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表題作ビューティー&ゴースト

坂木康太,会社員,23歳
佐藤清司,会社員,坂木の指導役,27歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

銀縁眼鏡に鋭利な美貌、趣味は怪談。
そんな入社五年目の佐藤清司は、期待の新人・坂木康太が大嫌い。
彼の人当たりのよさも、完璧に仕事をこなすところも何もかもが気に入らない。
ある時、坂木の唯一の弱点が“おばけ”だと知った清司は、今までの鬱噴を晴らすべく、無理やり怪談を話しまくる。
前後不覚になるほど怯える彼の様子に、これまで感じたことのない胸の高鳴りを覚える清司。
だが、怖さのあまりパニックに陥った坂木にキスで口を塞がれ、さらに「側にいてください」と一晩中抱きしめられて…!?悩めるサラリーマンのオカルティック・ラブ。

作品情報

作品名
ビューティー&ゴースト
著者
海野幸 
イラスト
いさか十五郎 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレードパール文庫
発売日
ISBN
9784576072098
3.7

(24)

(5)

萌々

(8)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
9
得点
88
評価数
24
平均
3.7 / 5
神率
20.8%

レビュー投稿数9

魔物の笑みにドキッと

あまり知らない作家さんの作品で面白いと満足出来たら、ここは素直に神評価でいいかなと思うこのごろです。
良作に出会った喜びは何物にも代えがたい。

出会いに感謝ということで神、つけちゃいました!

ビビりの後輩×怪談話が趣味の先輩、リーマンモノです。
本物は怖いけど怪談好きにはたまらない設定です。
嬉々として怪談をしてる時の先輩ってとっても色っぽい・・・なんて素敵設定にニヤニヤです。
そしてド級のビビりの後輩は、めちゃくちゃ怖いけど逆らえず妖艶な笑みを浮かべる先輩に魅入られて怪談を聞かされるのです。

しかしホラーチックなお話かと思ったら、実は計算されたリーマンモノ。

小さい会社に就職しバリバリ仕事をこなすもののプライドが高い主人公は、現状に満足できずにいた。
そこへ新入社員の面倒をみることになったのだが、当の後輩は優秀でそつがないばかりか他の社員から可愛がられて、主人公にはやっかみ半分実に不愉快だったのだ。そんな彼の弱点がお化けと知って・・・

この作品は実に巧なストーリー、気合いが入ってて芸が細かい。
作中の怪談もホントにあったら怖いかもと思うような内容です。
怖くて思わず抱きついちゃう大柄男っていうのも可愛いし、怖がらせたくてたまらない美人な先輩は一種のドSです。

怖い話とリーマンモノのコラボで先輩が後輩を好きになる決定的なシーンは予想以上の出来でした。そしてちょいちょいエロい。

仕事にかける主人公もカッコよく、気前のいい後輩というキャラもいい。
他の作品も読んでみたくなる、大満足のお話です。





4

お化けとは心中にある恋情かな(川柳風)

題名からして、お化けとできちゃう話で、そのお化けが美人なのかな?と連想してはいけません。
れっきとした人間同士のお話であります。
ただ、そのきっかけがとんでも設定だったりするのですが、読んだあとに「いいなぁ」とほのぼのと温かくしてくれる作品でした。

その一:佐藤清司は会社のストレス発散の為に週一回、公園に行っては子供に怪談話をして怖がらせる。そして、それが趣味だ。
その二:坂木康太はお化けの話はもちろん、おばけ屋敷も暗闇も怖くて超ビビリだ。

そう、この設定こそがすべてのカギを握り、全てを進めていきます。
佐藤は5年前就職難の折、仕方なく現在の会社に入ってやりたくもない仕事を仕方なくやっています。
しかし優秀な人でしたからそれなりの結果は出しているようですが、5年ぶりに入った新人坂木が余りに優秀すぎて、それがストレスを増大させている近況でした。
いつもの如く子供に怪談話をしていると後ろで人が卒倒してました。
それが例の新人坂木。
目を覚まさない坂木を仕方なく家へ連れ帰り、目覚めた坂木の弱点を知るや再び怪談で脅かそうとすると抱きつかれて話をやめさせるために口封じのキスをされてしまう。
そこからが2人の始まりでした。
坂木の素直な心情吐露に、考える佐藤。坂木のキスを欲しがる佐藤。
佐藤は坂木を見直すとともに、自分自身も見つめなおすことができたのです。
酔った振りをして、自分のコンプレックスを怪談話として聴かせる佐藤。
別れを告げる佐藤に、怖い暗闇を我慢して追いかけてくる坂木。
「自分の中に坂木を好きな女の化け物が憑いている」と坂木を誘う佐藤。
2人の真摯な態度が痛いほど伝わってきます。

めでたく結ばれて終わりになっておりますが、本当はこれからどうなるの?的な”転勤”という現実を残したままの終わりになっているので物足りない感はあるのですが、あとは自分で好きに夢想することにします。

後書きが作者ではなく佐藤清司代筆になっていて、最後まで楽しませてくれました。
毛色が変わっている作品ということで神はおまけの大盤振る舞いです☆


3

短いのに物足りなくない

面白かったーε=ε=(ノ≧∇≦)ノ
パール文庫ってページ数が少ないから…数冊読んだのですがどれも物足りなさを感じたんですよね(´・ω・`)
でもこの本は特にそんな風には感じませんでした。
綺麗にまとまってたからかな?
あの描写あれば…とか、そういうことが頭を過ぎることなく楽しんで最後まで読めたのです。

1ページ目の清司さん、めちゃくちゃ魔性だわwww
そして坂木の怯えっぷりは…清司さんじゃなくとも怖がらせたくなりますね(*´∀`)
怪談話を聞かせて相手の反応を楽しみたい人にとっては最高の聞き手でしょうwww

先輩の仮面がボロボロ剥がれていくのが何か可愛かったです。
んで「怖い怖い」言いながらも、ここぞという時には廃ビルにまで乗り込む坂木はやっぱ強いなーと。

受けによって進行されるあとがきも楽しかった。

1

文句なく面白い!

海野幸さんの作品を読むのはこれで二冊目なんですが、二冊とも面白かったので、作家買いしようかなと思いました。
しっかりした文章力があるし、お仕事描写は上手いし、人物造型にオリジナリティを感じるし、いい作家さんだなァと思いました。

この作品はドラマCDで聴いてとても面白かった記憶があったんですが、小説もやっぱり面白かったです。
タイトルだけ見ると幽霊モノなのかなと思いますが、そうじゃなく、主人公が「怖い話を子供に聞かせてストレス発散する」というプチ変人なんですよ。
デキのいい部下が人一倍怖がりだということを知ってウヒャヒャと喜んだ主人公は、その部下を自宅に呼んで存分に怖い話を聴かせる。鬼畜の所業です。でも、なんか憎めない。本気で怖がってる部下は妙に可愛いしさ。
このお話の面白さは、それらの行為を「仕事」とも「恋」ともうまくリンクさせてることにあると思います。
主人公は、仕事のストレスやデキのいい部下に対するコンプレックスなどが重なって、ねじくれたやり方で発散しようとしてるんですよねぇ。くどすぎず足りなすぎず、このあたりの説明のしかたは、本当に上手いと思いました。
「怖い話をしてるときの受けの顔は綺麗で大好きなのに、怖い話はキライ」という可哀想な部下くんには、耳せんをプレゼントしたくなりましたw

5

趣味が「怪談」の受け

1冊すべて表題作。清司(受け)視点です。

作中で語られる清司の怪談にぞっとしていたのですが、実はもっともらしく語っていても幽霊等を信じていないというのが面白かったですね。
夜読んだので、屋上の少女の話にぞっとしたのですが、見間違えだろうという清司の感想が、ビビリの自分にはありがたかったです(笑)

清司が怪談に自分をなぞらえて語る場面は、社会人として胸にぐっとくるところがあって、ほろりと泣いてしまいました。怪談という趣味がとってつけた設定にならず、全体を通じて必要性があったのも良かったです。

清司の視点にも関わらず、康太(攻め)が清司に好意を抱いているのも伝わってきて、微笑ましかったです。甘い後日談も読んでみたかったなぁと思いました。上司の柿本には最初ムッとしましたが、うまくまとまっていたのも読んでいて嬉しかったです。

ワンコ年下後輩×ツンデレ年上先輩の社会人カップルがお好きな方にお勧めだと思います。キャベツばっかり食べる清司をリスに例える居酒屋のイラストも可愛かったです!

1

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