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2009年作品。
表紙ですぐにわかる通り、縛られています。緊縛。
でもSMではありません。あくまで縛り、縄。
「心まで縛りたい」の本編と、その後を描く「だけど甘い束縛」の2編構成。
正直…本編の方はBL小説的にありきたり…とまでは言い過ぎかな?
誘われて入ったハプニングバーで緊縛ショーを目撃、それどころかステージに上がらされての緊縛体験!そして、その時の陶酔感が忘れられなくなって…
ノンケがミステリアスな縄師に堕ちますよ。
みたいな?
しかし、後半の「だけど甘い束縛」の方は面白い!
ノンケの千宗がジタバタしながらも結局は自分の心と欲求を認めて、ゲイで緊縛師の久我に全てを与えて恋人になった後。
久我に「緊縛の師匠」なる人物・倉橋から連絡が来て…という展開。
久我は返事も出さず、完全に関係を断とうとしている。なのに千宗の方が久我の過去知りたさに倉橋の誘いに応じようと言い出し…
オープンした倉橋のSMバーで千宗が衆人環視の生贄になってしまう!
こちらの後編の方は、倉橋のずるい罠、考えの浅い千宗、思いの深い久我、などなど、短い中に濃い心理状態が詰まっていて引き込まれる!
言葉では多くを語らない久我の千宗への本気の愛情が萌える。
縛りとSMの違いも突き詰めると面白い。縛りには痛みの快楽ではなく「信頼の陶酔」があるんですね。
千宗は銀行のSE。とは言え、適当にやっているやる気のないエンジニアで。
そんな千宗が、ハプニングバーで出会ったレイ。
縛られて陶酔しそうになる。
そんな折に新しくシステム入れ替えでやってきたエンジニアがレイだった。
昼間の顔は、真摯に仕事をこなし、優しく、エンジニアとしても優秀なレイ。
レイと関わることで、少しずつ仕事にも前向きに、そしてレイに対する気持ちにも変化が…。すごい高等な緊縛師なんですよね。それだけで誰でも惹きつけられちゃうくらいの。でもSMではない、てところがレイの特別なところで。
Sじゃない縛りってのが私には斬新で、痛くないってのも入りやすかったです。
表紙とタイトルからハードなSMを想像しましたが、良い意味で予想とは違った内容でした。
「緊縛」に焦点を当てて書かれてはいますが、SMプレイとして縛るというより、芸術作品を創りあげているという感覚で縛っているのが新鮮に感じました。なるほどな〜、と妙に納得。確かにこういう世界があるのだろうな…世界はまだまだ広い。縛りの名称が出るたびに思わず画像を検索してしまいました。
そして主人公カップルの二人。例えば画家が恋人の裸婦画を描いたりするように、受けの千宗は攻めで緊縛師の久我玲一にとって創作意欲やインスピレーションを与えてくれる存在、そんなふうに見受けられました。深いところで通じ合える恋人同士といった感じが良かったです。
わりとスパダリ属性な久我が大人の包容力や落ち着きを持っているので、アングラな行為もどこか上品に感じられるし、千宗が窮地に追い込まれても「まあ、どうにかしてくれるだろう」と安心して読み進められました。久我さんかっこいいです。
「緊縛」がテーマだけれど落ち着いていて、クセのない読みやすい作品だと思います。緊縛に興味がある人には入門にお勧めです。
電子書籍で読了。挿絵あり。あとがきなし。
『調教は媚酒の香り』と同じ、砂床さん&小山田さんコンビの緊縛もの。
こちらの方が先に書かれていますが、私が読んだのは『調教は媚酒の香り』→『調教は淫酒に濡れて』→本作の順番です。『調教シリーズ』とは主人公達が異なりますが、連作と言っても良いかもしれません。
始まりはここだったのね。
地方銀行のシステム管理SEをしている千宗は、風俗ライターをしている大学時代の先輩の誘いで入ったハプニングバーで、ゲイの緊縛師、レイのショーを目にします。その妖艶さを認めながらも、自分が魅せられていることを否定していたのですが、レイに挑発されてステージで縛りを受ける事になってしまいます。おまけに、興奮が冷めない体を納めようと入ったトイレで、レイに始末をされるという体験をします。次の週初め、千宗の銀行に新システム導入のために派遣されてきたフリーのSEが、レイこと久我怜一でした。反発し、恐れながらも一緒に仕事をする中で、久我の仕事に対する真面目さ、誠実さ、そして、性癖も含めて自分の生き方を貫いていこうとする姿勢に、千宗はどんどん惹かれていきます。しかし、出会った時に久我が言った「おまえの身体はそそられる」という言葉が『心など関係ない』と言われた様で、千宗は自分の気持ちに素直になれません。そうしているうちに、久我が会社を去る日が来て……
……SMって、深い。
「あれは哲学だからね」と言う科白を別の本で読んだ記憶があるのですが、いや、ホントそうかも知れないなぁ。
特に私が面白いと思ったのは、久我が『縛ることで精神が解放される』という考え方であること。自由を奪うと自由になるなんて、いやいや、禅問答の様な話です。面白い。
知的な方向に頭が働くだけではなくて、ものすごくエロティックなお話でもあるんです。セックスではなく緊縛がエロい。そんじょそこらのエロでは驚かなくなったおばさんも、若干、滾ってしまいましたから(笑)。
でも、そのエロい行為が、縛る側と縛られる側の信頼関係によって成り立っているというのが、また深いのです。
これが単なる『プレイ』だったら、なかなか感動はしないと思うのですよ。
『プレイであるのに純愛』という関係を納得させる筋立て・表現を目一杯堪能した後に出た一言は、
「あー、めくるめく世界だったな~」。
めくるめきたい時に、静かな場所で、この世界に浸りながら読むことをお薦めいたします。
「調教は媚酒の香り」が良かったので、砂床さんのSMということで期待して読みました。
まさに期待を裏切らず。SMモノに求めているのはこれだよ!わかってる!と歓喜しました。
お話の中でも彼らは緊縛を楽しんでいるだけであってSMではない、と言っていてその辺の線引きもよかったです。あくまで、緊縛師と被縛者という立場がよかったです。
緊縛師の攻め様の徹底した美意識がまた素晴らしかったです。表の顔でも裏の顔でも覗かせるそれが非常に魅力的で、陶然とする千宗の気持ちがよくわかりました。
何より素晴らしかったのは緊縛の描写。縄を受ける感覚が細やかに表現されていて、濃厚で堪能できました。
過激な設定に頼るのではなく、ひたすら丁寧に愛でることで醸し出される空気感が非常に秀逸でした。
