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表題作他人同士 3

田口暁、駆け出しのフリーカメラマン24
浅田諒一、大手雑誌社の雑誌編集者28

あらすじ

元恋人との仲を嫉妬した暁(あきら)が家を出ていき、独り暮らしに戻った諒一(りょういち)。仕事だけが自分を裏切らない──激しい喪失感を抱え編集作業に没頭していたが、ついに大失敗をしてしまう!! しかもある晩、家を訪れた暁に突然別れを告げられて…!? 過去の恋に傷つく臆病な男が、もう一度愛を選択する──仕事に全力を懸ける若きカメラマンと編集者、二人が見つけた不変の愛の物語、感動の完結!!
出版社より

作品情報

作品名
他人同士 3
著者
秀香穂里 
イラスト
新藤まゆり 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
他人同士
発売日
ISBN
9784199004995
3.5

(34)

(8)

萌々

(10)

(11)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
16
得点
116
評価数
34
平均
3.5 / 5
神率
23.5%

レビュー投稿数16

“他人同士”は“他人同士”で良かったんだ!

うはーvすげぇ良かったv

本気の恋が手痛く終わった人間は、誰しも臆病になるもの。
大人になればなるだけ傷つかないスタイルで恋をするようになってしまう。
諒一は、まさにそういうタイプ。
本気でぶつかってくる年下の暁に
かつて自分を傷つけた失恋の相手 帯と同じことを
いままさにしようとしている諒一・・・
そして元凶の帯は、巧妙にふたりをひっかきまわします。
揺れ動くふたりの関係。
そして暁は、チェニジアへ仕事で半年去ってしまう!?
引き止めて欲しい暁、引き止めたい諒一

どうなる?という最終巻です。

行くなっていうのは簡単だけれども
社会人として男として、恋のために引き止めてしまっていいのか?
仕事のチャンスをあきらめてしまっていいのか?
このあたりの価値観は人それぞれだと思うけど
男同士だからこそ、仕事は捨てないで欲しい。
ステップアップできるなら突き進んで欲しい。
そしてそれでもうまくいって欲しいと私は思う派なので
この二人の選択は、とても好感が持てました。

一度は、あきらめて見送ってしまった暁を追いかける諒一は
大人だからきちんと仕事の筋は通して旅立ちます。
そんな諒一をフォローしてくれる職場の友人たちも素敵です。
でも、それって諒一がしっかりと仕事をし、ドライを信条にしながらも
しっかりと他人と向き合っていた証拠なのではないでしょうか?
“他人同士”は“他人同士”で良かったんですよ。
きちんと他人を尊重してたからこそ得たモノが見えたような気がします。

あと、あんなにドライだった諒一が暁に「絶対」を求める姿は
とても胸を打ちました。
これって大人だろうが子供だろうが、やはり一番欲しくて手に入らないもの。
ないものねだりだと思うんですよね。「絶対」なんか無理だもんw
言わせることが大人なのか子供なのかわからないけど
欲しいものを欲しいと言えるようになった諒一が、すごく良かった。

そんで帯さんですが、私、帯さんがとてもさみしそうに見えました。
帯さん編というのはないんでしょうか?
ずっと独りは誰だって嫌なはず・・・

5

やっと…

今まで、諒一のややこしいトラウマや仕事と恋愛についてのこだわりから、暁と両片思いとも言うべきモヤッとストーリーだったのですが、いよいよ大詰め。

暁のカメラマンとしての岐路に立ちます。諒一は彼のキャリアのことを考えたら行かせたい。でも行ってほしくない、戻ってきてくれともプライド?が邪魔して言えない、と、どーにも動けない状態に。
これまで登場した周囲の友人や同僚達が活躍します。

とうとう諒一は暁の元へと向かいます。ここからは王道再開ストーリー!

良かったよ、ほんと、諒一のややこしい性格を暁がうまく手懐けて、これからも仲良く、これからはラブラブて末永く過ごしてほしいなと思うラストでした。同人誌でその後もあるようだし、アンコールの商業誌もあるようなので、読んでみたいと思います!

2

青臭いところが意外と好きです

完結巻。
帯に引っ掻き回されて暁と上手くいかなくなった諒一は、そのイライラを紛らわそうと仕事に逃げる。捌けないほど仕事の量を増やし、結局取材先への連絡ミスを起こしてしまう…
(この取材先は「くちびるに銀の弾丸」の澤村と水嶋。こういう遊び方スキ。)
弱る諒一に周囲は優しい。会社のゲイ先輩小林も、編集部の戦友菊池も、みな素直になって暁にぶつかれ、と言ってくれる。肝心の諒一だけが過去の呪いに囚われて意地を張って。
ぐるぐる堂々めぐりの諒一の姿と、拠り所の仕事への想い、あのキャバクラ大好き女好きの菊池の至極真っ当な恋愛観に目を開かれたり、の果てに、結局諒一を突き動かすのはサハラ砂漠からの暁からのエアメール。
バカ正直に『いますぐ会いたいです』なんて書いてくる年下の男に、つまらないプライドなんていらなかったんだ。あの仕事中毒の諒一が、休暇を取ってチュニジアに暁に逢いに飛ぶ。
ここからドラマちっくなメロドラマ展開ですが、私は好きです。
諒一の方から追いかけてくれて、ワンコは尻尾もちぎれんばかり。際限なく諒一を貪る暁。
や〜っと2人がまとまりました。ほっとした…
ところで、帯さん。
彼は「悪」って感じに描かれてるけど…本当に彼は印象深くて、7年前は諒一を傷付ける前にはじめはフェードアウトしようとしてたんですよね。だけど諒一が距離感を間違えたから言葉で斬りつけた。現在の彼は、直接関係ない暁を潰す策略を仕掛けたり、夜中に諒一を呼び出して暁に諒一と会ってることをメールしたり、あくどくなってる。男とはのめり込まずに付き合って、勉強も結婚も自分の目的のため、怖いくらいの意志で生きている帯も、7年間に何があったんだろう。そもそもそんな乾いた男になるきっかけがあったんだろうし。そう思うと帯の事が知りたくてたまらない。

4

満足の読後感。

読み返しの3巻。メロドラマ的展開ありの大団円。ほぉ〜っと思わずため息をついてしまう完結編です。

しかしこの諒一という男、仕事に対するスタンスも恋愛に対するスタンスも「うっ…分かるわ」という部分が多くて、読んでいて心がキリキリすることがあります。無理に仕事を詰め込んだ挙句、ドツボに入ってしまう描写など「いやぁ〜〜!」と叫び出したくなる感じです。ああいう時、周囲に助けを求めるタイミングってホント難しいんですよね。

そんななかなかに厄介な性格の諒一ですが、仕事仲間や友人に恵まれていて仕事も恋愛もいい方向に動きました。ドラマティックな告白の旅は、大人ならば幾つか抱えている「あの時、思い切れていたら…」「あの時素直になれていたら…」「でも、諦めてしまった…」を回避したストーリー。誰しも心の底に「こんな風に行動してみたかった」という思いの欠片があるからグッとくるのかな? などと。

現実はなかなかうまく行くことばかりではありませんが、良い意味でのファンタジー。手に取りやすい電子書籍で(再)購入したのも何かの縁。度々読み返すシリーズになりそうです。

余談ですが、あとがきでの出版業界での新人さん時代のエピソードも実に「わかるわかる!」でした(笑)

3

意地っぱりを変える愛

諒一のバカヤロー!!で終わってしまった2から
もうここからは幸せへのカウントダウンさ…と言いきかせながらも
もどかしさこの上ない!!www
でも、すんなり暁へ謝罪し想いを伝えられるような諒一だったら
ここまでこじらせませんものね。
それもこれも何もかも帯のせいであって…。
純粋に好きな人から手酷くフラれたら
まっすぐ愛に向かう気持ちは相当怖いでしょう。
暁が帯とは真逆のタイプの人間だとしても
拒否される痛みは、やっぱり経験しないとわかりませんものね。

ただ、菊池のド正論がかなり効いた────!!!
あいつ……あんなにオネエチャン大好きだけど
めちゃくちゃいいヤツじゃないですか……。
諒一にカミングアウトされても否定も拒絶もしない懐、
うっかり涙ぐんでしまいそうになりました。
諒一も良い相棒に恵まれたなぁって心から嬉しく思いました。
バリバリ働く斎藤さんも
最初のがっつきが懐かしくなるほどで(失礼)
良き理解者でいてくれましたから…。
諒一がただのチャラいヤリ○ンだったら
きっと素敵な仲間には恵まれなかったでしょう。
諒一自身が若い頃の失恋の痛手から立ち直り、
仕事に対して全力でいたからこそ。
そうして出逢った暁にもその姿勢がちゃんと伝わっていたから
出会うべくして出会った二人なのかもしれない。

コバさんのアドバイスも素晴らしかった…。
なんかこう、年輪的なものを感じますよね。
ただ年とっただけじゃない経験値がものを言う!
幸せそうだと尚更沁みるだろうなぁ。

再会のシーンは何度でも読み返したくなります。
ポリシーやプライドなんてクソ食らえな諒一に
スタンディングオベーション!!!
はぁ…暁も本当に本当におめでとう…そしてありがとう…!!
暁ほどのまっすぐな気持ちの持ち主じゃなかったら
諒一の心を動かせなかった事でしょう。
一時は気の毒過ぎたけどカメラも辞めなくて
自分らしさを追求できそうで何より。

愛することも愛されることも
望むようにはなかなかうまくいきませんが
いつも真摯な気持ちで相手に寄り添っていられたら終わりなんてないはず。
失くしてはいけない愛に気づけて良かった…。

3

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