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「犬ほど素敵な商売はない」に続く、完全会員制の高級クラブ・PetLoversシリーズの2作目となりますが、それぞれ独立したお話なのでこちらだけでも読めるかと思います。
やっぱりこのシリーズはいつ読んでも面白いですね。
とんでもない上にろくでもない下衆…もといどクズが登場したり、前作の犬編と比べると大分ヒリヒリ成分が強いライオン編。
というのも、主人公である千昭の義兄による所業の数々が胸糞もので、心身共に徹底的に痛めつける暴力的なものばかりなのです。
ここを許せるか許せないか、読めるか読めないかによって評価が変わってくる作品かなあと思います。
泥沼を通り越してまるでドブのような日々から抜け出すことが出来ず、雁字搦めになってもがくことすら忘れてしまった草食動物と化していた千昭が痛々しくて。
けれど、逃げようと思えばいつだって逃げられるのに無気力で動けない様子が気になって仕方がなくなっていく。
脚が折れたガゼルはどう抜け出していくのか?
どろどろとした重苦しさを抱えた千昭の心理描写に読み応えがあって個人的にはありでした。
そんな苦しい日々の一方で、シンとの出逢いによってある意味凪いでいた千昭の内面が少しずつ変化していくわけなのですが…2人のセックスよりもキスよりも何よりも、車内での他愛もない会話に1番萌えを感じました。なんだかすごく良いんですよ。
ベタベタとはしていないのにとても甘くて、不思議な清涼感があるCPだったなあ。
受けのピンチに颯爽と現れる攻めの図は王道中の王道でありながらも、その後の受けの行動と衝動がおっ!となるもので、ただ助けられるだけではない受けの図は非常に好みでした。
惜しい点があるとすれば、義兄がただのクズだったこと。
かなりの拗らせ気質の方でしたので、もうちょっと愛憎めいたものがあっても良かったかなーと少々残念。
そして、サブキャラクターの別所先生が好きなツボを押して来る方で、毎回彼のことが気になっています。すごく印象的な人ですよね。
前作に続いてかなりストーリーが読ませる作品です。
犬は先入観と意外性に引き込まれましたが、この作品はガゼルの立ち位置にハマりました。
自分自身なら、多分千昭のようには生きられない、例え母や妹を思っていても、義兄に罪悪感を持っていたとしても。でも、千昭は自己犠牲の上で、耐えている。。。
そんな時にライオン、シンに出会うんですが、シンが良い男(なんか安っぽい表現ですが、運命的に出会えたんでしょうね)で千昭の一部を壊してしまう。ヒビの入った心は最終的に決壊し、義兄を殺すところまで進みます。
でもその決壊を塞ぐのもシン。
一番、グッと来たのは、お母さんが亡くなり、ベランダから飛び降りようとした前に最後に電話をしたのはシン。千昭が電話で「…ゲームをしよう…」というところ。
涙が自然と出てきました。
最後は、未来が拓けて行く終わり方なので救われますが、良い作品でした。さすが榎田さんです。脱帽。
真と千昭だけの関係だけなら神評価したいところなのですが、なんせ深見の下衆度にずっと読んでいる間、喉にタワシを突っ込まれたままのような気分だったので萌2にします。深見のような人間て、存在するんですよ世の中には実際。10年長かったけど、千昭は真に出会えてよかった!!
良かったです♪私は、不幸受けが最後に運命の人と出会ったことで幸せになるというハッピーエンドの物語が大好きなのです。ご都合主義と言われようが、ベタと言われようが、お約束事と言われようが構いません(^^ゞ 受けがピンチ!と言うときに助けに来てくれる攻めこそ、本物のヒーローだと私は信じております。
まぁ…今作のクライマックスシーン、攻めがもうちょっと早めに来てくれたら、って言うのは正直ありましたが…。それくらい今回の受けはイカれてる義兄から手酷いリンチに遭い、ボッコボコにされます(>_<) これでもか、これでもかと肉体的に痛いシーンが山ほど出てきます。
今作は、PetLoversシリーズ4作品あるうちの2作目。それぞれの作品が独立しているため、シリーズものにありがちな全作品読まねば意味が分からなくなるといった危惧は一切ありません。どの巻からでも自分が興味あると思った作品のみお手に取り、気軽に読むことが出来ます。それゆえ暴力シーンが苦手、という方にはあえてこの巻をお勧め致しません。
今作の攻めは「PetLovers」から派遣されたライオン。ビースト・カテゴリに属し、非常に獰猛なイメージがあります。ところが読み進めていくと分かるのですが、テクニックもスタミナもあるし、武術の心得もあって強いのに、心が優しい~んです。
最初、義兄が「ライオンが獲物を貪り食うショー」を観たい、ということで攻めを派遣し、受けを襲わせようとしました。ところがそうした行為は「規約違反」だとし、強引に受けを襲ったり、痛い目に遭わせたりしませんでした。どれほどホッとしたことか。私はこの時あたりから、攻めを獰猛なイメージではなく、「らいおんハート」のイメージで読み進めることになります。
私の好きなほのぼのシーンの一つに、攻めが「暇つぶしにゲームをしよう」と受けに持ちかけるシーンがあります。ヘビースモーカーの攻めに、受けが「恋人として禁煙を説得する」という、ディベート遊びのようなゲームです。
「俺はタバコが好きなんだ。タバコのない人生なんか味気ない。何で止めなくちゃならない?」
これに対し受けは恋人として反論するのですが、この二人の掛け合いが実に楽しかったです。私はまだ「交渉人シリーズ」を読んでおりませんが、まるでその前哨戦の様な一コマで、なるほど、うまい!と思ってしまいました。これはきっと、榎田先生お得意の分野なのでしょう。
逆に私が思わず泣いてしまったシーンがあります。それは受けの母親の突然の訃報のあと、自宅のベランダで攻めに電話を掛けるシーンです。今度は受けの方が「ゲームをしよう」と攻めに持ち掛けます。
「僕は今、ベランダにいて飛び降りようかと思っている。-中略-僕が飛び降りるのを止めたら、君の勝ちだ」
この時の受けの心情がたまらず、思わずうるっ。守るべき家族の一人、母親が亡くなり、義兄には心身ともに蝕まれボロボロになってしまった受け。悲しみと辛さと絶望で生きる張りを失ってしまったんですねぇ…。
そしてもう一つ心に残ったシーンが…。ついに、ついに!受けが(過去に起こった不幸な事件以来)一度も逆らったことのない義兄にナイフを突き立てます。もうホント、受けの気持ちは痛いほど分かります。ずっとずっと、どんなに虐められ続けても耐えてきたのですから。気持ちが爆発してしまったのでしょう。でもね、どんなに憎い相手でも殺したら刑務所行です。そこは攻めが必死に止めます、ところがそのセリフたるや、
「分かった。俺が殺す。こんなクソのせいで、あんたの人生を台無しにする必要はない。俺が殺してやる」
ええっ!でもそうしたら受けの代わりに攻めが刑務所行きですよー!でも、ここでようやく受けは目が覚めるのです。自分のために攻めが人を殺し刑務所に入る、そんなことは望んでいない、嫌だ!と。
いろいろあり、波乱万丈なシリーズ2巻目でしたが、私は読んでよかったなと思いました。悔しさや腹立たしさなど、本を通していろんな経験が出来ました。有難うございました。_(_^_)_
Pet Loversシリーズ2作目。1作目の犬が、独特の設定で緊張感のある甘いカップルで面白かっただけに、期待が大きすぎたのか、なんとなく普通だったなという印象。
今作はPet Loversというペット派遣の設定はほぼ活かされていない。プロローグのあおりでどんな猛獣がという期待マックスの中、攻めのシンはほぼ獅子の顔をみせることなく一途攻めで終了(金髪以外)。
一方受けの千昭は確かにガゼル。義兄に弱みを握られ脅される日々。雇われたシンに陵辱されそうになるも、優しいシンに淫らな体を開かれ、メロメロに。
基本、ラブラブなカップルなので、ライオンに喰われるガゼル、という構図ではなかった。ヒーローのように千昭を救うかっこいい攻め、というストーリーで、それはそれなりに楽しめたけど、シリーズとしてはやや勢いが落ちた。
顔が好み、で千昭に興味を持ったシンだが、本気で愛するまでの課程があいまい。千昭の芯の強さが出ていればもうちょっと納得できたかも。
辛口になってしまいましたが、単独のお話しとしては楽しめたので、中立より1つ星をつけて萌評価です。