪斗は淫乱で、「円城」の凪斗は素直で子供っぽく。
角能は岐柳の凪斗に溺れながらも、円城の凪斗も欲しているのに。
そして、熾津組の赫蜥蜴、熾津臣に連れ去られる凪斗。
ここから地雷注意!
腹違いの兄、辰久とシャブ漬けのリアルレイプです。(辰久は既にジャンキー廃人です)
この辺読むのキツかった…さすがに。熾津臣よ、ここまでやるか。いや、作者沙野風結子先生、ここまでやるか。
助け出されても当然凪斗の精神は戻ってこれない。このままどうなっちゃうの?と思っていたら。
角能の捨て身。凪斗がその命を叩きつけて描いた「初恋」に火を放ち、燃え盛るその絵画を自らの胸に抱きかかえて。
その光景を目の当たりにしてついに傷ついた子蛇から脱皮を果たす凪斗…
ハア〜。読むのにも胆力のいる体力勝負のような描写の連続でした。
岐柳も円城もどちらの凪斗も1人の凪斗になって。
ここからやっと角能との道行にも似た二人旅、極道の道を歩んでゆくのでしょう。
凪斗に何があっても、その身が傷付いても、その心はいつも守られて凪いでいますように、と願わずにいられません。