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表題作アンダーグラウンドホテル 上

ソード・フィッシュ・21歳・刑期200年のギャング
尾張潜・22歳・殺人で80年の刑期の日本人

その他の収録作品

  • hallelujah
  • Staring At The Sun

あらすじ

NY州ロングアイランド。殺人罪に問われた日本人留学生セン(尾張潜)は、合衆国レベル3の地下刑務所「アンダーグラウンドホテル」に投獄される。そこで出会ったシャットコール(囚人のボス)のソードとカラダの契約を結んで身を守ってもらうが、やがて二人の感情は激しい恋愛へと変わってゆく。栗本薫氏も絶賛のハードボイルドBLの名作が、ついに文庫で甦る! ファン垂涎の上下巻同時刊行!
出版社より

作品情報

作品名
アンダーグラウンドホテル 上
著者
定広美香 
媒体
漫画(コミック)
出版社
双葉社
レーベル
双葉文庫名作シリーズ
シリーズ
アンダーグランドホテル
発売日
ISBN
9784575727128
4.4

(59)

(36)

萌々

(17)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
14
得点
260
評価数
59
平均
4.4 / 5
神率
61%

レビュー投稿数14

第2次定広美香ブーム発生中です

以前2020年に出版された定広先生の「ノイズキャンセリング」を読んだ後、私に定広先生のプチブームが湧き起こりました。
ずいぶん前に発行されたコミックスを何冊か読み、今のBLとはまるで違う圧倒的魅力にはまったものです。

ヒリヒリする、ヤケドしそうなお話の中でもがくカップル、あまあまなハピエンばかりのコミックスを読み続けていた私にとって新鮮でまたどこか懐かしいものでした。
70年代、80年代初めの〔少女マンガと女性マンガの一部に分類されていた男の子同士の恋愛マンガ〕はこんな感じだったのをなんとなく思い出しました。
例えば吉田秋生先生とか木原敏江先生とか。
あと、お名前覚えていないんですよ。
まあ萩尾先生とか竹宮先生もそうなんですがメインキャラを容赦なく心身共に痛めつける、甘いハッピーエンドなんていらないって感じの読むのが時たま辛くなる類いのお話の事です。

この「アンダーグラウンドホテル」もまさに主人公にも読者にもキツいハードな要素満載。
でもひどく面白い。
やめられない面白さ。

主人公2人は殺人犯として脱獄不可の刑務所に入れられています。
私は最初脱獄物かとばかり思っていたのですが違っていました。
お話は監獄の中で進みます。
そうそう、先生のエロってめちゃエロい!
唐突にすみません。

あー、結末どんなかなあ。
何人も殺しているソードだし、日本人が書いたお話だしやっぱり2人とも生きてはいないよね。
アメリカ映画だったらたとえ何人殺そうと主人公は死なずに笑顔でジ・エンドってのも結構あったと思うんだけど。
というわけで下巻に突入です。

1

ハードコア。ここから始まる

ついに手に入りました!ずっと読みたかった「UGH」!
元は2003年発表?
良くも悪くも、このテの強烈さ、今どき見ない。

舞台は、アメリカの刑務所。
中のボス・ソードフィッシュ(褐色でドレッドヘアの長髪。黒人?ラテン系?)と、新しく収監された日本人のセン、の激しい愛の物語。
「アンダーグラウンド(地下)ホテル」、別名「アンダーグランド(高級)ホテル」…
刑務所の中でも自分を保ち、うまく他人を利用して時間や立場を楽しめるヤツだけがこの刑務所の勝者だ…
そんな価値観の中でのソードとセンの物語は、ま〜あ一筋縄じゃいかない。
レイプ、薬物、暴力、賄賂、裏切り、殺人、ありとあらゆる事が起きる無法地帯。
思惑が絡まって、ソードとセンの間に結ばれた想いは絶対に本当なのか、駆け引きの道具なのか、コロコロと事情が変化していく。
男だけの刑務所。
セックスは愛というより力の誇示。レイプは服従の道具。
だからレイプ描写、モブ姦多し。(最後まで犯る)
また、ナイフで刺したり、殴る蹴るの暴力描写。
かなりハードだけど、極限状態での結びつきは逆に強く甘い。
「◯EADLOCK」好きならおすすめ。
すごいページ数だけど、下巻もあります。でも一気読みしちゃう!

0

策略から気づけば愛へ

終身刑を受けた囚人たちのお話でした。
可愛らしいボーイズのラブに慣れきった頭にガツーンとくる、骨太でヘビーな内容でした。

刑務所暮らしを楽しめる囚人たちが"アンダーグランウンドホテル"と呼ぶその監獄の主、ソード・フィッシュと、日本人のセンが出会うところから始まります。
監獄内割と無法地帯で、金で賠償された看守の前ではやりたい放題なんですよね。
そんな場所で身の安全を確保するためにソードに身を捧げます。

UGHで生き抜く為の戦略がいつしか、ソードに抱かれる事を望んでしまっているセンの気持ちの揺れが堪らん。
思いが通じ合ってからの甘さのギャップが良かったです。

レイプ、暴力、ヤク、第三者との性描写など地雷が多いですので、誰にでもとはいきませんが、ちょっとハードな設定が読みたい方にオススメです。

0

光が当たらないことを忘れさせられるほどの愛

 アメリカの刑務所内のBLとしてはまさに王道な感じ。期待したことが起こらないということはなく、そういう舞台のBLを求めていた方は十分満足できる内容だと思います。攻めであるソードが、白人ではなく黒人なところも特に気に入ったポイント。肌の色に敏感なこのご時世、人種によってどうだというのはあまり言いたくはありません。が、少なくとも私が今まで読んできた外国人攻めはほぼ白人だったので、黒人にはまた黒人の魅力があるなぁと感じさせてくれました。人種差別と各人種の個性を認めることは、似て非なるものだと考えています。

 麻薬を扱うギャングのボスで、当然刑務所内でもボスであるソード。BLに限らずこういう肩書きのキャラは大抵、頭もよく回り、冷酷さや興味ないものへの無関心さが前面に押し出されて描かれることが多いのではないでしょうか。でも、ソードは少し違う。もちろん頭も回るし肝も据わっているけれど、21歳という若さに相応しい、熱さや無鉄砲さも持ち合わせていて。時折彼の肩書きや罪を忘れてしまうほど、親近感を覚えることすらある。潜も、無意識の内に彼のそういう所に気を許したんじゃないかなぁと思いました。そして、潜の豪胆さも至高。最初はもうどうなったっていいという自棄からの態度のようでしたが、徐々に愛する者を失うことに比べたら何も怖くはない、という理由に変わっていったように見えました。この2人が下巻でどんな激しい愛のぶつかり合いを見せつけてくれるのか、ワクワクします。

0

fly away!

かつて読んだことがないBLでした。ハードで、熱くて、カッコよくて!黒人と日本人のカップルって、こんなにもスタイリッシュなんだぁ、と思いました。
ストーリーがしっかりしていることと、画力、台詞も巧みで、素晴らしいと思い、一気にファンです!
Lenny Kravitzの『fly away』を聴きながら、ふたりの幸せ願いつつ、下巻→クロスオーバーと読み進めてます。

0

二人の相性が最高。

電子で1、2話が無料配信されていたのでなんとなく読んでみたら大ハマり。
すぐにコミック版を無期限でダウンロードしてしまいました。
文庫版にまとめられたものなのでボリュームがすごい。上下巻ともに300ページ越えでとても読みごたえがあります。

表紙のドレッドヘアの彼(ソード)が攻めです。
ギャングのボスで刑務所のボス。刑務所の割に結構何でもありでドラッグも出回ってるし物資(コンドームなど)もお金を出せば手にはいる。ボスだからなのか簡素なナイフみたいなものも隠し持ってます。看守も仲間にしてセックスし放題、ボトムの喘ぎ声が夜な夜な刑務所内に響く毎日です。
問題を起こして独房に入るシーンも多いんですが、あまり辛そうな描写はなく、だが日に1人は囚人が死ぬというクレイジーな場所。

下巻の表紙の黒髪日本人(セン)が受けです。
最初こそソードに歯向かってましたが、刑務所での生き方を心得てボスの懐にいた方が安全だとソードの女房役として傍にいるようになります。

どっちも喧嘩っ早いです。男らしく、現代のBLに多いふわふわとした赤面顔はなし。
セックスも気持ちよさそうに見えず、無理やり尻に突っ込んでるのが見て取れる感じ。でも少しずつ二人が惹かれ合って、相手が必要不可欠で自分の一部だと思うようになる過程がいい。
最初こそ痛そうだったセックスも心がつながれば気持ちよくなっていくし、なによりソードがセンにゾッコンなのがグッときます。センもソードにぞっこんなんですけど。
かなり俺様で嫉妬深く独占欲が強いので、センが誰かに手を出されたと知るとソードがいつの間にか(誰かの手を使って)殺している、それが当たり前になっている日常に慣らされていくセン。
かといってセンが守られるだけの女々しい男なわけでもなく、ちゃんと男らしいからすごくいい。

身体の描き方もとても素晴らしいです。個人的にグッと引き締まった小尻がよい。
セックスシーンの二人の身体の絡み方がたまりません。

是非読んでみてほしいBLですね。

3

甘々

散々色んな所のレビューに脅され覚悟して読んだんですが、個人的にはすごく甘々でした。
確かにレ○プも暴力もNTRもあります。脇には死亡EDも。
ですが攻めは一貫して受けのことが好きですし最低限の倫理観が働いています。
囚人のトップでもあるので普段はその権力により、刑務所の悲惨な実態から受けは読者ごと遠ざけられ、受け本人も大変たくましい性格をしているので、話の雰囲気は暗くなりません。

ヘイトコントロールめっちゃうまいです。
ストーリー上も子供を殺したり、無罪の人間がひどい目にあうようなことはないので読んでいて後味が悪くなることはありません。悲惨なだけの作品とは違い、余計なこと考えず世界を楽しめるようにときちんと配慮されています。

キャラ造形も一級品でしょう。
まずブレません。それぞれの考えに従って生き生きと動き、行動原理を理解出来ないキャラなんて一人もいません。愛もまたどのカップリングにあっても至上のもの。
だからこそエンディングへ向かい始める時、逆らえない流れの中で胸にぐっと来るものがあります。
それぞれの終わり方は9,80年代BLものによくあるものと言えばそれまでですが、決して納得できない終わりでも投げっぱなしでも逃げでもありません。
ぜひ他の方にもこの満たされるような読了感を味わって欲しいと思います。

4

ぬるいキスはお断り

「心と尻に突き刺さる…」という煽り文句をどこぞで目にしましたが(笑)この作品はまさにその言葉通りでした。
ただし、私の胸に突き刺さったのは天使が放つハートのついた可愛い矢ではなく、武将の握る槍のような厳ついもので串刺しにされましたが(笑)

アンダーグラウンドホテル(通称アンダーグランドホテル)という地下30Mの所に造られた脱走不可能な監獄で「殺られるか、犯られるしかない」サバイバルな世界を生き抜く受・潜と人を殺すことさえ何の躊躇もない「シャットコール(親分)」の攻・ソード
そんな極限状態の中で二人は出逢い、恋などという生ぬるいものではなく、猜疑心や嫉妬に捕らわれながらも(周りの人間を殺してでも)互いを食い殺さんばかりに求めていく姿は神々しいばかりです。

ただし、定広先生は私には超ど真ん中のたまらない作品を描かれる大好きな作家さんですが、絵も今風とは少し違いますし、決して良い香りとは言えない動物的な臭いや生々しさがストーリー全体にあり、さらに本作品はレイプや殺人その他猟奇的なシーンも多く、BLに美しいファンタジーを求める方はそのことを頭の片隅に置いてから読まれた方がいいかもしれません。
一方で私のようにはまってしまう方は楔のようにガッチリ嵌まって、さらに奥深く抉られるように嵌まってしまうと思います。とくに「BANANA FISH」を泣きながら愛読されていた世代にはなかなかくるものがあるかと思いますので、ぜひぜひ一読して欲しいです。

絶頂に喘ぐ姿を看守に見咎められそうになりながら、隠すでもなく(視線は見上げてるのに)見たきゃ見ろよとばかりに見下すように中指をたてる潜は最高にエロかった~ このシーンだけで読む甲斐ありです(笑)

4

刑務所モノの傑作!

リアルでは絶対に一生無縁でいたい刑務所ですが、フィクションの世界では大いに興味を掻き立てられます。閉ざされたシチュエーションでの濃ゆい展開にドキドキしてしまうんですかね。
私にとってbl 小説でムショものといえば、英田先生のデッドロックシリーズなんですが、コミックではこの、定広美香先生の「アンダーグランドホテル」になりますね、先日読んだばかりなのに幾つもの場面が焼き付いて時々(主に寝る前☆)読み返しています。
舞台は地下深くにある、脱獄不可能な合衆国刑務所。主人公の受け、日本人のセンは殺人罪で懲役80年。囚人たちのボス(シャットコールというそうな)のソード・フィッシュは懲役200年の攻め。フィッシュとセンの物語は最初からハードに、そして濃厚に展開されていきます。
魅力のポイントはたくさんあって、私がグッときたのはフィッシュの超絶セクシーなとこでしょうか。
フィッシュはもう、どんな場面でも匂い立つまでにセクシーなんですよ。
エロエロ評定はダテじゃなく、フィッシュとセンのセックスシーンはふんだんにあります。それが決して気持ちよく喘いでいるばかりじゃないのも、私には高ポイントでございました。モブともヤラレちゃったりするんですが、このような場所ならしょうがかいな、と自然に思えてしまいます。
ストーリー的には、この上巻では打算絡みで始まったはずの二人の関係が、確かな愛情で結ばれていくところが見どころです。
フィッシュの涙とか、どんどん強まるセンへの執着とか。
忘れられないインパクトがあったのは、センが言った一言、「俺が欲しいのはお前のディックだ!」にキレたフィッシュの、拘束してのプレイですね。プレイといっていいんだろうか迷いますが。
ハードではありますが、割と読みやすいのではないかと思われます。デッドロックシリーズにハマった方には強くプッシュの作品です。

4

アウトローたちの監獄ハードエロス!

ヴィーナスシリーズで定広美香さんにどハマりして以来、いつ読もうかと思っていたUGHシリーズ。Renta!で特集が組まれたのでこれ幸いとシリーズ全作一気に読み漁りました。
本編にあたる、この『アンダーグラウンドホテル』は上下巻合わせて700ページもあるので、読み応えたっぷりです。

めちゃくちゃ面白いです!!
自由を極限まで制限された世界で何にも縛られずに生きるキャラ達のクソッタレな生き様がとにかくカッコいいのです。
ベースにあるのは間違いなくロックン・ロールの精神ですよ。私みたいなバンギャルちゃんは特にハマる世界観な気がします。
ソードのビジュアルもどこぞのロックミュージシャンですし。
寝る時いつもビキニタイプのパンイチ姿なのが個人的には高ポイントです(笑)

舞台は、NY州ロングアイランドの地下30Mに造られた脱獄不可能な合衆国刑務所「アンダーグラウンドホテル」(通称UGH)。アウトローな受刑者達が閉じ込められた閉鎖的なこの場所では囚人同士の暴力、レイプ、殺しなど日常茶飯事で、ドラッグも当たり前のように蔓延る、モラルなんて概念が一切通用しないまさに弱肉強食の世界。
殺人罪に問われてこのホテルの永久宿泊客となった日本人留学生〔セン〕は、収監早々からインポでサイコな同室者にモップの柄(!)でレイプされてしまい、それを〔ソード〕が発見して救ったところから二人のストーリーは始まります。

ソードは21歳にして囚人達のボス(シャットコール)に君臨する絶対的強者で、UGHは彼のキングダム。一方、センは唯一の日本人受刑者で、属せるグループを持たない圧倒的弱者。
王様のソードはセンを心身共に己の支配下に置こうと画策し、したたかなセンはソードの独占欲を利用して自分を守らせようと目論み……弱肉強食のUGHで強者と弱者の二人の関係性が対等に始まるところが面白いです。
そしてさらに面白いのが、真の意味でタフな精神を持っているのはセンの方で、ソードの強さは心の拠り処がある上で成り立っているということ。二人の仲が一気に進展するのもソードの弱さが露呈したことがきっかけでした。
ただこれ、センとソードのどちらが本当に強い人間なのかと言えば、強さの種類が違うだけでどちらも強いことには変わりないのですよね。強くて魅力的な二人です。
定広さんが描かれるキャラにリアリティがあるのって、こういうところまでをしっかり描かれるからだろうなって思います。

とはいえ、ソードは邪魔になった人間を何の罪悪感も持たず簡単に殺しますし、ソードもセンも愛し合うのがお互いだけというだけで複数の相手と関係を持っていたりと、道徳的には最悪です。そもそも犯罪者ですし。また、この刑務所で働く看守達は金でいくらでも買収出来ます。
最初にも書いた通り、モラルなんてものはないに等しい監獄を舞台に繰り広げられる物語なので、フィクションでもそういうのを受け付けない方はご注意を。

二人のハードな恋愛模様とセックスシーンがメインに描かれますが、それだけではないので飽きることなくガッツリ惹き込まれます。
脇役達も一癖二癖ありまくりのダークサイドがチラつくキャラばかりで敵なのか味方なのかサッパリ分かりませんし、どいつもこいつも二人の仲を遠慮なく邪魔してきます。
中盤で新しく所長として赴任してきたムトーは本来ジャスティスであるべき立場ですが、かなりの曲者臭を漂わせていて気が抜けません。

食うか食われるかの世界で様々な疑念が次から次へと交錯する中、物語は下巻へと続きます。

この巻で個人的に一番萌えポイントだったのは、ソードが内太ももにセンの名前をもじって入れた刺青にセンが跪いて口付けるシーン!ლ(´ڡ`ლ)
なんだかんだで超ラブラブな二人です♡

6

上巻

丸ごと一冊がひとつのストーリーでした。

読むときに、あれ?どれから読めば??というくらい
「アンダーグラウンド」と名の付くのがあったのですが、
三和出版さんから、
2003/04 アンダーグラウンドホテル
2004/05   同  囚われの刻
2005/10   同  陽のあたる場所
という3冊が発売されていて、この「上下巻」というのは、
この3冊をまとめた状態で、
説明書きにあるように双葉社さんから文庫として出たのですねー。
上下巻を読んでみて、やっと解りましたw

そして、内容はとにかく激しい!
えっち度はもちろんですが、暴力だったり欲だったり。
場所からして想像つくところですが、
暴力などがニガテな方は読まない方がいいかなぁとも思いますが
でも不快感といったものよりも、読み応えもあって面白かった!!

2

闘う男たちの熱いSEX(背徳のエッセンスもたっぷりと)

最近どうも萌える作品がない、たまにはディープな作品を、という時にお勧めしたい一作。
故栗本薫氏の推薦文付きでもあり、いろんな評価サイトでも高評価されている通り、作品の魅力や完成度の高さは太鼓判ものですが、何よりも、登場人物たちが輝いてる!ってところが個人的に高評価のポイントです。

舞台は、自由もプライバシーもない地下刑務所(アンダーグラウンドホテル=UGH)。弱い者は容赦なく強い者の餌食にされます。そして強い者だけが一抹の自由を勝ち取り、地獄の日々を優雅な「グランドホテル」暮らしに変えられる…そんな弱肉強食の世界です。
正直最初は刑務所ものというところに抵抗がありました。でも、何度か読み返すうちに、この作品のキャラたちの輝きは、刑務所ものだからこそなんだということに気づき。
なるほど、定広美香の描く強靭な精神力を持った不敵な眼ヂカラ男たちは、こういう場所でこそ本領を発揮するんですね。
そして、強くて最高にセクシーな2人が、動物的に愛し合うSEX…これも、濡れ場をリアリティーたっぷりに描くのが得意な定広美香の本領発揮というところ。二人の体温や汗の臭いまでが紙面から伝わって来そうな画力はさすがです。

それにしても濡れ場多数! 肌色進行があまりに多いので一度数えてみたのですが、なんと上下巻で通算20回前後。
でも、この作品のSEXは、不思議とエロいという感覚ではないんですよね。
極限状況でのSEXだけに、快楽の追求というよりは魂と魂のぶつかり合いというか、精神的な結合を求める行為のように見えて、何か胸を打たれるものがあります。

好きな場面を選ぶとすれば、行為の最中、見廻りに来た看守にライトを向けられたセンが、不敵な笑みを浮かべてファックサインを見せるシーンかな。これぞUGHの真髄かと。
ただ、場面として切り取ることはできませんが、上巻で一番心を掴まれたのは、ソードの残忍な一面を否定的に見ていたはずのセンが、彼の非情な殺人を目の当たりにした直後のSEXでは、より深いエクスタシーに堕ちて行く…というあたりの描写。
背徳者に支配されることの恐怖と恍惚…定広作品には度々登場するモチーフですよね。こういう部分に、どんな濡れ場よりもゾクゾクするようなエロスを感じます。
作中ではソードの「毒」と表現されていますが、読者もこの作品の毒に酔わされてしまう感じ。
基本はあくまでポジティブなストーリー。でもその中に、BLっぽい背徳的なエッセンスもしっかり調合されてるところがとてもツボでした。

上巻ではソードの元恋人(セフレ?)・ノーマンも絡んでの三角関係も描かれています。
ノーマンの心理描写も意外に奥深くて、単に敗退するためだけに登場するアテ馬キャラにはない存在感があります。
その他の脇キャラもオール癖ありの個性派。人材の層の厚さも太鼓判の作品です。

11

yoshiaki

むぼちさま

コメントありがとうございます(*^_^*)
好きな作家さんなので、宣伝を兼ねて目立つレビュータイトルにしたかったんですが、後で読むとこっぱずかしいばかりで(笑)

>「エロ」でも「セックス」でもなく、ましてや「エッチ」などでは決してない、強烈な「SEX」が描かれているなあと

そうですね!全身全霊のSEX!って感じです。愛情とかヨクボーとか駆け引きとか、お互いの感情が全部SEXに込められてるというか。
定広さんの描く恋愛は基本的に生きるか死ぬかの勢いなので、刑務所という舞台は定広ワールドにピッタリだなあと思います。

むぼち

yoshiakiさんのレビュータイトルを見たときから、「おお…かっこいい」と思っていました。

そのままこの漫画にぴったりのキャッチコピーになりますね。

「エロ」でも「セックス」でもなく、ましてや「エッチ」などでは決してない、強烈な「SEX」が描かれているなあと、私も思います。

アメリカの刑務所もの、栗本薫氏絶賛!

英田サキ「DEAD ROCK」シリーズなど、ハードボイルド風味のあるものが好きな方に超絶オススメ本です!
「DEAD~」より甘い雰囲気もありませんし、全編通して刑務所の中です。
そこにいる囚人である主人公はじめ、登場人物が物語の中で生きています。
痛いシーンも、閉ざされた世界が舞台であるだけにエロのシーンもハードに出てまいりますが、根底にある人間らしさ、駆け引き、愛や嫉妬や、そんなモノがリアルに表現されて凝縮されている、本当に存在するのでは?と思わせる人物表現にうならされます。

主人公は、殺人の罪で懲役80年を下され「アンダーグランドホテル」と呼ばれる(刑務所生活を楽しめれば天国さという意味を含め)地下刑務所へやってきた日本人・センと、懲役200年、ギャングでヤクの売人をしている・ソードです。
入所早々、同じルームのサイコ殺人鬼・レインに襲われ死にそうになります。
所内のシャットコールとしてトップを張るソードが、ホモ嫌いであるが、ノーマルを女性代わりにしている性癖を知り、身を守る為に身体を差し出すセン。
しかし、その決意をさせる為に実はソードが裏で画策していて、それにセンが載せられてしまったのを彼は知らない。
まだこの時点では愛はないが、襲われそうになったセンがその男を傷つけて病院送りにしたことでソードのパートナーとして彼にも、他にも認められるようになる。
センの前にソードの彼女と呼ばれたノーマンがセンに近づく。
彼はセンに執着を見せるが、その奥底ではまだソードにも執着しているような、話が進むにつれよい人を偽った正体が不明な人物になっていく。
嫉妬しあい、傷つけあい、ソードは「愛している」を口に出すように・・・
所長のムトー、ノーマンの同室になった気弱なおじさん・ワルター。
それぞれの思惑が絡み、騙し合い、まだ本当の真実が見えてこない。
それが彼らの行動の裏付けになっているのだが、それはスリルが満点であることは間違いない。

番外の「EX」で決して外へ出られない二人が脱走を成功させる、全く本編とは関係ない話が挿入されている。
一時のデート物語であるが、センの節操なさに苦笑してしまった、ソードはデリケートだったのに(苦笑)
ソードがまるで当時のレニークラヴィッツそのまんまで笑えた!
間違いなくモデルにしていると思う。

12

ハードボイルド!

地下刑務所「アンダーグラウンドホテル」で繰り広げられる、ソードとセンの物語。
囚人たちのボス「シャットコール」であるソードと体の契約を結んで、危険な刑務所で身を守ってもらうこととなった日本人留学生のセン。
ソードは頭も切れるしカリスマ性もあるし、強いし…まあなんだか無敵な感じなのですが、しなやかで愛情を知っているセンと触れ合うなかで、センに本気で惚れ込んでいきます。もう、骨抜きです。ソードにとってセンは、「暗い地下にわずかに射した太陽の光のよう」なわけです。
そしてセンも、強く気高く、本気でセンのことを愛するソードに惚れ込んでいきます。まぁ、多少ソードが人でなしで嫉妬深くても…恋は盲目。

そんな二人の関係は、ソードの元情人ノーマンや、新しい所長・日系人のトラビス武藤などが絡んできてすんなりとはまとまりません。何度もすれ違い、傷つけ合って、でもその度深い愛情と絆を築いていきます。

二人の愛はいったいどうなるのか? 気になった方は、文庫全2巻で完結しているので、是非手に取ってみて下さい。

熱くるしいとも言える感情のやり取りに、読んでいるこっちは度々赤面する事間違いなしです。
一筋の光も射さない、閉塞した世界で生きるソードとセンは、強くて、美しくて、輝いています。「ハードボイルドBLの名作」の名は嘘じゃないなと思わせてくれる作品です。勿論、エロも結構盛りだくさん(笑)

13

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