コミック

  • 猿喰山疑獄事件

猿喰山疑獄事件

sarukuiyama gigoku jiken

猿喰山疑狱事件

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作猿喰山疑獄事件

星義彦
星グループの若き総帥
鷺坂貢
美貌の放浪の庭師

その他の収録作品

  • 第一話・王様の庭
  • 第二話・かわいい小鳥ちゃん
  • 第三話・庭師の分際
  • 第三 1/2話・アヒルの分際
  • 第四話・マイダス王の指先
  • 第五話・詐欺師の定義
  • 番外編・詐欺師の本分
  • 第六話・事件の始まり
  • 第七話・終着駅
  • 第八話・心中・猿喰山
  • 第九話・調書
  • 最終話・来世の約束

あらすじ

星グループの若き総帥、星義彦。猿喰山にある星家の屋敷に入り込んできた庭師・鷺坂貢。義彦は鷺坂の美貌と自由な心に次第に魅了されて行くが、鷺坂の意図は別にあって…? 愛を告げる義彦に応えた鷺坂の思惑、そして真実とは!? 最後まで予測不能な純愛物語、ここに開幕! 描き下ろしも同時収録!
出版社より

作品情報

作品名
猿喰山疑獄事件
著者
ARUKU  
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックス~BE×BOYCOMICS~
発売日
ISBN
9784862636270
4.4

(184)

(134)

萌々

(17)

(22)

中立

(4)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
44
得点
808
評価数
184
平均
4.4 / 5
神率
72.8%

レビュー投稿数44

まさに予測不能の純愛物語

初めは愛を知らずに育った横暴なセレブ男が、
素朴な庭師に出会い、恋をして癒されて行く
ほのぼのとした物語だと思っていたのですが。
これが大間違いでした。

中盤から鷺坂が不穏な動きを見せ始めた頃から、
物語はなにやらきな臭い方向へ。予測不能な展開にハラハラ。
鷺坂の真意は何なのか?鷺坂と星の恋と、
彼らに関わる人達の人生が悲しくて切なくて。
グイグイと作品の世界に引き込まれてしまいます。

そして最終話「来世の約束」で、こうきたか!と唸りながら、涙がポロリ。
ラストシーンが本当に素晴らしくて!!
美しくも神々しいラストに感動です!

これは漫画か?と思うくらい膨大な文字量に、癖の強すぎる絵柄。
特に絵柄に抵抗を感じる人が多いと思います。
なので一般受けはしない作品かもしれません。
しかし私は絶望と魂の救済を見事に描いたこの作品が大好きで、
遙々アルクさんは今後も追いかけて行きたい作家さんになりました!

17

ともふみ

おはようございます&お久しぶりです、藤棚さん。
インパクト大の題名と「予測不能な純愛」というあらすじに惹かれつつも、ものすっっっごく苦手な絵柄に逡巡していたのですが、藤棚さんの神評価に背中を押してもらいました。
そして大正解!ありがとうございました。

来世の約束はとにかく涙腺にも心臓にもキました。
BLでこんな話が読めるなんて…。
ほんと絵柄はちょっと(まだ言う 笑)という方ですが、私も作者追いしそうな予感大です。

藤棚

>うえおさん

こんにちは。
コメントをありがとうございます。

>いやぁ~…すごい作品でしたよね。
すごい作品でした!そしてこの作品のすごさを、
ボキャ貧の私には上手く伝えられないのがもどかしくて(>_<)

絵柄が非常にネックだとは思うのですが。
でも一度ストーリに入り込めば、
絵柄はそれほど気にならなくなりますよね~
私は最近では、この絵柄も味があってイイ!と思うようになりました(笑)
できれば多くの人に読んでもらいたい作品です。

読み応えあり

題名が小難しいので、どんなお話なんだろうと思いながら読み始めました。
簡単に言えば、大金持ちの大邸宅に庭師としてもぐりこんだ詐欺師とそこの孤高の主人が惹かれあうお話なのですが、あらすじにもあるように“最後まで予測不能な純愛物語”でした。

小さい頃のトラウマであったり、現在の生き方であったり、全く違う立場にいながら惹かれあってしまう二人。
氷の国の王様のように冷たく閉ざされた心の主人・星と、彼を恐れず遠慮のない物言いをする庭師・鷺坂に時々ウルウルしながら読ませていただきました。

読み終えて思ったのは、星自身が最初から損得勘定を抜きにしてただ無条件に鷺坂を愛していたんだろうなというところです。
読んでいる最中は、鷺坂の様々な言動に一喜一憂し、振り回されているように見えなくもないのですが、それもこれもすでに愛しちゃっているからこその行動だったんだろうなと思えました。

詐欺を仕掛けるために乗り込み、主人をいいように転がしていたように見えた鷺坂が、実は星の大きな懐の中でうごめいていただけだったのね、という。

ストーリー上のエピソードの必然性がはっきりしない部分もあるような気がするのですが、大きな会社組織だとか、詐欺の手口だとか、部下や使用人たちの気持ちだとかまで、細かく描写されているので、星がただのお坊ちゃんではなく、やり手の総帥だということがわかるし、彼の人間的な成長を助けたのは間違いなく鷺坂であるということもわかります。
また、小さないとこを養子に迎え入れた星は、本当にいいお父さんになっていて、微笑ましかったです。
そして、複雑にねじれた人生を送ってくるしかなかった鷺坂は、このラストで幸せになれたといっていいのでしょうか?そうあって欲しいものです。

4

ともふみ

はじめまして、そしておはようございます久江羽さん。
ともふみと申します。
藤棚さんにもコメントさせていただいたのですが、お二人のレビューを読んで購入に踏み切りました。
とっても感謝しています。

鷺坂との出会いが星にもたらした変化を、総裁という立場の虚しさに気づかせるよりも、(久江羽さんがレビューでおっしゃっているように)仕事ぶりで成長を描いているところがとても好きです。
ラスト!ラストは幸せになれたと言っていいんでしょうか??と私も作者さんの首を揺さぶって確認して安心したいです。
嘘の笑顔を無くして初めてみせた鷺坂の涙と最終話の表紙に、きっと幸せになれたんだ!と意地でも思い込んでいます。
私の幸せのために…笑

王子の小鳥のゆくえ リアリストがみせる愛のお伽話

最近読んだ中で久々に衝撃を受けた作品です。
悲しい、嬉しい、辛い、そのどこにも線引きできない種類の
涙が出たのはBL作品では初めてかもしれません。
悩みつつも、琴線に触れたので神評価に。
冷たい若き総帥の星と、自由な身と心を持つ庭師の鷺坂の恋愛。
この一文から想像できない展開が待ち受けていました。
恐ろしい作者さんです。もちろんいい意味で。

最初に読んだ時はあらすじ通りの予測できない純愛に衝撃を受け
2度目では伏線やエピソードに感心し、
3度目で端々で描かれた脇の人々の人生の一幕に目がいきました。
読み返して新たな発見ができるというのは
読者としてとっても贅沢だと思います。
(単に一度では拾いきれない私の脳のせいかもしれませんが。悲)

作中、幸せとはなんだろう?という会話があるのですが、
この疑問は作品の主題そのもののような気がします。
幸福の基準は人それぞれ。
立場も生き方も全く異質な二人ですが、
小さな頃にその基準を本人の望まない形で
植え付けられたという意味では似た者同士なのかもしれません。
そして幸不幸とは表裏一体で、
幸せ無くしては不幸が、不幸無くしては幸せがあるはずもない。
そんな気持ちにさせられました。
決して温かい夢に浸れる話ではありませんが、
愛のお伽話という意味では究極のエンディングかもしれません。

興味があるけど絵がモニョモニョ…
と読まずにいるのはもったいない作品です。
かくいう私も(神評価ですが)絵が苦手です。
癖がある…とゆーか目のバランスがおかしい気が…はっ、イカン。

作者買いリストに新たな名前が加わりました!

10

ともふみ

>久江羽さん
「ビター×スイート」は神評価の方がいらっしゃらなかったので、保留リストのままでした…が、久江羽さんは神評価作品なのですね!
うおぉ~、是が非でも読みたくなってきましたので近日書店に走ります。
お勧めして頂いてありがとうございました♪

久江羽

こんばんは、
私のレビューがお役に立ったとは・・・ありがとうございます。
遥々さんの作品は、読み込んでこその面白さがあるんじゃないかと思います。
私としては、2007.11月発売の「ビター×スイート」の方が神評価できるくらい好きなので、作家買いの人です。
たまたまちるちるさんを知る前に読了していたので、ブログにはちょっと書いてありますが、こちらにレビューしていません。
藤棚さんをはじめ、他の方がレビューなさっているので参考にしてください。

藤棚

ともふみさん、お久し振りです!
そしてレビューへのコメント、ありがとうございました。
私の評価がともふみさんのお役に立てたようで、すごく嬉しいです!

>読み返して新たな発見ができるというのは
>読者としてとっても贅沢だと思います。
同感です!
首がもげるほどPCの前で頷きました。
読み返せば読み返すほど味が出るというか、
特に伏線の張り方が素晴らしいですよね~

ともふみさんの熱いレビューを読んでテンションが上がったので、
今夜にでもこの作品をまた読もうと思いました(笑)

読了後、放心状態に。

遙々アルクさんは、自分が世界から要らないと思われているような気持ちになる孤独を、良く知っている。
誰もがきっと持ったことがあるであろう感情を、良く覚えている。
このお話、ただの“王様”の初恋物語や、庭師のシンデレラストーリーなどではありません。
ドラマティックな癖に、シニカルでシビアな大人の御伽噺。
理屈じゃなく、面白かった。
イラストが苦手でも一度トライする価値は充分! この際イラストは不問!

星グループの若き総帥、星義彦。
彼がただの冷徹非情な王でなく、身近な家人や社員から誇られ、愛される存在であるのがとてもいい。
それを独特の台詞回しと、相変わらずの詞的なモノローグで実に巧く魅せています。
彼の存在とその深い孤独、そして優しさにとても救われました。
星は、自分が人を愛せない人間であることを悟りのようなレベルで気付いていることに、一種の諦めと哀しみを覚えています。
彼の抱える深い深い孤独は、そこが根底なんじゃないかなあ。

そんな哀しみの王の前に現れた庭師・鷺坂貢は、子どものように無邪気に、そして時に誰よりもシリアスに、星の生活に介入して行きます。
やがてこの小鳥のような彼を、星は深く愛してしまうようになるのですが…。
鷺坂のくるくる回る表情と、何処か抜けたような喋り口調に親近感を抱き、そして時に見せる裏の顔に胸が締め付けられました。
そう、彼は星をカモにしようと企む詐欺師だったのです。
鷺坂の真意は何処にあったんだろう。。。
彼の言葉総てが星に取り入るためのステップでしかなかったとは思えませんでした。

「信じて下さい、人を」

星に投げ掛けた言葉は、本当は己に云ってやりたい言葉だったのかもと邪推してしまいます。

星は最初から地に足のついた大人でした。
王として、光の中を颯爽と歩いて行くひとです。
見た目は冷たくスマートに、けれどきっと必死で生きていました。
光の中を行く彼の傍らで、何とも惨めで哀しいそれぞれの生涯が描かれます。
星も鷺坂に出逢わなければ、非情な暴君を巧く演じ切るだけの生涯だったかもしれません。
御伽噺の主人公は紆余曲折の果てに幸せを掴むけれど、その影で容赦なく斬り捨てられていく魔女や継母や王がいるのです。
勧善懲悪とはちょっと違う。
けれど、総ての行いにはやがて帳尻合わせの皺寄せがやって来る。
このお話を、シニカルでシビアな大人の御伽噺だと思った理由は此処にあります。

必死に貪るように読み続け、迎える最後の4ページ。
突然酷く息苦しくなって、一体何処から来たものなのか解らない、正体不明の涙がぼたぼたっと膝に落ちて、自分が一番驚きました。。。
こう云うハッピーエンドもありだなあと思わされるラスト。
3人と1匹の、心安い生活と幸せを願わずにはいられません。

8

今年ナンバー1作品!?

驚きというのでしょうか。衝撃というのでしょうか。
ものすごいものを読ませていただきました。
心がいっぱいになって、数日はこの漫画のことで頭がいっぱいでした。

実を言うと、ちょっと絵が苦手で、今まで遠ざけていました。
この漫画を読み始めても、すぐに「ああ。どうせ最後は総帥の凍った心を溶かしてハッピーエンドね。」なんて思っていました。ところがどんどん違う方向に行くじゃないですか。思い返すと、もうこの時点で読ませられていましたね。
気持ちの真意がわからないま、話もどんどん展開していくんです。
そして、ラスト……。
衝撃でした。
涙が溢れ出しました。
今思い出しても、何も考えられなくなります。
読む人によって感じ方様々だと思いますが、私の中ではハッピーエンドです、間違いなく。
安易な感想が書けないくらい、すごかった。
絵が苦手なんて馬鹿な理由で遠ざけていた自分が愚かだと思いましたよ。
読み終わって「今年ナンバー1作品かも」と、今年初めて思わせられた作品です。
前知識なしに、是非とも読んでいただきたい1冊です。

5

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP