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表題作最悪

元恋人 有堂 実業家
橘英彦 エリートビジネスマン

その他の収録作品

  • 悪運
  • 運命

あらすじ

クールなエリートビジネスマン・英彦が仕事先で再会した、昔の恋人・有堂。がさつで無神経なところは、昔と全然変わっていなくて!?
出版社より

作品情報

作品名
最悪
著者
ひちわゆか 
イラスト
石原理 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344815810
4.2

(43)

(27)

萌々

(7)

(5)

中立

(2)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
14
得点
180
評価数
43
平均
4.2 / 5
神率
62.8%

レビュー投稿数14

男としての矜持を懸けて

時々読み返している、お気に入りの作品のひとつ。
豪快でがさつな性格なのに、本気で受けに怒られると弱い俺様攻めと、強気でキレると何するかわからない、毒舌な美人受け。

ふたりの付き合いは大学生の時から。同棲までしてた恋人同士だったにも関わらず、一度は別れてしまう。その理由は、有堂のだらしなさと不遜さに英彦が愛想を尽かしたということだったが、当時必死で就職活動をしていた英彦は、学生起業家としてすでに活躍していた有堂に、ひそかに男としてコンプレックスを抱いており、それが苦しかったらしい。
そうして一方的に別れを告げた四年後、英彦は順調にキャリアアップし、ひょんなことから有堂と再会する。で、焼け木杭に火が点く、という展開に。

お互いにまだ相手に未練があるというのは自覚しつつも、気持ちがすれ違ってしまうふたり。
仕事で大変な想いをしたとしても、有堂はそれを英彦には言わない。そのせいで英彦を怒らせることになっても、惚れた男の前ではいつも、男としてカッコつけていたいというプライドの高さ。そうやって見栄を張るくせに、また英彦に捨てられたと思ったときには、本気で落ち込んでうなだれてるのが可哀想で可愛い。
このカップル、受けが一方的に振り回されるばかりではなく、ふたりがそれぞれのプライドを懸けてぶつかり合うっていう構図なのが、対等な男同士の愛という感じですごく好み。こんなにざっくりした性格なのに、英彦に出ていかれてからの四年間、有堂が誰とも肉体関係を持っていなくて、自分の右手だけが恋人だったというエピソードもキュンとした。
英彦目線で、英彦に感情移入して読んでいたはずなのに、最後の方は、もうあんまり有堂をいじめないでやってくれ、なんて思ってしまう。

書き下ろしの「運命」もいい。初めて会った時、受けがものを食べる姿を見て攻めはムラムラしてたけど、本編で受け目線でのその時の回想シーンがあるので、つまりは最初からお互いに一目惚れだったのかとわかる。
でもって、プライドの高いツン受けが嫉妬するのって、なんでこんなに萌えるのか。オチはいつものキッツイ英彦とだらしない有堂で、十年も経ってるのに喧嘩するほど仲がよくて、もう夫婦みたい。

1

腐れ縁

積み本をせっせと消化してて引き当てた作品。ひちわゆか先生、初めて読みました。こういうお話、好きだなぁ。一気読み!

新装版なので改稿されている部分もあるのかと思いますが、読者を引き込む物語の構成が上手いと思うし、書き下ろしの攻め視点で二人が出会った頃を知ることができたのも満足です。

学生時代に付き合っていた有堂と橘。有堂は学生起業家で成功を収めるほどの手腕と器を持つ豪放磊落なタイプで、橘は真面目でコツコツと努力を積み重ねていく几帳面なタイプ。二人は一時同棲していたけれども、潔癖症気味で綺麗好きの橘にとって、有堂のフリーダムさ加減には我慢の限界が…。食べたら食べっぱなし、脱いだら脱ぎっぱなし、風呂は長風呂で床もマットもびっちゃびちゃ、愛煙家で灰皿は常に山盛り、所々焼け焦げを作り、風呂でもタバコを吸う始末。玄関の扉を開けたら廊下に裏返しののまま放置された靴下が目に入る毎日にブチっときた橘は、ついに有堂との別れを決める。そして数年後。

二人は追ったり追われたりという関係ではなく、縁あって何度も再会してしまうんですね。そのきっかけをもたらしてくれるのが毎度「仕事絡み」なのが男らしいっていうか。

橘は有堂に憧れと嫉妬心を抱いていて、惚れている男と自分を比べて卑下してしまう悔しい気持ちなんかあいつにわかるわけない、ムキーッ!って逃げるんです。でも有堂は有堂で、彼なりに橘のことを思っていて、ずーっと彼を待ってたりして…。橘が追いつけないと思っていた相手は、橘の前でしか虚勢を張れなかっただなんて…ごちそうさまです。

恋仲にある男同士らしい関係性を楽しみたいならオススメしたい。キングサイズ、いや規格外の男を乗りこなせるのは、エロ可愛いくって忍耐強い、世話女房でしたとさ。あ、下ネタではないですよ?(笑)

3

男×男の世界観に惚れ惚れ

エリートサラリーマンの英彦(受け)と、大学時代からの腐れ縁で実業家の有堂(攻め)とのめくるめくガチンコ対決を描いたコメディタッチの作品。
コミカルなだけでなく社会人ものとしてのリアルさもあり、上質な恋愛ドラマに仕上がっています。

タイトルの「最悪」とは、攻めの有堂京一のこと。
毎回連絡もなしに英彦の家に上がり込んでは服を脱ぎ散らかし、平然と手料理を要求し、強引に身体を求めてくる…
そんな傲慢極まりない男ですが、自身の才覚を活かし実業家として活躍する大物でもあり、英彦は学生時代から彼にコンプレックスを抱いています。

エリートコースに乗った人生を歩む英彦ですが、所詮一介の雇われ社員であり、有堂のように身一つで未知の業界に飛び込んでいくような度胸はなく。
セレブ育ちで何かと環境にも恵まれている有堂へのやっかみや、有堂自身の傲慢な性格に対する反発心もあり、有堂を毛嫌いしています。

こんな二人ですが、英彦に執着する有堂のことをなんだかんだ英彦も無下にできず、仕事のことでも何かとフォローしてもらい、毎回何となくいい雰囲気に…という展開。
有堂に黙って引越したり、夜逃げしたりと金にモノを言わせたダイナミックな嫌がらせを仕掛ける英彦ですが、それで有堂が傷ついた反応を見せると結局罪悪感を抱いてしまうあたり人が良いと思います。

有堂は有堂で、英彦に黙って姿を消したかと思えば気まぐれに戻って来たりと、かなり自由奔放。

有堂のキャラクターがあまりに傍若無人すぎて、ともすると英彦が世話女房のような役どころになってしまいそうですが、そうなっていないのが本書の面白いところ。
前述のように、英彦は英彦で有堂にイタズラするし、自身の仕事に対しては真摯に頑張っているし、時にはヤケになって暴走して有堂にフォローされたりもするしで、ただ有堂に振り回されるだけの美人受けになっていないところが良いバランスです。

絡みの描写は長めのものもあれば端的にサラッと流されているものもあり、後者の方が想像力を掻き立てられ色っぽく感じました。

巻末の有堂視点の番外編では、有堂も英彦に結構振り回されていることが分かり、意外な包容力に萌。
有堂の視点を通して英彦の可愛さも伝わってきました。

評価とは関係ありませんが、一つ残念だったのは、電子書籍の仕様なのか一つ一つの場面やエピソードの区切りが分かり辛い点。
話の内容自体は良いだけに、ぶつ切り感が残念でした。

甘さには欠けますが、男同士ならではの一触即発っぽい雰囲気に独特の色気や緊張感があり、かなり好みな一冊。
男前×男前カプがお好きな方にオススメしたい作品です。

1

Krovopizza

snowblackさま、こんにちは。
コメありがとうございます!

『最悪』、名作ですよね。
ひちわゆかさんの作品の中でも特に好きな一冊です。
そして、こうしたカップルや世界観の作品に石原理さんの挿絵は最高にハマりますね。
残念ながらRenta!では挿絵がありませんでしたが(;^ω^)

収録作は「最悪」「悪運」「運命(文庫版書き下ろし)」の三つで、電子書籍のオマケは特にありませんでした。

手に入らなかった方達も是非!と、私からもオススメしたいです☆

snowblack

Krovopizzaさま、こんにちは。
ひちわゆかさんと石原理さんという、ゴールデンコンビ(個人的には)の名作ですね。
古い作品ですが、是非こういうカップルや世界観がお好きな方には手に取って頂きたい作品なので、レビューを拝見して嬉しくなって書き込ませて頂きます。
私は紙本で読みましたが、電子書籍になっているということですので(何か、オマケもありますか?)、手に入らなかった方達も是非!

買って損しなかった再録本

今更ですけど、レビュー載せ忘れてたもので…(^_^;)

思わぬ場所で再会…から始まる、英彦と有堂の関係は、石原イラスト効果もあって、
微かに黒鵙をも思わせる 巻き込まれ型クールビューティーの話、とでも云うか・・・
軽妙なコメディタッチの等身大社会人描写が、身近なリアリティでストーリーを支えていて、かつHシーンの色っぽさも際立たせてると思うお話です。

はた迷惑な豪快男・有堂は、理想的な攻め様ではないでしょうが、
素直で育ちの良い英彦が、ある意味憧れて止まない男性像であり、一種のカリスマ性を持ったキャラクターです。

二人のセリフが、どこまでも小気味よく、性別不明(というかBL的女体化・お子さま化)に陥ってないのが、何より好みです。
再会の後、疲れて眠りかけほろ酔いの英彦が有堂に問いかけるシーン、象徴的ですね。

 「……おまえ、そんなにおれが好きか?」
 「さあな。云いたくねえな。どうせ目ぇ覚ましたら覚えてないんだろ」
 「云え」
  ベッドに腰かけた有堂は舌打ちし、英彦の上にがばっと覆い被さると、囁いた。
  羽根布団を口もとまで引き上げて、英彦は満足そうにうっとり、笑った。
 「ザマみろだ……」

ひちわ作品では個人的に一押し!で、
初版のノベルズ版は、膨大なBL蔵書の中でも(笑)長年上位ランクしている話でしたので、文庫化では、書下ろしを楽しみに購入し、現在も手近な本棚にラインナップ中。
初の攻め視点で二人の出逢いを披露され大満足! 買った甲斐ある1冊でした。

著者にも思い入れある作品で短編のエピソードを絞るのに苦心されたらしいコメントがあったので、是非是非っもっと書いて下さい!!と、今でもお願いしたい。
ここに来て出してきた新キャラ・崔も気になるクセ者で続編への期待は十分です。

2

痛快、トムとジェリーのような2人

主人公カップル2人のからみがユーモラスで痛快で、何回も読み返すお気に入りの話になりました。

マイペースで超ずうずうしい有堂(攻)と、がみがみ嫁タイプの英彦(受)。
2人とも周りが引くほど極端な言動で、トムとジェリーのような、互いに替わりはないという破れ鍋綴じ蓋のお似合いコンビ。

第1話の最後では、有堂が英彦(受)『嫁にこい』というようなことを言っていますが、第2話以降では(受け)が、嫁なんか行かず、甘々にもならず、現会社のままで着実に出世をし、何ともしたたかに強くなっていくのが好みです。

正反対の性質で、対等にケンケンゴウゴウやっているのが楽しい。
そして心底惚れあっている!

ユーモラスで、ときどきうるっとくるところもあって、美味しいお話でした。

1

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