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表題作空色の花

羽田幹/美大の代替教師
小山内薫/美大生

あらすじ

…幹の祈りは僕にも通じた。幹はどうあっても僕のそばにいたいのだ。僕もだ。僕も幹のそばにいたい。そして幹を幸せにしたい。そう思ったとき、僕の目から涙が溢れだした。幹はゆっくりと近づいてきて両手を広げ、僕を抱きしめた。いったい、こんな昼日中から、男二人で抱きあって、どうするつもりなんだろう。だけど、僕の涙は止まらなかった…。

作品情報

作品名
空色の花
著者
たけうちりうと 
イラスト
ビリー高橋 
媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
X文庫ホワイトハート
発売日
ISBN
9784062552448
3.6

(5)

(2)

萌々

(0)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
17
評価数
5
平均
3.6 / 5
神率
40%

レビュー投稿数2

めっちゃ面白かった

うひー、めっちゃ面白かったです。
ひりひりと胸が痛くて、それ以上にほかほかとあたたかくなりました。そんな作品。
神にしようかなと思ったんだけど、一応萌えで。
たけうちりうとさん作品を読むのは久しぶりです。かなり前に数冊読んで、「私には合わないぽい」と思ってそれから手を出してなかったんですが、それを後悔しました。
こんな素敵な作品に巡りあえる可能性があるなら、他の作品も読まなきゃと思いました。

しかし独特の作風ですね。この個性は、説明しづらい。ユーモアがあって、シュールで、リアリティがあって。淡々としてるけど、じわじわとくるものがあって。
合わない人にはまったく合わないんだろうな。でも、合う人にとったらたまらないと思います。

大学の先生とパン屋の息子の恋です。
さらっとした描写が好きでした。
告白や初エッチといった、通常のBLなら微に入り細に渡って描写するシーンを書いていないのだ。いつの間にか時間が経過している。それが良い。
大学の先生はかなり個性的です。かなりエキセントリックで面白い性格です。そこに惹かれた主人公が、同じくそこに苛立つ気持ち、すごくよく伝わってきました。
ラスト、泣きかけました。目頭が熱くなって泣きそうになったんだけど、結局クスッと笑ってしまいました。
いい作品でした。

1

ご近所と家族と学校と

美大生の薫と講師である幹の先生と生徒のカップル。
幹が今まで読んだどんな本のキャラクターにも類をみないくらい変わり者で
ストーリーそのものはなんでもない日常系なのですが、幹の「キャラクター性」が軸となっている作品かな~と思います。

4話構成のごくごく普通の美大生のお話ですが、薫の家族の話に比重が多くあり、恋愛としてのストーリーは薄いです。
普通のパン屋の家族に襲い掛かる経営難と、潔癖症で発育不良気味の弟…
そういった問題を乗り越えて家族の絆が深まっていく箇所はとても心温まるヒューマンドラマなのですが、読み終わった感想としては全体的に何がしたかったのかよくわからない…と思ってしまった。

お話としてはすごくよかったです。感動的ないいお話を読んだ、と思えます。
ですが、私何を期待して読んだんだったかな?って思ってしまいました。

薫の恋人である幹が特に家族の問題に介入してくるという事もなく、幹がかなりインパクトのある性格なのでいいんですが、これで普通の存在ならば「家族の問題に立ち向かう主人公」に彼氏がいる…くらいの立ち居地に思えます。
結局幹の変わった性格を書きたいお話だったのかな?家族愛のお話だったのかな?

この幹というキャラクターが、人間としてはとても面白いですが、逆に私にはこの変な性格が萌えを邪魔してるというか、他に類を見ないキャラなだけに、好みが別れそうな気がしました。
投げた質問に対し、まったくななめ上の回答が返ってくる感じです。
それもたまにでなく、会話全てにです。
薫はこの性格を愛し、同じくらい疲れます。

可愛いけどまさしく大きな子供といった感じで、自分には男性的なセックスアピールが感じられないというか・・・
「この人と恋愛したいと思えるか」というキャラクターに思えなかった。
薫がこの人に守ってあげたい、幸せにしてあげたいという母性的な愛を持つならわかるのですが、肉欲を共にする「愛」をどのへんから感じたのかがわからなかったです。
そのへんの幹と薫の愛と、家族の間に起こる問題とが特に絡まず進行するのでなんだかちぐはぐに感じました。

男性と付き合っていると告白したときに父親が言った、「男は一生に一度は男に惚れるもんだ」という言葉には感動しました。
でもここは田舎町だからと家を出るよう勧める父親と、「もし恋人と上手くいかなくなっても家族は一生家族だ」という家族の愛がすごく丁寧に描かれています。

辛口な評価を書きましたが、ラストシーンはすごくよかったです。
BLぜんぶこんなラストならいいのにな!ってくらい幸せなラストシーンでした。

家族、隣人、商店街。些細で小さな世界ですが、日ごろ自分をとりまく世界の全てです。
その全てが恋人である2人を祝福してくれているというのは壮大なラスト!って感じの作品よりも幸せ感を味わいました。

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